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ネタバレは禁止していませんので 未見の方は注意です!
【クチコミ・感想(8点検索)】
3.《ネタバレ》 原作小説は読んでおらず、原田知世主演のテレビドラマ版は観てました。映画版は予告編を観た時から大島優子の演技にタダならぬ期待を感じて楽しみにしてました。やっぱり大島優子の演技イイです。そして作品の出来は十分な時間をとっているテレビドラマより数倍面白く出来上がっていて、その出来の違いは脚本について学んでみたくなる気分でした。主人公があの学生と付き合うに至る流れは不自然で、しかもテレビドラマ版に比べて学生の外見が見劣りするうえに子供っぽいので、そこはちょっと不満でしたが、映画を作ると言っていたテレビ版青年より浮ついた感じのない地味に真面目な青年になっていたのは好感持てました。三谷幸喜の嫁さんだった小林聡美は、役どころが好感持てない感じで正しいことをしてるけどキツイという雰囲気。とくに主人公と食事した時に「怒ればいいのに」と言われて返した反応に「ホントくそまじめでつまらない女」と思っちゃうんですが、その後、主人公がにっちもさっちも行かなくなったクライマックスの社内の部屋での宮沢りえとの対話にはグッと引き込まれました。これは小林さんをキャスティングしたのって凄くいい雰囲気出せたんじゃないかって思いました。こんなシーン、テレビドラマ版にはなかった。スゴくいいシーンです。小林に「あなたが行けるのはここまで」と言われた後の宮沢りえの行動は解放感に満ちてました。原作はどういう感じなのか分かりませんが、主人公は単なる犯罪者ではなく、バブル崩壊以前にリタイアした世代の中でもヤーな感じのオヤジが元で一線越えてしまった「善」の部分がある女性です。何もかも救いのないテレビ版より、この映画の締め方は非常に好きになれました。金を与えても、学生は学校を辞め年相応の女の子と付き合うようになり、国外で苦しむ貧しい子供も天災で多分死んでしまった…「結局他人に与えたところで無駄じゃん」みたいな虚しさに飲み込まれそうなところに、生き伸びて大人になり娘を持っている国外少年の姿を見つけて、自分が与えたことが決して無駄ではなかったと救われるあのシーンは清々しいです。ただ「盗み」って言えば明らかに悪ですけど「誰のどんな質の時間のための金を、どこのどんな人のために移動させたのか?」という見方をすれば主人公は女鼠小僧みたいなイイ奴とも言えますから。「横領とか悪いことすると必ず捕まるんだからね」みたいなテレビ版オチより、世の理不尽や不条理に反旗を揚げるようなこの映画の後味の方が好きです。 【だみお】さん [DVD(邦画)] 8点(2015-10-10 01:57:37)
2.映画版独自の設定として舞台が1994年にされていますが、この時代設定が絶妙でした。それはバブル崩壊後の混乱期に当たり、数年前まで約束されていたはずの将来が目の前で崩れ去った現役世代は地獄の苦しみを味わっていました。専業主婦だった梨花が銀行へのパート勤めを始めた理由について劇中では触れられていませんが、こうした時代背景において、夫の収入だけでは生活が成り立たなくなったのかもしれません。一方で、バブルを勝ち逃げした老人世代もいました。現役世代がリストラに怯えながら仕事をしている一方で、遊びのことしか考えていない老人や、ひたすら蓄財に励むドケチ老人がいる。こいつらだって、若い世代の生き血を吸って私服を肥やす盗人ではないのか?こうした世代間格差が、梨花のモラルを低下させる一因となっています。少なくとも初犯は、富める老人から恵まれない若者への所得の移転を狙ったものでした。 しかし、一度あぶく銭を手にしてしまうと、それは癖になってしまいます。さらには、40才の主婦が20代のイケメン大学生から惚れられるという、今後の人生で二度と訪れないであろうチャンスを掴んだことや、ナイスタイミングで旦那の単身赴任が決まったこともあって、「後は野となれ山となれ。ここで楽しむしかないのよ」と、梨花は刹那的な生き方にどっぷりと浸かってしまいます。恋することでどんどん綺麗になっていく宮沢りえの姿が梨花の行動を心情的に応援したくなる要因ともなり、私は梨花の気持ちに同調して映画を見ることができました。結果的にヒモとなってしまう光太についても、その心情がうまく描写されています。当初は身内でもない人からお金を受け取ることに抵抗を示しているし、その後においても梨花に対して積極的に要求したことはありません。しかし、普通の20代では味わえない贅沢をさせられることで倫理観は徐々に低下し、「このお金はどこから来ているのか」という正常な猜疑心も失われ、さらにはまともに働こうという気力まで奪われ、本来は悪人ではない彼が人間的に腐ってしまうのです。これぞお金の魔力。恐ろしいものを見させられました。 恐ろしいと言えば、梨花の着服を暴く隅より子(映画版オリジナルのキャラ)の存在も同様で、すべてを見透かされているような眼光の鋭さ、職場のお局様特有の容赦のなさが素晴らしく、彼女の存在により、本作は一流のサスペンス映画にもなっています。 【ザ・チャンバラ】さん [ブルーレイ(邦画)] 8点(2015-07-20 01:35:40)(良:2票)
