みんなのシネマレビュー |
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ネタバレは禁止していませんので 未見の方は注意です! 【クチコミ・感想(8点検索)】
78.《ネタバレ》 “Gran Torino”『フォード・トリノの一部車種の愛称』。日本だとスカイラインの、GT-Rじゃなくジャパンとか鉄仮面だと思う。 ウォルトはアメリカの輝かしい時代を生きた世代だ。'50年代に青春を過ごし、朝鮮戦争で戦ったのちフォードの工場で働き、愛する奥さんと二人の息子。郊外のニュータウンに一戸建てを持った男の余生、成れの果て。 2000年代、アメリカは様変わりしていた。ニュータウンは寂れて老朽化し、残っているのは老人とヨーロッパの移民系。金のある白人はもっと利便性の良い地域に移り住み、代わりに入ってくるのはアジア人。若者は移民や黒人のギャング。奥さんに先立たれ、息子はトヨタに勤めていて、孫はみんな馬鹿。 当時イーストウッドは78歳。いつ死んでもおかしくない年齢の男から観たアメリカの小さな街。あの街はアメリカの縮図。ウォルトは決して裕福ではない。広いとは言えない建売りの家をピカピカにして、小さな庭の芝を刈り、欠かさず国旗を掲揚している。グラン・トリノも当時大人気のマッスルカーってほどではなく、燃費の悪い中型のアメ車。ウォルトはアメリカの中流家庭の、プライドの塊のような男。 また'50年代の白人文化を過ごしてきた世代からの警告のカタチも取っている。白人中心のアメリカ社会も、アメリカ中心の世界も、今後更に変わっていく。 奇しくも公開年に起きたのが、サブプライム・ローン問題を起点としたリーマン・ショック。今の時代のウォルトのような中流以下の住宅ローン債務が焼き付いて、大手銀行が破綻するまでのダメージに発展し、アメリカ経済がどん底に落ちていった最中の公開。 この街の若い白人は、スーの友達のようなナヨナヨした白人しかいない。移民たちを受け入れて行くしかない現実がある以上、どんな人達と共に生きていくかを考えなくてはいけない。世界の警察だったアメリカは、他民族に銃を向けるのではなく、他の方法で解決をしなければいけない。 ギャングと戦う決意をしたウォルトは、白人の誇り高いスピリットは神父に残し、アメリカの輝かしいプライド(グラン・トリノ)はタオに残した。 最後ウォルトの手に残ったのはジッポーライター。これもまた、アメリカが世界に誇った古き良きアメリカ製品の象徴であり、消えゆくタバコ文化の象徴。 【K&K】さん [DVD(字幕)] 8点(2023-12-23 11:44:11) 77.なかなかパンチの利いた爺さんだ。 【TERU】さん [インターネット(吹替)] 8点(2023-10-10 20:37:12) 76.《ネタバレ》 公開当時は“イーストウッド最後の映画出演”と世界が騒めいたけど、12年経った現在では『人生の特等席』そして自作の『運び屋』と二作も主演してるんだからなんともはやです。だいたい、あのハリウッド・レジェンドがそう簡単に枯れるはずないでしょう。それよりも衝撃的だったのは、イーストウッドが劇中で初めて死んだということなんじゃないでしょうか。そういうこともあって“最後の出演作”という伝説に信憑性が付いたんだと思います。 個人的には本作と『許されざる者』『ミリオン・ダラー・ベイビー』はイーストウッドのセルフ・セラピー三部作だと思っています。その中でも本作は彼の内面やジレンマが最も投影されている感じで、ウォルト・コワルスキーこそが変な表現ですけどイーストウッドが感じている自身の内面を擬人化させた存在なんだと思います。演技としても『スペース・カウボーイ』のフランク・コービンに通じる飄々とした頑固ジジイで、毒舌を吐いてもあの表情ですからペーソスすら感じてしまうんです。最後まで狂言回し的な存在だったけど、若い神父もいい味出してました。人種対立と言っても白人キャラはポーランドやイタリア系、信仰はカトリックでいわゆるWASPと呼ばれる連中とは縁遠いマイノリティばっかで、さらにマイナーなアジア系モン族と同じコミュニティだというところがいかにもアメリカ的な現実なんでしょう。 