みんなのシネマレビュー |
|
|
|
ネタバレは禁止していませんので 未見の方は注意です! 【クチコミ・感想(6点検索)】
5.将校たちの決起の様子もそこそこに、映画はいきなり2月26日未明の襲撃事件で開始。いわば、部隊が投降するまでの膠着状態を描くような構成となっています。将校たちの想いや苦悩が作品の中心となる訳ですが、例えば岡本喜八監督の(原田眞人監督の、とは言わない)『日本のいちばん長い日』などが見せた、殆ど狂気寸前とも言うべき凄まじいばかりのテンションを思い起こすと、ずいぶん「静かな」映画だなあ、と。いや、出演陣の個々の熱演は確かにあるんですが、作品を通じて昇り詰めていくようなものがあまり無く。 巨大なオープンセットを駆使した撮影。この建物はベニヤ作りのハリボテなんかじゃないですよ、と言わんばかりに屋上に人を立たせたりもして、あるいはそこに戦車を何台も登場させたりして、大作を作ろうという意気込みは伝わってくるんですけどね(「忠臣蔵」の昭和初期版?)。屋外シーンで積雪が残っている様子を再現しているのも抜かりなし。なんだけど、そもそもの、襲撃事件中に降りしきる雪、あれをもうちょっと上手く描いてくれれば・・・雪の描写って、難しいですね。 膠着状態を延々と描くのも味気ない、ということなのか、回想風に将校たちと家族との様子が織り込まれたりして、彼らもそれぞれ家庭があり人生があるんだよ、というのはわかるのですが、これだけの描写ではさすがに中途半端で、心に食い込んでこない。襲撃シーンでも被害者側の家族が描かれたりしていて、作品の意図としては「家族」というものにも触れておきたい、んでしょうけど、これでは消化不良。 外伝的に、モックンと根津甚八とのエピソードが挿入され、ここは二人の静かな熱演が活きた印象的なシーンとなっておりました。あと、出番は多くありませんが、川谷拓三の別れの場面も印象的。実際のところ、「オールスター」的な映画でありつつ、個性的な役者を集めて各キャラの色分けもしっかりなされており、その辺りは悪くないと思いました。 昭和初期の風物の描き込みも、五社監督お手の物、といったところでしょうか。 という訳で、個々にイイなあ、と思う点はあるのですが、映画全体を通じては、やっぱり作品が弱いかなあ、と。 映画の印象が「静か」という事に関しては、劇伴音楽の用いられ方がやや控えめであることも影響していそうで、それでも要所要所は音楽がドラマを支えています。ただ、襲撃の際に火炎瓶が投げ込まれる場面での音楽は、ブラームス交響曲4番のパッサカリアの一部を元にしたパロディ風の音楽で、こういうのがダメという気は無いですけど、個人的には正直、気が散っちゃうんですよね。。。 【鱗歌】さん [CS・衛星(邦画)] 6点(2024-10-27 07:51:56) 4.《ネタバレ》 昭和初期の街並みの再現度が素晴らしい。木造の電柱、ブロック状の舗装道路、山王ホテルなんて実物っぽいけど、オープンセットだそうだから驚いてしまう。陸軍の戦車が3両。ブリキのような、強いんだか弱いんだか解らない辺りのソレっぽさ。この戦車も重機を改造して作ったと言うから、当時の邦画の、一本の映画に対する力の入れようがヒシヒシと伝わってくる。 主演俳優の豪華さも素晴らしい。昭和を彩った名優と、平成に活躍する俳優の共演。知った顔がどんどん出てきて思わず唸ってしまう。 当時の記録映像から映画のモノクロ映像に、そして徐々に色付いていくオープニングは、観るものに昭和初期のクーデターを現代に蘇らせる丁寧な演出として惹き付けられる。 深夜から早朝に決行されたクーデターを、首謀者の青年将校たちの視点で、ドキュメンタリータッチに描いているが、決行に至った動機や時代背景の描写が少なく、観る側に予備知識、事前学習が要求される映画だった。