みんなのシネマレビュー |
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ネタバレは禁止していませんので 未見の方は注意です! 【クチコミ・感想(8点検索)】
8.狂ったとしか思えないこんな出来事が昔の日本で実際にあったなんて信じられない。特定の宗教を持たない日本人にとって「命」とはなんだ?と考えさせられる作品。原作にはかなり忠実で、描写される集団心理が本当にリアルだったし、怖い映画だった。でも、何故岡田真澄なんだよ。 【Fukky】さん [DVD(邦画)] 8点(2012-01-01 22:35:03) 7.《ネタバレ》 成田三樹夫や岸田今日子という配役が実はちょっと心配だった。モロ悪人・モロ非人間って感じの造形になってるんじゃないか、と。しかしさすがいい役者はフトコロが深い、ズルズルとああいうことやってしまいかねない環境をじっくり再現する部分としての役割に徹し、個人の問題を越えられた。あたりに瀰漫している死。大きい動きに翻弄されて、責任もその大きなものに寄りかかっていれば消えていってしまう気配。言い訳が準備されていれば・別の責任者がほかに用意されていれば、人は大抵のことは何でも出来ちゃうという怖さ。本来善なる目的を持った集団が、狂気をはぐくむ。そこへ向けて凝集している作品になれた。人を生かすための手術では死なせてしまい、人を死なせるための手術では、その心臓の強靭さに素直に感動する空気がみなぎる。ここらへんの皮肉。そしてラストのキモ。日本人がキモと発音するときの精神主義の厭わしさが重なって、私は単なるブラックユーモアを越えたと思った。 【なんのかんの】さん [映画館(邦画)] 8点(2010-07-31 10:09:44) 6.《ネタバレ》 1980年代の日本映画で最高傑作と呼び声の高い本作。わくわくしながら鑑賞を始めた。ところが、しょっぱなからグロテスクでリアルなオペシーンが登場。ここで早くも気分が悪くなる。モノクロ映像だが、カラーでも観てみたかった気もする。ただ、陰鬱な雰囲気を醸すにはモノクロ映像が功を奏していたかもしれない。さて、本作の肝は、日本国が実際に行ったとされる生体解剖実験を、世に問題提起する社会派劇としての部分だ。米国人捕虜を実験台に、生きたまま解剖し、日本の医学発展に役立てる。これが生体解剖実験の大儀名文だ。日本に原爆を投下し、大量殺戮を行った米国人ならば、生体解剖の生け贄にはうってつけだという主張。これは現代の感覚からすれば、全くの誤りだろう。しかし、殺し殺されの戦時下においては、あながち無理な理屈ではない。 結局、手段こそ違うが、戦争をしている時点で、人が人の命を奪い去っている事には変わりがないからだ。そもそも、この生体解剖実験が良いとか悪いとかいうよりも、もっと広い視点で見て、戦争そのものが及ぼす、あらゆる方面に与える悪影響というものを考えるべきであろう。戦争が巻き起こすあらゆる問題の一つに、この作品の主題である生体解剖実験というものが含まれているにすぎないのだ。そう考えると、戦争を起こさないということが全てなのだ。戦争さえなければ、生体解剖実験などというおぞましい出来事もなかったであろうに。そう色々考えさせられた本作は、反戦映画として出色の出来というべき内容に仕上がっている。なるほど、1980年代の最高傑作の呼び声とやらは、あながち間違っていないかもしれない。それにしても、岡田真澄の外人役はマイナスポイント以外の何物でもないなぁ。岡田真澄の存在が、この作品の社会派劇としての格調高さを台無しにしてしまっている。それに、医師と看護婦のロマンスのようなサブストーリーも必要なし。半端に娯楽要素を取り入れてしまっているのが残念だ。もっと徹底的に硬派な作りにしてほしかった。 それと忘れてはならないのが成田三樹夫の活躍ぶり!ヤクザ役が多い成田三樹夫だが、こういったインテリ役且つ毒気のあるキャラを演じさせても素晴らしい。成田三樹夫には、もっと沢山の個性的でドスの効いたインテリ役を演じてほしかった。実に惜しい。何しろ、成田三樹夫は実際にも破天荒なインテリであったのだから。 