みんなのシネマレビュー |
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ネタバレは禁止していませんので 未見の方は注意です! 【クチコミ・感想(7点検索)】
2.《ネタバレ》 主人公があまりに変人で見ているだけで恥ずかしい。ネコの姿を見逃さないのはいいとして、境界線が入り組んだ古い街で私道だか住宅敷地だかわからないところまで平気で入っていくのが尋常でない。自分ならせいぜい道端にいたときに「ニャン」とか「ネコ」とか声をかけて(人がいない場合)目で追う程度なのでここまで変ではない。 場所はエンドクレジットに出ていた「谷根千」を中心にして北は西日暮里、南は不忍池あたりまでだったようで、そのうち谷中は由緒ある“猫の街”らしい。何気なく古木とか「諏訪台」などちょっとした名所も出ており、風景に変化があって由緒もあるこんな所に住んでみたいものだと思ったがそんな機会は当然ない。なおジャズピアニスト関連の「猫返し神社」というのは本来別の場所のことらしい(東京都立川市)。 またその辺に生息する普通のネコ連中には和まされた。人とのからみでは、主人公とネコが並んでカメラを見ているとか、気まずい雰囲気の中で古書店の妻が延々とネコをじゃらしている場面は笑った。役者がネコの動きに合わせて適当にアドリブしていたのだろうと思われる。 物語に関してはよくわからなかったが、主人公が元彼の件で落ち込む一方で、これからは新米ストーカーが狙った相手に近づこうと試行錯誤する過程が続くのかと思った。古書店の夫婦もこの機会に仕切り直しをしたのだろうし(多分)、誰にでもある「知らない時間」を許容しながら緩い関係を続けるのがいいのだとも取れる。 ただし宣伝文句の「人も猫もみんないつかはいなくなってしまうから」によると、古書店の看板猫と同じように、ネコも人もみな基本的には通りすがりの関係であって永続するものなどないということなのか。それだとネコはともかく人にとっては寂しい世界観になってしまうが、とりあえず手を触れることのできる今この瞬間が大事ということはあるかも知れない。 終盤、街の風景をイラストに置き換えて、至る所にネコを内包した街が表現されていたのも嫌いでない。よくわからないのはともかくとして、あるがままのネコを愛でる気持ちには共感した。 なおこれが現代の話だとすると、失踪して困るなら初めから外に出すなとか、公園での餌付けは非常識だとか非難されそうだ。製作時点の感覚も今とそれほど差はなかったのではと思うが、今後はこういう映画も作りにくくなるのではと思われる。 【かっぱ堰】さん [DVD(邦画)] 7点(2019-05-18 09:57:28) 1.私自身、猫ストーカーなところがあるので、とうてい客観的な評価は出来ない。ただ猫のいる世界の空気を実に的確に捉えているなあ、と感嘆するばかり。猫がいると風景が変わるんですな。具体的には視点が下がる、なにかこちらも隠れた場所から世界を見ているような緊張した気分になる、そして外界の音が猫のためのBGMのように思われてくる。主観的にしか断定出来ないけれど、この映画での町の音にはすごくその感じがあった。遠くで聞こえる子どもの声や何かの機械音などが、猫が存在する効果を上げるために鳴らされているように思われてくる。というか、猫と自分が世界から隠れているのを糊塗するために「普段」を装って奏でられているように思われてくる。だから、振り返ると塀の上でベターッと猫が寝ている、なんてシーンが実に嬉しい。あれが猫の味わい、共犯の味。それと秘伝の伝授によって、猫にタッチするにはときどき目をそらさないといけないことを教わった。つい見つめて逃げられてしまっていたのだ。ためになった。観終わってから、この監督、オムニバス映画『コワイ女』で一番面白かった「鋼」の人と知った。こりゃ覚えておいたほうがいい名前だ。揺れていたリンゴがピタッと止まる正確さ、ヒロインの顔のアップが挿入される的確さ、など猫がいないシーンも悪くない。 【なんのかんの】さん [DVD(邦画)] 7点(2010-03-25 12:03:02)
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