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ネタバレは禁止していませんので 未見の方は注意です! 【クチコミ・感想(7点検索)】
10.元日。今年の正月は諸々の理由から親族との新年会が控えめだったため、午後から映画を観始めた。 3年連続で新年一発目は“寅さん”でスタート。三が日特有の空気感と正月モードの思考状態に、「男はつらいよ」が織りなす人情喜劇は、時代を越え、この国の人々の心にぴたりと合う。 長崎の五島列島に渡っていた寅次郎が、ふと郷愁の念に駆られ、故郷浅草柴又に舞い戻る。毎度お決まりの展開ではあるが、寅さんの行方を心配しつつ、同時に彼の帰郷に戦々恐々とする“とらや”の面々の右往左往が面白い。 個人的には、渥美清演じる主人公以上に、森川信演じる“おいちゃん”や、三崎千恵子演じる“おばちゃん”、太宰久雄演じる“タコ社長”らの間の抜けた掛け合いが最高に愉快で、「ああ、今年もとらやに帰ってきたな」と、鑑賞作品6作目にして感じるようになった。 本作のメインストーリーでは、とある事情で“とらや”に下宿する美人人妻(若尾文子)に、例によって寅さんが一目惚れし、トラブルを巻き起こすという、これまたお決まりのパターン。 お決まりの展開自体は良いのだが、本作のマドンナに関わる描写は、少々おざなりだったように思う。売れない小説家の夫に辟易して家を飛び出し、結局何の解決も得られないまま、少々横柄な態度で迎えに来た夫に説得されて帰っていく様子は、仕方がないとはいえ前時代的で、溜飲が下がらない思いだった。 それを見送る“さくら”の神妙な面持ちが表すように、「我を貫けない時代性」こそが、このエピソードが描き出したかったテーマなのかもしれない。しかし、それにしても描き方が類型的で面白みに欠けていた。 「妻は告白する」など、日本映画史を彩る大女優の一人である若尾文子がマドンナ役だっただけに、少し残念だった。 一方で、本作の人情物語要素を補い救っているのは、ある父娘によるオープニングとエピローグであろう。 子を抱えて家に戻ってきた家出娘を宮本信子が演じ、漁村で宿を営む年老いた父親を森繁久彌が演じている。 数年ぶりに戻ってきた娘に対して、心の中では彼女の無事と生まれた孫の存在を愛おしく思いつつ、娘のこれからの人生を考え、あえて厳しく叱る父親の哀愁が印象的だった。 彼らのシークエンスがエピローグにも描き出され、本作が伝えたかったであろう人間関係や家族関係にまつわるテーマが、感動とともにしっかりと帰着している。 メインストーリーのマドンナ像が軽薄な印象だったため、むしろこの父娘のエピソードを主軸に描いたほうが良かったのではないかとさえ思えた。 ともあれ、2025年も寅さんと共に映画ライフがスタート。今年は、悲喜こもごものバラエティーに富んだラインナップを観ていこうと思う。 【鉄腕麗人】さん [インターネット(邦画)] 7点(2025-01-03 23:50:22) 9.《ネタバレ》 シリーズ6作目。今回は定番の展開を逆手に取った感じで、結構笑えました。おいちゃんの口癖「バカだね~寅は」や「しらないよ」が連発でとても楽しかったです。大物俳優の森繁久弥や宮本信子ががあんな端役で出演しているのにちょっと驚きましたが、ラストの森繁の涙はちょっと感動しました。 【ぽじっこ】さん [CS・衛星(邦画)] 7点(2020-02-23 17:38:14) 8.キャストへの驚きの連続につい点数加増。 冒頭部、寅さんの五島への旅路の途中亭主と喧嘩して飛び出したまま故郷へ向かう赤子連れの女として先日2007年約10年ぶりに銀幕に復帰した姿を拝んだばかりの宮本信子が登場。20代後半の頃の彼女がほぼノーメークで影のある女を怪しげに好演。父親役が森繁久彌だったのはついスルーで、これは「小早川家の秋」(1961) でも犯した同じ過ち。この人には終末部ではつい持って行かれてしまった…。 若尾文子氏は溝口作品「赤線地帯」(1956) と小津作品「浮草」(1959) にて当時20代前半の彼女にほだされたっきりで、その後の再会があっという間に71年まで飛ぶことになってしまうとは予想だにせず。