みんなのシネマレビュー |
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ネタバレは禁止していませんので 未見の方は注意です! 【クチコミ・感想(8点検索)】
23.《ネタバレ》 この映画がアカデミー賞に値するかという意見については「当然」と主張したい。 なぜならほら、よく思い出してほしい。 戦争という背景、そして夫のいるヒロイン・・・夫とは燃えるような愛情ではなく情の延長線上にあるような関係、ヒロインに恋するアウトサイダーな香りのする男・・・ そう、あのハリウッドの不倫映画の名作「カサブランカ」臭がするのだから。 カサブランカの舞台は北アフリカのモロッコ。 そしてそのモロッコは、マレーネ・ディートリッヒ主演の不倫要素も含んでいたハリウッドのレジェンド的作品「モロッコ」の舞台でもある。 今やアカデミー会員の中身も、多様性を主張する声に押されて女性や有色人種の割合も増え、新しい価値観の風が吹き荒れている。 しかしちょっと前までは、大多数派である高齢の白人の男たちが牛耳る、高齢の白人の男たちのお祭りであった。 となれば、今から20年以上も前のこの「イングリッシュペイシェント」という往年の名作の香りを漂わせる不倫映画が、不倫のひとつやふたつはしてそうな昔のアカデミー会員のオジサマ&オジイサマ達に 「なんて懐かしい世界観!ワンダホー!」 …と思わせ、彼らの心にロックオンしても何の不思議もない。 アカデミーでこのような古典的な香りのする不倫映画がオスカーを受賞できたのは、まさに当時の”時代がそうさせた”ともいえよう。 そして「不倫なんてけがらわしい!作品にするなんてありえない!」と頭ごなしに否定しそうな、厄介すぎるフェミニストの人数が増えた現代のアカデミーにおいては、もう二度とオスカーを受賞することはないであろう(ゆえに、作ろうとする監督やプロデューサーもいないであろう)、貴重な類(不倫)の作品でもある。 劇中でアルマシー伯爵は、ひとりの女性を愛したことで、結果的には仲間をピストル自殺においこみ、あるいは飛行機での無理心中においこみ、さらに無関係だった人間でさえ敵軍にとらえられ指をはねられる運命へと引きずり込んでしまう。 「彼女以外の事はどうでもよかった」と、関係者だろうと無関係者だろうと彼らが死のうが体の一部を失おうが、彼女のもとに行くための飛行機とガソリンを手に入れるためだけに敵国に味方の地図を渡すアルマシー伯爵。 そこまでしても彼女を死なせてしまい、一番の目的であった彼女を手に入れることはできなかったアルマシー伯爵。 彼女に指輪を贈りたくても、彼女の左薬指にはすでに別の男の指輪。 でもシンブルなら贈っても夫の目に不自然ではない。 バザールでボッたくられながら買って彼女にプレゼントした、それはとても何気ないものだったけれど、彼女にとっては指輪以上の意味を持っていたのだろう。 アルマシー伯爵が瀕死の彼女の胸にペンダントにして身に付けられたシンブルを見つけて、初めて堰をきったように泣き崩れた場面では胸がどうしてもしめつけられた。 洞窟で死んでしまった彼女の、彼が好きだったという首の付け根(アルマシー海峡)に、そのシンブルの中にあるサフランの粉をこぼし、それで彼女の顔に化粧をほどこして、彼女を白い布で覆いお姫様だっこで洞窟から現れた彼は、まるで教会の中から花嫁を抱いて出てきた花婿のように錯覚した。 しかし彼女は死んでいて、彼女を飛行機に乗せて死に場所を求めてふたり旅立つ光景は、未来のない新婚旅行に見えてやるせなくなった。 どんなに愛しても、結婚して祝福されることのない関係・・・。 不倫は、愛情の深度と現実に起きる出来事とのギャップが 通常恋愛よりも大きいからこそ、見るものに、人間のやるせなさや、もどかしさ、やりきれなさ、どうにもならい閉塞感と悲壮な感情をこれでもかというほどに、かきたてる。 そういう意味で、けして映画のテーマとして否定してはならない、外せないカテゴリーであることは間違いないと思う。 (エロシーンばかり売りにした安っぽい不倫映画はダメだけど) アルマシー伯爵の不倫からの安楽死という悲しい結末(闇)の後に、”私と関わった人は必ず死ぬ”というジンクスを破ったインド人彼氏との未来に希望を抱くジュリエット・ビノシュや、 積年の恨みを手離し恋人との未来に心弾ませるウィレム・デフォーというサイドエピソード(光)を描くことで、 「闇のあとには光が現れる」「闇夜の後には必ず夜明けが訪れる」 というイメージが、往年の名作のオマージュに感じられるこの北アフリカの自然と溶け合い、これだけアルマシー伯爵を起点に大勢のひとたちが悲しい運命をたどったというのに、最後はなぜかすがすがしい気持ちにさせる・・・ 不倫のように複雑な味わいのある映画であった。 