みんなのシネマレビュー |
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ネタバレは禁止していませんので 未見の方は注意です! 【クチコミ・感想(8点検索)】
6.《ネタバレ》 喜劇王キートンのフィルモグラフィーの中で、最も有名な場面。 それが本作の「建物が倒れてくるけど、窓枠の部分にスッポリ収まり無傷なキートン」になると思われます。 「それはつまり、コレが彼の最高傑作って事なのか」と言われたら、自分としては異議を唱えたくなるんだけど…… そう認識されても仕方無いくらいの傑作である事は、間違いないですね。 とにかくもう、キートン自ら監督したという後半部分の「ハリケーンに襲われた町」の描写は圧巻であり、良くもまぁこんな世界を描き出せたものだと、感心するばかり。 キートンの魅力といえば、当人のアクロバティックな動きが真っ先に挙げられるけど、この人って自分以外の「舞台の作り方」も、本当に上手いんですよね。 自分は三大喜劇王の中でキートンが一番好きであり「王」というよりは「喜劇の神様」って表現が似合うんじゃないかとさえ思ってるんですが…… その理由としては「映画の中に独自の世界を作り上げる事。そして、その世界を壊す事に関しては、キートンに並び得る者は存在しないから」ってのが挙げられるくらいです。 本作に関しても、その力量は如何無く発揮されており「ハリケーンに襲われた町」という特殊な舞台ならではの面白さと、巨大な建造物を破壊していくカタルシスとが、たっぷり描かれていたと思います。 冒頭部分で言及した「窓枠にスッポリ収まったキートン」の場面も凄いけど、個人的には「家が飛んできて潰されたかと思いきや、普通にドアを開けて中から出てくるキートン」って場面も、同じくらいお気に入りですね。 ここ、本当に「朝起きて、出かける為にドアを開けた」くらいの気軽さで、暴風雨なんて起こってないとばかりに平然と出てくるのがもう、たまんないです。 特異な状況ゆえの「普通の事を普通にやってる可笑しさ」を、これほど見事に表現出来るのは、正にキートンだからこそ。 クライマックスでは「水没する檻の中から父親を救い出す」って見せ場も用意されているし、主人公とヒロインが結婚する未来を「溺れた牧師を助けた」という形で示唆するのも、オシャレな終わり方でしたね。 そんな神掛かり的な後半に比べると、キートン監督ではない前半部分に関しては、凡庸な出来栄えに思えたりもするんですが…… 「不器用ながらも息子を大切に想ってる父親」の存在など、魅力的な脇役も揃っているので、決定的な不満点って程では無かったです。 捕まった父を留置場から脱出させるべく、キートンがアレコレ画策する場面なんかは「刑務所モノ」「脱獄モノ」が好きな身としては、心躍るものがありましたし。 それだけでも「キートンが監督していない部分にも、確かに価値は有った」と言える気がします。 それと、本作の前半部分には、もう一つ興味深い場面があるんですよね。 美男子であるキートンが、どう見ても似合ってないチョビ髭を付けて登場し、それを剃る展開になる。 これってつまり「チャップリンのような口髭を付けた姿から、本来のキートンらしい姿に変身する」って形になってる訳で、非常に寓意的なものを感じます。 本作の監督であるチャールズ・F・ライズナーは、数々のチャップリン映画で助監督を務めた人っていうのも、何だか意味深。 そもそもキートンって、ロイドやチャップリンに比べると商業面では劣等生であり、本作でも多大な赤字を記録してたりするもんだから、周囲から「ロイドのような映画を撮るべき」「チャップリンのようなキャラクターを演じるべき」って要求されていたフシがあるんですよね。 「大学生」(1927年)や「結婚狂」(1929年)なんかは、それが顕著。 つまり、本作における「チョビ髭を剃る」シークエンスも、キートンなりの皮肉なユーモアが籠められていたんじゃないでしょうか。 映画を観てる自分としても「バスター・キートンはバスター・キートンであり、決して他の喜劇王と同じではない」という事を、確かに感じましたからね。 それは本作の後半部分、紛れもない「キートン映画」の魅力によって、力強く証明されていると思います。 【ゆき】さん [DVD(字幕)] 8点(2023-10-25 13:58:57)(良:1票) 5.《ネタバレ》 恐ろしい風の映画。 風が吹くまでは、正直とても退屈だった。 風が吹いてからは圧倒的な映像の、演出の力を感じる。まさに奇跡的。 