みんなのシネマレビュー |
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ネタバレは禁止していませんので 未見の方は注意です! 【クチコミ・感想(8点検索)】
20.《ネタバレ》 私が小学生の時、教室で読んでいい漫画ってのがあって、『はだしのゲン』とか太平洋戦争を描いた漫画が数冊ありました。アジア各国で悪逆非道を行う日本軍。“御国(天皇・国家)のため”に無駄に死なされた神風特攻隊。特攻の命令を出す悪そうな上官と、悔し涙を流しながら出撃する隊員のイメージが印象に残ってます。私たちは自分で考える前に、そういう“教育”を受けてきた世代です。 本作は特攻を美化するでも、卑下するでもなく、当時の軍部の方針とかも描かず、あくまで当事者である若者たち=特攻隊員の目線で描かれています。現代の若者・まだ26歳の健太郎が、当時26歳で命を落とした自分の祖父の、気持ちや行動を探求していく構図が面白いです。 特攻と自爆テロの違い。健太郎の友達が考えるように、熱狂的愛国者が“御国のために”と誇りを持って、ヒロイズムに浸って特攻したのか? 合コンを抜け、改札に向かう普段着の健太郎。周りはみんなスーツ。命令されなくてもおんなじ格好してるのが、日本人らしい。戦時中も日本人は、みんなおんなじ方向向いてたんだろうな、って。 宮部教官に可を貰い、一日でも早く特攻に出撃したい予備学生たち。彼らは悲惨な戦争に自暴自棄になったのではなく、自分が国のために何が出来るかを考えたうえで、特攻を望んだように観えました。家族の住む本土に迫る、目の前の米軍艦隊。その足を止める手段としての特攻。予備学生は国を戦火から守るために、出撃を望んでたんでしょう。でも宮部はその先の、戦争に負けた後を見据えていたんでしょうね。 宮部が最後に特攻を選んだのは、自分の代わりに、日本の未来を創る若者たちが死んでいくのに、耐えられなかったからでしょう。でも搭乗機52型の不調が、宮部の望みを叶えてくれました。「生まれ変わってでも、必ず君と清子の元に戻ってきます。」 「妻と娘のために生きて帰りたい。」この言葉は、あの時代“妻と娘を愛している”と同じ意味だと、井崎は言いました。 あの時代に彼ら若者が使った“国のため”という言葉は、今の時代の“家族のため”と同義語だったんじゃないかと思えます。 早田ひな選手の「鹿児島の特攻資料館に行ってみたい」発言がネットで話題になっています。実際に見た結果、どんな感想を持つかは彼女の自由だし、感想を公表する必要もないことですが、まだ24歳の若い子が、自分の目で観て自分で考えようという想いが、とても素晴らしいことだと思います。 彼ら特攻隊員が守ろうとした“国”には、きっと私たち=未来の子孫たちも含まれるのでしょうね。そんな事を考えた、今年の終戦記念日でした。 【K&K】さん [地上波(邦画)] 8点(2024-08-17 18:07:41) 19.《ネタバレ》 特攻という本当の意味を知ったのはこれが初めてかも。そう思わせた作品。今まで特攻する人の思いをあまり知ろうとしなかっただけあって、結末を観て涙が出てきました。 作者自身だったり、作品のコンセプトが批判の対象に挙がってるけど、少なくとも戦争や特攻を賛美してるような映画ではないと思う。主人公含めかつての仲間たちやその子孫は特攻して良かったとは思ってはいないはずだし、特攻そのものは戦況に何も影響が出ないし、それでも特攻する人の気持ちを鑑みるともっと称えられるべきなんだなと思った。 映画とは関係ないけど自分自身も左翼な地上波テレビ大嫌いになってニュースを見なくなりネトウヨと咎められてるニュース番組で百田さんを知ってそれを見てるので贔屓にしてるかもしれないけど、少なくとも好きではあるし言い分も下品だけど地上波のアホコメンテータよりは遥かにまともで、少なくとも今作の特攻、戦争のテーマは共感できました 【ラスウェル】さん [DVD(邦画)] 8点(2019-09-16 23:44:08)(良:1票) 18.《ネタバレ》 宮部久蔵が架空の人物でも、同じ思考を持った人間が当時にも存在していたからこそ制作された物語だと感じた。 戦争を知らない私たちの世代は、軽はずみな発言はできない。なので、アクションとか俳優の演技とかは二の次で、内容や題材を胸に刻むべき作品。 【バッジョ】さん [DVD(邦画)] 8点(2018-11-05 21:21:55) 17.