みんなのシネマレビュー |
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ネタバレは禁止していませんので 未見の方は注意です! 【クチコミ・感想(8点検索)】
7.《ネタバレ》 殺人シーンが思ったよりコメディっぽいのがより狂気性を増していた。 ジャルジャルの2人も良い意味で俳優っぽくも素人っぽくもなくて独特な魅力があった。 ラストシーンも逸品で、なんとなくハッピーエンドに終わりつつも不穏な雰囲気が流れてるのが怖い。 【Nig】さん [DVD(邦画)] 8点(2018-08-31 02:34:00) 6.リアリティはないが、「ありそう」感はかなりあるので映画としては、これでいい、というかおそらくベスト。後半後藤の彼女とのシークェンスがやや冗長でダレるが、全体を覆う若者の行き詰まり感は見事。井筒監督作品初見だが、ここまで上手かったんですね。 【楊秀清】さん [DVD(邦画)] 8点(2011-09-20 23:28:54)(良:1票) 5.《ネタバレ》 爽快さが一発で伝わるようなタイトルとは全く違く、映画全体は重く痛ましい空気が最後まで支配されます。容赦のない暴力描写はちゃんと暴力の痛ましさを十分に伝えていると思います。そして主演のジャルジャルの二人はプロの役者では出せない味わいがあり相当、健闘していました。あと暴力の連鎖が起こす決定的、悲劇も誠実と言えるほど描いていてそこも好感を持ったので、私はこの映画はそれなりに評価したいです・・が、不満も多いです。ヒーローショーで使う素材は中盤以降、マスクを都合のいい時に利用したりするだけで別にそれ以上の意味が物語で絡んで来ず、上辺だけのヒーローショー設定としか思えません。そして主役の芸人を目指すユウキですけど・・この人が芸人という設定でなければいけない必然も特に感じず、このキャラをただの『フリーターの陽気なバカ』でも済みますよ。芸人の設定をわざわざ出すなら、ユウキは芸人ならではの決着、もしくは成長を見せるべきなのでは?彼の成長自体もあやふやでラストの余韻もピンときません・・あと二次元女子が好きな設定もまるで物語に生かしてないですし何だかな・・。もう一人の勇気は冒頭は粗暴が見え隠れするキャラクターで期待していたのですが・・自分の彼女と話すシーンでは不器用だけど元来の人の良さが見えたシーンに思え、彼の凶暴性の発露の出し方がちょっと性急過ぎると思いました。もうちょっと相手側が勇気がそれだけの暴力を振るってしまう動機を見せた方が良かったと思いました。後半は人の良さが滲み出る所が多々出ていたので、やっぱりあんな暴力する人とは思えない、悪い意味でのギャップがあり困惑しました。ラストの暴力の連鎖が及ぼす悲劇には納得しました。あと元々の原因を作った連中の結末はちゃんと描いて欲しかったかな・・全体的に設定とテーマが話に上手く絡み合っていないのですが、それなりに魅力的な作品ではあるのでもったいないと思いました。 しかし二回目の鑑賞以降、各キャラのどうしようもないキャラの魅力さがより伝わって来て好きになってしまいました。後半の冗長さも受け入れられるようになりました。しかし万人にはお勧めしがたい不思議な映画であります。 【まりん】さん [映画館(吹替)] 8点(2011-02-06 21:57:20)(良:1票) 4.《ネタバレ》 井筒監督のケンカシーンのお約束として報復(やったやつは必ずやられる) がありますが、その先に誰かが死んでしまいとてつもない後悔が生まれてしまうという展開だったのが、 初期井筒作品の「ガキ帝国」のラストシーンでした。 本作はそのガキ帝国の続きを観る作品。 人を殺してしまった「勇気(ジャルジャル・後藤淳平)」と 友を見殺しにしてしまった「ユウキ(ジャルジャル・福徳秀介)」の 葛藤を描いた作品です。 まず本作のとにかくストイックな描写はそんな中盤の殺人シーンを 事細かに・・・ まるで私達がその場に居合わせたかのような臨場感で描ききってみせるトコロにあります。 リンチされゆく3人。 殴られる・・・死なない。 ゴルフパットで殴られる・・・まだ死なない。 バットで殴られる・・・まだ息してる。 直視する事が出来ないシーンの連続。 しかし・・・本当の不幸はここから。 今度は殺した者達の葛藤。 報復への怯え、仲間への不信感、将来への絶望感。 描かれる圧倒的な不幸。 そこでもがく勇気・・・。 恋人とつかめるはずだった幸せ。 でも彼の犯した罪はあまりにも重い。 ラストのアパートの廊下での勇気の姿に心打たれないはずがありません。 言い方は失礼ですがとても井筒作品とは思えない 何か格調高い映画を観たような気分にさえなってしまいます。 井筒バイオレンスの臨界点・・・ それは暴力という行為のその先にあるとてつもない不幸。 それを描ききった本作は近年の日本映画には決して類を見ない 反暴力映画だといっても過言ではないと思います。 個人的には誇張でも何でもなく 「パッチギ」と並肩するもう一つの井筒監督の代表作になると思います。 【吉祥寺駅54号】さん [映画館(邦画)] 8点(2010-07-12 21:16:19)(良:2票) 3.《ネタバレ》 私は非常に好きだ。この映画。 【以下バレ】 登場する若者たちの顔がすべていい。その役柄にどんぴしゃりという顔立ちをしている。だが彼らを撮る撮り方は、なんというか徹頭徹尾イナタい。