みんなのシネマレビュー |
|
|
|
ネタバレは禁止していませんので 未見の方は注意です! 【クチコミ・感想(8点検索)】
12.本作は3つのパートから構成されているのですが(連合赤軍結成までを描く序盤・のちに山岳ベース事件として知られる総括リンチを描く中盤、あさま山荘事件へと雪崩れ込む終盤)、タイトルが示す通り、あさま山荘事件そのものではなくそこに至る過程を重視することで、あの事件が非常に分かりやすくなっています。また、本作のように歴史的経過を追う作品は事実の要約に終始してつまらないものになりがちなのですが、本作は山岳ベース事件という美味しい部分を山場に持ってきたことで、映画としての面白さがグっと増しています。連合赤軍との付き合いもあった監督にとって本作は思い入れの強い企画だったようなのですが、ただ個人的な思いをぶつけるだけの映画に終わらせず、観客にうける形を追求したことで客観的な完成度も維持できています。俳優の演技も良く、森恒夫と永田洋子の恐ろしさは尋常ではありません。どこかで聞きかじってきたそれらしい理屈を大声で主張し、そんな自分の言葉に酔って周りが見えなくなる森、こういう男って確かにいます。他の女性に対する個人的な僻みや嫉妬心をいつまでも覚えていて、まっとうな理由付けができるタイミングでウサを晴らす永田、こういう女性もいます。彼らをレクター博士やジョン・ドゥのようなモンスターとして描くのではなく、ありふれた人格の延長としてその凶暴性を描いたことで、より恐ろしさが増しています。両者とも指導者には向かないタイプの人間なのですが、組織を結成した大物達が逮捕されるか逃亡したかという状況では、彼らが組織を仕切らざるをえなくなっていました。さらに、学生運動に何万人もが参加していた時代は過ぎ去り、運動では社会を変えられないことが明らかになった時代。少しでも我に返れば「俺達は一体何をやってるんだ」と自覚してしまうことが怖くて、彼らは内面世界へと固執するようになっていました。気に入らないことがあれば「革命のためだ!」と叫んで暴力をふるう、それによって自身の指導力不足と一向に成果をあげられない焦燥感を同時に紛らわせることが出来たというわけです。なんとも恐ろしい世界。しかし、組織のメンバー達も革命ごっこを止めたくないからリーダー達の蛮行に黙って従っていたというのですから、こちらもまた恐ろしい限りです。 【ザ・チャンバラ】さん [DVD(邦画)] 8点(2011-09-23 20:05:26)(良:3票) 11.《ネタバレ》 冒頭、デジタル撮影されたTVの再現VTRのような安っぽさで「これで3時間大丈夫なのか?」と不安げに見ていた。しかし、山岳ベースに入ってからその空気は引き締まったものになっていく。物質主義と癒着にまみれた世界を変えるための崇高な理念が次第に手段になっていき、"総括"と称した反乱分子への私刑に移り変わっていくのでは本末転倒だろう。体制側から描いた『突入せよ! あさま山荘事件』を見ていたので、赤軍側の視点は興味深かったが、ラストの監督の主張がやり過ぎなのは御愛嬌と見るべきか。荒削りならではのエネルギッシュさがある反面、大人のアプローチが欲しい。 【Cinecdocke】さん [DVD(邦画)] 8点(2015-07-09 18:52:52) 10.《ネタバレ》 「実録」というタイトル通り、映画的な面白さよりもできるだけ事実に忠実に描くことを意識していたようですね。当時の時代背景や事件に興味のない人は全然楽しめないと思いますが、ドキュメンタリー的な観点からみると、非常に興味が湧きました。しょーもない「映画らしさ」を出されるよりよっぽどいいですね。この監督の昔の作品である「天使の恍惚」は、ただのごっこ遊びにしか見えませんでしたが、この作品は本当にこわかったです。時代って、ちょっとしたノイズや歪みであんな集団を生み出してしまいます。こわいですねー。それに、森や永田のような、自分の行動を心から「正しい」と信じ切ってる人、現代社会にも存在しますよね。◆総括リンチのシーンはトラウマになりそうなくらい悲惨で、気分が悪くなりました。