【フィンセント】さん [CS・衛星(字幕)] 8点(2019-02-07 11:10:33)(良:1票) 22.初めて見たときは全く好きになれない映画でした。あのねちっこい不倫のシーンとかって日本人にはいまひとつ受け入れにくいのではないでしょうか。2回目はテレビ放映で見て、不倫以外の部分も見えてきた。3回目は友人がDVDを貸してくれてたので見たのですが、見るほどにいい映画だと思えました。主人公は自分の愛するアフリカの国が英国の殖民地になっていくのが許せなかったのでしょう。彼自身が言っているし、爆弾処理係のインド人も語っています。登場人物が全て傷ついて絶望的になっていましたが、生き残った人々が希望をもってこれから生きていくだろうと暗示するエンディングがとても良かったです。心が晴れやかになりました。映画って1回見ただけで判断してはいけないなと思いました。 【Jade】さん 8点(2005-01-19 01:03:20)(良:1票) 21.《ネタバレ》 “The English Patient”『イギリス人の患者』。 上空から見た砂漠のうねりが何とも美しい。女性の体の曲線美にように艶めかしい凹凸。そして泳ぐ人の壁画の模写。単純な線なんだけど腿や腰の肉付きの表現は、原始的ながら女性独特の体型を想像させる。そしてキャサリンの体の線の細さ。抱きしめたら折れそうな細さ。 彼らの仕事である『砂漠の地図』も、彼らが洞窟で発見した『泳ぐ人の壁画』も、特定の誰かのためではなく、自分たちのことを後の誰かに伝え残したい気持ちが強かったんじゃないだろうか。 アルマシーが記憶を失った(事にした)のは、ドイツに協力したことを隠して図太く生き延びるためではなく、キャサリンとのことを残したかっただけなんだろうなぁ。カラヴァッジョに当時の自分の気持ちを伝え、ハナにキャサリンの最後の手紙を読んでもらい、自分がここにいる理由を再確認することで、思い残すこと無く死ぬことが出来たんだろう。 不倫に嫌悪感を抱くのも理解できるけど、心から1人の女性を愛したことのない不器用なアルマシーと、深く考えず幼馴染と結婚してしまっていたキャサリンの愛と考えると、それこそ人種に対する偏見や、国が違うことで起きる戦争と同じ悲劇とも思えた。国境があるために起こる悲劇が戦争なら、婚姻があるために起こる悲劇が遅すぎた愛なのかしら。 別れ際、当然というか大人らしい選択をしたキャサリン。まさかの無理心中の際に、ネックレスにした指ぬきを付けていたのが、それが鎖骨のくぼみに収まっていたのを観て涙が出てしまった。 愛より夫を選んだけど、ここ(天突って言うそうだけど、これ東洋のツボの名前だよなぁ…医学的には頚窩(ケイカ=jugular fossa)って言うそうだよ?)は、二度と会うことは無いあなたのもの。って、キャサリンのような大人の女性がこんな可愛らしいことしてたら、この世ではない場所までキャサリンに会いに行った、アルマシーの気持ちが解ったような気がしたわ。 【K&K】さん [DVD(字幕)] 8点(2023-09-24 23:20:35) 20.個人的なツボは、「艦長」とデフォーがやりとりする凄惨なシーン。艦長以外を演じる「艦長」を初めて見ました。陸に上がってもやっぱりドイツ軍人で、やっぱりクールですね。チョイ役でしたが。 【眉山】さん [インターネット(字幕)] 8点(2015-04-23 21:23:24) 19.単なる不倫を詩情豊かに謳い上げた映像美が光ります。聖書やヘロドトスを引用したり、愛をしたためたポエムなど、耽美的な文学的表現を意図しているよう。欲情にまかせた官能的な愛の表現がヤらしいです。別れ話のシーンには、自分の昔の恋愛を思い出しました。当時、彼女から告白されて付き合っていたことがあります。「もし別れることになっても、その時は男らしくキレイに別れてあげよう」と高をくくっていました。が、いざ彼女から別れを切り出されると泣いてすがったのは自分のほう。すごく取り乱して、随分ヒドいことも言ってしまいました…(今でも後悔しています)。「カッコよく別れよう」なんて思っていた頃は彼女のことが大切じゃなかったのかもしれません。でも、いつの間にか彼女を心から好きになっていたのだと気づかされたのです。アルマシーの気持ちが痛いほど分かりました。 【やすたろ】さん 8点(2004-08-04 16:18:32) 18.