みんなのシネマレビュー |
|
| ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
|
|
ネタバレは禁止していませんので 未見の方は注意です! 【クチコミ・感想(7点検索)】
10.《ネタバレ》 バスター・キートンの無表情コメディを世紀末に蘇らせたアキ・カウリスマキの“敗者三部作”の代表作。主演はカウリスマキ御贔屓の“幸うす顔の女”カティ・オウティネン、知らない人からすれば「なんて無表情な演技なんだ」と思うかもしれないが、実は本作での彼女はそれまでのカウリスマキ作品の中では最も表情豊かだとファンからは驚かれたぐらいです。短いシークエンスを暗転でつないでゆく彼独特のストーリーテリングは、明らかに親交があるジム・ジャームッシュの影響でしょうね。 ソ連崩壊と世界的通貨危機に巻き込まれたフィンランド、ノキアですら経営危機に苦しむ経済不況の真っ只中でのささやかな庶民の暮らしを、独特のリズムで見せてくれます。カウリスマキの映画は小津安二郎の影響が有名ですけど、正直いって自分には構図も含めて小津色を感じることは少ない。だいいちセリフが極端に少ない作劇法は、小津とは正反対なんじゃないでしょうか。それでも“庶民のささやかな幸福”というある意味ミニマムなテーマは共通していると言えるでしょう。 この夫婦の悪戦苦闘は最後に妻の職場の前オーナーの善意で救われる結末ですが、給料未払いや銀行のゲス対応そしてカジノで夫が資金を溶かしてしまうなど、誰もがどれかは経験してそうな人生の躓きを淡々と見せてしまうところにはかえって思い切りの良さすら感じる脚本です。これは日本でよくいる私小説作家的な監督や脚本家ならドロドロで暗鬱なストーリーにする例が多く、ほんとに「カウリスマキの爪の垢でも煎じて飲め!」と説教したいところです。きっとラストに夫婦が見た空には、雲だけじゃなく綺麗な虹がかかっていたんだろうなと思います。でも原題も『浮き雲』なんだけど、『浮雲』は小津の映画じゃなく成瀬巳喜男の作品なんだけどな、まあ細かいことですけど。 【S&S】さん [CS・衛星(字幕)] 7点(2023-06-09 22:59:37)(良:1票) 9.《ネタバレ》 かなり厳しい状況なのに淡々とクールでユーモアもあり、全体的に優しさに溢れていると感じます。 どん底な状況でも人間関係が良いんですよね。仲間、信頼というものが確かにあって、やっぱり人間最後は人柄なのかなと思わされる。 室内の壁の色や配色が独特で、これも悲壮感をあまり感じない要因かもね。 オープニングは黒人がピアノでジャズ弾き語りだったんですが、レストラン閉店時は日本で言ったらムード歌謡曲って感じでして、 まだ小さかった頃の昭和を思い出した(笑)あんなような曲がよくTVから流れてきてたと思う。 あれ、ジャンルで言ったら何になるのかしら、タンゴ?ルンバ? 夫婦の部屋に子どもの写真が飾ってあってイロナが見つめるシーンがあるんですが、てっきり子どもを亡くした夫婦なのかと。ワンちゃんをすごく可愛がってるのもそんな経験があるからなのかと勝手に想像したんですが、あの写真は急死したマッティ・ペロンパーの子供の頃の写真だと鑑賞後に知りました。ラストにもクレジットが出ていましたね。 【envy】さん [CS・衛星(字幕)] 7点(2022-11-10 12:00:11) 8.ハリウッド映画の演出過剰、過激な映画を観慣れていると、この作品のようなあらゆる意味で抑制の効いた”つつましい”映画が新鮮に見えてくる。最小限の科白しかなく、表情は常に無表情、アクションも控えめで、これといった盛り上がりの無い日常を淡々と描く。結論を見せない演出も特徴のひとつ。職場をクビになったり、就職に失敗したり、賭けで負けたりする場面などは最後まで描かれず、次のシーンで結果が暗示される。顔の表情だったり、酒の飲み過ぎで倒れていたりと、笑える仕組み。省略の達人である。無表情キートンのように観客を突き放すのではなく、ほのぼのとした温かみが感じられるのも佳い。独特のセンスがひかります。どのジャンルにも当てはまらないような映画だが、しいて分類すればコメディ。それも大笑いや中笑いではなく、ペーソスの中に温かみのあるクスリ笑い。物悲しさと笑いの同居はチャップリンを彷彿させる。慣れてくると登場人物の飄々としたおとぼけぶりに笑いを禁じ得なくなってくる。味わいがあるんですね。あと意表を突く演出が多いのも特徴。例えば、アル中で包丁を振り回すシェフ。その存在だけでも笑えるのに、彼を取り押させるのに男性が失敗し、女性が殴って取り押さえる。