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4.ハメットの「マルタの鷹」、私もその昔、推理小説をあさり出した頃に手にした時には、あまりに突き放したような愛想の無さ過ぎる描写(読者についてこさせる気があるとは思えない。読者が頑張ってついていくしかない)に閉口したクチなんですけれども。この映画、そういうとっつきにくいところのある原作を、なるべく状況を整理し伝わりにくいところは伝わり易く誰もが楽しめる作品に…なんてことはまるでしておりません。何がホントで何がウソやら、虚々実々、しかも得体の知れぬ人物が得体の知れぬまま断片的に物語に加わってくる。しかしやはりこちらは生身の人間が演じる“映画”ですから、無愛想でストイックな語り口ではあってもそこには独特のカラーが生じて、いくぶん親しみやすくなっています。H・ボガートの演じるサム・スペードは、冷酷非情な私立探偵というよりは、いくぶん人間臭い小悪党のような存在。物語の断片が最後には組み合わさり、ミステリとしてのある種の解決に導かれるとともに、それはさらに非情なる結末をも導くというところが、ハードボイルドたる所以でしょうけれども、ただ非情なだけではなくそこには“情”も浮かび上がり、スペードも含めてみんなが傷ついたのだな、と。これが原作に対する唯一のアプローチではないにしても、あるひとつの理想形と言える映画化作品ではないでしょうか。 <2017/7/30追記>冒頭から奇妙なほどサクサクと物語が進み、夜中に同僚の死の連絡を受けるスペード。彼の横顔があり、深夜を示す時計があり、そして背景には、風に揺れるカーテンが、どこか不穏な感じを表しています。そんでもってラストでスペードが真相を語る場面では、窓の外は明るく、どこかけだるく、やっぱりそこにはスペードの横顔と揺れるカーテンがある。まあ、見え透いた演出なのかも知れないけれど、でも何だかいいなあと思っちゃうのよね。 【鱗歌】さん [CS・衛星(字幕)] 8点(2013-05-02 01:14:26)(良:1票)
3.《ネタバレ》 S・スペードを取り巻く男も女も誰もがウソをついているのかホントのことを言っているのか、超高速のストーリー展開もあってさっぱり判らんと言うのがこの映画の持ち味なんです。フィルム・ノアールはこの映画から始まったと言われるだけあって、その後のハード・ボイルド映画に多大な影響を与えたことも確かなんです。でもストーリーや判りにくいプロットなんてどうでもいい、始めから終りまでH・ボガートを堪能するのがお奨めの鑑賞法です。とにかくこの映画のボギーは喋る喋る、セリフを覚えるのが大変だったろうなと感心します。登場人物の喋りでストーリーを展開させるというフィルム・ノアールに特有の作劇法は、たぶんこの作品が後の映画に与えた悪影響だったんじゃないかと思います。 ラスト、M・アスターの乗ったエレベーターの格子扉が刑務所暮らしのメタファーになっていたりして、セリフだけでなく映像面でもJ・ヒューストンの才気を感じさせられるところが随所にありました。 【S&S】さん [CS・衛星(字幕)] 8点(2013-07-25 23:25:04)
2.《ネタバレ》 マルタ騎士団がスペイン皇帝に献上しようとした純金の鷹像をめぐって事件が起る探偵物語。息つく暇もなく謎が謎を呼ぶ展開に幻惑されてしまう。心理描写を排し、謎が跳梁する異色作だ。探偵の元に女が現れ、「妹がどこかの男Aと家出したので連れ戻して欲しい。今夜Aと会う」と依頼する。現場に行った探偵の相棒BとAが射殺される。探偵と相棒の女房が“できていた”為、探偵は警察に嫌疑をかけられる。女を詰問すると、妹の話は嘘で、Aはヤクザの用心棒で敵に殺され、次は自分が殺されると告白。探偵は護衛を引き受ける。小男が現れ、鷹像探しを依頼するが、急に銃を出して家探しをする。探偵は、男Cの尾行を巻いて女の元へ。女と小男が知り合いと分り、二人を会わせる。女は、Aの隠していた鷹像が近く手に入るので小男に売るという。小男が理由を訊くと、大男が町にいるので恐いからという。刑事が訪ねてくる。二人が争って存在を知られるが、探偵の機転で無事に済む。女は、三人で鷹像を探していたが、Aが裏切ったという。窓からCの見張りが見える。翌日小男に会いに行くが、話すことはないという。Bがいたので追い払う。女が事務所にきて、部屋が家探しされて恐いというので、秘書に匿わせる。Bの未亡人が来て、警察に電話したのは自分だと言うので宥めて帰す。大男から電話にがあり、行くとCも居た。大男が鷹像の真相を言わないので怒ったふりをして帰る。そのとき小男と入れ替わりになる。探偵は大男と再会し、鷹像の由来を聞き、取引を持ちかけられるが、酒に仕込んだ睡眠薬で眠らされる。気が付いて秘書に電話するが女は現れなかったという。新聞の船の到着欄の印に気づき、港に向うと船は炎上していた。事務所に戻ると船長が鷹像を届けに来て、その場で死んだ。撃たれていたのだ。女から助けを呼ぶ電話がある。探偵は鷹像をバス発着所に預け、預かり書を私書箱に郵送する。車で女の告げた場所に駆け付けるが、架空の住所だった。事務所に戻ると女が門に隠れて待っていた。部屋に入ると、大男、C、小男が待ち受けており、五人の話し合いとなる。奇妙なのは、三人死ぬが、殺害場面は描かれず、Aは登場さえしない。悪役は全員弱く、怖く無いのが遺憾だ。探偵は推理せず、強気と巧みな弁論で物を言う。結局鷹像は偽物で、話は振り出しに戻る。本物の鷹が登場しないのと、Cが逃亡するのが減点。あの状況でどうやって逃げたのか。 【よしのぶ】さん [DVD(字幕)] 8点(2010-12-31 20:29:43)
1.これぞハードボイルド!サムスペードが非情で酷薄な表情の奥に一瞬浮かべる何かを「守ろう」とする強い意思を感じる。 【ひろみつ】さん 8点(2003-10-27 23:21:23)
マーク説明 |
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【点数情報】
Review人数 |
34人 |
平均点数 |
6.32点 |
0 | 0 | 0.00% |
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1 | 0 | 0.00% |
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2 | 0 | 0.00% |
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3 | 2 | 5.88% |
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4 | 3 | 8.82% |
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5 | 6 | 17.65% |
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6 | 5 | 14.71% |
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7 | 11 | 32.35% |
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8 | 4 | 11.76% |
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9 | 2 | 5.88% |
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10 | 1 | 2.94% |
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【その他点数情報】
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