この映画の原作を公開前に読んだけど、あまり面白いもんじゃなかった。 だって開戦当時から戦闘機乗りってことは、バリバリの志願兵なわけで、そんなのが逃げ回ってばかりで同僚から悪評プンプンだったら、そもそも戦闘機乗りになれるわけないから。 開戦当時の戦闘機乗りって、ノンキャリアの憧れ中の憧れですよ? 現代で言うと、警察なら白バイ隊員で、さらに箱根駅伝を先導するレベル。 そんなのが仕事よりも家族が大事って、現代人の感覚でも???で、戦時中なら絶対にいなかったと断言できるから。 ところが、この映画ではそこのところをうまーく誤魔化して、さらに映画史上最高の空戦シーンを盛り込んで、好感の持てる仕上がりになってる。 邦画だから、大して金はかかってないだろうに、これほど戦闘機乗りの高揚感や緊張感を映像で表現した作品を他に知らない。 だから、原作よりも遥かに主人公に感情移入できた。 そして、他の出演者もみんな好きになった。 そりゃあ、細かいこと言えば色々とツッコミどころはあるけど、やっと感情移入できる日本の戦争映画が出てきたことに感謝したい。 「男たちの大和」とか、ひどいもんだったし。 あー映画館で見れば良かったなあ。 でも、つまらない原作を映画館で見れないよね。今回は、仕方ない。 【まかだ】さん [CS・衛星(邦画)] 8点(2017-10-01 16:52:26)(良:1票) 16.橋爪功さん何言ってるかわかりづらい。ほんとに本職が俳優なんだろうか。 映画の完成度が高いだけにとても残念なポイントでした。 【マントタヌキ】さん [インターネット(邦画)] 8点(2017-07-05 14:07:23) 15.《ネタバレ》 <原作未読>2014年の実写邦画ナンバー1ヒット作。今さらの鑑賞だけど、実に良かった。主人公・宮部久蔵は仲間が戦ってる最中も自身の命最優先で逃げ回る帝国海軍の恥さらし。そんな彼の運命を特攻作戦が変えていく。日本軍苦肉の策により、次々と無念の死を遂げる教え子たち。そして彼らの盾になるという任務を遂行できずにいる自分。宮部には、もはや自分だけが幸せに生きる道などなかった。自身の命にかえて、一人でも未来ある若者の命を救うことが彼なりの贖罪。特攻と言えば一種の洗脳状態のもと、国のために命を捨てるというイメージで、実際それが大半なのだろうけど、宮部のような特攻の形もあったのかなと考えさせられる。原作者のことはよく知らない。左の人たちから敵視されてるのかもしれない。でも作品はまた別。愛する妻、子供と暮らす何気ない幸せを戦争は奪っていった。特攻についても作戦と呼べない代物と断罪している。このようなことを二度と繰り返してほしくない。そんな思いがこもった立派な反戦映画だ。 【リーム555】さん [CS・衛星(邦画)] 8点(2017-05-13 10:12:51) 14.小説は読了済みです。正直永遠の0ブームにのかっただけの体裁を整えただけの映画だろうと思ってずっと敬遠しておりましたが、これは謝らざるをえない。すみませんでした。監督、スタッフ、キャスト皆様の魂の籠った素晴らしい映画です。いい作品を作ろうという心意気を感じました。 【ばかぽん】さん [ブルーレイ(邦画)] 8点(2017-01-06 18:11:12) 13.《ネタバレ》 小説の映画化としては、かなりよくできていると思います。最低限必要な部分を抽出して上手くまとめた感じ。 私の頭が幼稚なせいだと思いますが、原作を読んでも、この映画を観ても、戦争美化だとか反戦だとかいったことについてそれほどの主張は感じませんでした。 原作の中では、日中戦争の頃から話が始まり、ゼロ戦登場時の圧倒的な敵との性能差が徐々に埋まっていく状況や、終戦頃には敵戦艦の対空装備の性能が格段に進歩していたことなどが、一戦一戦の戦況変化と並行して丁寧に語られており、個人的にはこの辺りが非常に気に入っていたのですが、映画の中では一言二言触れる程度だったのが少し残念でした。まあでも、2時間に収めるためにはそれも致し方なかったのだと思います。 【マー君】さん [DVD(邦画)] 8点(2016-11-23 19:34:37) 12.近年の邦画では出色の出来だ。戦争映画にありがちな、美化や反戦の思想がことさら色濃く出ていないのも好感が持てる。ただただ家族を守りたい、それでいながら、部下達の人生も守ってやりたい。実直で真面目な男を演じた岡田も役に見事にはまっていてカッコイイ。そして涙なくしては見られない作品。