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ネタバレは禁止していませんので 未見の方は注意です! 【クチコミ・感想(7点検索)】
7.本作『河内山宗俊』は、夭折の天才監督、山中貞雄の現存する数少ない作品の一つである。 他の現存する2作品である『丹下左膳餘話 百萬兩の壺』と『人情紙風船』は鑑賞済み。 したがって、現存する山中貞雄作品はこれで全て見たことになった。 本作『河内山宗俊』は、『丹下左膳餘話 百萬兩の壺』や『人情紙風船』の2作品と比べると、少し知名度や一般的評価が低い気がする。 そんな中、最後に見たので、それほど期待していなかった。 しかし、なんと、山中貞雄作品の中では、個人的に一番のお気に入りとなった。 かなりの傑作である。 本作のメインキャストとして、河原崎長十郎と中村翫右衛門の二人が出てくる。 この二人は『人情紙風船』や、溝口健二の『宮本武蔵』と『元禄忠臣蔵』でもコンビを組んでいた。 そんな中で、本作における二人は最も魅力的だった。 二人とも最高の俳優である。 まずは河原崎長十郎。 冒頭での将棋シーン。 最初はお茶らけている河原崎長十郎。 しかし、最後に真顔で凄んでみせる。 この時の迫力にゾクゾクした。 そして中村翫右衛門。 相変わらずのひょうひょうとした自然な演技。 素晴らしく魅力的だ。 ラスト近く、口にくわえた爪楊枝を捨て、原節子演じる娘を救うため、立ち上がる。 この時の男意気。 しびれるねぇ・・・ 本作には、小津安二郎作品でお馴染みのミューズ、原節子がヒロイン役で出演している。 ちなみに本作は、原節子の最も若い頃を見ることのできる貴重な作品らしい。 小津作品に出まくっている頃の原節子と比べると、当たり前だが大分若く、純情可憐な感じ。 小津作品では比較的大柄に感じられる彼女だが、本作では小さく見えた。 この時、彼女は15歳だったらしいが、二人の男を振り回す魅惑的な少女として、十分に存在感を発揮していた。 先にも書いたが、本作における河原崎長十郎と中村翫右衛門の二人の掛け合いは、絶妙で素晴らしい。 そして全編に渡って「男意気とは何たるか」を堪能できる素晴らしく良くできた傑作である。 山中作品はどれも素晴らしいが、私は特に本作『河内山宗俊』を高く評価したい。 82分という短い尺の中に凝縮された、いつの時代にも共通する「男の生き様の何たるか」を堪能できる作品である。 【にじばぶ】さん [DVD(字幕)] 7点(2024-08-03 12:50:13)(良:1票) 6.原節子の魅力の片鱗が見えるというだけでも価値ある映画だけど、物語も面白ければ演出も良し、役者の演技はいわずもがな。キャラクターの設定も魅力的で、さすが山中貞雄だな、といった感じ。ハラハラする場面をあえて見せない演出にはやきもきさせられて、妄想がはかどります。 【カニばさみ】さん [DVD(邦画)] 7点(2016-05-24 08:28:16) 5.映像はなんとか我慢できるも、音声レベルが聞くに堪えないほど酷く、セリフを想像しながらの鑑賞にとても疲れる。先日鑑賞した同じ製作年の仏映画の映像・音声とは雲泥の差(デジタルリマスター版だから当然か)。歌舞伎が元になっているそうで、説得力の乏しい展開も話は面白く、喜劇的な演出とベテラン役者3人(主人公と古女房、ヤクザの用心棒)の上手さが違和感を抱かせない。16歳の原節子は初々しい稚拙さを醸し出しているが、つたない弟役との姉弟コンビの異質な演技はご愛嬌。 【ProPace】さん [CS・衛星(邦画)] 7点(2015-07-23 21:01:54) 4.《ネタバレ》 「思いやり、やさしさ」が主題だと思う。 お浪は、やくざ社会に足を踏み入れかけている弟、広太郎のことを案じてやまない。 将棋詐欺の場面で、広太郎が宗俊に思いやりの言葉をかけたことで、二人は親密になる。 お浪が怪我をしたとき、宗俊と浪人金子は、共にお浪を思いやっていることに気づき、急速に昵懇となる。 宗俊も金子も聖人、君主の類ではなく、好きなように生きてきて、時には悪事も働き、清濁あわせ持つ人物で、可哀相な小娘、お浪のために命を張ることも厭わないやさしさを持っている。よき死に場所を得たことで、却って本望だろう。 宗俊の女房は悋気を起こし、我知らずお浪を窮地に追いやってしまうが、宗俊の危機には身を挺しても守ろうとする。 宗俊もそれに応える。