みんなのシネマレビュー |
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ネタバレは禁止していませんので 未見の方は注意です! 【クチコミ・感想(8点検索)】
13.淡い光の中で、様々な人間たちがそれぞれの思いをありのままに繰り広げる。 こういう映画は、僕自身が映画を見始め、映画を志した頃に好んでよく見たタイプの映画で、好きだし、弱い。 加えて主人公たちも、映画を撮り、フィルムを遺すのだから、もう個人的には“オテアゲ”状態である。 だが、とても良い映画だったと思う。 とても近くにいた人の大切な想いを、その人が遠く離れてしまってからようやく気付く。いや、ほんとうはとっくに気付いていたのかもしれない。でも、近いからこそ、無意識に気付かないふりをしてしまっていた。 プロットとすればよくあるタイプではある。でも、やわらかい光に溢れた映像美の中に、時にシニカルに、時におかしさを含めながら、切なく描き出す。そういうキレイ事だけで留まらない映画の表現的な巧さが光っている。 ヒロインの上野樹里や、その盲目の妹を演じる蒼井優が、当然の如く巧くて、本来もっと主人公として際立つべき市原隼人が(若い二人の女優に)食われすぎている感はあるが、不器用で切ない人間模様を瑞々しさと安定感をもって表現されていたと思う。 この映画は、美しい光に溢れ、“虹の女神”なんていかにもキレイなタイトルがついてはいるが、主人公たちも含め登場する人間たちは、決して“完璧”なんかではない。 優柔不断だし、屈折しているし、虚栄的だったり、臆病者だったりする。 でも、そういうことが人間として当然だし、だからこそ垣間見えてくる“輝き”とその“美しさ”というものをこの映画は認め、映し出す。 失わずに済むものなら、それにこしたことはない。しかし、必ずしもそういうわけにはいかないのが、人間というもの。 そういった人間の根本的な部分での、「儚さ」と「美しさ」を描く作品だった。 【鉄腕麗人】さん [映画館(邦画)] 8点(2012-10-09 22:53:12) 12.《ネタバレ》 素直になれないあおいと鈍感な岸田君がリアルで良い。蒼井優の盲目の妹役なんてもう反則技みたいなもの。全体を包む空気感が非常にユーモラスで切なく心地良い。ラストの携帯が喪失感を非常にうまく表現している。「花とアリス」で蒼井優の母役を演じていた相田翔子が、歳をごまかしていたとはいえ岸田君の恋愛の対象にもなりえるところがある意味凄い。このシークエンスはかなり不評だが、個人的には相田翔子にもう少しましな役を与えて欲しいと思う。 【きーとん】さん [DVD(邦画)] 8点(2010-08-28 00:11:17) 11.《ネタバレ》 タイトルが大仰というか、ケータイ小説っぽさを感じて敬遠していたのですが、評判通りの隠れた良作です。 役者の存在感が素晴らしく、特に上野樹里のさばさばとした演技は魅力たっぷり、「ファーストキスまで奪いやがって~!」のシーンの体当たり演技がいい。劇中の映画もいい。本当に大学生が作ったような映像で、リアリティがあります。 ただ、ほかの方も言っているように4章の話が浮きまくっているのは気になりました。エピソードとしては面白かったけど。 監督は別の方ですが、岩井俊二節が炸裂している作品なのでファンなら是非観ておくべきです。 【ヒナタカ】さん [DVD(字幕)] 8点(2010-08-03 22:54:04)(良:1票) 10.《ネタバレ》 思わぬ良作でした。「失恋」ってチャプターが好きです。まず歩道橋の上での市原隼人のデリカシーの無さ。あのお見合いパーティで手を挙げて欲しかった上野樹里に、誠意の感じられない下心で同情して蹴られます。聞きづらかったけど上野樹里は「ファーストキスも奪いやがってぇ~」って言ってました。自主制作映画の突撃キスの種明かしですな。そして会社の屋上。精一杯の心情を吐露する上野樹里の真意にやっぱり気付かない市原隼人。彼は仕事のことで頭が一杯で、彼女のシグナルを解するような余裕が無く「お前も頑張れよ」って言ってしまう。あの会話のかみ合わないもどかしさは秀逸でしょう。この映画が面白いと思ったのは、このすれ違いがTVドラマのような劇的なシチュエーションではなく、無理の無い等身の流れの中で演出されているところです。