◆昔、誰もが「共産党・共産主義ってこわい」って言ってたのは、この人たちのせいだったのかな?◆「君たちは完全に包囲されている」というフレーズは、この時に生まれたんでしょうか?また、彼らの「我々の革命的行為によってどうのこうの~」みたいな演説、確か「天才バカボン」でそういうシーンがあったの、思い出しました。そうか、あれはこの人たちのパロディだったんだ・・・。◆「光の雨」の山本太郎は、ただの殺人快楽者のように描かれてしまい、そういう意味ではこの作品の森の方がリアルでこわかったです。◆この映画で「坂井真紀の裸が見られる」と知り、期待していましたが、尻が少し見えた程度でガッカリ。このような観点から本作品を鑑賞しようとした自分を自己批判し、総括します(笑) 【ramo】さん [CS・衛星(邦画)] 8点(2013-02-15 23:55:19) 9.とにかく怖い!下手なホラー映画なんかよりよっぽど恐ろしい。 見所は、のちに「山岳ベース事件」と呼ばれることになる凄惨なリンチシーン。 「総括」というワケの分からないものを強要され、自分の「同士」であるはずの仲間から集団で暴行を受ける、という、その理不尽さに身の毛がよだつ。 特に「遠山」というどこかおっとりした女性が自ら顔を殴って、顔が無残に腫れあがるシーン(これを映しだす映像がまたやたら長い)や、その後縛られてトイレに行けずに漏らしていたり、ついには気がふれるところなど、ちょっとトラウマになるくらいの怖さ。 こんな背筋の凍る思いをできるだけでも、この映画は非常に価値がある。 もっとも、3時間にも及ぶこの長編映画で評価できるのは、作品の中程にあるこの「山岳ベース事件」のシーンのみで、それ以外は正直見るべきところはない。 最初にえんえんと連合赤軍の軌跡のようなものを語るのだが、これはかなり退屈。また後半にはあさま山荘に立てこもるシーンが描かれるのだが、これも、まあいってみれば刑事モノでよくあるような立てこもってドンパチやってるだけのもの。しかも、制作費が相当にケチられているようで、そのドンパチにもまるで迫力がないお粗末な出来。そもそも、あさま山荘を取り囲む機動隊の姿が一切出てこないとかありえないだろう。あさま山荘事件の象徴的な「クレーン鉄球攻撃」シーンも直接描写がなく、残念である。 また、このあさま山荘のシーンで、メンバーの一人が突然「おまえらには勇気がない!だからこんなことになったんだ!」みたいなことを語りだすシーンがあるのだが、これがかなりずっこける。ご丁寧にBGMまで流して、なんだかそのシーンがこの作品の重要な「主題」のような感じなのだが、しかし、「どうして勇気?」と首をかしげざるを得ない。作品を通して、彼らの行動に「勇気がなかった」と、そんな風に描かれることが一度だってあったか?彼らの行動はすべて、勇気を通り越して「無謀」の域に達していて、少なくとも「勇気がない」という感じでは全然ない。とってつけたようなテーマ性みたいなの入れるのはやめて欲しいもんだ。 あと、細かいようだが、映画の冒頭で「この作品に描かれることはすべて事実だが、一部フィクションも含まれる」などと説明があるのだが、全て事実なのに、一部フィクションとはこれいかに?MMRの注意書きじゃないんだからさ(笑) 【椎名みかん】さん [DVD(邦画)] 8点(2010-07-25 01:21:22) 8.確かに3時間の割にはあっというまに終わってしまったと感じる。「ソーカツ」とか「いぎなし!」とか、中身のない空っぽの会話なのに、たくさんの人が傷ついていく、その瓦解していく人間関係が、まるで『es』のようにスリリングであった。逃亡する奴もいたが、なぜだれも止められなかったのだろうか。女の子に手を挙げる前にだれかが気づかないものなのか。きっと人間なんてそんなもんなんだろう。 母からの説得演説を聞いてARATAのセリフの「ふけたな」が泣けた。 【no_the_war】さん [DVD(邦画)] 8点(2009-09-14 22:18:07) 7.