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【クチコミ・感想(8点検索)】
5.《ネタバレ》 やっと見ることができた。個人的に孤児院の話は好きで、場自体が悲哀を孕み、濃密な人間ドラマを生みやすい環境でもある。映画ではないが井上ひさし「41番の少年」や吉本直志郎「青葉学園物語」シリーズなど胸を締め付けられる哀切さがある。さて念願のこの映画。皆が言うようにキム・セロンの演技が素晴らしい。彼女の表情がこの映画の主旋律であろう。自分が捨てられたという事実がどうしても受け入れられないジニ。そこに友人としてスッキとの交流が徐々に芽生え、少しだけ彼女の心に落ち着きが生まれる。スッキのような野心的な子も現実にはいるだろう。また先輩イェシンのように悲しいエピソードも彼女の中で思い通りにいかない人生への苛立ちを醸成させる一助にはなっていたことだろう。イェシンが去った後の寮母がやりきれない怒りの表情で布団をたたくシーンなど、この施設での悲哀が十分少女の胸に伝播したことだろう。結局ジニが遠い異国のフランスに行く決意をしたのも友人スッキの影響があったからだと思う。彼女が去った後再び現実を受け止められなくなり、自分で自分を埋葬しようとするもできない。現実を見るしかない。どうせ養子となるなら、いっそ父親を思い出さないよう国内ではなく、海外へと吹っ切ろうとする心の動きも理解できる。最後の父親との自転車二人乗りの回想シーンから空港で里親に出会う流れは本当に静かな感動を生む。自伝的な映画なのでリアリティに満ちているのは当然だが、一つ気づいたのはこの施設女児専用なんだなと。これが男女両方の施設だともっと猥雑なお話になる可能性もあったと思う。実際の彼女がどうだったかはわからないがただ、女児専用の施設という設定でストーリーに一定の清潔さが担保されていると思う。少年との恋愛なども描くと盛りだくさんになるし、主題がぼやける可能性もあるから、これはこの設定(実際どおり?)でよかったと思う。 【エリア加算】さん [インターネット(字幕)] 8点(2021-08-14 23:00:15)
4.幼いころ施設に容れられ、その後フランスの里親の元に養子に行ったという監督の自叙伝的な作品であるせいか、主人公ジニの目線で綴られる物語は、徹底的にリアリズムを貫いている。
劇中に起こる周囲の出来事も細部が説明されることはなく、ジニの知り得る事実だけが断片的に描かれるが、その最小限の表現で孤児になった女の子たちの現実が十分に突きつけられる。
冒頭の数シーンで見せるジニの子どもらしい無邪気な笑顔と、最愛の父に置き去りにされて以降の笑顔を失った頑なな表情、どちらもキム・セロンの演技が本当に素晴らしく、非常に惹きつけられた。
私は最後まで、もう一度屈託なく笑うジニの笑顔が見たくって、瞬きさえ忘れて見入っていた。
そうしてラストの記念撮影で笑顔を作って見せるジニを見て、もう決してあどけない子どもには戻れなくなった彼女の決定的な喪失感に胸をかきむしられるような気がした。
アップの表情が印象的なラストシーンでは、新しい人生を歩み始めたジニの幸福を祈らずにはいられない。 【poppo】さん [CS・衛星(吹替)] 8点(2011-11-05 20:14:40)
3.《ネタバレ》 観終わってはじめて自伝的な作品だったと知った。道理で鬼気迫るわけだ。主役の女の子のひたむきな演技もさることながら、その周りを固めるキャラクター達の存在感、リアル感はそのせいだったのか。大きな事件は起こらない。レイプもなければ虐待もない。ただ、どんなに先生達が親切でシスター達が優しくても、孤児院にはやはり哀しみがある。大きな喪失感がある。その大きな存在(もしくは不在)から逃げる者、立ち向かう者、存在自体を否定する者。幼くして「人生」に直面せざるを得ない彼女達の姿は凛々しくそして儚い。
主役の女の子の真っ黒できれいな瞳が心臓に突き刺さった。ひりつく映画だ。 【枕流】さん [映画館(字幕)] 8点(2011-03-10 21:27:25)(良:1票)
2.《ネタバレ》 主演のキム・セロンの素晴らしい演技に最初から最後まで惹き込まれっぱなしでした。親に捨てられた少女が苦しみながらも寂しさや悲しさに負けずに成長していく姿が本当に意地らしくて可愛らしかったです。何よりも終盤で見せる笑顔が本当に印象的でした。
そして、過剰なフィクションを盛り込むことなくその姿を静かにそして繊細に描いたウニー・ルコント監督の技量も見事でした。
【TM】さん [映画館(字幕)] 8点(2010-12-01 00:08:32)
1.『警察日記』の二木てるみ、『ポネット』のヴィクトワール・ティヴィソルにも比肩する子役キム・セロンの圧倒的存在感。
賢しらな芝居を越えた眼差し、表情、佇まいそのものから目が離せない。食器を手で払いのける瞬発的アクションの見事さ。医師との対話シーンでは繊細な長台詞をこなし、情感に富み透き通った歌声を聞かせ、絶妙な表情で喜び・悲しみ・孤独・絶望の諸々を振り幅広く演じきる。
ラストで空港のゲート出口へ向う彼女の、言葉では形容不可能な表情と歩みはとりわけ絶品といえる。
監督をはじめとするスタッフはどのようなアプローチでこれらを引き出すのか、非常に興味深い。優れた助演者たちの功労も大きいだろう。
劇中は子供たちの歌唱以外、音楽を廃した抑制的な語り。エンディングにのみ流れる静かな旋律がまた余韻を残す。
ただ、埋葬シーンの観念性などにはどこかキム・ギドク的な危うさも感じさせる。
【ユーカラ】さん [映画館(字幕)] 8点(2010-10-19 20:56:59)
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【点数情報】
Review人数 |
11人 |
平均点数 |
7.00点 |
0 | 0 | 0.00% |
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1 | 0 | 0.00% |
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2 | 0 | 0.00% |
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3 | 0 | 0.00% |
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4 | 0 | 0.00% |
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5 | 2 | 18.18% |
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6 | 1 | 9.09% |
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7 | 3 | 27.27% |
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8 | 5 | 45.45% |
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9 | 0 | 0.00% |
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10 | 0 | 0.00% |
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