響きましたね。こんな決定的なシチュエーションじゃ無くとも、この種の勘の鈍さは自分にも覚えがあるもので…。後になって気付くんだよなぁ。市原隼人も蒼井優も良かったし、相田翔子は面白かった。でもこの映画は上野樹里の映画です。繊細な心情を秘めながらも、不貞腐れて空き缶を蹴っ飛ばしたり、八つ当たりで男を蹴っ飛ばしたり。彼女は変態ピアニストより、今作のようなナチュラルな役柄の方が100倍魅力的です。役者を楽しむ映画でした。 【アンドレ・タカシ】さん [CS・衛星(邦画)] 8点(2010-05-19 00:00:17)(良:3票) 9.《ネタバレ》 予備情報なしに、「意外に豪華なキャストなのね」くらいのつもりで見たんだけど、岩井さん脚本ということで、納得。『Love Letter』以来の原点回帰で、ストレートなラブロマンス。自分で撮るにはいまさらってことで、熊澤さんに任せたんだろうなぁ。 何もわかっちゃいない男の子の期間限定のうぶい感じが好きになってしまった、女の子のせつない思いを、純粋にとりだすのに、ヒロインを殺してしまって回想っていうのは、そういえば『Love Letter』と同じ手ではあるけれど、この距離感のとりかたは絶妙で職人芸の域に達している。 役者たちの演技も見事なんだけど、観客をお話に100%入り込ませるというよりは、あくまで「上野の芝居」「蒼井の芝居」「小日向の芝居」を見せるというスタンスも良かった。相田翔子もあてがきの芝居で、彼女の果たすべき役割を十二分に果たしていたと思う。あの章があれだけの長さがなくて、そのままエンディングになだれこんじゃっていたら、ラストの盛り上りはなかったはず。冒頭のシーンにふたたび戻ってきたときに、相田との不思議な関係で一息ついてという距離感があってこそ、「ああ、あの冒頭の携帯メールのシーンはこういう状態だったのね」という発見があり、またコーダとしておかれたエピローグが生きてくる。 さらに、劇中劇をはじめから最後まで全部見せちゃうという、ふつうなかなかやらない暴挙にでるんだけど、「ああ、このシーン、あそこで撮ってたんだよなぁ」とか、「練習してたこのセリフこうなったんだ」とか、「クランクアップのあのシーンはこういうことだったんだ」とか、ちらりちらりと見せ続けていた予備情報がうまくここでつながるっていうように作っていて、それにはすっかりやられた。 しかもこの劇中劇、死んだヒロインの元気なところをエンディング近くの、しかも通夜葬式の真っ最中で見せるっていうんだから、ふつうなら間違いなく、泣き落としにくるところが、するっと流して、盛り上りを最後の最後までとっておくというのも心にくい演出だった。ホルスト「惑星」の妙に平坦な素人くさいシンセのBGMの使い方も見事。 最後に死んだ彼女の手書きのメッセージが見つかるっていうのも、『Love Letter』の焼き直しではあるけれど、やっぱりいいね。小津にとっての父娘ものみたいなストーリーなんだろうな。 【小原一馬】さん [地上波(邦画)] 8点(2009-10-03 01:30:05)(良:3票) 8.《ネタバレ》 観終わった後深い余韻の残る、素晴らしい映画。ただ、相田翔子がらみの話はいらないに一票。 【クレイバード】さん [DVD(邦画)] 8点(2008-02-24 15:30:01) 7.《ネタバレ》 技巧を凝らしたラブストーリーより、こういうものの方がすっと入ってきますね。手ぶれのある映像、リアルな台詞回しは何とも言えない青さを感じさせてとてもいいです。ああーそこまで言葉にしなくても十分絵でわかるよもうっという説明的な台詞がちらほらあって残念だったけど、これもリアルさといえばそうなのか…?とにかく自然で好きな映画です。「結婚してみるか」→「何なんだよお前は」→「引き止められたら行くのやめちゃうかも」の流れ、ぐっときます。こないだテレビで2回目を観たのですが、やっぱいいなこれ。DVD買おうかな。 【デルモゾールG軟膏】さん [映画館(邦画)] 8点(2008-01-15 04:36:55) 6.上野が市原に「君」って言うシーンはどれも絶妙。偉そうでなく、ちょっとかわいく、ちょっと切ない。 【こんた】さん [DVD(邦画)] 8点(2007-11-19 03:36:00) 5.《ネタバレ》 安易にヒロインを死なせるような、べたなラブストーリーは好きじゃないんだけれど、これは例外だった。