彼らが何言ってるのかさっぱり理解できん!でも怖かった!すいません!ということでこの映画に対する自己批判とさせていただきたく思います。 【とと】さん [CS・衛星(邦画)] 8点(2009-08-09 01:01:25) 6.《ネタバレ》 「こんな映画は難しくて総括できません」などと言ったら、殺されかねない…。そんな怖さを感じる映画でした。戦争映画などでこの100倍人が死んでも、こんなに怖かったことはない。あさま山荘で被害に遭われた方には申し訳ないが、あれはオマケみたいな事件だったんですね。少なくとも、この映画の頂点は山岳ベースでのリンチ殺人にある。自分には、出来もしないことをやろうとして苛立った執行部の八つ当たりにしか見えなかった。その八つ当たりが次第にエスカレートして行く。続くのは陰湿で過激なイジメです。イジメが原因で人が死んだら、いじめっ子も反省するのが普通ですが、このいじめっ子は共産革命の高邁な理想を精神的な隠れ蓑にして、反対に何故解ってくれないんだとばかりに悲愴ぶる。狂信的という言葉が似合う状況です。でも冷静に見るとイジメで死んでいるだけで、その情けないシンプルさがとても怖かったのだと思います。冒頭に一部フィクションがあるというテロップが入りますが、山荘で高校生が「勇気がなかった」と言った時に、これのことか、と思いました。あのひと言だけが浮いていたのは、ノンフィクションの流れの中に製作者のメッセージを強く感じたからです。この事件は学生運動に救いようの無い陰を落としました。もし、あの山岳ベースにいた人たちに森と永田を止める勇気があれば、その後の学生運動は良い意味で違った展開を見せたのでは…、という若松監督の悔しさが言わせたひと言だと思います。 【アンドレ・タカシ】さん [CS・衛星(邦画)] 8点(2009-05-28 03:34:03) 5.監督の思考で行けばもう少し右よりかと思いきや、フラットで事実をなぞって作られていると思います。「光の雨」という作品とも、せりふが同じ場面も多いので概ねこういうことだったんだと思います。ただあちらは、山荘立てこもりの前に終わるし、劇中劇の手法をとっていますのでこちらの作品をお勧めします。山荘立てこもりより後は、「突入せよ」で見たことあるような場面が続きます。監督も今の時代は革命をおこすことは無理とTVで発言していましたが、あの時代はある意味、若い人に気概とかパワーがあった夢を見ることのできる時代であったのではないでしょうか。 【たかちゃん】さん [DVD(邦画)] 8点(2009-04-27 15:00:39) 4.組織が存在するうちに、当初の立派な理念は忘れられ、リーダーが権力を誇示するための装置に成り下がる。時には理不尽な粛清も…。観ていて思い切り嫌な気分になりましたが、現在でもそういう例は山ほどあるかと。連合赤軍はそれを極端に表したものと言えますね。 【次郎丸三郎】さん [DVD(邦画)] 8点(2009-04-22 14:19:42) 3.《ネタバレ》 1960年、70年代の日本の高度成長期が生んだ狂気の徒花として、確かに連合赤軍はあった。それは、若松監督が擁護し正当化するように、若者達が暴走した、まさに青春の歪んだ部分の象徴として存在していたと思う。しかしこの映画を観ると、監督の思いとは裏腹に、革命・平等な世界を作るという高邁な思想はどこかに置き去りのままで、薄暗く息のつまるアジトという密室で特異な世界の中で、凄惨なリンチ・処刑が繰り返されていた場面が詳細に映されていて、憤りとやるせなさでたまらなくなる。自己批判・総括とはいったいなんだろう。連合赤軍のリーダー2名は自己批判・総括という名の下にリンチを繰り返す。その理由も幹部批判を行ったり、自分だけ銭湯に入ったり、顔立ちが単に綺麗であるのが気に入らないといった、本当に人間の嫌らしいねたみ・エゴといった理由によるもので、高邁な思想とはほど遠く、怒りすら覚える。総括を指示するリーダー2名こそ、自ら自己批判・総括を行うべきだろう。しかも2名はそれぞれいた恋人を捨てて愛し合うことになる。