エンディングの構成も心憎い。 【へろへろ】さん [地上波(邦画)] 8点(2015-09-03 17:10:05)(良:1票) 11.「私たちだけが特別なのではない」 映画のラスト、夏八木勲演じる主人公の祖父が秘めた真実を語り終えた後にそう付け加える。 特攻の美化だ、右傾化だなんだと、原作者の人間性も手伝って賛否の激しい作品であるが、結局この物語が最も伝えてくることは、その夏八木勲の台詞に込められていると思う。 軍人も、民間人も含めて、激動の時代を生きたこの国の総ての人たちが、悲しみも、怒りもひっくるめた「物語」を秘めて、その後の時代を何事もなかったように、耐え、忍んで生きてきたという事実。 この映画で綴られる物語はもちろんフィクションであるが、あの時代を生き、命を継いだ人たちがいたことは紛れもない事実であり、そのそれぞれの物語に対して否定も肯定もないと思う。 「戦争」においては、正義も不義もないことと同様に、それに関わった人間の行為においても、善悪の判別をつけることなど出来ない。 この物語において、生存者の“証言”によって異なる人物像が伝えられるくだりは、そのことをよく表している。 「戦争」は否定されるべきものだと思う。 しかし、ただただ一方的に偏った意見を聞き入れ、そのまま否定することも、安直で、それもまた危険なことだと思う。 あの時代を生き抜き、命を継いでくれた人たちそれぞれが語る言葉の意味を、今の時代の僕たちは今一度知り、考えていかなければならないのだと思う。 原作の時点で賛否の激しい作品ではあったが、個人的にはそれほど偏った思想を感じることはなく、むしろ生存者の証言という要素を軸にした中立的な物語だと思った。また戦争という悲しみを孕んだ物語ではあるが、構成として娯楽性の高い作品だとも思った。 「証言」を軸にした物語構成は、人気バラエティ番組「探偵ナイトスクープ」を手がけた放送作家らしい作品だとも思う。 山崎貴監督は、彼自身の最大の武器であるVFXを存分に活かして、このベストセラー作品の映画化を成功させている。 主題ともいえる“零戦”が飛び交う交戦シーンの迫力とクオリティーの高さは、間違いなく国内最高レベルであり、この作品に相応しい映像としての説得力を備えられていた。 それは、凡庸なドラマパートの演出力を補って余りある総合的な演出効果だったと思う。 キャストにおいては、“証言者”である老人たちを演じたベテラン俳優陣が皆さすがの味わい深い演技を見せてくれる。 ただここはやはり、主演俳優である岡田准一の熱演を特筆したい。 人々の記憶の中にのみ残るある意味人物像が定まらないキャラクターを、熱く、真摯に演じきって見せたと思う。 この俳優には、所属事務所の枠を越えて、今後もっと幅広い役柄を演じていってほしいと思う。 ついに特攻に赴く時、エンジンの不調を察知した主人公は一寸安堵のような表情を浮かべる。 やはり彼は、どんな心情であっても、どんなに無様であったとしても、最後まで生き残る道を模索していたのだと思う。 戦後70年。実際に、生きて、残った命の価値と、彼らが継いでくれた命の意味を、改めてよく考えていきたい。 【鉄腕麗人】さん [CS・衛星(邦画)] 8点(2015-08-17 23:03:56) 10.《ネタバレ》 「逃げ回っていた」「臆病者」と言われた祖父の本当の生き様は、それらとは全く異なるものであり、誰よりも戦争の無意味さを説いていたと思う。一方でこの物語の最大の鍵である「何故、宮部は特攻を志願し、死んだのか?あれほどまでに生きろ!と説いたのに…。」ということについては、自ら指導した教え子たちが特攻などで死んでいくことに対する慚愧の念に堪えず、さらに最後に見せた微笑みは教え子に対する贖罪として死を迎えることができることの表れと捉えた。 戦争の酷さ、死んでいった者への贖罪、殺した者への悔恨、残された者の悲惨さそして悲しみなど多くの思いが散りばめられた作品だと思う。宮部教官に伝える言葉があるとすれば、あなたの孫をはじめ家族にはあなたの生き様そして伝えたかったことの多くが伝わりましたよ、ということか。 【黒兵衛】さん [地上波(邦画)] 8点(2015-08-01 17:50:31) 9.《ネタバレ》 原作未読。TX系のドラマ版を見て、映画版が見たいと思っていたところで劇場版がテレビで放映されたので見ることが出来ました。 この映画を見る自分の心の中ではゼロ戦に対する背景があり、9歳の時にいきなり堀越二郎の「零戦」を読んでしまった→坂井三郎の「大空のサムライ」も読破。