みんなのシネマレビュー

天空の草原のナンサ

THE CAVE OF THE YELLOW DOG
(Die Höhle des gelben Hundes)
2005年【独】 上映時間:93分
ドラマドキュメンタリーファミリー動物もの
[テンクウノソウゲンノナンサ]
新規登録(2006-06-22)【にゃ~】さん
タイトル情報更新(2006-10-09)【rothschild】さん
公開開始日(2005-12-23)


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監督ビャンバスレン・ダバー
脚本ビャンバスレン・ダバー
配給東芝エンタテインメント
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【クチコミ・感想(7点検索)】

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7.《ネタバレ》 モンゴル高原は標高が1000mもあるのに広大な空間が広がる。大地は満目緑に覆われ、空は無辺に開き雲は自在に変化する。まさに癒しの空間だ。そこで自然と共に暮らしてきた人達はどんな人達だろうか、暮そのらしぶりはどうか、そこに住んでみたい、想像や想いが次々とふくらんでくる。あたかも画面から爽やかな風が流れてくるような映画だ。
物語は民話「黄色い犬の洞穴」になぞらえるように進む。民話曰く。『長者の娘が重い病気になる。父が賢者に相談すると飼い犬を追放せよとの託宣。犬を洞穴に閉じ込めると、娘は快復した。実は娘に通う青年がいたが、犬が妨げとなっていたのだ。やがて二人は結婚し、子を授かる。子は犬の生まれ変わりという』主人公は寄宿学校から帰省した”高原の少女”ナンサ。洞穴から犬を見つけて連れ来るが、父から捨てるように命じられる。野犬が狼を呼ぶのを恐れてのことだ。少女は犬を隠す。あるとき犬を追って道に迷い、よそのゲルに泊めてもらったが、そこの老婆から黄色い犬の民話と輪廻転生の話を聞く。帰った少女は妹に過去世の記憶があると信じる。季節が移り、一家は引越すが、犬は杭につないで置き去りにする。移動途中で長男がいないことに気付く。父親が慌てて戻ってみると、犬は長男をハゲワシから守ってくれていた。こうして犬は家族として迎えられた。ここで冒頭場面に戻る。犬を丘に埋葬する父と娘。来世で人間に生まれるように願い、尻尾を頭に置く。そこには悲しみは無く、脈々と続く命と魂の営みがある
民話と輪廻転生思想は、モンゴルの古き伝統の象徴で、それが21世紀の少女にも受け継がれてゆく様子を詩情豊かに描く。作為を感じさせない演出と、子供達の自然な演技は賞賛に値する。文明社会の象徴たる選挙カーと引越しの家族が交錯するラストが印象的だ。未来の伝統の衰退を暗示している。
遊牧民の暮らしぶりが興味深い。チベット仏教の信仰。五人家族で、牛6頭、馬2頭、羊250頭も飼う。羊の種類の多さ。牛糞での積木遊び。6歳児が乗馬して放牧の手伝い。丹精込めたチーズ作り。手回しミシン!器用でないと使えなさそう。風力発電。野菜のない食事。近くに水辺があるので野菜は作れると思うが、事情が許さないのだろう。鑑賞後、この緑濃き高原も冬には酷寒の大地に変貌することを想像した。厳しい自然に堪えてこそ、伝統が守れるのだ。 よしのぶさん [DVD(字幕)] 7点(2013-06-17 15:56:59)

6.モンゴルの草原に生きるある遊牧民の家族の日々の営みを、彼ら(特に子ども達!)に気付かれず隠れて撮影しているかのごとく自然な表情をとらえていく。

昔から変わらぬ生活のようで、お父さんが町へ毛皮を売りに行く手段はバイクだったりする。お土産は鳴き声をあげながら自動で歩く犬のおもちゃ。広大な土地を移動しながら自然と共に生きる彼らですら、国政の選挙区に組み込まれてしまっている現状。作中にそんな昔ながらの生活をおくる人々が町へ出て行き、遊牧の民が確実に減少していることが感じられる台詞もありました。

ゆったりとした時の流れの中で生きる彼らも、実は急速に移り変わる現代の時の流れの中にいることを感じさせられますが、自然と共に暮らす人々への敬意が感じられるいい映画でした。 とらやさん [CS・衛星(字幕)] 7点(2012-01-30 21:53:45)(良:1票)

