みんなのシネマレビュー |
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ネタバレは禁止していませんので 未見の方は注意です! 【クチコミ・感想(7点検索)】
9.《ネタバレ》 巨匠であるスピルバーグ監督。これだけの地位を作り上げても尚、新しいことにチャレンジしようとする姿勢には頭が下がる。おそらく彼にとって本作は、かなりの挑戦だったのではないか。その作風たるや、彼のこれまでの作品とは真逆である。スピルバーグ監督は、言葉より映像で語る作風である。しかし本作は、映像より言葉で語ろうとする。全編音楽が鳴り響くはずの彼の映画が、本作では音楽無しの場面が圧倒的に多く、付随しても実に控えめだ。露出過多で人工的な映像美が多かったこれまでと比べ、映像は自然な美しさを目指している。そして内容もまたベクトルが逆である。スピルバーグがリンカーンを映画化すると聞いて、リンカーンの一大歴史劇を期待して鑑賞した人も多かろう。しかし、そんな内容ではない。いわゆる、「スペクタクル」な要素を意図的に避けており、名言すらも本人には言わせない。リンカーンといえば奴隷解放宣言が有名だが、それはいわばただの言葉であって、実質的に意味があるのはその後の第13条修正にある。人々は政治に、理想や勧善、崇高さを求める。しかしリアルな政治の世界は、もっと泥臭く地味なものである。奴隷解放を実現するためには、理想だけでなく、それがきちんと機能するよう明文化しなければ意味がない。支持取り付けのために、あらゆる手を使って奔走しなければならない。それは英雄リンカーンとて同じである。ただただリアルに、現実そのものを、まるで記録映画のごとく写し取りたかったのだろう。民主主義はとても時間がかかるシステムだが、無秩序ではないのだ、というメッセージもよく伝わってくる。抑揚のない展開が続く中、一人一人賛成と反対を言う採決のシーンは本作一番の見せ場だ。 【あろえりーな】さん [ブルーレイ(字幕)] 7点(2013-11-19 23:12:37) 8.《ネタバレ》 誤解を恐れずに言うとリンカーンと小泉元総理は似ている。お互いに抵抗勢力と戦ってきた政治家だ。「奴隷解放」と「郵政民営化」はスケールが違うかもしれないが、この映画を観ていると2人の政治家がやったことはやはり似ている。映画を観ていて一番印象に残ったのは、誰がリンカーンの敵なのか?という点である。味方の中に敵がいる。敵の中に味方を作る。そんな感じだが全体的に大統領は孤立無援だった。しかし国民が味方だった。小泉さんもそんな感じだった。自民党の党首なのに自民党の中に大勢の敵がいた。リンカーンも共和党の党首なのに同じ共和党のトミーリージョーンズとなぜか敵同士みたいな関係で描かれている。このへんは複雑だ。2人は同じ奴隷解放という目的を持っていながら急進派と現実派という違いがある。また共和党の中には、黒人という財産を手放すのが惜しい政治家も多い。いわば既得権益だ。郵政民営化を阻止しようとした連中も同じく既得権益を手放したくなかった。リンカーンも小泉さんもこんな腐った抵抗勢力たちと戦ったのだから偉いものだ。誰か郵政民営化を映画化してほしい。けっこうおもしろいと思う。政敵は亀井静香で。 【花守湖】さん [DVD(字幕)] 7点(2013-09-16 19:39:17)(良:1票) 7.《ネタバレ》 南北戦争も、演説も、凶弾に倒れる部分もなく、ひたすら、改憲による奴隷解放の政治的部分だけにテーマを絞ったことは面白いです。制作者の意図が分かりやすい。案外細かい仕草や、セリフに凝ったものがあったり、感情のやりとりなど案外楽しめました。 【min】さん [DVD(字幕)] 7点(2013-09-15 21:30:08) 6.憲法修正13条をなぜ成立させなくてはならないのか。戦争に勝つことでも、そこでどんな崇高な理念を語るかだけでなく、その理想を一つの「しくみ」として「国」に根づかせなければ社会は本当には変わらないことを彼は強調する。そして、国に根付かせるために、ありとあらゆる政治的手段が駆使される。南北戦争はアメリカ合衆国がはじめて1つの「国(Union)」という意識を共有するきっかけになった戦争であり(それ以前は州(State)こそが「国」であり、合衆国は「国」が連なった「連邦」でしかなかった)、リンカンが「しくみ」にこだわったのは、それが一つの「国」をつくる作業であったからにほかならない。そこに注目したスピルバーグの慧眼。リンカンの偉人伝を聞かされて育ったアメリカの観客に訴えるだけでなく、「民主化」やら「憲法」をめぐってバタバタしている世界じゅうの国々にも明確なメッセージを持った作品だ。