人を好きになるのに理由なんてなく、その為に周りの人々を傷つけ、その代償として全身ヤケドを負い、夫を亡くし、洞窟の中ではてようとも、二人はそれを、死をも受け入れてゆく・・砂漠の壮大さが〝不倫話〝をサラリとさせていたのでしょうか。彼がキャサリンを抱いて洞窟から出てくるシーンはまるで彼の花嫁さんのようでした。ビノシュの笑顔が時折観ている私の気持ちをホッとさせました。いくら好きで好きで仕方ない相手でも一緒になれないというのはとってもつらいし、〝運命〝という言葉だけでは割り切れないはかなさがありますね。 【fujico】さん 8点(2004-05-09 21:51:32) 17.エンディングとオープニングが繋がっている創りや砂漠などの自然豊かなスケールの大きさには驚かされる。 音の繋がりや記憶と共に現在と過去が同時に進行していき、その中でいくつかの人生を描いているのも面白いし上手い。 恋愛の甘さだけでなく愛憎や醜さもしっかりと丁寧に時間をかけて描けている。 「自分はもう死んでいる…」肉体だけでなく精神的な比重が大きいこのセリフと何個かのモルヒネを机の同じ場所に集めるシーンが胸を打つ。 ただ最後の「約束」を果たすための苦労や苦悩をもっとキツメに描いた方がより効果的じゃないかと思った。 【六本木ソルジャー】さん 8点(2004-04-20 20:53:21) 16.情緒たっぷりのメロドラマ。戦争に対して突き放したスタンスを保ち、過去と現在を交えながら徹底して個人の話が展開する。戦争や政治に関する妙な大義名分をおくびにも出さず、個人の感情に焦点をしぼったところがとても良かった。 【ラーション】さん 8点(2004-04-07 16:47:39) 15.《ネタバレ》 途中ちょっと長いなとも思ったけど、怪我をしたキャサリンを洞窟へ運ぶあたりから(ほんとにラスト近くですよね)自分の気持ちが一気に集中していきました。砂漠上空での飛行シーンがせつなさを増しています。ラストの音楽がなんとも言えない余韻を残してくれます。「愛人/ラマン」と同じ人が音楽担当だったんですね。あの映画も同じ感じで余韻が残ったので妙に納得しました。ジュリエット・ビノシュってたくましさもあり、不思議な色香もありですてきです。 【きょうか】さん 8点(2004-01-31 17:12:02) 14.恋愛映画の一方、戦争を批判する映画でもある。戦前、主人公のアルマシー伯爵は英国のために地図を作っていたのに、自分の国籍を証明する書類を持っておらず、名前がドイツ的という理由だけで故郷の人間に敵国人扱いを受ける。助けを求めても、一人の人間としての尊厳は無視されて「国籍」が全てとなる異常さ。そしてそのために愛するキャサリンを死なせてしまう。終戦と現在進行形で進んでいる看護婦とインド人将校との恋愛がせめてもの救いを見せてくれる。インド人将校が不発弾処理に成功することにより、看護婦がそれまで怯えていた「自分が愛する人を死なせてしまう呪われた自分の運命」を乗り越えることができる。空の青と砂漠の黄色が印象的な、映像の美しい作品。 【みねこ】さん 8点(2004-01-10 23:15:02) 13.テレビで監督が記者会見していたときのコメント「愛とは本来暴力的である、お互い被害者でもあり、加害者だ」というよな内容を言っていた。かなりこのコメントには納得した。当時彼氏とケンカが絶えず暴力もあった。お互い好きだけどうまくできない。殴られている私がいつも被害者だと思ってたが冷静になったり人の意見を聞くと、殴らせる私も悪く、そういう点で私も加害者だったのかな。相手を思いやり優しく包み込むあたたかいだけが愛の形ではなく、なんでか死に近づいていってしまう愛の形もあるということなんかな。心中とか、それも愛と言われれば否定はできない。いつも他の恋人同士のように穏やかな関係を望んでいたのにできない時ってあるみたい。今から思うと若かったからか純粋だったからか・・・。映画よりも監督?のコメントが今でも心にやきついております。 【さくら】さん 8点(2003-12-23 19:27:14) 12.映像は全体を通して非常に美しい。ストーリーもただの不倫ものと言えばそれまでだが、最初の意味不明なイントロが最後の最後でやっとわかる、ってところは面白い。 【ぱんちどらんかー】さん 8点(2003-11-24 15:43:09) 11.過去と現在を言ったり来たりする展開は良いとして、話が錯綜しやすいのと、背景設定に対する知識が無いと展開がわかりづらい。主人公の周りの人のストーリーは中途半端で詰め込みすぎ感がある。とは言え、結構リアルな話で面白い。