【にじばぶ】さん [CS・衛星(邦画)] 8点(2009-04-20 00:03:36) 5.太平洋戦争中に日本が行なっていた事実のひとつですね;学校の歴史の授業では教わることのない出来事で、話には聞いたことがあったけど、この映画を観て改めてショックを受けたという感じです。私も同じく、最後に医学生の戸田が言った「こんな時代の、こんな医学部にいたからやったまでだ。」のセリフが重く響いた…。あの頃の日本て、多くの人間の良心が麻痺してしまっていて、国全体が一つの過激なカルト集団みたいだったのかなと思ってしまう。原作は読んだことがないですが、遠藤周作の著作はキリスト教の思想を話の中に取り入れているのが多いようで、この映画でも「神っていうのはいるんだろうか」「神の罰が怖くないのか」といったセリフが出ていたのですが、私は少し強引にそういった思想を入れ込んでいるようで、ちょっと気になりました。あの現場の出来事を冷静に淡々と描いているところはすごく訴えられたけど、キリスト教の視点からその事件を考えてみるというところは、他の作品でもそうなのですが何となく余計な気がしてしまうんです…。生意気な意見です(^^; 【kiku☆taro】さん 8点(2004-03-19 18:11:19) 4.前半、結核患者の手術に際して白黒の画の中で流れる血が、白黒なのに異様にリアルで赤く見えそうなほどで、震えながら観たことが鮮明に記憶に残っています。その時はまだ、僕は原作を読んでいなくて、「白い巨塔」のような医師の世界の矛盾だとか、戦争の悲惨さを伝える映画だと思っていました。しかし今は、もっと深い宗教性と、「白い人・黄色い人」に近い日本人ゆえの悲しみに似たものを感じています。特に、ラストでの勝呂と戸田の会話は、どちらも、この社会の真理の一端を突いており、「殺人」を犯した者が得たことが何だったのか、それを語っているように感じました。また、原作では愚鈍で純朴な印象の強い勝呂医師を、奥田瑛二という適役だとはとうてい思えなかった俳優さんが見事に演技していることに意外な驚きを感じました。それに対してクールな戸田に渡辺健を持ってきていることには二重の驚きでしたが、その役を上手く使いこなせていたと思います。ヒルダ夫人と上田看護婦のエピソードは非常に大きなインパクトを与えています。大連で死産になった子供が、ちょうどヒルダ夫人の娘と同じくらい。「白人の肌って切りにくいのかしら?」と口走った彼女の、冷たい心のうちが透けて見えます。 原作を読んでいる方にですが、実は遠藤周作の「海と毒薬」には続編があります。「悲しみの歌」というタイトルで、「海と毒薬」とは全く違った毛色の作品ですが、勝呂医師のその後をこの作品で読む事が出来ます。 【fero】さん 8点(2004-01-19 06:37:54) 3.色んな意味で怖い映画でした。 最初白黒だったので「古い映画?」って思ったのですが。 特に手術シーンは、なんとも言えない不気味さが出ています。カラーだったらあの迫力は出ないのでしょうね。 医者は神様では無いと言う事を認識しました。医者だって普通の人間ですよねぇ~。 患者が妙にへりくだっているのが、見ていて辛いです。 【あずき】さん 8点(2003-12-19 10:02:24) 2. 遠藤周作の曰く付きの同名原作を社会派・熊井啓監督が映画化。確かに手術(ってか人体実験)シーンの生々しさは原作には無いリアルさ且つ気色悪さ!!勝呂と戸田を演じた奥田瑛二と渡辺謙は力演。二人を尋問する岡田真澄は…何か変。外人っぽい喋り方はワザとなのか?あと、個人的に太鼓持ち風の医局員を演じた西田健の怪演も特筆しておきたい。よくいるんだよナァ、世の中にゃあんなヤツが!!と思わしめるイヤらしさが何とも絶品だった。ベルリン映画祭銀熊賞を受賞。80年代邦画では最高レベルの作品の一つ。 【へちょちょ】さん 8点(2003-01-28 03:21:57) 1.成田三樹夫と根岸季衣の演じっぷりが印象的。彼らの演技があってこそ、作品全体に漂う陰鬱さが強まっている。 【からがも】さん 8点(2002-12-04 13:03:35)
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