1.《ネタバレ》 ぶっちゃけ単なる「ヒモ男に入れ込んだバカな中年人妻の不倫話」です。でもこれがお金や欲望、そして善意にまつわる奥深い話になっており、吉田大八監督の演出力に舌を巻きます。 この映画には主人公が本質的に二人いる。一人は勿論、宮沢りえ演じる営業マンの梅澤。そしてもう一人は小林聡美演じるベテラン社員の隅さんです。この二人は恐らく観客の持つ二面性をそれぞれ片面ずつ表しているキャラクターだと思います。それぞれが頭の中の天使と悪魔だと考えれば実に分かり易い。「横領しちゃえばいいじゃない。お金なんて所詮は価値のない偽物よ。唯の札束よ。自由になりましょう」と囁くのが梅澤、「お金じゃ結局自由になれないわよ。人間落ち着く所に落ち着くようになってんの」と囁くのが隅さん。私は観ながら「梅澤みたいには行動できんなぁ……」と思っていましたが(大多数の人はそうでしょう)、梅澤が隅さんに「もっと怒ればいいのに」と言うのも尤もな様に思える。本来唯の紙切れに過ぎないお金に縛られている私達はどうしてもモラルの壁を乗り越えてしまった梅澤にどこか憧憬を禁じ得ない。しかし最後にそんな夢は醒めます。この瞬間の描き方が実に皮肉となっていて素晴らしかった。ヒモ男は若い女を作っていて破局。いやらしいと思っていたお客には枕営業を仕掛けようとしたら「今まで通り真面目にやればいいんじゃないかな」と逆に諭された。隅さんには「お金で買える自由はここが限界」と気付かされる。それでも彼女は窓から飛び出して偽りの自由で生きることを選んだ。ラストシーン、タイで自分が募金した相手の男の子は、別に募金があろうがなかろうが立派に大人に成長していた。彼女の善意はまるっきり無意味なものだった。自由でもなければ、善意にもならず、単に無意味な人生。それが彼女が選んだ偽りの自由の結果なのでしょう。リンゴを無言でほおばる彼女の眼からはそんな人生に対する呪詛すら感じる。 まあ流石にあんな突発的な逃亡の末に、タイまで逃げられるのは無理有り過ぎるとも思ったのですが。もうちょっと上手い見せ方は無かったのかな。 【民朗】さん [映画館(邦画)] 8点(2014-11-24 23:15:21)
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【点数情報】
Review人数 |
52人 |
平均点数 |
6.06点 |
0 | 0 | 0.00% |
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1 | 0 | 0.00% |
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2 | 2 | 3.85% |
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3 | 0 | 0.00% |
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4 | 7 | 13.46% |
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5 | 9 | 17.31% |
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6 | 12 | 23.08% |
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7 | 15 | 28.85% |
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8 | 3 | 5.77% |
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9 | 3 | 5.77% |
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10 | 1 | 1.92% |
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【その他点数情報】
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