みんなのシネマレビュー |
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ネタバレは禁止していませんので 未見の方は注意です! 【クチコミ・感想(8点検索)】
2.《ネタバレ》 映画館の予告は見てました。R18だし嗜好的にどうかと思ってたので視聴見送り予定でしたが、アカデミー受賞で評判も良さげで題材も好みっぽかったので観てきた感じです。 率直な感想としてはすごい良かったです。 前半部のものすごく舞い上がっていく夢のような展開に、後半の怒涛のような闘争と転落が実に劇的でメリハリがあって、あと自分は娼婦じゃない、ストリップダンサーなんだ! という誇り高さに痺れて最後まで応援したい気持ちで観ながら一気に走り切った感じでした。 この辺の風俗業的な職業差別については、つい1~2年前くらいに日本でも当事者の意見を全く反映してない偏見に満ち満ちた法律が決議施行されて、かなりの偏見が国内でもまん延してることが明らかになったわけですけれども、本映画の感想でも「娼婦の話で~」というような、お前ほんとにこの映画観たのかよ、まったく全然何もわかってないのじゃないのか!? というような偏見に満ちた感想がネット上にあふれてて、いかがなものかと思ったりしています。 そういう意味でも、今まさに時流をとらえた挑戦的な作品(しかもエンタメとしてもよくできている)なわけで、受賞も納得だなあと思いました。 あと、エンドのあのかかわりとエンドロールの辺の演出については、私個人としては創作系の学校に行っていたときに出た心理テストを思い出したのですが、どういうテストかというと主人公ヒロインに関わる男性が何タイプか居て、その中で誰が最も好ましいと感じられ、逆に最も嫌悪感を覚えるかというもので、その一人にヒロインの願望をかなえることに協力するけど代償としてセックスを要求する男性というのがいて、それが好ましいか、嫌悪感を覚えるかどちらでしょう? というので評価が真っ二つに分かれたんですよね。 で、本映画だと主人公からするとそれは、仕事外の行為で、相手に対する親愛の情の証であり、そういう世界にどっぷり浸かったそういう文化圏の人間なのだ、という風に認識して見えたので、だからあのあと恋人同士になるとか、結婚するとかまったく考えてもないしありえないと思ったんですけどどうなんでしょうか。まあ友人にはなれるかもしれない。 主人公と、あの最後の彼との分かり合えなさは、典型的な今どきの男女間のすれ違いを如実に表してたと思うのですが(と同時にわかったつもりになってるだけの今どきの象徴的男性像でもあり)、主人公は、あれは暴力だというのに一切耳を傾けず、ただ暴れるから抑制しただけだと平行線をたどったまま終わる。主人公は果敢にもあらゆる手を尽くして暴力に抵抗するのですが、最終的に屈してしまったのは、顔に大きな傷を付けられて、それは彼女の商売道具でもあるのでさすがにまずいと意気消沈して、やっとおとなしくするのですが、その傷跡を、夫やあの男にいかにもわざとらしく見せつけても、彼らはそれがいかに重大な心折れることであるかをまったく理解せず話題にもしないわけで、かなり酷いことになってる。 そんな風にお互いまったくわかり合えないことが描かれてるけど、あれの返還によって、好意と相手からの親愛の情はわかることがわかるという風に感じました。 エンド後の感想としては、いろいろ大変だったけれども最終的に合計5万ドルなら、まあまあどうでしょう? と思った感じです。 ああでも、最近、示談金9000万とかいう話があったばかりでした。すごい時流だなあ。 そんなところです。 【sim】さん [映画館(字幕)] 8点(2025-03-06 12:43:23) 1.《ネタバレ》 ニューヨークに暮らすストリッパーの女性アノーラと、ロシアのオリガルヒの御曹司イヴァンとの無軌道な恋を描いたショーン・ベイカー監督作。公開以前から世評が非常に高く、まさかの本作鑑賞当日には、本作がアカデミー5部門を制覇するニュースまで飛び込んできたから、たまたま映画を観にいったこちらとしてもびっくりであった。 主役のアノーラを演じたマイキー・マディソンは見事に主演女優賞を獲得。25歳とかなり若い年齢でのオスカー獲得だが、これはこの時期の、若い彼女にしか表現できなかった演技を高く評価されたおかげだろう。イントロから体当たりのシーンの連続。ヌードシーンやセックスシーンも多い。映画ではそれらがロマンチックというより、むしろリアリスティックに描かれていた。ストリップを行うシーンはアノーラのお仕事シーンとして描かれ、イヴァンとアノーラのセックスシーンはどこか刹那的というか、即物的な感じで描かれる(今からすると、二人の関係に愛は存在しないという伏線だったのかも)。総じて、若さを発散するかのような身体の大胆な露出も厭わず、それでいて若さゆえの思慮の無さを同時に表現したマディソンの演技が、非情に印象的だった。もちろん、イヴァン役のマーク・エイデルシュタイン、ユーリー・ボリソフの助演も素晴らしい。前者は最初から最後まで信頼してはいけない屑男の雰囲気を上手く表現できていたし、後者は、中盤以降のヒロインの相手役で、用心棒のくせに妙に人間味と愛嬌を持つ人物を表現できていた 序盤は無軌道なシンデレララブストーリー、中盤はドタバタコメディ、終盤はほろ苦いヒューマンドラマとして締めくくる風変わりな構成(三幕構成としては実に綺麗な構成だが)。そして、エンディングは今までこの手の映画で見たことがない展開と演出であったため、観る人によって評価が分かれるだろうと予測する。ただ、アノーラの心の奥底にあった悲しみが爆発するシーンでもあり、強く印象に残った。この先、アノーラはどういう人生を辿るのであろうか。映画は答えを用意しない。冬の景色の中、観客は取り残される。 【nakashi】さん [映画館(字幕)] 8点(2025-03-04 01:28:59)
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