夫婦愛の完成である。 監督は美的感覚が優れている。お浪が身売りを決心する場面の構図は見事に決まっており、雪の中を出ていく場面は美しい。 監督の特徴である無駄のないショットの繋ぎは、そのような美的感覚があればこそだろう。圧巻は、掘割での対決場面だ。奥行きを見せる縦の構図から疾走感を見せる横の構図へと繋ぎ、最後は地平線へ駈ける縦の構図で終る。水の使い方もうまい。乱闘の水飛沫、迸る落ち水、躍動感を盛り上げている。入水場面での月影を映す水、月影の砕ける波紋も印象的だ。 難点は、弟広太郎の人物像が描かれていないことだ。優しい姉がいるのに、どうしてグレたのか。幼馴染の遊女と心中を決心する場面で、「どうせ生きてたってしょうのねえおれだ」と吐き捨てるが、その心情が伝わってこない。同年代の少年は丁稚奉公などで働いている筈である。普通は、遊女に売られることが不幸なのであって、身請けされるのは喜ばしいことだが、この遊女はどうして死を賭して、脱走までしたのか。そこに至る過程が描かれていないので唐突感が残る。省略の美はよしとしても、省略し過ぎでは、余韻に浸ることはできない。よしや、広太郎が無事お浪を助け出したとして、広太郎は親分殺しの御尋ね者である。二人でまともに暮らすことはできないだろう。蛇足だが、遊女の身売り金は多くて五十両くらいであり、三百両はべらぼうに高い。身売り金と身請け金が引き合うわけはないのである。 【よしのぶ】さん [DVD(邦画)] 7点(2013-06-04 23:28:47) 3.《ネタバレ》 天才と聞いて真っ先に思い浮かぶ映画監督が山中貞雄だ。なにしろあの若さで傑作を少なくとも三本、軽々と作ってしまったのだから。軽々、とは言ったものの山中監督の苦労と努力を疑いはしない。しかし三本の傑作を幾度も見返すにつれて、この怒涛の面白さは監督の持つ天性の演出能力によるものとしか思えないのだ。そしてこの河内山宗俊は、霧状の感情を映像の枠内に封じ込めてしまう山中の才能が抜群に発揮された作品だ。それが顕著に見て取れるのがあの有名な雪の降るシーンだ。まずなよなよと項垂れて座り込む少年(弟)が手前に、ふすまを超えて奥の部屋の縁側近く姉が立ったまま障子にもたれていて、さらにその奥で雪がちらついている。この絶妙な人物の配置と奥行きを感じさせる構図。弟のアップ、全体を写すショット、姉のアップと続く一連の流れは極上の映像体験である。映像以外のところでは中村翫右衛門の斜に構えながらも笑いを誘う演技に魅かれた。「ただなんとなく生きておりますから、御安心ください」このセリフとあの淡々とした口調に笑みがこぼれた。幸せな気分になった。 【吉田善作】さん [DVD(字幕)] 7点(2012-12-06 21:57:32) 2.《ネタバレ》 お~と~こだった~ら~♪と思わず口ずさんでしまいそうになるほど、河内山宗俊の、あまりにも渋い侠ぶりには、ただただひれ伏すしかありません。他のレビュワーさん方が挙げていらっしゃるとおり、名シーンばかりで、恐ろしいくらいです。 ただし、僕は断然「丹下左膳」派ですね。なぜなら、これはとんでもない悲劇だから。個人的にこういうコミカルな話が暗転していくのは非常に苦手です。「何でそうなるの!?」という話の展開があまりにも悲しく、観終わった後、憮然としてしまいました。。。 最後に。原節子、めっちゃかわいいですね。 【枕流】さん [DVD(邦画)] 7点(2010-06-19 18:20:25) 1.《ネタバレ》 基本的に、私はヤクザとかマフィアが嫌いなので、その手の映画はまず見ません。そのためか、これを見ている間違和感というか、何とはなしに居心地の悪さを感じておりました。結果、それほどいい印象は持っておりません。もちろん、映像はいいし小柄や爪楊枝などの小道具の使い方もうまい。手を貸した姉弟が坂を転がるように落ちていくものの、最後まで助けてやるのだという男気も魅力的です。が、それでもやはり高くは評価できません。それに、どうもカットされた場面があるようで、あの二人がなぜ心中しなければいけないのか、まったくわかりません。これは録音のせいで聞き漏らしたのではないと思います。そんなこともあって、まあ普通の点数。 【アングロファイル】さん [CS・衛星(邦画)] 7点(2009-11-23 22:09:11)
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