みんなのシネマレビュー |
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ネタバレは禁止していませんので 未見の方は注意です! 【クチコミ・感想(7点検索)】
2.《ネタバレ》 イギリスに属するチャネル諸島のガーンジー島に関わる物語である。第二次大戦ではドイツ軍に占領されたとのことで、ノルマンディーのすぐ近くにも関わらず、連合軍が反攻に転じてからも占領されたままで大変な思いをしたらしい。 原作は読んでいないが映画で見る限り、島の読書会に関わることでなぜか住民が語りたがらない昔の事件があり、主人公がその真相を探っていくミステリー調の展開である。そこにラブストーリーが絡んで来て最後はちゃんとハッピーエンドになる。戦争関連の場面はあるがそれほど過激でもなく、安心して見られる穏やかな映画である。 ユーモラスなところもあり、序盤で出ていた前世と来世の話は、イギリス人もこういう発想をするわけかと笑った。また「あなたの心に住む人」というのも、登場人物の性格付けのためだろうが突拍子もない発言で失笑した。 ちなみにこの島は本来フランス語に近い言葉のはずで、そのことに触れた箇所が若干あったようだが(Bonne nuitに近い言葉)、この点について何らかの考え方なり立場なりがあったのかどうかはわからなかった。 物語の中心になるのは題名のとおり読書会だったらしい。一般論として、一人だけで孤立して考えるのでなく、多くの人々の考えを重ね合わせることで物事の本質が見えて来るということがあるはずで、それが文学なら読書会の場ということになるが、主人公が劇中でやっていたことを見れば、この物語自体が読書会のようなものだったとも取れる。 またラブストーリーに関しては、男連中の顔を見るだけでも結果が予想できる気はするわけだが、本当にその通りになってしまったのは出来すぎである。しかし島の読書会が作家の創造力の源泉になり、ここに住むこと自体が創作活動を支えることになったのならこの結末も正当化されなくはない。実際にフランスの文豪ヴィクトル・ユーゴーがこの島に15年間滞在したことがあるとのことで、それを背景にした物語だったようである。 ちなみに聖書が「愛の書」であるのに、「裁きと悪意」しか読み取らない者がいることを嘆く台詞があったが、これは聖書限定のことではない(映画も)だろうから自戒が必要である。逆にそういうのも自分の考えをまとめるためには反面教師的に役に立つといえなくもない。 登場人物はそれぞれ個性的で、自分としては編集者の男の立場も気になったが、そのほか酒を売っていた女の実像に意外性があって面白かった。一緒の布団で寝たところではもう主人公の親友になっていたようで、養豚業の男とその養女は別にして、主人公が島に住むのを最大級に歓迎したのがこの人物だったのではないか。主演女優はあまり好みの顔ではないが人物像としては悪くなかった。 【かっぱ堰】さん [DVD(字幕)] 7点(2020-05-09 09:29:01)(良:1票) 1.《ネタバレ》 戦争時代のミステリーと思ってみていましたが、全く違う映画でした。 大切なのは"筋"ストーリではなく、主人公ジュネリエットの意識の流れ。 彼女がこの物語を紐解く中で、この時代の価値観の違い・違和感に気が付いていきます。 そして行方不明のエネリザべス生き方からから、自立していく、女性像を獲得していきます。 戦時中の従属的な女性像から、自立していく女性へと意識は流れていく。 この島に来たからではなく、どこにいても彼女は、そうなっていったろうし。 モノを書くということで、亡くなった人たちへの鎮魂に身をささげる決意をします。 彼女の両親も戦争で亡くなっているので。 フィアンセとも幸せになれないと悟る。時代の価値観が違うことに気づきます。 だからドーシーからプロボースも、途中から自分から切り出します。 自分の居場所は、自分の意志で決める。彼女の意志の表れなのでしょう。 島なの景色がたいへん落ち着いていて綺麗 脇を固める俳優たちも魅力的でいい映画でした。 【シロツグ】さん [インターネット(字幕)] 7点(2021-04-23 23:03:16)
【点数情報】
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