みんなのシネマレビュー |
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ネタバレは禁止していませんので 未見の方は注意です! 【クチコミ・感想(7点検索)】
16.《ネタバレ》 実話とは言え、重い、すごく重たい話しで、まるでエミール・ゾラの『ルーゴン・マッカール叢書』の中の一編を映画化したような感すらあります。19歳だったイザベル・アジャーニの初主演作であり、彼女の登場は全世界に衝撃を与えたと言っても過言ではないだろう。構想自体はトリュフォーがずっと温めていた企画で、TV出演していたアジャーニを観てすかさずアデル役に抜擢して一気に脚本を書きあげたとか。ほんとにこの人は女優を発掘する天才です。 トリュフォー作品にしては珍しい時代劇、いわば歴史劇的な作品であり、彼のロマン主義的な指向が伺えます。一人の人間がある人物を執拗に追っかけまわすというプロットは、例えは悪いかもしれないがリドリー・スコットの『デュエリスト/決闘者』に通じるものがあります。もちろん本作は男女の恋愛関係のお話しですけど、物語ではアデルが追い回すイケメン軍人とは彼女の一方的な片思いで、ビンソン中尉の眼からはアデルはとっくに恋愛対象じゃなくて、もはや恋愛関係とは言い難くなっている。そういう意味では『デュエリスト/決闘者』と同じように二人は修羅場という決闘を延々と続けていたという事も出来るでしょう。とにかくイザベル・アジャーニの鬼気迫る演技を見ているとまるでソフトな心理ホラーで、とてもじゃないけど『恋の物語』とは呼べません。アデルはやってることは滅茶苦茶でとても感情移入できる代物じゃなかったが、さすがにラスト近くになると可哀そうになってきます。これもイザベル・アジャーニの熱演の賜物でしょうね。 そう言えば前半で夜会にアデルが潜り込んでビンソンと人違いする将校、どう見てもトリュフォーのカメオ出演でしたね。これもヒッチコックへのオマージュなのかな。 【S&S】さん [CS・衛星(字幕)] 7点(2024-07-09 23:33:15) 15.《ネタバレ》 この映画を見終わって、日本には“馬鹿息子”って言葉があるけど“馬鹿娘”って言わないよなぁとか、しょーもない事を考えてしまった。 さて、この原作や映画は当時のフランスではどういった評価だったのだろう。 美しい一つの愛の物語として受け止められたのか、狂気の女として恐れられたのか、あるいは揶揄されたのか、気になるところです。 映画でいえば、ヒロイン役のイザベル・アジャーニの演技が素晴らしく、下宿先の女主人からピンソン中尉が来たことを聞いて慌ただしく身なりを整えるところからの流れが特に良く、夜の墓場に出て自身の気持ちを訴えるシーンなど、彼女の鬼気迫る演技には魅了され尽くしてしまいました。 また、何度も舞台となった銀行、下宿、本屋などの内装の美術面でも目を見張るものがあり、上記のシーンなども含めた照明やカメラなどのスタッフワークも充実しているのが伺えます。 主人公アデルは、我が道を行くといえば聞こえは良いが、やる事なす事すべてが常軌を逸した激情的女性。 男装して夜会に潜入し、親をも欺き、催眠術をたくらみ、ピンソンの相手の親から金を巻き上げ、男を振り向かせようとする。 終盤にかけては、一張羅のドレスもズタズタになるほどに他のすべてを捨てて愛を突き通さんとするアデル。 その行きつく果て、最終形態は、好きなはずの相手の顔も認識できなくなり暗号で日記を書くまでになってしまうという。なんと恐ろしいラブストーリーだろうかと戦慄するほどです。 ところで、文豪の父ビクトルとは親子関係はどうだったのか。 本屋の男からのプレゼントとしてレ・ミゼラブルを贈られた時の反応を見るに、決して良好ではないように感じられます。 主人公アデルが凄いのは勿論、国葬にもなったユゴーの馬鹿娘をネタにした原作者フランセス・V・ギールという男の度胸もなかなか凄いと思いましたが、あくまでも美しい抒情詩として著された作品であり、そう捉えるべきでしょう。 でないと、国葬に参列した200万人を敵に回すことになりかねませんので。 【もっつぁれら】さん [映画館(字幕)] 7点(2022-10-07 02:57:41) 14.