イーストウッドはハリウッドでは少数派のトランプ支持でバリバリの保守なんですが、彼の政治指向は決してタカ派ではなく柔軟性に富んでいて時にはリベラルかと思わせるところもあります。じゃないと『ミリオン・ダラー・ベイビー』や『アメリカン・スナイパー』みたいな作品を撮りませんよ。軍務経験はあるけど実戦に参加したことはないイーストウッドがコワルスキーが苦しむ戦場体験のトラウマに託したことは、スクリーンでは途方もない数の人殺しを重ねてきた自分の贖罪なのかもしれません。それが最後の無抵抗の死になった様な気がしますし、同じ保守でもガチガチのタカ派だったジョン・ウェインが存命だったら決して容認しない結末だったと思います。 【S&S】さん [CS・衛星(字幕)] 8点(2020-12-01 01:42:46)(良:1票) 75.《ネタバレ》 イーストウッド役者としての最後のシーンはどうしても荒野の用心棒のラストシーンと重なってしまって感無量でした。 歳をとってもいい味が出せる役者さんはいいですなぁ。 この頑固じいさんのキャラでもっといっぱい作って欲しかったです。 散髪屋とのやりとりとか最高! 今度いつもの飲み屋に入った時に「この脳ミソかんてんのクズ野郎!元気か!」 ってバーボンとビールを頼もうかしらん。 【jetter3】さん [CS・衛星(字幕)] 8点(2020-07-31 10:17:57) 74.《ネタバレ》 最後はやっぱり44マグナムを持って悪党をぶち殺しにいくのかなと思いきや、この手があったか! 【チェブ大王】さん [ブルーレイ(字幕)] 8点(2019-08-29 08:27:56) 73.クリント・イーストウッドらしく、よくよく考えるとツッコミどころやご都合主義なところが見え隠れする作りですが そんな細かいことは一切感じさせない勢いがあり、鑑賞後の深い満足度は高めでした 余談ですが 感動のあまり、後日、実父(年齢がウォルトに近い)に「あのような爺さんになってくれ」と懇願したのですが 「あれは映画だから」と現実的な回答しか得られませんでした 大人って夢がないですね 【ぐりこ】さん [インターネット(吹替)] 8点(2019-03-24 18:34:51) 72.《ネタバレ》 余命いくばくもないことを覚悟していただろうけど、自らが引き起こした悲劇に対する責任の取り方が凄まじい。 タオに接したように、息子たちにも接することができていたら、彼の人生はもう少し後悔の少ないものになっていただろうな。 「グラン・トリノのけつにスポイラーをつけるな。あれはクソだ」 この遺言には心底共感。 本物は生身で勝負なんだよな。 心にしみるいい映画だった。 【roadster316】さん [インターネット(字幕)] 8点(2019-03-24 01:31:42) 71.大好きなイーストウッド監督作品であるが、2番手に好きな作品群。何が足りないのかは、わからない。けど、個人的には、何かが足りない。いや、足りすぎているのか。筋は、読めます。 【にけ】さん [映画館(字幕)] 8点(2018-12-25 20:47:33) 70.個人的には地味で暗めのヒューマンドラマは嫌いです。 実際、ここでもそのタイプの映画には低い点数をつける事が多いのですが、しかしこの映画レベルになるともはや嫌いだなんだと言うのがアホらしくなってきます。 ストーリー自体は地味でなんのひねりもないものですが、しかし観終わった後に染みる余韻は相当なものです。 それは一見地味ながらもそこに複数のテーマが重層的に描かれているからこそなわけですが、残念ながら生粋の日本人である自分には、この映画に含まれた複数のテーマにあまりなじみがなく、肌感覚で直感的にテーマを感じる事ができません。(頭の中で分析的には理解できるのですが) それでもこれだけしっかりした重厚な感動を与えてくれるわけだから、ほんとたいした映画だと思います。 