『私腹を肥やす悪い政治家を殺せば、天皇が直接政治を行い、政府の腐敗は無くなり、農村は豊かになる』と。どうしてそう考えたのかの背景。自分たちだけでなく、事情をよく知らされていない部下の命までもを懸けるに至った根拠が良く解らない。要人殺害からバリケードを作って占拠するだけで『昭和維新』の世の中が来るなんて、素人考えでも到底思えない。そこから次の一手が見えてこないのだ。 事件当日から終焉までだけでなく、その前後をしっかり描けば、この事件に初めて触れる人にも理解できる映画に出来たと思う。 安藤は拳銃による自決に失敗し、治療を受けた後に銃殺刑に処されたそうだけど、この映画じゃそんなこと解らない。将校たちの遺書や遺言ののち、一発の銃声が鳴る演出。敢えてそうしたにしても、銃殺刑のライフル一斉射の音でなく、まるで自決のような銃声一発にした意図は何だろうか? 国を良くしようと立ち上がり、志半ばで散っていった青年将校たち。彼らが残してきた妻や子どもたちの思い出の中の笑顔。一方で突然夜襲を受け、目の前で夫を父を殺される政治家の妻や娘の悲痛な叫び。激動の昭和の理想と現実。二・二六事件に興味を持つキッカケとしては充分だけど、出来ることならこの映画一本で、全体像を把握できるものにしてほしかったかな。 【K&K】さん [ビデオ(邦画)] 6点(2022-03-29 22:47:03) 3.《ネタバレ》 2/26~2/29までの4日間をドキュメンタリー的に描いており、かなり史実を忠実に再現した大作で、結構見応えはある。特に最初の20分の襲撃シーンはあの渡辺和子さんが目の前で父親を殺害されてしまうというシーン等もあり、かなりのリアリティーがある。まあでも基本的に皇道派を美化する人間ドラマ的作りになってはいるので中立とは言い難いのだろうけど。 この4日間の詳細についてはよくしらなかったので勉強にはなったが、事件の起こった背景や思想等には殆ど触れられてないので、それらを知らない人には訳がわからない部分もあるのだろうが、そこまで描くと3時間以上になってしまっただろうし、これはこれでよかったのではないのかと。但し、1点矛盾を感じるのは三浦友和演じる安藤輝三が自殺して、その後銃殺される(こっちが事実)という2回死ぬような形になっている所。なんでこんな作りにしてしまったのだろうか? この事件は結果的には大失敗テロ行為であり、これをきっかけに日本がどうなってしまったかは皆さんご存知の通りであるが、それは現代の価値観で歴史を後から論じる者の勝手とも言える訳で、正義と信じて行動した青年を安易に非難する気にはなれない。かといって美化してもいけないが。 【東京50km圏道路地図】さん [CS・衛星(邦画)] 6点(2014-03-26 12:53:39) 2.ちょい役に重鎮を使い放題とキャストが豪華すぎ。本木雅弘が今と見た目がそんなに変わりないのに驚いた。ラストの辞世の句と銃殺音はずしり。 【すたーちゃいるど】さん [DVD(邦画)] 6点(2012-03-04 23:45:12) 1.バブル真っ最中の、今にして思えば信じ難いほどの超豪華キャスト勢揃いの凄まじい日本映画。配役のほとんどが一流か有名人が大半なので、それだけでも見る価値あります。ただ少し惜しいのが、意気込みに内容がやや追いつかず、若干ストーリーが平坦に進んでしまったのは残念。時代背景も当時の日本映画にしてはしっかり作られているのだが、どうしても詰めの甘さが出てしまっている。ただし、役者は一生懸命演技しているのは画面からは伝わりました。やや厳しく評価で6点とさせて頂きます。それにしても226事件はいくら調べても、勉強しても中々全体像の見えてこない複雑な事件ですね。難しい。。。 【はむじん】さん 6点(2003-08-05 02:46:44)
【点数情報】
【その他点数情報】
|
Copyright(C) 1997-2025 JTNEWS