みんなのシネマレビュー |
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ネタバレは禁止していませんので 未見の方は注意です! 【クチコミ・感想(7点検索)】
9.《ネタバレ》 自分の家を監視されている映像が突然送られてくる。 というプロット自体がもう怖くて、自分だったらどう対処するだろうと思いながら、かなり引き込まれた。 ただ、どうやらこの監督はサスペンスをやりたい訳じゃないようだ。謎を呼ぶ展開で観客を引きつけといて、予想だにしない方向へとミスリードしつつ、非日常における人間の内面を抉るような、実験的な映画だった。 この手の映画にありがちな、はっきりとした真相は見せず観客の解釈に委ねているのでモヤモヤが残る。スッキリしたい人には向かない。 突然流れるエンドロールと、謎の定点カメラ。 いかにもなんかありそうと思って他のレビュアーさんのコメント読んだらやっぱりか。なんかデ・パルマっぽい演出だったなぁ。 【ヴレア】さん [DVD(字幕)] 7点(2018-03-24 17:01:01) 8.《ネタバレ》 うわー、出たーハネケ節。ヒトの心の暗部を突いてくるのが得意な監督だ。観てるこっちもすっかり気分が沈む。すっきり答えを出したりしない監督だと判って観ないと、「で、何!?」と憤慨すること必至。劇場用予告版とかああいう編集はどうなんだろう。 昔の行為の負い目にとらわれて、一人でパニックになって結果無用に人一人を死に至らしめた男。子供の頃にした自己中行為によって派生した罪を一生抱えていくはめになるわけで、監督はものすごく性格暗いと思う。猟奇ホラーかとも思わせる雰囲気を纏っていて、物語の吸引力はハンパない。でもでも、実はそんなんじゃないんだ。ラストカットで現われるあっけない真実。・・監督性格暗いよ。 【tottoko】さん [DVD(字幕)] 7点(2014-01-20 22:39:52)(良:1票) 7.《ネタバレ》 ストーリー語りにおいてあえて「非経済的な」語りをめざした挑戦的な映画である。「非経済的な」語りだから退屈なシーンも挑発的に長いし、観るにはキツイ衝撃シーンも二つ挟まっているが、これらの衝撃も「非経済的」だ(ふつうに「楽しみ」を求める観客存在にとって)。この映画が主人公の側に視点を寄せているために、妨害する主人公の脇から(いわば主人公の思惑の彼岸に)観客が真相を看取する(これがいまいち不明なのは惜しい)という、興味深い例となっている。 【ひと3】さん [DVD(字幕)] 7点(2012-07-16 13:05:15) 6.《ネタバレ》 ラストシーンは正直、気がつきませんでした。観直そうとも思わない。多少ハードルが高くてもその難解さに意味があるのならちょっとは努力しようと思えるけれど、これは別に……。理解できてもさしたる感動はなさそうで、どうでもいいというのが率直な感想です。 監督はインタビューで「真相は重要ではない」と語ってましたが、人間の関心っていうのはどうしても隠された部分に向かうもので、本当に重要じゃないならこういう描き方はどうかと思います。人が罪とどう向き合うか、という大切な主題は、むしろブレてしまったのでは。 ただこの作品のすごいところは、物語としてはほとんど緩急がないのにも関わらず、張り詰めた緊張感がまったくといっていいほど緩まないこと。長回しを多用しつつもだれがない。つまらない映像でも音楽があれば誤魔化しが効くそうだけれども、あえて完全に排されている。 カメラワークを勉強した訳ではないので詳しい理屈はわからないけれども、映像の文法を知り尽くした人によって、完璧に制御された映画であることは明らか。物語としては平坦でも、視点の運動によってリズムが生み出されている。だから無理に集中しなくても自然と引き込まれるし、話の割には飽きが来ない。これって何気にすごい。 ショッキングな自殺の場面も、観る側の呼吸の間隙を突いた、いやらしいまでに絶妙のタイミングで差し込まれる。間の計り方、微妙な匙加減が憎いほどに上手い。かといっていかにも不自然に芸術ぶった構図があるわけでもなし、本当に、卓越した技巧だと思います。手放しに絶賛はできないものの、非常に見応えのある作品であったことは確かです。 【no one】さん [DVD(字幕)] 7点(2009-05-08 20:32:45)(良:1票) 5.《ネタバレ》 ビデオを送ってきたのは誰か、に囚われて見てしまうと、最後に怒りを覚える映画。でも、凡人は、やっぱりそこに囚われるよなー。でも、よく考えれば、これはハネケの映画であった。まあ、結局、明快な答えは提示されません、もちろん。そして、どういう結論を見た者が出したにしろ、後味はかなり悪いことに違いはない。場面がブツ切りなので、ヘタするとワケ分からんことになりそうだけれど、それをギリギリのところで収拾つけてるところが、やっぱりハネケだねー、と思う。しかし、いきなり首カットで血飛沫! は勘弁してよ。思わず「ギャッ!」って叫んじゃったじゃない。あと、ジュリエット・ビノシュ、見事なオバサン体型になってしまって・・・。若いころは独特の「男を惑わせるオンナ」のオーラを纏っていたのに、すごい脱皮の仕方に唖然。彼女が出てくるたびにそれが気になって、何度かプレビューするはめになったことも特筆事項だ(でもないか)。 【すねこすり】さん [DVD(字幕)] 7点(2008-09-11 15:43:16) 4.《ネタバレ》 DVDのインタビューで監督さん本人が解説しているように、基本的に「解釈お任せサスペンス」であり、そういう意味で評価が難しい作品。 