みんなのシネマレビュー |
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ネタバレは禁止していませんので 未見の方は注意です! 【クチコミ・感想(7点検索)】
3.《ネタバレ》 周防正行監督が自ら脚本を担当していない初の映画だが、サイレント映画の活弁がテーマというのはいかにも周防監督らしい着眼点で、先人たちへの敬意や愛情も感じられて、周防監督の映画愛に溢れた作品になっていて面白かった。また、全体的にもサイレント映画を意識している部分が多く、タンスの押し引きや床を踏み破るギャグ、そして捕らわれた梅子(黒島結菜)を俊太郎(成田陵)が救いに来たシーンやクライマックスのドタバタ劇にそれが感じられ、微笑ましい。それにストーリー面でもどことなくチャップリンの映画を思わせるものがあるなど、なかなか徹底している。周防監督は本作を通して弁士という存在と魅力を伝えたかったようだが、俊太郎の弁士としての成長を通してそれはじゅうぶんに伝わってくるし、活弁付きのサイレント映画はBS放送のテレビでいくつか見た事があるものの、改めて生の活弁を体験してみたいなと思った。それに、舞台となる大正時代の映画館のレトロさにも惹かれるものがあった。弁士という職業はトーキー映画の登場によって急速に衰退していくわけだが、その事について山岡(永瀬正敏)が屋台で酒を飲みながら語るシーンはスター弁士だった彼がなぜ落ちぶれてしまったかを想像できるし、トーキー映画の登場によって失業した弁士たちのその後の人生にも思いを馳せることができ、とても印象に残る。俊太郎ら弁士役の喋りは見ていて違和感がなく、普通に上手いと感じられるものだった。劇中に流れるサイレント映画は既存のものではなく、オリジナルのものも含めて全て撮りおろしというのもこだわりを感じる。そのうえでラストにバンツマの「雄呂血」を絡ませてエンドロールのバックでは実際の「雄呂血」の映像を流すというのも粋だった。配役に関しては以前も別作品で書いたかもしれないが周防作品に竹中直人や渡辺えりなどいつもの面々が出ていると安心感があるし、井上真央が悪役的存在を演じているのも新鮮。現在の朝ドラを見ているのでサイレント映画の登場人物役として上白石萌音と城田優が出ているのに思わずニヤリとしてしまった。(黒島結菜は次の朝ドラの主演だし、井上真央と一緒のシーンは新旧朝ドラヒロインの共演になってるなぁ。)それにしても、時代劇の撮影シーンや、登場するサイレント映画に時代劇もあるのを見ると、周防監督にはいつか時代劇映画を作ってほしいという思わずにはいられない。 【イニシャルK】さん [DVD(邦画)] 7点(2022-01-31 22:46:42)(良:1票) 2.《ネタバレ》 おそらく「舞妓はレディ」で、日本の映画職人のハートを掴んだんだろうね。 この映画は、映画職人の力なくしてはできない。 後半のドタバタは、007のような映画に慣れてる向きには冗漫と映るかもしれないが、 映画愛に満ちたシーンと捉えれば、微笑みすら出てくる。 実際、日本の昔の活劇は(語るにはまだあまり観てないが)、長いことドタバタが展開する。 そして、敵との攻防も押したり引いたりの繰り返しである。 さらには、絶体絶命の場面が次々続くとこもそう。 昔の映画へのノスタルジーだけでは、ここまでは引っ張れない。 そこを弁士として売れるまでの苦労など人生譚を重ねることで、 あの時代に引っ張り込まれる。 周防さん、ナイスジョブ! 【トント】さん [DVD(邦画)] 7点(2020-09-12 23:18:42) 1.《ネタバレ》 大正期の無声映画を題材にしてますが、名も無き映画の先達たちへの愛情にあふれています。流石に手練の周防監督、なんとなく観に行ったのですが最後まで楽しめ、ロケや美術に手間もかかってるのか映像も暖かい色調で綺麗で、観た後の気分も良かったです。 配役もいつもの周防組はじめ豪華ですが、井上真央、高良健吾が珍しくちょっと悪役。あと監督夫人を無声映画の椿姫に使ったり、竹中直人の映画館名がシコふんじゃったの役名に引っ掛けた青木館だったりの遊びも楽しいです。また、活弁を真似する主人公の子役時代の子の口跡がなかなかいい声で印象的でした。 【クリプトポネ】さん [映画館(邦画)] 7点(2020-01-11 22:00:03)
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