みんなのシネマレビュー |
|
|
|
ネタバレは禁止していませんので 未見の方は注意です! 【クチコミ・感想(7点検索)】
5.都会からある山村に取材にやってきた主人公の男。ひたすらあるおばあさんの死を待つのみ。 しかし何も起こらない。 都会からやってきた男と村人、大人と子ども、男と女、姿が見えない声だけの登場人物・・・。 なかなか噛み合わない会話が延々と続く。しかし、何とも言えない可笑しさや味わいがある。 主人公の男にとっては居心地がよくないのであろうが、見る者にとっては不思議な居心地の良さがある。 音楽も全く使われていませんが、意識的に挿入されている鳥のさえずりや家畜の鳴き声、風の音が耳に心地いい。 都会の人間から見れば不便も多いであろう、村に暮らす女は「この村には電話なんて必要ないのさ」と言う。 一方で便利なはずの携帯電話を持つ都会からやってきた主人公の男が携帯に振り回されている様は何とも滑稽に映る。 仕事でプレッシャーをかけられている男と風が吹くままに日々を生きる村人の対比はコミカルでもある。 ラストで黄金色に輝く麦畑を行く医者の男が語る死生観と、その美しい風景が印象的。 「天国は美しい所だと言うが、あの世から戻った者がいないのにどうして分かる?響きがいい約束より目の前のぶどう酒の方が美しい。」 返す言葉もありません。これぞ「風が吹くまま」ということか。簡単なようで今を生きる人間にとって、何と難しいことだろう。 【とらや】さん [DVD(字幕)] 7点(2019-05-25 21:09:56) 4.《ネタバレ》 キアロスタミの映画には、観るコツがある。 何かありそうだけど、何もない場合が多い、とリラックスして観ること。 そうすると、彼の映画のなかの会話やちょっとしたことに、クスリと笑える余裕が出てくる。 この映画では、少年と大人の友情や、顔を見せぬ少女や生き埋めになった事故など。 田舎の刺激感覚で見ると、これらもまた楽しい。 都会の次々消費される刺激の中で、これらの牧歌的な刺激もまた新鮮だ。 そして会話の豊かさ。 ビジネス的な要素の一切ない会話の豊潤さ。 そこにキアロスタミの醍醐味を僕は感じてる。 【トント】さん [DVD(字幕)] 7点(2019-01-19 15:46:12) 3.《ネタバレ》 例によってクネクネと道を行く車。子どもに導かれて近道の斜面をのぼると、またそこが上下左右がクネクネの迷路のような住まい。でもこれら迷路のようだけど、迷いこんだという感じはなく、言ってみれば豊かなヒダのよう。この風景というか風物というか空間が、映画のツボだ。ヒダのある豊かさ。丘の上が唯一外界と通じるケータイの聞こえる場所で、それが墓場の中でもある。死の近い老婆がいるが、あっさりとした出産もあり(すぐ洗濯物を干している)、猥談もかわされるし、顔は見せぬが若い恋人同士もいる。人生のさまざまな姿がヒダのように重なっている。死を待っていた主人公が、丘の上で人を救うことになり、その医者を老婆のもとに連れていく展開。天国のように美しい麦畑が映画を包み込んでいる。 【なんのかんの】さん [映画館(字幕)] 7点(2008-10-20 10:02:00) 2.《ネタバレ》 白い壁の村、山なのか道なのか、屋根なのか道なのか、地形を利用した集落は自然との共存の象徴のような気がする。そこへ訪れる文明人。自動車はオーバーヒート。携帯電話は繋がらない。訪れた理由は風変わりな伝統を持つという葬式の撮影。しかし死ぬはずのおばあさんがいつまで待っても死なない。そもそも「死ぬはず」と考えること自体が摂理に反する。「死」はいつ来るというものではなく、いつのまにかやってくるもの。「生」もまたいつのまにかやってくる。隣家の奥さんがいつのまにやら赤ちゃんを産んで次の日から働いている。「生」も「死」も風の吹くまま訪れる。撮影打ち切りの報を聞き、拘束から開放された主人公がようやく「生」を愛しみ「死」を慈しむ。その穏やかな感情こそが風の吹くままに訪れる「生」と「死」を受け入れるということ。医者のバイクに乗せてもらい美しい地球を疾走する姿、このシーンに生きる喜びが凝縮されている。 【R&A】さん [ビデオ(字幕)] 7点(2006-12-01 16:33:08) 1.眠る要素はかなりありますが、けっこう好きです。電話が鳴るたび高台まで行く主人公、これの繰り返しばかりなんですけどなんかおもしろかった。いろんな人が声だけで姿が登場しないってのも眠くなるかもしれないが、印象的でおもしろかった。あとは亀。ひっくり返っても自力で戻れるんですね。 【バカ王子】さん 7点(2004-03-13 21:19:38)
【点数情報】
【その他点数情報】
|
Copyright(C) 1997-2024 JTNEWS