みんなのシネマレビュー |
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ネタバレは禁止していませんので 未見の方は注意です! 【クチコミ・感想(7点検索)】
9.《ネタバレ》 極めて重苦しい雰囲気の中に描かれるのは、静かな絶望。そしてそれは確実に全員の生命を奪い去るであろう極限状況と、そんな極限状況下でも人間を支配して狂気へと誘ってゆく醜く際限の無い欲望そのものであるように思う。非常にネガティブな映画であり、ストーリーも希薄なので面白い・楽しいという作品では全くないが、逆にここまでの醜悪で破滅的な映画全体の空気は、ある意味ものすごく貴重。これこそ観て損は無いという映画。 【Yuki2Invy】さん [インターネット(字幕)] 7点(2020-01-11 23:14:23) 8.《ネタバレ》 冒頭の山中行軍ロングショットの強烈さだけで、つかみはOKすぎるというか、すでに一発KO状態です。その後、おもむろに別動隊が結成され、川下りとなり、さあスタート、となるのですが、もうその時点で、迫り来る破滅や破綻の予感が画面から全開です。川辺にただみんなで座っているだけのシーンでも、これは着実に崩壊に向かっているというのがなぜか分かってしまいます。最後の仁王立ちのアギーレは、もはや人間なのか亡霊なのかも判然としません。ストーリーらしいストーリーは何もないのに、何かとんでもないものを見てしまったという気分でした。 【Olias】さん [DVD(字幕)] 7点(2019-07-13 03:02:24) 7.《ネタバレ》 冒頭の山下りのシーンから、この映画のヤバさがひしひしと伝わってきます。もう完全に未踏の地みたいなジャングルの山道で実際にロケをするという発想自体が、この監督の狂気を具現しているとしか言いようがないです。アギーレが反乱を起こしエル・ドラドを目指して筏で河を下ってゆき全滅するのがストーリーですが、どこまでが演出なのか迷わされる映像の連続でもあります。前半の怒涛渦巻くアマゾンを筏で下るシーンも、これはマジで事故ったら大惨事という危険な撮影です。またクラウス・キンスキーの演技というか表情がマジでヤバい。ヘルツォークがキンスキーをあわや殺すところだったというエピソードは有名ですが、キンスキーのあの狂気のまなざしは監督に対する怒りというか不信感が表れていたんですね。アギーレがなぜか娘を同行させますが(この娘、劇中で一言もセリフを発しません)、この二人は近親相姦の関係にあるんじゃないかと思わせる撮り方です。この娘役がナターシャ・キンスキーだと間違えてる解説を見かけますが、クラウスも実はナタキンを使って欲しかったんじゃないでしょうか。 あのジャングルの大木に朽ち果てた帆船が引っかかっている摩訶不思議なシーン、これが『フィッツカラルド』につながってゆくんでしょうね。 【S&S】さん [ビデオ(字幕)] 7点(2018-07-20 23:51:02)(良:1票) 6.《ネタバレ》 ヴェルナー・ヘルツォーク監督とクラウス・キンスキーの最凶タッグの90分に亘る狂乱模様におなか一杯。心意気だけの歪んだ男のロマンの結末がリス猿の大群というのが侘しいが、このまま朽ちる事無く一花も二花も咲かせるのだろうと思わせるアギーレが印象深い。 【The Grey Heron】さん [DVD(字幕)] 7点(2018-02-17 16:24:44) 5.《ネタバレ》 1560年、桶狭間の戦に勝利した織田信長は天下布武の第一歩を踏み出した。同じ年、スペイン探検隊の分遣隊副将アギーレがアンデス黄金郷探索の旅に出た。そのアギーレの物語。熱帯の密林を粗放な筏で縫う川下りは危難を極め、出発早々筏の一つが渦に巻かれ滞留してしまう。隊長は救出を命じるが、筏の隊員達は何者かに銃殺される。隊長が死体の回収を命じると筏は大砲で粉砕される。すべてアギーレの仕業だ。隊長が徒歩での撤退を決めると、アギーレは反逆して隊長を撃ち、隊を掌握して筏で黄金郷を目指す。しかし、この野望に満ちた遠征は浅慮無謀であった。筏を阻む大自然、堪えがたい暑さ、見えない先住民からの散発的な攻撃、首狩り族の恐怖、食糧不足、仲間割れ等で徐々に自壊してゆく。修道士は長いものに巻かれろで面従腹背を決め込む。処刑された隊長の愛人は首狩り族の潜む密林に姿を消す。貴族の身分故に皇帝に指名された男は、川が大きく蛇行する度に領土宣言し、既に領土はスペインの六倍に達したと悦に入る。その姿は滑稽で、食糧を独占していた為、何者かに扼殺される。娘は死に、残りの隊員は熱病に斃れる。それでもアギーレは屈しない。「俺は神の怒り。