ただこの時期での広い範囲の年齢層の男どもがついぽかんと口を開ける妖艶な美女という設定に足るキャスティングであることには違いない。とはいえやはり彼女にはスクリーンで会う度にどこかズキンと痛い。 で、最後の驚きは町医者役で登場した松村達雄氏。後日初代おいちゃん森川信の早逝にともない後続に回る人であることはすぐ気づけたのであるが、この方こそが先日鑑賞したばかりの「解夏」での住職であったことを知った時には…。8作目までのおいちゃんはじっくり楽しませていただくし、9作目からのおいちゃんもじっくり楽しませていただきます…という方針に若干軌道修正。 ふるさとは、遠きにありて想うもの。 身に沁みます… 【kei】さん [DVD(邦画)] 7点(2014-05-27 10:15:42) 7.《ネタバレ》 前作『望郷篇』でひと区切りつけたかったシリーズが、さらなる長距離走になっていった第六作。テーマは大袈裟に言えば「故郷からの独立の難しさ」となりましょうか。故郷へ逃げ帰る宮本信子のエピソードで始まって「帰るところがあるから俺はダメなんだ」と寅は自覚し、「でも俺帰るとおいちゃんもおばちゃんも喜ぶからな」と理由を見つけて柴又に帰る(タイトルでは珍しく故郷の空撮もあり)。ところが帰ると邪険そうなおいちゃん・おばちゃん、その理由である下宿人若尾文子と顔を合わせ…、という段取り。あわせてヒロシが独立したがるという重い話題もあり、親(故郷)の金をあてにする。社長への義理と夢との葛藤はもっと突っ込めるモチーフだが、寅の無責任ぶりで笑いをとってあっさり決着。いつもマドンナ役の魅力を引き出すシリーズだが、今回の若尾はあんまりパッとしなかった。夫が迎えに来るとすぐ帰ってしまうのは彼女の役ではないような。「女って弱いわねえ」と呟くだけ(逃げ帰れる故郷のあった宮本信子との対比)。啖呵売(たんかばい)がたっぷり収録されてるのが本作の特徴。小沢昭一が「日本の放浪芸」を完成した年で、そういう民俗学的なものへ世間の興味があったのか、それとも監督の小沢の労作への直接オマージュだったとも考えられる。「消えつつある文化」としての寅の口上を学生(?)が録音してる場面があり、はっきり滅ぶ側の人間として寅が眺められている。本作の締めとして「故郷ってやつはよう」と寅が言いかけると、電車のドアが締まって最後まで言わせない節度。 【なんのかんの】さん [CS・衛星(邦画)] 7点(2013-07-20 09:57:43)(良:1票) 6.《ネタバレ》 【制作メモ】本シリーズを終了させる予定で第5作が制作されたが、評価が高かったので本作が制作された。この時点で観客動員数は75万人以下と低く、200万人以上のヒットを記録するようになるのは第11作目以降。【寅次郎の行動パターン】①おいちゃん、おばちゃんとは少し気まずいく、会話がぎくしゃく。②タコ社長とはケンカ。③印刷会社社員を労働者諸君といって見下す。④弟分の源公を小バカにする。⑤御前様には低姿勢で挨拶。⑥博には兄貴風をふかす。⑦さくらへの兄妹愛が強い。妹のために立派な兄貴なりたいと願っている。⑧美人にすぐ惚れる。惚れると堅気人風に人格が変わる。告白まで進展しない。⑨義理に厚く、人情にもろい。【感想】本作はシリーズの持つ魅力が満載。テキ屋稼業の渡世人である寅次郎の孤独と望郷の念はひしひしと伝わる。これと対比して柴又の人情味あふれる暮らしぶりが描かれる。隣人を気軽に夕食誘うこと近所つきあいが普通に行われる世界。寅次郎が帰りたくなるのも頷ける。◆・寅帰宅で、ドタバタが始まるのだが、博の独立問題の挿話が出色。無責任と勘違いで話は進展し、大騒動になって、最後は大団円。ファミリー向け、コメディとして成功している。◆「わかっちゃいるけど止められない」のが寅次郎。真人間になろうという気がないではないが、気ままな渡世稼業が身にしみている。フラれるのとわかっていても、ついつい美人に惚れる。日本一の「空気が読めない人間」。口がすべってつい余計なことを言う。売られたケンカは買う習い。