5.《ネタバレ》 ビャンバスレン・ダバーが「らくだの涙」と同じモンゴル遊牧民を描いてより映画的、空の青と草原の緑が美しいコントラスト。 影の主役はナンサや妹より末っ子弟クンか、巧まざる仕草が笑みを誘う。 厳しい遊牧の暮らし、迷い犬のツォーホルもかわいいというだけでは飼ってもらえない。 定住しない彼らの家ゲルの解体は手間のかかる大変な作業でも、彼らには日常的な儀式なのだろう。ドキュメンタリータッチの中に最後はドラマ仕立て。 猛禽の群れに歩みよる弟は、望遠の圧縮効果による見た目より距離があるはずだが、一瞬ヒヤッとさせるのが淡々と進む作品のスパイスに。 定住化が進み遊牧民たちはいずれ時の流れに静かに姿を消していくのが予想されつつ、今を生きる彼らをいとおしむような視線。 レインさん [CS・衛星(字幕)] 7点(2011-08-02 06:59:59)(良:1票)

4.どうやら本物の遊牧民の一家を使って、ネオレアレズモのように撮影したよう。子どもたちだけのシーンなど記録映画風でそれは分かるんだけど、ちゃんとストーリー展開にも子どもは関与していて、そこらへんの自然さに驚かされた。本物のお父さんやお母さんと一緒だから緊張しないでいられるんだろうけど、いわゆる子役の臭みはまったくなく、記録のようでいていつのまにか民話風世界に滑り込んでいる。映画における理想的な演技がここにはある。羊の糞を背中の籠に「入れられない」演技などは、指導したのかたまたまなのか。風景が美しく、いわゆる「映像詩」ものになってしまいそうなところを、彼らの生活の描写が太い芯になっていて手応えを作っている。チーズを作りながら「反らした掌の指の付け根のところは噛めないでしょ」と諭すシーンやゲル解体シーンなどいい(観ながら真似をして噛もうと試みたが張った皮膚の上を歯が滑って出来ない)。犬が物語に絡んできて、それは捨てられた牧羊犬らしい。牧畜業の衰退が低音でずっと響いており、その犬を番犬とする定住生活も出来ないところに、時代のきしみが聞こえてくる。選挙公報の車は、遊牧民に定住を促す声でもあろう。そして全体が、時代のきしみ音を立てながら、老婆の語る「犬の恩返しもの」の民話の世界に溶け込んでいくような作りになっていて、きれいにまとまった。 なんのかんのさん [CS・衛星(字幕)] 7点(2011-07-05 09:21:10)(良:1票)

3.「素朴な暮らしの中での、動物と少女のふれあい」ってのはちょっとズルイ気もするけど・・・ナンサの真っ赤なほっぺと、大地の緑と、空の青さが印象的。 ぐるぐるさん [DVD(字幕)] 7点(2006-12-22 19:25:25)

2.どこまでも広がる大草原を元気いっぱいに駆け回る少女ナンサの姿がとにかく印象的だった。タイトルの通り、”天空の草原”というにふさわしい大自然の美しさにも圧倒されました。これは一体どこまでがフィクションなんだろうか?と思ってしまうくらい遊牧民の一家の様子が自然に映し出されていた。子供たちの演技も演技とは思えないほど自然でカメラなんて存在しないかのようだった。入り組んだストーリー展開や事件なども起こらないが、終始ほのぼのとした雰囲気に心を癒されました。 ヴレアさん [映画館(字幕)] 7点(2006-10-29 20:51:42)

1.モンゴルの草原の広大さ。
そこに住む人々の力強さ、素朴さが素晴らしい。
あんなに小さいころから、生きることの厳しさを知っています。
ナンサも頑張る、妹も弟も。

監督さんはまだ若いので、素材の良さだけに頼らない映画ならではの作りを次回作では期待したいです。
たんぽぽさん [映画館(字幕)] 7点(2006-06-22 18:36:13)

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【点数情報】

Review人数 15人
平均点数 6.47点
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300.00% line
400.00% line
5213.33% line
6533.33% line
7746.67% line
816.67% line
900.00% line
1000.00% line

【その他点数情報】

No名前平均Review数
1 邦題マッチング評価 6.00点 Review1人
2 ストーリー評価 8.00点 Review1人
3 鑑賞後の後味 8.00点 Review1人
4 音楽評価 8.00点 Review1人
5 感泣評価 8.00点 Review1人

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