基本的にリアル志向で、過度にロマンティックな演出がないのがいい。 『世界の中心で…』みたいに、病気のために余命が予測できるというのは(不謹慎ないい方かもしれないが)ある意味で幸せだと思う。その人が逝く前にいろいろなことをしてあげられるし、いいたいことを伝える覚悟もできるだろうから。 けれども現実に訪れる死というのは、しばしば唐突で、暴力的なものだ。それはいきなりやってきて、永久に人生を変えてしまう。たとえばこの映画のように、いいたいこともいえないまま、自分の気持ちすらよくわからないままに愛する人が死んでしまって、一生後悔を抱えて生きていくはめになる。 そんな重い話だが、不思議と後味は悪くない。それどころか爽やかだ。あざとい部分もそうと感じさせず、自然に物語に没入して、二人の主人公を友人のように身近に感じることができた。 唯一気になったのは、他の方も言及されている相田翔子。相田さんは良くも悪くもオーラがあるので、脇役であっても無駄な存在感を放ってしまう。もっと普通の女優さんを採用していたら、普通に流せたかもしれない。 【no one】さん [DVD(邦画)] 8点(2007-09-21 02:00:53)(良:1票) 4.《ネタバレ》 とても切なく余韻が残る作品です。たくさんの伏線や印象的なカット、劇中劇ならぬ映画中映画など非常に繊細に丁寧に作られた作品だと思います。主演の二人の自然(に見える)演技がストーリーにリアリティを与えています。また、ヒロインの盲目の妹役の蒼井優の存在感が素晴らしいです。この年代の女優の中では抜きん出ていますね。 【ジム】さん [DVD(字幕)] 8点(2007-08-27 19:37:32) 3.《ネタバレ》 みた後の素直な感想として、良かったと言える。ストーリーがあちこちにつながり、丁寧に作られていることが分かるし、出演者みんなよかった。上野樹里ってのだめの印象がかなり強いが、他の映画見てもすごい存在感のある演技していると思う。市原隼人も蒼井優も負けず劣らず良い演技。映画が章単位で区切られテンポ良く話しが進んでいくのもよし。相田翔子のくだりは本当に不要、普通気づくだろそんだけ鯖読んでれば。 【K2N2M2】さん [DVD(字幕)] 8点(2007-08-05 23:48:40) 2.何だろうこの切なさは。結構後を引くかも。 【NIN】さん [DVD(邦画)] 8点(2007-05-05 08:37:15) 1.《ネタバレ》 予告編で気になっていた映画です。『虹の女神 Rainbow Song』ときれいなタイトルなんですが、シンプルでいて深い、そして切ない映画です。『ただ、君を愛してる』のあとにみましたがあちらがハッピーエンドなのに対し、こちらは終末を感じさせるやりきれない物語になっていて喪失感を感じます。岩井俊二プロデュースだからか、画調は岩井監督のものに近いですね。ただこういうガウスかけまくりの映像はたとえ照明が印象的に作用していても手放しに美しいとは言えず、くどさがあります。好きな人は好きなんだろうけど…。この映画を作った人は、本当に映画が好きなんだろうなと思わせる場面が映研関連の場面に多く見られて気持ちが良かったです。そして何より良かったのが主演三人の演技。とくに上野樹里によるあおいのキャラクター作りはサバサバした好女性で、突然世を去ってしまう喪失感を味あわせてくれます。願わくばもう少し彼女の個性を感じる場面を見せてほしかったですけど、自主製作映画UPのときに岸田に朝倉へのアタックをけしかけるときの表情など、恋する女性の演技がとても上手で目を見張りました。だからこそあおいを出会い系サイトにしている岸田が際立ち、お見合いバーの帰りの「結婚するか」発言のあとの怒りなども観るものに迫ってきます。あおいの片思い、それにあいまいにしか気づかなかった岸田がおたがいの気持ちを本当に知るラストは蒼井優演じるあおいの妹の「ばかだなあ、お姉ちゃんも岸田さんも」に集約され、心に響きます。儚い虹。最後に力尽きた携帯電話。喪失を描く、青春映画の佳作と思います。 【トト】さん [映画館(字幕)] 8点(2006-11-19 22:30:33)(良:2票)
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