イザベル・アジャーニが、トリュフォーの創りたいものを正確に理解しているからこそ、こういう静謐とした映画になるんだろうと思う。何度も繰り返してみたい映画の1つだ。 【みんな嫌い】さん [DVD(字幕)] 7点(2013-11-16 09:39:06) 13.狂気の愛と言えばリアルタイムではまったのはベティ・ブルーだったが、イザベル・アジャーニの美しくも鬼気迫る、そして容赦なく壊れていく女の表現は、そのイッちゃってる感において「これぞ本家」と思わせる迫力があり、さすが。これは男性にとってはホラー映画なのでは。 【lady wolf】さん [CS・衛星(字幕)] 7点(2012-11-02 11:19:23) 12.自らを破滅させるような恋。同じ女子とはいえ、私には理解不能なまでに情念が濃い人というのはいるものです。現実にもプチ・アデルはちらほらいるものの、そこは本家イザベル・アジャーニの迫力の足元にも及びません。精神崩壊が外側にもあらわれた彼女の痛々しいこと、でも何故か目をそらせない美しさも漂っててなんか凄い怪物のようです。ああまで突き抜ける彼女が羨ましいような、いややっぱりひくような。 【tottoko】さん [ビデオ(字幕)] 7点(2011-10-28 17:42:22) 11.《ネタバレ》 まあ、確かにアデルのしてることは、ストーカー行為として見られても仕方がないことかもしれない。しかし、単なるストーカー行為の嫌な女の話として見るのだけは間違ってると思います。人は誰だって自分が可愛くて仕方がない生きものであり、異性を好きになるのは当たり前の事であると思う。この映画はその人としての当たり前のことをただただ見せてるだけであると私は思います。その見せ方がただあまりにも狂気を覚えてしまうために受け入れにくかったり、感情移入出来なかったりと見た人によって感じ方が違う。それだけのことではないでしょうか?どこまでも一途な上に気がおかしくなってしまうアデルの美しさ、不幸な女を演じているイザベル・アジャニーのあまりの美しさ故にどこまでもどこまでも愛を求められ、そんな愛に応えることすら出来ない男の行動は相手が美しければ美しいほど、本当に自分で良いのだろうか?例え、現在は愛されててもいずれは彼女に嫌われてしまいやしないか?という男の何とも女から見たらアホかもしれないけど、男とはそういう生きものなのであると監督のトリュフォー自身が伝えたい。伝えたかった作品ではないかと私は思う。ピンソン中尉がアデルに対し「アデル」と呼びかけた時は既に何の反応すら示さなかったアデルの女としての悲しさ、ラストのアデルの表情にはもう、何もかも終わってるというようなものが見られる。正にアデルの恋の物語が完全に終わった瞬間と思える終わりにこの映画の伝えたいものというものを感じることが出来た気がします。 【青観】さん [ビデオ(字幕)] 7点(2009-02-01 11:21:41) 10.《ネタバレ》 共感できた自分もどこかおかしいのかもしれない、と思う。イザベル・アジャーニのラストの空ろな目はすごい。 【Shiori】さん [ビデオ(字幕)] 7点(2008-01-21 14:28:12) 9.《ネタバレ》 アデルがカナダに降り立つところから物語が始まるが、その前に、ピンソンとどのように知り合ったのか、もう少し知りたいと思った。こういう狂気に走るアジャーニの作品が大好きで、ぐいぐいと引き込まれて最後まで見てしまった。金にだらしない男で、他の女との現場も目の当たりにしているのに、なぜそこまで好きでいられるのかは理解できないが、彼女を取り巻く人たちが温かいおかげで、彼女が街角で野垂れ死にしなくて良かったと思った。人間は恋でそこまで狂うことができるものなのか。彼女が生きたのが現代なら、薬物治療で正気に戻せたのだろうか。正気に戻ったとしたら、彼女が何を話すのかに興味津々である。 【ぴこたん】さん [CS・衛星(字幕)] 7点(2007-01-23 12:32:25) 8.イザベル・アジャーニの原点であり、物語の展開は手に取るように分かりました。燃える様な想いもお互い何時変わるかも分からなく、人の心とはそういうものであり、理屈ではないその事を責めたり責められたりしても何も得るものがありません。