みんなのシネマレビュー |
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ネタバレは禁止していませんので 未見の方は注意です! 【クチコミ・感想(8点検索)】
5.《ネタバレ》 不安定なキムそのままのような揺れと、ホームビデオのような印象。手持ちカメラの効果がすごく発揮されていて、傷つけ合い分かり合えない、一つの家族の姿が生のように映し出されてました。巧いですね。自分を決して許せないが故に自分を傷つけるキムと、振り回され耐えるレイチェル。諍いはあっても、二人が本当に接して欲しかったのは、母親ではないんだろうか。怪物のようなあの母親こそが、特にキムにとっては向かい合って欲しかったんだろう。翌朝にさっと帰ろうとしたり、ケーキ入刀後にすっと手を引っ込める、母親の根は深い。庇護する父親の存在も、過去のことを思うと、キムにとっては苦痛でしかないだろう。妹と姉、そして母親と、女の血を見てるようで、何とも身につまされるような、生っぽくも痛々しかったです。あと、音楽が素晴らしいですね。劇中のNeil Youngの曲といいカントリーやらサンバやら、出演者に合わせたような多国籍な音楽がすごくよかったです。 【泳ぐたい焼き】さん [DVD(字幕)] 8点(2009-12-20 00:02:32)(良:1票) 4.《ネタバレ》 “家族”を繊細に描き切った良作といえる。本作には“家族”の中に微妙な不協和音が常に奏でられている。その微妙な“空気感”が見事に演出されている点が素晴らしい。 問題ばかり起こす妹に対して、自分の結婚式は自分が主役だとばかりに邪険に扱う姉と、久しぶりに家族に会える喜びがあるのに祝福されない妹の間には、いつ爆発してもおかしくない空気が流れている。また、キムには弟を事故で死なせてしまったという拭い去れない過去があり、“家族”の中でもわだかまりが消えずに残っている。楽しく笑顔で溢れていた「食器洗い合戦」中にも、死んだ弟の影がかすめると、一気に笑顔や笑い声が消えてしまうような繊細さが描かれている。 このような問題を抱える“家族”であり、お互いにいがみ合い、憎しみを抱くような脆さもあるが、なかなか壊れることのないものだと感じさせる。どんなに罵り合っても、抱しめ合えば、憎しみも消えてしまう。ラストの風呂場での姉妹の姿は実に感動的なものだった。特別な言葉も何も要らないのかもしれない。姉妹というものはそういうものなのだろうか。 キムの“家族からの愛”を求める姿が痛々しく描かれている。 アン・ハサウェイがアカデミー賞にノミネートされたのも分かる演技だ。 どんなに愛されたいと願っても、まるで「はれもの」のように扱われてしまう。 姉の結婚を祝福する輪の中でも完全に浮いている姿が印象的だ。 心の中では「謝罪」で溢れており、心の中から楽しむことはできないのだろう。 キムには弟を失わせてしまったという苦しみを抱えているが、それを抱えているのは彼女だけではなく、母親もまた弟の死の責任を抱える存在でもある。 弟の死が離婚の原因ともなっていそうだ。 母親が素直に結婚を喜んでいないのは、キムと同じ境遇だからなのかもしれない。 愛を求めて母親に会いに行っても、同じ境遇同士が傷を癒せるはずもない。 ラストではキムは施設に戻っていくが、自分には“帰る場所”があると分かったのではないか。最後のキムには何かが“吹っ切れた”感じがした。 悪い意味のものではなくて、良い意味のものだと思いたい。 ホームビデオ風の映像もなかなか面白い。 まるでイラクから帰ってきた軍人が撮っている映像を見ているかのようだ。 監督の狙いは、観客は結婚式に呼ばれた客であり、あの場面に遭遇しているかのようにという意図を込めているのかもしれない。 【六本木ソルジャー】さん [映画館(字幕)] 8点(2009-05-10 00:31:12)(良:1票) 3.独特のカメラワークや演出で、最後まで退屈させられない作り。 キムの痛々しさが見ていて辛いが、観客が痛々しいと感じられるほど、キャラクター描写が上手くいっているということ。他のキャラクターも、行動原理に矛盾が無い。 この作品のテーマとしては、社会的にスティグマを負う環境(キムのように依存症治療施設・精神病院・刑務所など)から社会に復帰した際に、受け入れる側・当人がどれだけ苦労するか、というところかなーと。 社会的な受け入れられやすさとしては、日本より進んでいる国が多いと思うが(前科者でも普通に仕事に就けたり)個人の感情としては、世界共通で難しいんだろうな…と。 受け入れる側は心配して過保護・過干渉になったりしてしまうだろうし、戻ってきた当人にも負い目があるから自意識過剰に反応してしまう… お互い、愛情や反省の気持ちがあるのに、深いところまでいかずに表面の段階で衝突してしまう…。 このようなことを考えさせられた、人間ドラマとして秀逸な作品。 【Sugarbetter】さん [CS・衛星(字幕)] 8点(2013-09-29 20:14:13) 2.《ネタバレ》 精神的に不安定な女性と家族との関係を率直に捉えた映画。女性に対する家族それぞれの向き合い方が丁寧に描かれています。当たり障りなく普通に接しようという父親、勝手な行動に素直に不満をぶつける姉、関わりたくないような素振りを見せる母親。それぞれの行動から見えてくるのは、「家族」という切っても切れない関係。息子の死という暗い過去が背景にあることが後半に明らかになりますが、そういった過去があるかないかに関わらず普遍的なテーマなのではないでしょうか。 【カワウソの聞耳】さん [DVD(字幕)] 8点(2010-03-30 23:28:54) 1.《ネタバレ》 期待以上の良作だった。家族ならではの息苦しさ、残酷さ、温かさが見事に描かれている。トラブルメーカーの妹キム、しっかり者の姉レイチェル、頼りない父、離れてはいるけれどやはり一番頼れる母。彼らには皆違った側面がある。母親とか父親とか以前に一人の人間だから。 家族は、どんな時でも自分を受け入れてくれるもの。それに間違いは無いしそうであるべきだと思う。しかしそうは言っても一人の人間の集まりなのだから、受けてしまった傷はそう簡単には治らない。お互いその事には触れないように、忘れようとしているわけじゃないが、そんな話をしても自分がさらに傷つき苦しむ事になる。 だからあの一家の心の傷の原因であり、傷そのものであるキムを姉も父も自分の傷に触るように、悪化させないようにそっと接する。 キム自身も自分がどのような存在であるかはよく分かっている。それでも普通に接する事が出来なくて衝突してしまう。そこで初めて辛く当たってくる姉の心情を聞き、その場を取り繕ってばかりの父の脆さも知った。皆同じように苦しみを抱えていたのだ。 改めて自分が一家に残した傷を見てしまい、自分を受け入れてくれる人を、傷を少しでも癒してくれる人を求めて母のもとへいく。しかし一番強い人だと思っていた母でさえ大きな傷を負っていた。 誰にも癒してもらえず、心身ともにボロボロになってキムがたどり着いたのはやはり家族のもとだった。 その傷を治す事は出来ないかもしれない。でも家族がいれば少しは乗り越えていけるかもしれない。辛い事も多いけれど、それが出来るのは家族だけなのだ。例え一人の人間の集まりで、脆くて扱い難いものでも、家族はそう簡単に壊れるものではないから。良くも悪くも、家族はいつでもつながっているのだから。 ラスト、家族の温かさを知ったキムが施設に戻っていく姿には素晴らしい清々しさを感じた。 【Sgt.Angel】さん [映画館(字幕)] 8点(2009-06-29 17:22:34)
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