頼まれごとは引き受ける。悪気がないだけに始末が悪い。そんな人間味あふれる寅さんには誰だって感情移入してしまうだろう。◆一方マドンナはお飾りで、あくまであこがれの存在でしかない。心の内面が深刻に描かれたり、成長したりはしない。チャップリンの映画ほど感動しないのはこのため。◆不幸な家出嫁の漁村での場面は味わい深かったが、展開があっさりしすぎている。働かず、嫁の給料ぼったくりのダメ亭主が、急にまじめに働きだしたりしない。ご都合主義だが、シリーズのファンにとてはお約束。◆お約束といえば、さくらとの別れのシーン。「故郷ってのはなあ」で、ドアが閉まって聞こえない。良い演出です。全て言っちゃあおしまいよ。 【よしのぶ】さん [ビデオ(邦画)] 7点(2010-12-05 13:51:18) 5.《ネタバレ》 最近図書館で借りた「男はつらいよ」の研究本を頼りに、このシリーズを見続けているのですが、ある程度パターンがあっても時代に勢いが感じられますね。 今観ても笑えるし、凄く面白い。 若尾文子さんが演じるマドンナは、監督の意向かイメージを崩さない守りに入った役作りですね。池内淳子さんとキャラが被っているように思います。 意外なのは、宮本信子さんと森繁久彌さん親子。これだけのエピソードで終わるのは、とってももったいない。 宮本さんは個人的に好きな女優さんですが、マドンナとしての花がないのが残念。 でも、DVDについた予告編を見ると、本編にはない寅さんと宮本さんのドラマがあったりするんです。そこんとこ、もっと観たかったなぁ…… 話は変わりますが、倍賞千恵子さんは茶髪が似合います。 【クロエ】さん [ビデオ(邦画)] 7点(2009-08-14 12:36:59)(良:1票) 4.第6作。マドンナが若尾文子ということで見てみる。寅さんってほんといい年して・・・ってのがおかしくて魅力的。渥美清と森繁久彌、若尾文子と倍賞千恵子が同じ画面にいるという凄い映画。渥美清と若尾文子の江戸川でのやり取りなんてほんと素敵です。 【バカ王子】さん [CS・衛星(字幕)] 7点(2005-09-14 19:07:48) 3.《ネタバレ》 これまでのシリーズの中では最もシビアというか、ちょっと物悲しい雰囲気が漂っているような気がします。故郷に想いを馳せる寅さん、とらやの面々もいつもと違い快く寅さん迎え入れてくれないところがちょっと寂しいです。何だか全体的に妙なホームドラマ仕立てになっていますが、今までの暴走さは影を潜め割かし落ち着いた作風に仕上がっています。何と言っても序盤の家出娘を故郷へ送り届ける件が秀逸で、ここでも寅さんの人情深さを感じさせます。特に「俺はそいつを殺すよ」というちょっとドキッとさせる台詞が印象に残ります。それにしても寅さんは偉い、そして凄い!普通あそこまで振られ続けたら恋愛恐怖症にでもなってしまうのではないでしょうか?それでもめげずに挫けずに、堂々と生きていけるような男になりたいものです。(相変わらずタコ社長の間の悪さは日本一!) 【かんたーた】さん [CS・衛星(字幕)] 7点(2005-08-28 23:40:26) 2.森繁さんとのからみはなかなか味があった。たこ社長の家の様子も面白い。子供が4人っていうのが、しかも小さな子もいるし。後に出てくるリリーみたいに一緒になって欲しいと思えるようなマドンナってあまりいないですね。この若尾さんも生活感がない分、当然寅とは似合っていない。最初から浮いてる分、先が見えてて、さくらの一生懸命兄を思う気持ちなんかと相容れない感じだなあ。一方、さくらの存在は良いですね。倍賞さんはぴったりだ。 【パセリセージ】さん [CS・衛星(字幕)] 7点(2005-08-15 08:37:23) 1.若尾文子の登場する後半よりも、宮本信子と森繁久弥演じる親子が登場する前半のほうが印象深い。 それにしても宮本信子が若い。 【イニシャルK】さん [地上波(邦画)] 7点(2005-03-08 02:16:41)
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