あと「グラントリノ」、かつてダーティハリーの中で乗ってるシーンがあるんだとか。 【あばれて万歳】さん [インターネット(字幕)] 8点(2018-01-17 00:29:34) 69.《ネタバレ》 VODで、何があるのか探してたら、知ってる作品で、レビューも良いので鑑賞。 当たりでした。 戦争から帰還後、息子達とうまくやることができず、溝が深まっていくのを心の中では、苦悩するウォルト。 戦争で人を殺したことのある者にしかない苦しみ。。。 自分の命を犠牲にし、命を奪うことなく、復讐の連鎖を連鎖を断ち切ったところは心打たれました。 【へまち】さん [インターネット(字幕)] 8点(2017-12-31 20:16:59) 68.メッセージ性の強い作品。よってネタバレ無しで感想を書くのが難しい。基本的に笑えるシーンも泣けるシーンも結構ベタだなと思いました。しっかり笑わされて、そして泣かされましたけど。自動車産業の衰退や街のスラム化、移民などの社会的な問題について、少ないセリフで上手に説明してあるので、前知識がなくても、ああ今のアメリカ(の一部)はこんな感じなのかなとなんとなく分かります。とりあえず、まだ「ダーティーハリー」を観てない方には、そっちを先に観といた方が良いよとアドバイスしたい。その方が色々楽しめるから。 【すらりん】さん [CS・衛星(字幕)] 8点(2017-10-07 13:00:58) 67.《ネタバレ》 主人公は命と引き換えに少年の未来を守りました。感動しました。しかし何度も観る気はしません。やっぱり、真面目に生きている人は幸せになってほしいんです。死んでほしくないんです。イーストウッド監督作品はこういうのが多いですね。 【次郎丸三郎】さん [DVD(吹替)] 8点(2017-06-04 13:01:08) 66.最後は丸腰でしたね。イーストウッドは生涯をかけて演じてきた”男の姿”を終わらせたかったのでしょう。さよならハリー!、さよならブロンディ! 【爆裂ダンゴ虫】さん [映画館(字幕)] 8点(2017-05-30 17:42:58) 65.自分が犯した過ちへの、正しいケリのつけ方。感動以上の感情は、一人で噛みしめるものらしい。妻に先立たれ、自分も余命僅かだろうことを自覚した男ウォルト。彼の自宅の隣に、異文化を体現したような東洋人が越してきたことで物語は動き始める。毛嫌いしていた隣人たちとの交流により、彼は新しい価値観を見出す。人生最後にできた若い友人。ウォルトは自動車工場に長年勤め、戦争で敵兵を殺したことも公言する。裕福でも、高学歴でも、由緒正しき家柄の出でもない。だが、彼は常に自分のことは自分で決め、一握りの財産を大切にし、そして責任を全うしようとしている。題名となっている『グラン・トリノ』という車も、その僅かな誇らしい財産のうちのひとつだ。若いタオに親切にすることも、彼には一人の友人として当たり前のことなのだろう。タオが同族の不良どもに付きまとわれて困っているとき、良かれと思って行なったことで、事件が起きる。逸るタオに彼は言う。「冷静になれ。考えろ。作戦をよく練るんだ。」隣人への償いのために、過ちを犯した自分へのケリを付けるために、彼は一人命を掛けて行動に出る。彼の静かな戦いは、まさに「本当に格好いいとはこういうことさ」ということそのものだ。そんな彼は「旧き良きアメリカ人」(またはアメリカそのもの)の具現者だった。ハナマル。 【しぇんみん】さん [DVD(吹替)] 8点(2016-11-20 13:36:01) 64.《ネタバレ》 頑固で孤高な感じで描かれる老人を掘り下げた映画。その実態は実は孤独で、隣の家の住民(モン族)とのわずかな交流から物語はゆっくりとスタートしてゆく。もう一人の主人公であるタオは、そんな彼との付き合いの過程でどんどんと成長してゆく。妻に先立たれてどんな人間にさえ冷たくあしらっていたコワルスキーだが、徐々に心を開いていく。決して派手ではなく、登場人物も少なめなので、そのぶんコワルスキーの心情にすごく焦点が当てられており、表情や動作ひとつひとつに重みがあった。