その様子を一切見せない。科白もない。あっという間に何事もなかったかのように収まり、翌日シェフは怪我させた男に治療代を毎度の事のように払う。このシェフが失業してホームレスにまで落ち込むが、アル中更生施設を経て復帰するのも意表を突く。悪徳職業斡旋所で騙されたはずが職が見つかったり、結局そのオーナーがが悪徳経営者だったりと、どこまでもすっとぼけた脚本。これといった盛り上がりがないのに退屈しないのは”意表”の効用でしょう。この映画は監督の人生観や性格が強く反映されている思う。これだけユニークな映画はめったにないから。つつましく、引き籠り系の性格であることは想像がつく。物語は、共に失業して仲たがいした夫婦が絆を取り戻す話と、やむなく廃業したレストランを再開させる話。ハッピ・ーエンドで陽気な音楽がかかっても、あくまでも笑わない夫婦。感情を表に出さない国民性が下地にあると思いますよ。そんなことを考えてしまう奇妙な映画でした。この独特の世界観は癖になるかも。良作です。 【よしのぶ】さん [DVD(字幕)] 7点(2012-09-08 23:04:51)(良:1票) 7.《ネタバレ》 表情の変化が乏しい役が多いカティ・オウティネンにしては変化の多い映画でした。夫婦ともに失業してしまったあと、夫は諦め半分に、妻は精力的に仕事探しをしますが、どこでも何時の時代でも同じだなあと感心しました。相変らず淡々と進みますが気がつくと元気をもらっているような映画です。 【omut】さん [CS・衛星(字幕)] 7点(2008-08-04 19:36:57) 6.普通だったら、失業した夫婦ががんばるというただの退屈な話で終わってしまうような、おおげさな所一切なしの何も面白くなさそうな映画なのに、何かこの監督には独特の雰囲気が魅力的で最後までボーっとみさせられてしまいます。なんなんでしょうかね。不思議です。 【すべから】さん [DVD(字幕)] 7点(2008-03-19 18:28:25) 5.スタイルが先行気味だね! 【k】さん [ビデオ(字幕)] 7点(2005-05-06 00:32:12) 4.アキ・カウリスマキ、この人の映画はサイレント映画のごとき会話が無いのですが、ここまで徹底されると笑えてきます。冒頭のレストランでコックが騒動を起こす場面なんて騒動から解決までずっと会話なしですから。で、会話があっても実に単純。「飲むのに付き合ってくれ」「今日はやめておくわ」「ぜひ付き合ってくれ」「わかったわ」(笑)。「許してくれ」「許せないわ」「帰ってきて欲しい」「帰るわ」(笑)。なんて駆け引きのない会話なんだ。言い訳だとか策略だとかが一切無い会話が心地の良い世界を作り上げています。出来すぎのエンディングはいわばこの監督のこだわりでありスタイルと言えましょう。この独特の“味”を活かして違うスタイルのものも観てみたい気もしますが、一生貫き通してほしかったりもします。 【R&A】さん 7点(2005-02-24 11:34:14) 3.フィン好きでチェックしました。国民性・・・(^^)? なんとも素朴で不思議。2度も見て話はうろ覚えなのに、場面はくっきり焼きついとります。 【ジマイマ】さん 7点(2004-02-03 13:36:38) 2.ラストが良くてスッキリするいい作品だと思いました。オープニングの黒人の人の歌を聞いてて「ひょっとするとこの作品はおもしろいかも!」と思い期待してみました。すると前半は旦那と奥さんの不幸の連続でしたねえ。≪旦那はトランプで解雇通告されるし・・・そんなのいいの?≫そして、あげくの果てに旦那は妻の給料のために戦うも逆にボコボコにされる(顔半分見てたら、笑っちゃいました。)し・・・しかし後半の出来は良かった。やつれた38歳の奥さんの顔も前半よりは少しきれいに見えました。再出発となるレストランの方もだんだん客の入らない店から予約の入るほどの店になっていって私は「ホッ」としました。ハッピーエンドで本当に良かった(前半のまま終わってたら泣くでしょう!)まあ映画だからいいけど実際あんな上手くいくもんじゃないと思います。 【ピルグリム】さん 7点(2003-06-20 16:09:19) 1.登場人物は皆そっけない感じなのに、なぜかほのぼのして、優しい気持になれます。さりげなく、とぼけた笑いもあって面白い。それに、どこか日本的な、悲哀、人情のようなものも感じられました。 【クロマス】さん 7点(2002-12-11 23:08:23)
【点数情報】
【その他点数情報】
|
Copyright(C) 1997-2024 JTNEWS