一々大泣きしたりする恋愛ドラマ然とした映画に飽き飽きしてるので、ありがちなストーリーの割に楽しめた。 【りの】さん 8点(2003-09-08 13:56:57) 10.戦争をバックにした大河ロマンとして、ゴージャスな味わいだったと思います。「ただそれだけでしょ」と言われたら、「はいその通り」としか言いようがないけど。ドラマの面白さ、ということで言うと、2つの時系列の物語が交錯している効果がいまいちだったことが惜しい。あの 映画の中での「現在」のお話が何をいいたいのかが、つかみづらかった。あちらのラブストーリーもほんとはなかなかだったんですけどね。 そのために、わかりやすいほうの「過去」の話にばかりスポットがあたり、「ただの不倫もの」に貶められてしまっていることはかなり残念です。とはいえ、私としちゃ、「不倫もの」というレッテルだって、いいんじゃないかと思ってるんですけど。だって、主役二人の色っぽさって、そんじょそこらにころがってはいませんよー。十分に見ごたえがあります。結婚していようがいまいが運命的に出会ってしまう二人、というシチュエーションは昔からロマンものの定番で、立派に一ジャンルです。公開当時だってちゃんとロマン大作として宣伝されていたし、誰だって簡単なあらすじくらいは知ってから見たんでしょうから、「不倫はいけません」という人は、最初から見なきゃいいと思うんだけどなあ・・。 【おばちゃん】さん 8点(2003-03-20 23:54:51) 9.封切当時、映画館で観たときは、めちゃつまらん!!なんて不条理な話だ!!!という感じだったのに、あれから5年、久々に見てみるとかなり共感できる部分がありました。いや自分が不倫してるとかそういうことじゃないんですけど。それにしてもやっぱり旦那さんがかわいそうでした。ほんとに奥さんのこと愛してたのねぇ。私が結婚してあげたいわ!(実は、かなりコリンファースびいき)人生ってうまくできてるもんで、誰かを不幸にしたら自分もどこかでそれを償わんといけなくなるのでしょうか。プラスマイナスでいうと誰でも同じくらいになるような気がする。うまく言えませんが。 【ヨシモニー】さん 8点(2002-09-23 16:35:50) 8.みなさん点数辛いなあ。しかも誰もC.S.トーマスがきれいとか書いてないんですね。意外だ。封切時に一度しか見てないので記憶があいまいなんですが、奥さん寝取られちゃう旦那が「君を愛してる」って言いながら飛行機飛ばしてっていうエピソードに泣きました。好きでしょうがなくてもどうにもならない時ってあるよなあ、って妙に共感しちゃって。メインの場面では無いんだけど妙につぼにツボにはまった感じでしたね。全体的になかなか素敵な映画だという印象が残ってます。 【Qtaro】さん 8点(2002-04-17 01:07:18) 7.舞台が砂漠という事もあり 非常に綺麗だった 寺院の場面でのインド人と伯爵の会話がイギリスの植民地支配の酷さを表していて印象的だった さて 内容について話すと台詞 そして 手紙などが非常に工夫されていて そこに音楽がマッチしていて 脚本 撮影は素晴らしいと思った ラルフファインズの悲劇のヒーローの演じ方には本当に泣かされる 不倫という少し醜いラヴストーリーであるが 彼が演じるとなにか美しさ 同情と言うものを感じてしまう 恋人を乗せて砂漠を飛行機を飛ばす主人公 恋文とともに死んでゆく主人公 正に名場面だと思った 【アカデミー巡り】さん 8点(2002-04-07 23:09:26) 6.ロアルト・ダールとヘミングウェイとサン・テグジュペリを足して不倫で割った映画。インド人将校の東洋然とした凛とした精悍さや、ジュリエットビノシュの清楚さが好きです。 【oikawa】さん 8点(2001-11-21 00:52:16) 5.最初に飛行機が飛んでくるシーンがある。最後に、もういちど同じ飛行機が飛ぶ同じシーンが写る。「ああ、そうだったのか。あそこに乗っていた白い布に包まれた女性は実は愛する女性の遺体だったのか」その飛行の意味を知ったとき、誰も、涙を止めることはできないだろう。 【ともちゃん2】さん 8点(2001-08-20 16:51:24) 4.第二次大戦の北アフリカを舞台に、縦糸、横糸が織り成す本格的恋愛映画。アルマシーの話を聞き終え、最後を看取ったハナは自らの不幸な過去に訣別を告げる。 【向日葵】さん 8点(2001-04-21 16:40:49)
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