当然プラモデルで作る飛行機はゼロ戦が多くなる→中学時代、軍事雑誌?の「丸」買い漁る。書店の主人に「君はよく丸を買ってくれるねぇ」と、戦争を知っている世代の方に褒め?られるこの頃はゼロ戦無敵と思っている→長い時を経て中年になる(笑)→ゼロ戦は実は書籍などで活躍したと書かれていたのはだいぶ事実とは異なるとインターネットで知ることになる。その他様々な情報が過去の過度に賞賛された内容を書き換えていく。→いい歳になってやっとパイロットの気持ちや一兵卒の気持ちを考え始める。→それでもゼロ戦は日本のサムライを体現したようなものだと思い続ける。→ここで「永遠の0」登場。 特攻隊の関連の情報はかなり見た。 この映画に出てくるような人もいたことだろう。うまく言えないがいろいろ思うものはたくさんあります。 映画としては、岡田准一がこれほど出来るとは思っていなかった。 語り部の戦争経験者の方々の演技も素晴らしい。 三浦春馬も言うほど悪くはない。 少々オーバーな演出、演技もあるが自分の中ではOKです。 こういう映画の形でも構わないからこれからの若い人たちにもいろいろな形で当時の事を知ってほしいなと思わせる作品でした。 【ゆたろ】さん [地上波(邦画)] 8点(2015-08-01 15:53:25) 8.《ネタバレ》 第二次世界大戦で零戦特攻隊に志願し戦死した祖父を姉弟が調査する中 明らかになっていく人となり、そしてその死に真相が浮かび上がってくる。 小説を読んでたので映画は楽しみにしていましたがやっぱり面白いですね。 【Dry-man】さん [映画館(邦画)] 8点(2015-02-14 02:24:02) 7.《ネタバレ》 天皇陛下万歳、大日本帝国万歳。と死んでいく人ってどれくらいいたんだろう。誰もが日本を守りたいという一心で命懸けで戦ってくれたのだと思いますが、死ぬ時は、妻の事、子供の事、両親の事、を思っておられたと思います。 主人公は人一倍そうだったはずなんだけど、あのラスト、どう思って死んでいったんだろう・・・。特攻を志願した理由も・・・・。強い心の持ち主が、心が折れた時。そういう描写がまた良かったです。 【アキラ】さん [ブルーレイ(邦画)] 8点(2014-08-24 11:29:50) 6.《ネタバレ》 永遠って普通は∞をイメージする。ゼロは無・帰らない人。だけど、ゼロなのに永遠。妻と子のために生き延びようとした男は、帰らなかったけどその思いは永遠だった。さらにそれは孫の青年たちへ引き継がれ。「永遠の命」なんていう、ちょっと小っ恥ずかしい言葉を思い出した。 良い映画だ。 【Tolbie】さん [DVD(邦画)] 8点(2014-08-19 19:47:03) 5.《ネタバレ》 激戦の太平洋戦争最中、特攻の空に散った日本海軍一の臆病者・宮部久蔵の足跡を追究します。そんな宮部がなぜ特攻隊を志願し、散ったのかー宮部の孫が宮部の戦友たちに突撃取材を敢行。「生まれ変わってでも戻ってくる」、それがこの作品の全て。2013年の人気小説が原作で、デキすぎた戦争ドラマですが日本人なら万人感じ入るでしょう。監督はオールウェイズシリーズの山崎貴。2014年の大河ドラマ主演の岡田准一が好演。2013年最後の映画観賞にして傑作。 【獅子-平常心】さん [映画館(邦画)] 8点(2014-02-18 06:48:37) 4.《ネタバレ》 「今を感謝」込められたメッセージを感じた。原作者は映画化の話を何度も頂いていたが断っていたという。しかし今回の脚本を観た時にこれはと思いOKを出している。最近のアニメのリメイクなどに見られるこれを本当に原作者がOKだしたのか?と思えるような作品が多い中、本当にいいものに仕上がっていると感じた。私の叔父も特攻隊で亡くなっている・・・何か哀悼の思いが湧き出て来て涙が止まらなかった。気が付けば2夜連続劇場に足を運び観ていた。会ったこともあまり話を聞いたこともない叔父ですが何故か私との因縁を感じる。かつて広島に住んで居た時に江田島術科学校に見学に行った時、叔父の名前を碑に刻まれているのを観た時感慨深かった。戦争がどうのこうのなんていう奇麗ごとはその時代通用しなかったと思う。今だってそう思う。絶対にやってはいけない・・・と言っても私たちの世界でどうこうなる問題でもないように思うし、また世界が「今に感謝」を取り戻せばそれも回避出来るのではと感じる。