みんなのシネマレビュー |
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ネタバレは禁止していませんので 未見の方は注意です! 【クチコミ・感想(7点検索)】
2.スウェーデンの巨匠監督、イングマール・ベルイマンの遺作。 過去にベルイマン作品を25本観てきて、この遺作にようやく辿り着いた。 やっぱり遺作は、その監督の作品を沢山観てから観た方が、より理解も深まるし、感慨も深くなる。 本作はベルイマンの遺作に相応しい深い内容と出来栄えで、観た後は半ば放心状態になった。 人間同士の愛憎劇を、ここまで徹底的に描かれると、もうあっぱれと言うしかない。 元夫婦の30年の軌跡を辿り、男女とは何か、夫婦とは何かを観る者に問いかける。 そして、憎しみ合う父と子を描き、人間の憎悪の恐ろしさと醜さを容赦なく表現する。 更には、父子家庭における父親の娘に対する偏愛をも描き、どうにもしようのない悲劇を演出する。 これらの人間関係がてんこ盛りの2時間で、その密度は非常に高い。 ベルイマンは、『ファニーとアレクサンデル』で自身のキャリアの集大成としたはずなのに、高齢になってまだこんな力作を創り出す力が残っていたとは驚きだ。 ベルイマンの若かりし頃の作品のような、幻想性・創造性などの要素はさすがに感じられないが、老齢になり、人生経験を豊富に積んだ晩年にこそ生まれた奇跡の作品と言えよう。 【にじばぶ】さん [CS・衛星(字幕)] 7点(2010-09-02 00:03:33) 1.《ネタバレ》 ベルイマンはこの『サラバンド』より20年も前に『ファニーとアレクサンデル』という遺作を送り出している。映画で出来ることは全てやったと映画界から引退し、テレビと演劇をその後の活躍の場に選ぶ。それよりももっと前からベルイマンは映画よりもテレビに興味を持っていた。芸術をより多くの人たちのものとしたいと考える彼にとって映画が大衆性を損ないつつある中で、より大衆性の強いテレビというメディアに可能性を求めたのかもしれない。 しかし彼は映画に帰ってきた。年齢からしてもおそらく本当の遺作となるだろうことを覚悟したうえで、彼は最後の最後に映画を選んだのだ(そして本当に遺作となった)。しかもスウェーデン国内で社会現象まで起こした“テレビ”ドラマ『ある結婚の風景』の続編を“映画”で。さらに最新のデジタルハイビジョンで。 何故、映画に戻ってきたのかは知らない。メディアとしての可能性が映画にあると考えたのか、ただ映画が好きだったのか。とにかく映画に帰ってきたことに素直に感謝し喜びたい。 この作品が描くのはベルイマンが描き続けてきた「家族」であり「愛」である。親と子の関係が映画の中に3つあります。物語のメインとなる親子は、親の子に対する独りよがりな愛でもって子を不幸にする。この親の父、つまり『ある結婚の風景』の主人公でもあった親とその子(つまり先の親子の親)は本心から憎みあっている。そのはずなのにあることが起こって父は夜も眠れずに震えて泣きじゃくる。体が反応する。子を愛していると。それらを見たリブ・ウルマンが病気の子供を訪ねる。親は子を、子は親を本能的に愛している。夫婦の間にあるものとは全く異質にして絶対的なもの。どちらの愛も時には喜びをもたらし時には辛さをもたらす。ベルイマンの哲学でありこの世の心理。 『ファニーとアレクサンデル』はたしかにベルイマンの集大成であったと今尚思う。 一方で『サラバンド』はベルイマンの思想的・哲学的集大成なんだと思う。 【R&A】さん [DVD(字幕)] 7点(2008-03-04 15:19:25)(良:1票)
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