タオにあれほど手取り足取り人生の勉強をさせていたのは、世界で一番美しいと思っていた亡き妻にかけていた愛情のベクトルをタオに向けたのだろうか。妻が逝った後の誰も近寄らないコワルスキーを人肌で支えたタオとスーは、最後はコワルスキーによって命に代えて守られた。最後は他の展開も考えられたのだろうが、この老人らしい不器用かつ思いやりのある生き様が表れていたと思う。 【カジノ愛】さん [DVD(字幕)] 8点(2015-10-13 23:12:28) 63.かなりおもしろかったねー 【Memento】さん [DVD(字幕)] 8点(2014-12-13 01:46:54) 62.《ネタバレ》 共和党支持でライフル協会に入ってそうな朝鮮戦争で勲章もらった老人(おまけに神父をからかう無神論者)が、ベトナム戦争の移民との交流により心情変化し(この過程は微笑ましくてよかった。家族との確執の描き方は松竹かと思えるほど)最後は自己犠牲で復讐の連鎖を終わらせる。これは斜陽産業である自動車産業(フォード工場勤務とトヨタ営業の親子ってのはちょっとベタだが)や移民・貧困・差別等々のアメリカの没落や病理を描きつつ、戦争批判したものなのだろうが、復讐の連鎖が終わるのは警察や裁判制度が機能しているから。テロとの戦いに翻弄され、裁判もせずにビンラディンを暗殺したアメリカはもはや世界の警察などではない。結果、復讐の連鎖は終わらず、延々と続いている。イーストウッドのメッセージは米人にどのように届くのか?所詮ファンタジーでしかないのか?この世から復讐の連鎖は終わるのか?なんか答えの出せないまま終わってしまいモヤモヤ感は残るが、正義の復讐ばかりを演じてきたイーストウッドによるこの難問提示がラストメッセージなのかと。 【東京50km圏道路地図】さん [CS・衛星(吹替)] 8点(2014-09-24 22:49:21) 61.《ネタバレ》 (グッドウィルハンティングでも書いたが…) 男が男に車を贈る。これがこの映画の全てだと思う。車を贈られる側は贈られるだけにふさわしい男になり。車を贈る側も願いを込める。グラントリノという車がかっこいいのかどうかではなく、グラントリノに乗る男のかっこよさを成長と喪失を含めて描く。 【JF】さん [DVD(吹替)] 8点(2014-08-28 14:45:30) 60.《ネタバレ》 妻に先立たれ、孤独を紛らわすために酒に溺れ、それが原因で家族から疎んじられると、ますます自分の殻へと引きこもり、そしてさらに酒に溺れてしまうという人生の終盤で悪循環に陥ってしまったイーストウッド演じる偏屈で頑固者の嫌な爺さん。そんな彼の自宅の隣に、アジア系の家族が引っ越してきたことから始まるヒューマンストーリー。ともすれば説教臭くなったり、建前だけの薄っぺらい映画になりがちな題材なのに、そこはさすがイーストウッド。どんなにゴミのような人間にだって、いつかは輝くような日が訪れるかもしれない。老い先短い命と引き換えに、偏屈な爺さんはささやかな決断を下し、そして最後は素晴らしいものを少年に遺すことが出来た。それがグラン・トリノだけではないことは、もちろん少年が一番よく分かっている。淡々としながら深く、静かでありながら熱い、慈愛に満ちた良作。 【かたゆき】さん [DVD(字幕)] 8点(2013-07-30 18:06:56) 59.《ネタバレ》 有色人種に対し、差別的だったウォルトが、タオの為に死ぬ。差別、偏見って、その対象をあまり知らないところから始まるんだろうなぁ。差別が横行してるから、モン族のチンピラも徒党を組み武装しなきゃならないんだろな。ただ、同じ民族の、しかも身内をレイプってあまりにひどいね。この作品は、肌の色だとか民族だとかじゃなく、クズはクズ。いい奴はいい奴。とことを感じさせてくれた。やっぱり先入観にとらわれたらいかんよね。 【kontiki】さん [DVD(字幕)] 8点(2013-07-27 19:35:44)
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