離婚したり自分の家庭や学校、職場も平和に出来ない世の中である。これは価値観の違いからそうなると思う。それが世界レベルになればそれこそが戦争の火種では・・・それなのに戦争問題になると色々言うことに矛盾を感じる。「感謝がなくなると当たり前になる」これは先般の震災で学んだこと。そんな中普通でいる。家族がいるなど当たり前のことがそうではないんだということに思いを致さねばと思います。物が豊かになり便利になった今、心を更に豊かにするべきだと私自身反省しました。先人達の「愛国の志」に感謝と敬意を表します。 【レスポーラー】さん [映画館(邦画)] 8点(2014-01-07 00:05:22) 3.《ネタバレ》 原作は「命を惜しむ戦闘機乗り」というこれまでに描かれなかった異色のキャラクターを主軸に、現代ともリンクさせた家族愛や同志愛、さらにはミステリー要素も盛りまれ、その底流にゼロ戦や、太平洋戦争史といったミリタリー面からのアプローチを誠実に描いたところに秀逸さがある作品だが、本作はまずこうした原作に対する監督のリスペクトがしっかり感じられる作品とはなっている。特に歴史考証がしっかりなされた衣装やセット(戦後のバラック小屋などは地味だが手抜きをせずに作っている等)に加え、本作の面目躍如はリアルな空戦シーンなど、監督がこだわったであろうシーンもVFXの進化によって過去にないレベルで再現されている点だ。反面、現代パートは定点での取材シーンが中心のため、画面に動きをつけるのは難しかったと想像されるが、ベテラン俳優の演技力がしっかりそれをカバーしていたと思う。特に本作が遺作となった夏八木勲は味のあるいい演技を見せている。もし宮部久蔵なる人物が実在していて、その史実に基づいたフィクションとして製作され、エンドロールで実際の写真が映し出されたと想像すればおそらく嗚咽クラスの感動があったかもしれないが、作中でも語られていたように、戦争で死んだ人、生き残った人にも、それぞれのドラマがあったことを改めて想起させてくれる点で、この作品が平和な時代に生きる私たちに有益なメッセージを投げかけていることは間違いない。 【田吾作】さん [映画館(邦画)] 8点(2013-12-29 00:32:14)(良:1票) 2.《ネタバレ》 原作を読んでいないので、戦争末期の上官と部下、2人の祖父の関係とそれぞれの思いが見えてきた時はやはり感動しました。 原作から省略されている部分もあるのだろうけど、家族のために生きて帰ることにこだわっていた宮部がなぜ特攻に志願することになったのか。その心の軌跡も十分感じることができたし、敵艦に辿り着くこと無く特攻機が次々に撃ち落とされていくシーンは、戦争の虚しさを感じざるを得ないと共にその迫力は映画ならではものであり、映画館で見て良かったと思えました。 2人の孫がもう1人の祖父の実像に迫ろうとする中で出会う、かつて宮部の戦友や部下であった老人達を演じるベテラン俳優陣、特にヤクザの親分役の田中泯の凄味のある存在感。別れ際にかつての戦友の孫と抱き合うシーンは、彼が宮部をどう思っていたのかが伝わってくる感動的なシーンでした。本作の最終番で語られる、終戦間もなくの時期に宮部の妻が襲われた際に、日本刀を持って助けてくれたという男。これが誰だったのか明確な答えは出されませんが、それで十分ないいエピソードの挿入でした。 2人の孫に全てを告白する、今年お亡くなりになった夏八木勲さんの姿にも感動しました。もう1人の祖父の実像に迫ろうとするミステリーでもあり、戦時中と今、時を越えて繋がる男の友情や家族愛のドラマでもある。2時間半近い長尺ですが、長さが気にならない中身の濃い映画でした。 【とらや】さん [映画館(邦画)] 8点(2013-12-26 20:23:05) 1.《ネタバレ》 最後の米兵の回顧がない所、姉の恋人が出てこない事、いくつかのエピソードは省かれましたがほぼ原作のエッセンスは盛り込まれたつくりでした。CGも素晴らしく迫力があり満足です。泣き所はそれほどありませんが、完成度の高い映画に仕上がっていました。ヤクザの家での三浦君はちょっとオーバーアクト?な部分などいくつか気になる点はありますが十分楽しめる映画でした。この上映時間を長く思わなかったのが何よりの証拠ですね。 【東京ロッキー】さん [映画館(邦画)] 8点(2013-12-22 01:45:06)
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