女性リーダーは「あなたのことは好きだけど、革命を求める2人はこうなって当然だと思う」ということを元恋人に告げる身勝手さ。もうまるで近くの国のことみたいだし、少し前に解体した新興宗教集団のようでもある。話が拡散したけれど、人間は、人間らしいが上に、革命思想とか理屈とかに縛り続けることはとうてい無理で、そんなこと解っているはずなのに、いろいろなことを革命と結びつけて理屈付けしようとするから歪んでしまうし、だからテロ活動も引き返すこともできなかったのだと思う。浅間山荘事件のクライマックスの中で高校生が「勇気がなかったんだ」とメンバーに向かって叫んだけれど、連合赤軍の行動がオーバーヒートしていったのは正にこの一言に尽きると思う。実際に山荘の中でそういったかは不明だけど、そのように連合赤軍のことを捕らえている若松監督の感性に共感を覚えます。それにしても、たった30名程度で、拳銃や猟銃だけで世の中がひっくり変えるわけがないのに、軍事演習といって実施している内容もままごとのようで、それでも真剣に行っている様は、彼らの行く末を知っている自分たちビューワーにとっては本当に空しく・淋しいし、とりわけ総括の下に拷問死してしまった坂上真紀は本当に哀れで可哀想でした。 【たくみ】さん [DVD(邦画)] 8点(2009-03-21 23:44:48) 2.《ネタバレ》 60年代から各地に広がった学生運動の経過と、その行き着いた先としての連合赤軍の「山岳ベース事件」と「あさま山荘事件」を中心に映画化した作品。冒頭のテロップにあったとおり、実名での配役を含め、事実に即した構成になっている。ちょうどその年代に生まれた世代の私などは、これらの事件(特に山岳ベースでのリンチ事件)を全く知らなかったが、この作品はそのような世代にもわかるように丁寧に時系列で彼らの軌跡を見せており、まさにあの学生運動という巨大なエネルギーがどのようにして「あさま山荘」に至ったのか、文字どおりその道程を描いている映画である。各役者も体当たりの演技を見せており、見応えのある映像に仕上がっている。エレキギターをフィーチャーした音楽も雰囲気が見事にマッチしている。これまでにこのような作品が作られなかったことを考えると、近年になって永田や坂口らの主犯格(ここではあえてこう表現する)の刑罰が確定したことからも、この事件をようやく「総括」できる時期にさしかかって来たと監督は判断したのだろうか。しかし私個人としては彼らの行動を「総括」することはまだできない。ただ言えることは、いかなる高邁な理想を掲げた組織であっても、大衆の支持(そしてその健全なる監視)を得られず、閉鎖的になった途端、そのエネルギーは外から内に向かうようになり、その理想とは正反対に自己破壊に至ってしまう、という現実だ。これはいかなる組織にも言えることだろう。その意味で、彼らの本当の敵は、体制ではなく、自らが創造した組織(軍)そのものだったのではないだろうか。それゆえに、あさま山荘で加藤弟の「あんたも、あんたも、勇気がなかったんだ!!」との叫び(これがあきらかに脚色だとしても)に、この事件の真実があると若松監督は言いたかったのではないだろうか。しかし、それ以上に、この作品は極めて近い過去に、理想に生き、命がけでその理想を実現しようとした若者たちが確かにいたことを改めて想起されてくれる。かれらの犯した罪に弁護の余地はないとしても、「思いつき」で「なんとなく」人を殺してしまう今の一部の若者を思ったとき、あの時代の若者が、今の若者に「私たちは確かに失敗した。だが、あなたたちは命をかけて悔いない理想があるか」と問いかけているように感じてならない。あっという間の3時間余りを観おえ、平和な街の喧騒を歩きながら、そう思った。 【田吾作】さん [映画館(邦画)] 8点(2008-05-05 19:12:36) 1.多くの日本人に観てほしい作品です。 【Yoshi】さん [映画館(邦画)] 8点(2008-04-24 22:14:04)
【点数情報】
【その他点数情報】
|
Copyright(C) 1997-2024 JTNEWS