みんなのシネマレビュー |
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ネタバレは禁止していませんので 未見の方は注意です! 【クチコミ・感想(7点検索)】
2.《ネタバレ》 劇中にて「ナーズにも人権がある」という演説が行われるのですが、それが大袈裟でも何でもないくらい、彼らが迫害されている事に吃驚。 観ていて可哀想になりますが、基本的にはコメディタッチの作品なので、陰鬱になり過ぎる事も無く、程好いバランスに仕上げてありましたね。 「いじめ問題」を中心とした、堅苦しい作品となっていてもおかしくなかったのに、娯楽作品であるという線引きを忘れず「ナーズの青春」を感じさせるような、良質な学園ドラマとして完成させている辺りは、本当に見事だと思います。 最初の体育館暮らしの時点で「飛び級してきた男の子」「ゲイの黒人」「不良」「日本人」などの、後にメインとなる面子が、しっかり目立っていた辺りも良いですね。 主人公二人が眼鏡を掛けていて、見分けるのが難しいコンビであったのに比べると、この四人組は視覚的にも分かり易いし、脇役として絶妙なバランスだったんじゃないかと。 如何にも学園のマドンナといった感じのブロンド美女に、地味な眼鏡娘という二種類のヒロインを用意している辺りも、心憎い。 個人的な好みの話をすると、前者のブロンド美女には魅力を感じなかったりしたのですが…… 「互いの眼鏡の度の強さが同じという事に、運命を感じる場面」など、後者の魅力はしっかり伝わってきたし、主人公の一人であるルイスと彼女との恋を、素直に応援出来たんですよね。 こういう具合に、観客の好みに合わせて選べるような形で、タイプの違うヒロイン二人を用意してくれたっていうのは、嬉しい限りです。 学生達だけじゃなく、学長とコーチにも「文化系」と「体育会系」という個性を与えている辺りなんかも、上手かったですね。 それまでコーチの言いなり状態だった学長が、主人公達の演説を受けて奮起し、コーチより精神的に上に立って、見返してみせるという形。 これによって「虐待や阻害やイジメを経験した人は、皆さんの中にもいるはず」という主人公の訴えにも説得力が出るし、最後の「逆転」の構図が分かり易くなっているしで、本当に感心させられました。 そして何と言っても…… 皆がボロ家を大掃除するという「住処作り」の場面が、実に楽し気で良い! 無事に完成させた後の、共同生活している描写(主人公が二階から降りてくると、男の子達が見よう見まねでエクササイズしていたり、ポーカーしたり、本を読んだりしている)も、凄く好みでしたね。 こういうの、青春って感じがして良いなぁ~って、憧れちゃうものがありました。 間抜けな感じの効果音が、今となっては流石に古臭いとか、復讐の一環とはいえ女子寮を盗撮するのには引いちゃったとか、色々と気になる点もあるにはありますが、まぁ御愛嬌。 冴えない主人公の学園物という意味では「ロイドの人気者」(1925年)などから通じる王道路線のストーリーだし、この映画自体が後世に与えた影響もあってか、今となっては「どこかで見たような展開」が多い点に関しても、短所ではなく長所なんじゃないかって思えましたね。 「こいつらはメインキャラだな、と思ったら本当にメインキャラだったという展開」「最後は皆に認められるという、お約束のハッピーエンド」など、予想通りではあるんだけど、それが心地良い。 「先が読めて退屈な映画」ではなく「こうなって欲しいな、という観客の願いを叶えてくれる映画」って感じがして、観ていて楽しい一品でした。 【ゆき】さん [ビデオ(字幕)] 7点(2019-02-19 21:56:40) 1.「アメリカン・スプレンダー」の中で、主人公の友人が「車を飛ばしてでも観に行きたい」と語っていたのがこの作品。日本では未公開なのでビデオ屋にあるかな~と思って探してみたら…あった。さすがは「ドッキリ・ボーイ」全三作を揃えている店だけのことはある(笑)。さて、映画について語る前に「ナーズ」という言葉について。「アメリカン~」DVD版の解説によると、「ナーズ」とは「ダサい奴、転じて理工系の知識は豊富だけど内気なタイプ、いわゆるオタク」とされている。ただ、この作品が日本でビデオ化された頃はまだオタクという単語が一般的でなかったからか、タイトルでは「オチコボレ」、作中の字幕では「ガリ勉」となっている(って正反対やんけ!)。つまり日本語に当てはまる適当な言葉がないのだけれど、この作品を観る限り、いわゆる理系オタク以外でも、ちょっとナヨナヨした黒人や鼻くそほじってばかりの変人、或いは飛び級して大学に入った天才少年などなど、要は「アメリカ的なカッコ良さの基準から外れた人」を指すらしい。そこで「アメリカ的なカッコ良さ」とは何か、という話になるのだが、これが「女の子にモテる・スポーツ万能・良い車に乗っている・基本的に白人」という、つまりは「シザーハンズ」のキムの元彼を極端にしたような奴ら。んで、前半はその「カッコ良い軍団(大学内のアルファベータというグループ)」がいかに頭空っぽで、しかもナーズに対して意地悪か、というのが、いかにも80年代米コメディのノリで延々と描かれるのだが、その描写があまりにもステレオタイプで笑えなかったのだけど、これってある意味「アメリカ的」だよなー、と途中から思えてきた。特に大学内の議会で好き勝手な事を主張するアルファベータの連中は、国連で好き勝手な事を主張するアメリカの姿に呼応している。そういう意味でこれはアメリカ内部のオルタナ的な「アメリカ批判」なのかもしれない、とちょっと思った(大学内で、唯一ナーズ達の味方になるのが黒人グループだという点も興味深い)。ま。基本的にはバカ映画なんですけどね。最後にナーズのリーダーが「今まで疎外感を味わった事のある人、大多数になじめずに居心地の悪い思いをしたことのある人はみんな仲間だ!」みたいな演説をするシーンでは、不覚にもちょっと感動してしまった。あ、あとちょっとディーヴォっぽい劇中音楽も良かった。ポリアカ好きな人にはオススメ。 【ぐるぐる】さん [ビデオ(字幕)] 7点(2005-06-03 19:00:49)(良:1票)
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