神話のように娘と結婚し、この地上に比類のない純潔の王朝を築く」と嘯く。冒頭、大俯瞰で山脈を越えるスペイン探検隊を捉えた神の視点は、最後、たった一人になった筏上のアギーレを回転して映し出す。終始、鷹揚に身を反らせ、鋭い眼光で周囲を圧する主役の演技は圧巻だ。ここにはスペインによる中南米大陸文明消滅、帝国植民地主義、奴隷制度等に対する批判は無い。ただ熱病にように己の野望に向って突き進む、鋼の意志を持った男を描く。彼に常識は通じない。全てを失っても絶望せず、猶、前進を続ける。彼にとって樹上の船は決して幻ではない。彼を“欲望で身を滅ぼした狂人”と断じるのは容易いが、本作の主題は逆で、むしろ彼のような人間の賛美なのだ。現代文明では必要とされないが、過去において、人知を超えた、神のような強力な意志を持つことの出来た人間が前人未到の大自然を切り拓いてきたのかもしれない。数万年前、アリューシャン海峡を越えて米大陸に到達したモンゴロイドのように。そこでアギーレと信長の姿が重なる。勝てば覇者、敗れれば狂人、紙一重だ。巨大な野望である「神の怒り」は人間を人間足らしめた原動力だったのかもしれない。 【よしのぶ】さん [DVD(字幕)] 7点(2014-12-07 20:24:31) 4.《ネタバレ》 学生時代、名画座で観ました。併映は「フィツカラルド」だった。正直、その時は面白いと思わなかった。スペインの探検隊がペルー側からエルドラド(黄金郷)を目指してアマゾンを下る話だけど、冒険活劇ではありません。ハリウッド作品を見慣れた目には、フィクションとして中途半端に映ったのでしょう。 でも、30年ぶりの再見は見応えがありました。主人公アギーレの狂気の顛末を描くために色んなことをやってます。冒頭、スペインの軍勢が霞の棚引くアンデスの急勾配を下る。奴隷にした原住民を連れ、馬や豚を引き、大砲まで運んでいる。もの凄く手間のかかるロケで、難儀な行軍が演技に見えない。本隊から40名の先遣隊を選抜し、筏に乗って川を下る。動力の無い筏は不安定で半ば沈みながら進む。正確には川に流されて行くだけだ。その筏には、小さな筏が付属している。衝立で目隠しされた小筏はトイレである。この種の映画でトイレを描写した作品は記憶にない。結局、考えられる限り、当時と同じ環境を作ることに執着していることが分かる。 なぜ、そうする必要があったのか。観客を当時の状況に放り込み「あなたなら引き返すか?」と問いかけているのだと思います。同時に、アギーレのやり方の是非は問題ではなく、中世から近代に至る「世界史」はこのようにして作られて来たのだと訴えている気がしました。独善的な男の妄執が原動力となり、周囲を巻き込んで野心が肥大する。そして、おそらくは殆どが失敗に終わり、幸運な一握りの事例だけが「世界史」に記される。年表に載らない歴史の瑣末を正確に再現した作品ではないかと思います。着眼は秀逸ですが、見せるための方法論が普通じゃない。監督も狂気の人ですね。 【アンドレ・タカシ】さん [映画館(字幕)] 7点(2013-08-05 02:43:54) 3.最初のショットがもう、あまりに絶望的で。密林版『八甲田山』である事をこの上なく見せてくれている絵作りでした。でもそこには幻想的な音楽があった。まるで麻薬のようにアンデス越えの苦しみを麻痺させて、一行と共に旅してるかのような錯覚に陥りました。「これぞ、映画だ」。そう思いましたねえ。川下りが始まってからは年末年始の民放特番みたいな映像が延々と続いて、ショボーンって感じでしたが。でもそれもこれもラストシーンの壮絶さを見るまでのこと。あの何だかよくわからない勝利宣言を前に、ぶっ飛ばない観客が居ましょうか。そしてそこにも、あの苦痛を和らげる麻薬的サウンドが満ちておりました。冒険に出たはいいけど結局大自然に負けちゃった者は、みんなあんな幻覚をみるのかもなあ…。 【エスねこ】さん 7点(2004-03-15 00:20:23) 2.《ネタバレ》 ジャーマンロックの異端児、POPL VUHの音楽が好きで関心を持ちました。成程この映像にあのサウンドか…という感じで納得。 指導者が狂っているので全滅は必至、その最後の一人になるまでを 淡々と描写。 ラストの情景が印象的で、そのまんまの結末なのに何故か満足度は高かったです。 【番茶】さん 7点(2003-11-20 20:28:09) 1.日本で観られる珍しいドイツ映画ですよね。"オヤジ"キンスキーがギョロ目を剥いて迫真の演技をしてます。でもなんで舞台が南米なんだろう? 【オオカミ】さん 7点(2002-04-28 16:10:45)
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