愛されなくても愛するという一途な想いも、その想いの振りかざし方が肝心で、愛する気持ちが人を美しく、賢く、強く、優しくしてくれるはずなのに、醜く朽ちてしまったアデルは無残です。本屋さん、下宿のおばさんといった暖かい心の持ち主と接していただけに残念です。 【The Grey Heron】さん 7点(2005-03-20 16:36:09) 7.アデルの心の揺れを見事にとらえたトリュフォーの傑作ではあるが、トリュフォーの映画というよりアジャーニの映画といってもいいほど彼女の演技が素晴らしい。イザベル・アジャーニ弱冠19歳。女優をするために生まれてきたと言っても過言ではない。アデルの言動に最初から精神のバランスを崩しかけていることが伺えます。誰の目にも異常と見られるまでの変わりようも凄いが、それまでの目の演技が本当に素晴らしい。アデルが精神を病む根本に大詩人の娘であることと姉の死があるようですが、彼女もまた父と同じく天から授かった才能の持ち主だったのだろうと思う。ただ天才が女であるということを時代が許さなかった。後年、アジャーニは同年代に同じような運命を送ったロダンの愛人「カミ-ユ・クローデル」を演じます。天賦の才と自分自身とのバランスをとれなかった女性への鎮魂歌のように感じます。 【R&A】さん 7点(2004-07-01 14:32:09) 6.《ネタバレ》 まさに"狂気"。僅か19歳のイザベル・アジャーニ演じるアデルが凄まじかった。いつしか彼女が追いかけるようになったのは彼ではなく、恋の狂気が見せる幻影だったのですね。衣服も髪もボロボロになってもなお歩き続ける彼女の姿は、身も心をも焼き尽くす炎のような恋を描いた「八百屋お七」を髣髴とさせます。 【SAEKO】さん 7点(2004-05-25 21:30:41) 5.フランス人にとっての愛は、甘い菓子のような面と、このような残酷な面の二種類がある。そして、本作には、両方の面が描かれている。さすがトリュフォーである。アジャーニの演技も素晴らしい。 【伊達邦彦】さん 7点(2004-02-24 02:38:08) 4.この映画を観ると、アジャーニが「可愛いだけじゃダメかしら」な女優でないことがよくわかる。彼女の演技はまさに鬼気迫るものがある。20年以上もキャラクターを変えずにフランス映画界のトップの位置をキープしている事も、当り前のように感じてしまうから不思議だ。それにしても、アデルという”振り切れた”女性を演じるとアジャーにはスゴイ。といっても、振り切れていないただの可愛い女性を演じさせてもスゴイからなんとも言えない。とにかくスゴイと感嘆させられてしまう。しかも、ピンソン中尉というそう上等ではなさげな男に絡めとられてしまっているところが悲劇というか喜劇だ。誰の言葉も聞かない、相手のことも理解していない、将来のことも考えない、頭の中は愛という名のもとに放出され続けるドパーミンで飽和している。そんな彼女の喜劇的な行動がいとおしくもあり、ピンソンの側にたてば憎らしくもある。実際に起きた事で本屋の男という妙なキャラクターを登場させてしまいよくわからない部分もあったが、総じて面白い映画だったと思う。 【fero】さん 7点(2004-02-15 18:55:00) 3.こういう主人公,大好き。アデルの場合は対象が人間だっただけであって,狂気を感じるほどの「執着」はあらゆる形で存在しているのではないかと思う。 【ロウル】さん 7点(2003-12-29 18:07:17) 2. 狂気の恋も、代償として人格を引き渡すくらい命を張ったものは、凄みがある.自分を客観視することもでき、相手を冷静に見る目も持ちながら、入り込まざるを得ない闇の不条理を観させてもらった.姉の死がアデルの狂気にどのように作用したのかが仄めかされているものの、いまひとつ釈然としないものも感じる. 【シャリファ】さん 7点(2003-08-22 14:47:12) 1.愛情と狂気ってホント、紙一重だわぁっ~と思わずドキリとする作品ですね。でも、そんなアデルが愛しくて悲しくて。そういえば、「愛しい」って「かなしい」とも読ませるんだよね・・・。 【ちっちゃいこ】さん 7点(2000-07-13 22:32:10)
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