ギャグはメチャ寒いし司会の女はペチャパイだし、後藤の連れの恋人が登場して30秒で「うぃ」と言って去るのもショベルカーのパットンさんもラストのピンクレディーもなんか空虚だ。意味合いがありそうでない。リアリズムといえばその通りだが、しかしまるでギャグが空振りするような、「的を射なさ」という点で共通している。 (中略) 私の解釈はこうだ。まるで蜜のようなリンチの時間のように、濃密な時間というものはたしかにある。だが結局は、遊園地で家族と過ごすささやかな時間などと同じように流れ去るものなのである。なので一時的な、まるで自分が主人公になったような、映画的な時間のために何かをしでかしてしまえば、その後にずっと長く続く非映画的な時間に影響を及ぼすことになる。というか、辛い時間は死ぬまでずっと続く。「生き直させてくれよ」と福徳は後藤に懇願するが、それはじつは後藤の叫びでもあり、突っ走ってしまった登場人物全員の、またなにか取り返しのつかないことをしでかしてしまった者すべての叫びである。時間はいつも等しく流れるが、けっして巻き戻せない。だから若者よ、軽々しくヒーローになろうとするな、この監督はそう言いたいのだ。 たかが映画じゃないか。人生は映画的じゃない時間のほうがずっと長いのだ、気をつけろというメッセージ性。乱暴な若者言葉や、後藤によるたどたどしい恋人への独白などに見られるリアリズムの追求。ピンクレディーの曲に代表される「意味」の希薄さ。これらから見て、この映画は徹底して反映画を指向していると言っていい。しかしだからと言って、たとえばテレビや凡百の映画のようにつまらないということは絶対にない。むしろ私は、ダラダラと続く後半にこそどういうわけか映画を見ているという至福を多く感じた。かっこよさとは対局にある、イナタい事象をあくまでイナタく撮ることにこだわった監督が、ついにたどりついた結論的作品、と言ってしまっていいぐらいの出来栄えに、十分到達していると思うのである。 【アンギラス】さん [映画館(邦画)] 8点(2010-06-25 11:16:17)(良:2票) 2.私はジャルジャルの芸も顔も知らなかったし、その他の役者もほとんど知らない、選挙運動をしてるのが「ガキ帝国」のあしたのジョーだなーぐらい。 だが、この映画にとって役者の知名度は全く意味が無い、意味があってはならないのだ。 かなり好みの「ガキ帝国」だったが、あのころ井筒も若かった。私も若かった。映画へぶつける思いが観ているこちらにビシビシ伝わって、かなり体温を上げて原宿のシネマプラセットを出た思い出がよみがえる、しかし井筒がその後に撮った映画は体温の上らないものばかり、つまらなくは無いが・・・程度。 そしてパワーを取り戻すべく「ヒーローショー」に挑んだのだろうか。監督としての腕は上り、演出は秀逸。しかし昔と違うのが重ねた年齢なのか、うまいのだ。「ガキ帝国」で楽しげだった殴り合いが「ヒーローショー」では痛い。「バカだけどしょうがねーなー」だったガキ共が「バカでどうしようもねーなー」となり。「そんな事、本当にあるのか?」だったシーンが「あるよな、今時こういうの」になり。「ちょっと笑えるシーン入れとくか」の間合いが「このまま押しで十分」などなど。それなのに昔以上に体温を上げて映画館を送り出してくれた。いろんな意味で本当に心に残る映画だ。 復讐劇の顛末などちゃんと回収ない所は、予定通りの演出だろうし気にならない。 今後活躍するだろう全ての役者に、そして「S・O・S」と警報を発して幕を引いた凄腕監督に敬意を表します。 ただ問題は集客力、私の行きつけのシネコンでは公開1週目の木曜18時で私含め5人、2週目には1日1回上映に変更と、この作品が多くの人の目に触れず消え去るのかと思うと残念でならない。 【カーヴ】さん [映画館(邦画)] 8点(2010-06-07 13:31:30) 1.《ネタバレ》 前半は、執拗に生々しく、気持ちの良くない暴力シーンがひたすら流される。 ヤンキーの登場人物達も下手にイケメンばかりだったりせず、リアルな顔つきしているのが良い。イカレタ兄弟の眼つきはホンマモンのキ●ガイのそれだった。 有名キャストで固めていない事で、より生々しさが強調される。 ジャルジャルの二人も、特に違和感なく、この映画の住人として溶け込んでいた。 さて、しつこい暴力シーンがこのまま最後まで繰り返されると思いきや、後半は割と静かになり、人間ドラマになる。圧倒的な暴力の象徴だった男の人間的部分が見せられることになる。さっきまで、「ひどい!こんなヤツ死んだ方がマシだ!」って思っていた対象が見せる人間らしさにこちらは戸惑う。悪人が、愛情の対象により、人間味をみせるという展開は南アフリカの映画「ツォツィ」を思い起こされたが、「ヒーローショー」での暴力にはバックボーンがない。別に貧困でも何でもない。 若者なんて悶々として、ただの日常や自分の未来に絶望したりして、無理矢理夢とか探そうとしちゃったりして、また絶望したりする。そんな当たり前の絶望が安易に暴力に向いてしまう人間は、彼女や子供に優しいからといって許されない。 そんな人間の末路は結局悲劇。暴力の結果はこんなにも醜悪なんだよっていう事を突き付けてくるような作品と言えるかもしれない。 監督の味が濃厚に出ている良い作品だったと思う。 【すべから】さん [映画館(邦画)] 8点(2010-06-07 11:47:38)(良:2票)
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