みんなのシネマレビュー |
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ネタバレは禁止していませんので 未見の方は注意です! 【クチコミ・感想(7点検索)】
4.《ネタバレ》 小えんはドドンパしか知らない芸無しのいわゆる枕芸者、つまり客に春を売る方が得意と言うわけ。やたらと靖国神社が映るので、たぶん神楽坂あたりの置屋の芸者なんでしょう。そんな小えんが芸者を辞めてバーのホステスから一級建築士の妾となり、その建築士と死別するまでの男性遍歴がメインストーリーです。とは言っても体を許した男たちとは短いエピソードの羅列みたいな構成で、一種の群像劇みたいな感じです。まあ昭和三十年代のお話しですから、この映画に出てくる登場人物たちの行動というか言動は、現代の観点からは顰蹙を買わざるを得ないでしょう。小えん=若尾文子からしてよく言えば自由奔放、何を考えているのか理解不能な感も無きにしも非ずです。そんな彼女に建築士の山村聰だけは彼なりの愛情を注ぎ小えんもそれに応えようと努力するのですが、だいたい愛人を囲って所帯を持たせて妻や娘を蔑ろにするってのは、ちょっとどうなんでしょうかね、まあこの頃は“男の甲斐性”という感じで決して悪行とはとられていなかったんだからしょうがないかも。山村聰にしては珍しく男の欲望に正直なキャラを演じていました。唯一小えんと純愛的な関係性を持っていた藤巻潤にしても、芸者に復帰した彼女を取引先の外人顧客に接待で上納しようとして、とにかくこの映画に出てくる男どもはどいつもこいつもろくでなし揃いですな。おっと映画館で知り合った若い工員=高見國一だけは例外だったかもしれませんね。あと不協和音が強調される妙に不安を煽るような音楽が、印象的でした。 と言うわけでちょっと変わったテイストの作品ですが、妙に後味が残るところがあります。ところで小えんはこの映画のどこで“二度生まれた”んでしょうかね、やはりラストなんでしょうかね? 【S&S】さん [CS・衛星(邦画)] 7点(2024-01-31 22:01:36) 3.《ネタバレ》 川島監督作品を立て続けに観てます。戦後の激動の時期をがむしゃらに生きる人から、下半身のだらしない政治家の家族をドタバタで描いたり、そうかといったらこの映画みたいに奔放な生活をする女性を描いたり、この監督は決して登場人物を裁かない。この映画も女性の男性遍歴を描いてるが、マジメな人が観たら、眉間に皺、だが、若尾文子が邪心のない女性を演じてるもんだから、何となく許せちゃう。内容は、苦労してるさっぱりした芸者さんが、何人もの男の遍歴の後、囲われて、でも勝手な男ゆえ、浮気も許さない。でもこの男、後で娘さんが出てくるんだけど、決して不幸な家庭でもない。じゃぁただのエゴイストか、と思ったら、病気で死んじゃうだね、この男。しかも囲われてた女性が別の男性と一緒だった時に逝っちゃう。その後、この女性は真面目そうな好青年に仕事の接待で外人をもてなしてくれと言われ、あ~私はそんな風に見られてたんだ、とショックを受け、筆おろしをしてあげた若い工員と旅に出るが、旅の車中、昔の別の男が円満そうな家庭のパパになってるとこを見て、旅先で茫然としちゃう。タイトル通り行けば、ここで彼女は生まれ変わって、真面目になるんだろうけど、さぁうまくいくやら・・。戦後の日本を駆け抜けた苦労人生描くと、中々味のある監督だけど、高度成長のナンパな人間を描くと気の抜けた映画になっちゃうね。小津さんみたいなホームドラマにすることに抵抗あったんだろうか・・。結局、高度成長は犯罪劇か、ホームドラマか、青春映画かってことだね。川島監督は自分の道を模索してたという感じです。 【トント】さん [DVD(邦画)] 7点(2014-03-30 22:23:30) 2.「(売禁法のおかげで)我々チョンガーには困ったもんです」「あら、でもいつも自家発電じゃ味気ないでしょ」(セリフ詳細違うかも・・・)なーんていう会話があけすけに飛び交って面白いです。芸のない娼妓の流浪の人生。こんな、誰にも愛されない人生なんて冷静に考えればかなり悲惨なはずだけれど、小えんさんにはそういう悲壮感はほとんどないんです。それだけに、あのラストシーンが鮮烈。不気味ささえ感じさせるそのコントラストが印象的でした。 【すねこすり】さん [DVD(邦画)] 7点(2009-08-27 15:08:58)(良:2票) 1.浮世の世界に独り生きる女を徹底的にドライな視線で描いた作品。 地味な味わいながら、実にリアルにその世界が描写されており、川島雄三監督の社会派劇を撮る巧さというものも堪能できる佳作である。 結局、最後に損をするのは女の方で、男は勝手気ままに生きて、それで最後は女を捨てて去っていく。 どこに去っていくかと言えば、あの世であり、結婚であり、飽きて他の女の所へ行くのであり、様々だ。 いずれにしても、水商売という世界、そしてそこに関わる男達は、一時の享楽しか味わうことができず、安定した幸福感というものは味わえないんじゃなかろうか。 しかし、かく言う私も、そういう世界に身を置きたいという欲求があったりして、なかなか理屈一辺倒では割り切れないのが、この世界である。 そういったやり場のなさというか、世の常というか、人生の儚さというか、浮世の世界に生きる男女の鬱憤みたいなものが、ジメジメとした感じで実にリアルに伝わってきた。 そういう意味では、川島雄三監督の手腕が遺憾なく発揮されていると言えるだろう。 【にじばぶ】さん [ビデオ(邦画)] 7点(2009-08-22 18:03:34)(良:2票)
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