ビデオを送ってきた人物が誰かという「謎解き」は本質ではなく、それは見る人にとって誰もが共感しやすい「自分の過去や罪にどう向き合うか」というテーマの表象なのだろう。 そのため、より見ている者が自分自身と対話しやすくするため、意図的に抑えた演出やカメラの長回しなどが多用されている。事実、見ている間、「こんな風景ってどこかで見たな」とか、「こんな状況なら自分ならこう言うのに」などと、登場人物と自分をダブらせながら見てしまった。こういう感覚は久々。 ただ、全編に亘って「ビデオの送り主は誰で、その目的は?」というミステリアスな謎掛けで引っ張っているだけに、その解釈を観客に丸投げしてしまうオチは、はっきり言って手抜き一歩手前と言わざるを得ない部分もある。そういう意味では本格ミステリーなどと比べれば、お手軽な作りと言える。 あえて解釈すれば、主人公の生家を知っている事やニワトリの首の絵などから、明らかに少年時代の出来事を知っている人物であるのは間違い無いはず。とすれば、あんな大昔の、しかも二人しか知らないはずのエピソードを知っていて、かつ、それを恨みに思っている可能性がある人物は、あの養子にしていた少年以外にいない訳で、さらに二人の「室内」でのやり取りまで隠し撮りされている以上、まったくの「第三者」が忍び込んでやっていたという可能性は、現実問題としてまずあり得ないだろう。それに加え、ラストシーンを見るに、父親に聞かされた過去の愚痴などから、彼(自殺した男)の息子が今回の行動を起こしたと解釈するのが一番妥当に思える。 まあ「解釈お任せ」という逃げ道を用意して、始めから伏線の回収を放棄している作品である以上、どうしても傑作とは言い難いが、見ている間は退屈しなかったし、それなりに考えさせられる作品として一度くらいは見ても損は無いと思う。 【FSS】さん [DVD(字幕)] 7点(2007-02-26 22:52:29) 3.《ネタバレ》 エンドロールの画面でこんがらがってしまいました(・ω・A;) これは久々見終わった後に、監督インタビューやら劇場公開予告見て復習しました(笑) それでもスッキリはしませんけどね! 【うさぎ大福】さん [DVD(字幕)] 7点(2007-01-16 22:32:42) 2.《ネタバレ》 余韻を持たせて観るものを引き込んでいくのとはわけの違う、なんか「ピーマンニンジンタマネギはそろえたよ味付けはこんなんどうかな」と材料だけ揃えて、多くの作業をこっちに投げているような映画に思える。ラストを迎えてもさっぱり掴めないストーリーは「見ろ、感じろ、考えろ」と監督が鞭打っているかのような感覚。きっと家庭で観賞した方の多くが、どこかに伏線がないか、どのシーンに意味があるのかと繰り返しビノシュやオートゥイユを眺めたろう。犯人はあれですよ、ハネケです。長回し好き監督の趣味ビデオ…とふざけつつ、高尚のようで下世話でもあるこの混沌とした感じを嫌いにもなれない。点数付けづらい映画№1。 【のはら】さん [DVD(字幕)] 7点(2007-01-06 00:59:45)(良:1票) 1.ハネケ・マラソン第一弾(って、予算の関係から3作しか見ない予定ですが…)。 ミヒャエル・ハネケ監督とはこれが初めてのおつきあいです。噂には聞いてましたが、画面から常時放射される「映画圧力」は尋常じゃありません。「画面を見ろ! 画面を凝視しろ! 画面を注視しろ! 細部を見ろ! 全体を見ろ! 赤を見ろ! 茶色を見ろ! 黒を見ろ! 粒度を見ろ! 視線をたどれ!」という監督の声が絵になって聞こえてきます(途中から、旧レビュアーの某塾某氏を思い浮かべてしまったっすよ (^^;)。 しかし本作はストーリーの仕掛けが仕掛けなので、画面を凝視してないと本当に騙されてしまう。究極に素っ気無いオープニングタイトルが、まずフェイク。途中、フェイクと似たような構図が出てきたと思ったら、リアル。なので、だんだんコッチも本気になってきて、画面を凝視するようになります。すると、「おぉ! 黒いところに映り込みがッ! これはガラス越しの映像…すなわちリアルだッ!」…と理解できるようになってくる(この「犯人」は決してモノ越しに主人公を撮らない)。ちゃんと映像に法則性があるので、この微妙なゲームは大変楽しかったです。 さらに、キチンとゲームを楽しんだ観客はラストシーンの長回しにさりげなく紛れ込んだオチに気づく、というサービス精神旺盛なのか単なる偏屈爺なのかよくわかんないエンディングが待っていたりしますから、これから見るレビュアーの方々は心するのダ(まあ普段から映画見慣れてれば普通に気づくかもしれませんが…)。 ハネケ翁はドイツ魂の凝縮したようなオッサンなので、画面設計は相当にメカニカル。室内劇の部分は、映画というより演劇のロジックですね。この誠実さ、分析しやすさが、画面圧力をはねのけて映画と「戦う」だけの理性を引き出してくれます。「極めて左脳的な作品だった」というのがオイラのファースト・インプレッションでした。 ●2010/11/23追記: 盗撮者の撮影する映像の厳格さに誰も触れてくれないのが悲しいなあ…。あと、ラストカットは多重解釈できるようになってるっすよ(少なくとも誰か「夢の続きかも」「あのシーン自体も盗撮の可能性が…」って指摘してよ~!)。 【エスねこ】さん [映画館(吹替)] 7点(2006-07-29 19:05:54)(良:1票)
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