ただ、冷徹な政治劇の陰でちらちら姿を見せる「甘い」シーン(ラストのスティーヴンスのシーンはとくに・・)もスピルバーグらしい(イーストウッドならこうはいかない)。ただ、その「甘さ」のミックス度合いが今作にあっていたのかどうか。今作に限って言えば、音楽のジョン・ウィリアムズをはじめ、いつものスピルバーグ組のやり方が、今作で描こうとしていたことと微妙にずれていたような。それがテンポを悪くし、印象をぼやけさせてしまったように思う。 【ころりさん】さん [DVD(字幕なし「原語」)] 7点(2013-07-15 23:31:49)(良:1票) 5.《ネタバレ》 リンカーンの映画と云われるとCG満載の南北戦争の派手な戦闘シーンや、超有名な名演説のシーンなどが必須のように思われるが、スピルバーグはそんなことはしない。この映画でのリンカーンは、夫婦喧嘩をし、官僚にヒステリーを起こし、票のために賄賂を出し、戦争をも利用する並以下の政治家である。奴隷制度という人種差別の根元を廃止した歴史的英雄は、圧倒的なスーパースターなどではなく、強い信念を持った我々と同じ凡人なのである。デイ・ルイスを中心とする圧巻の会話劇を淡々と続けることでそのことがより強調されているが、2時間半はさすがに疲れた。 【ふじも】さん [映画館(字幕)] 7点(2013-06-01 20:13:01) 4.《ネタバレ》 奴隷解放の下院成立にフォーカスした映画だったんですね・・CMだけの予備知識で観たので南北戦争全体が描かれるのかと思っていました。 それなりに見応えはありましたが、民主党と共和党の立ち位置が現在とは違い??としばらく混乱しました。 法案成立に向けてのリンカーンの執念が描かれていましたが、何故そこまで?という動機などには触れられていないので日本人が観ると完全には理解できないようにも思えました。 最初の歴史背景の説明はスピルバーグじゃなく池上彰ならわかりやすかったかも?(笑) 【東京ロッキー】さん [映画館(字幕)] 7点(2013-05-09 18:52:15) 3.《ネタバレ》 観賞のハードルを上げてしまう様で申し訳無いのだが、本作を楽しむにはアメリカ近代史のおさらいは必須、そうしないと睡魔に襲われかねない。 ダニエル・デイ=ルイスの演技はアカデミー賞受賞も納得の熱演。 誰も動いている本物のリンカーンを見た事など無いのに、恐らく世界中の人が彼の演技を見て「本物のリンカーンが居る」と思った筈。 トミー・リー・ジョーンズが奴隷解放の法制化に熱心な事が判る終盤のシーンも良い。 【たくわん】さん [映画館(字幕)] 7点(2013-05-06 11:31:26) 2.《ネタバレ》 今まで考えたことなかったけど、確かに権利を保証し実現するためには法律から変えないとダメなわけで、リンカーンが成し遂げたことがどれだけ偉大だったのかに改めて思い至りました。 そして、リンカーンの人物像の描き方が秀逸。 ダニエル・D・ルイスの熱演もあり、実際はどうかはわからないけど、本当にこういう人だったんだろうなと思えました。 普段は寛大で穏やで、逸話や小話で人々を笑わせたりするけど、いざという時の決断力と意志の固さ、時には側近さえも欺くしたたかさ。 家庭内では問題を抱えてる一人の夫であり父親。 魅力的な人物像でした。 妻役のサリー・フィールドも素晴らしかった。何を演じても上手いです。 頭が良くて毅然とした態度で夫を支えてる賢妻と、息子を亡くした痛みから立ち直れない弱い母親の両面を上手く見せていました。 トミー・L・ジョーンズも、偏屈で敵だらけの頑固老人を演じてて良かったです。 修正案可決のためには欠かせない人物であり、彼が何故人間の平等を唱えているのかが終盤明らかになりしみじみしました。 ショックだったのは、ロビイスト役のジェームズ・スペイダー。 最初見たとき、どうかスペイダーではありませんように、と願ったのですが本人でした。 美しかった面影はどこへ・・・。 それにしても、今のアメリカ大統領を、リンカーンの時代の奴隷制度支持者たちが見たらどう思うでしょうか。 【nanapino】さん [映画館(字幕)] 7点(2013-05-05 14:00:50) 1.リンカーンの映像や動画が残っているわけではないので、いくらダニエル・デイ・ルイスが似ているといわれても、正直判断のしようがない。が、この映画は、似ている似ていないはどうでもよく、ひたすらダニエルのモノローグが素晴らしい。ただ、それだけで映画全編を引っ張っている。スピルバーグも本作はずいぶん大人しい演出ぶりで、特に奇をてらったような場面はなかったように思います。 【Northwood】さん [映画館(字幕)] 7点(2013-04-20 19:36:35)
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