【ゑぎ】さん [映画館(字幕)] 8点(2017-03-28 06:07:58) 4.《ネタバレ》 三大喜劇役者の一人としてキートンの名は知っていたものの、 なかなか見る機会に恵まれなかった。 チャップリンの映画でさえあまり見る機会が少ないのに、 三大喜劇役者の中ではキートンよりもチャップリンの方が圧倒的に一般的に有名なものだから、 どうせキートンの映画は普通のコメディなのか(失礼すぎる!)、なんて酷い偏見も少し持っていた。 しかし、単なるコメディとして終わっていないところが素晴らしい。 父と息子の親子愛を強く感じるのだ。 前半では父と息子はうまく行っていないようではあるが、、、期待はずれの息子に対する父親のイライラが伝わってくるのであるが、 しかしそういった場面からですら、父親の息子にかけるささやかな気遣い(?)というものが微かに感じられる気がするのである。 実際に父と息子なんてなかなか上手くいくものでもない。 お互いに相性が悪い父子の方が多いと思う。 しかし、だからこそこの作品中の親子関係に自分は感じるものがあった。 “父と息子の関係なんざこんなもんよ”と見せられてるみたいに。 喜劇の主人公は滑稽だから良い。 だからこそ自分と重なり合うし、感情移入が出来る。 しかしキートンはなかなか体を張っている。感心した。 チャップリンもそうだったとは思うが、キートンも負けてはいないようだ。 そして、モノクロ・サイレント映画の中ではなかなか迫力がある。 アクション性がハンパない。 崩れる町の連続といったら大迫力で、臨場感ではハリウッド映画のCG表現を楽々と超えると思う。 ヒューマンドラマがちゃんとあり、ロマンありと、決してチャップリン映画には引けを取らないと思う。 チャップリンは自ら監督もやっている天才アーティストという意味で強くリスペクトするが、喜劇役者としてはキートンは同じくらいに素晴らしい。 ただ、安物のDVDなのか、サイレントだからといっても、音楽もない無音なのにはビビッた。 音楽無しのリアルサイレント!自分には合わぬ。 なので1点マイナス。 (でも好きな音楽とあわせて鑑賞すれば、不思議と映像と音楽があってくるものだ) 【ゴシックヘッド】さん [DVD(字幕)] 8点(2011-01-31 01:17:45)(良:2票) 3.《ネタバレ》 チャップリン以外のサイレントを観たのはこれが初めてかも。 キートンをはじめ、登場人物のアクロバティックなコケっぷりが見事。お約束では確実に笑わされるし、オヤジ殿はガンコで意地悪っぽいのにセガレに立派な男になってほしいという気持ちが全面に溢れ出ていて全く憎めない。 後半のハリケーンのシーンは、現代ハリウッド映画を超える迫力と豪快さがあって、目を見張りました。満遍なく笑えた後で、パニックムービーを楽しめて、最後には心も温まるというお得な上質コメディでした。 台詞が聞こえないことは全くハンデになりませんし、逆に想像力をかきたてられますね。キートンの他の作品にも手を出していこうと思います。 【すべから】さん [DVD(邦画)] 8点(2009-06-04 12:13:40)(良:1票) 2.《ネタバレ》 半端じゃないな~、バスター。やけに面白いと思ったら監督はチャップリンの助監督をやっていた人なんですね。序盤の帽子エピソードや、後半の刑務所騒動はホンの序の口。終盤の「デイ・アフター・トゥモロー」宜しく吹っ飛んでいく町並みは圧巻!ハリケーン・カトリーナもびっくり(不謹慎)何気に息子がどつかれると怒る、優しい父親も好き。ところで【どんぶり侍】様、私が観たバージョンには音楽が付いていましたが…(LDだったからかな?) 【かんたーた】さん [DVD(字幕)] 8点(2006-04-19 21:14:40)(良:2票) 1.バスター・キートン初体験! 最初、DVDを再生したとき、音声はともかく、音楽も流れなかったので、故障か?と思いましたが、これがサイレント映画というものなんですね。チャップリンとはまた違うコメディアンでした。パンを届けに行くくだり、いま流行り(笑)のハリケーンで飛ばされて木にぶら下がるくだり、たった68分の映画なのに濃密すぎます。父親も短気なところが滑稽でした。大道具さんの技術が素晴らしすぎる。どうやってあれだけの大きさの家を吹き飛ばしたのだろう。肝心な部分をCGに頼る現代映画にない、知恵を絞りに絞った、まさに芸術! チャップリンの映画を観て、映画というものを評論してきた気でいた自分がとっても恥ずかしい。まだまだ偉人っていたんですね! 【どんぶり侍・剣道5級】さん [DVD(字幕)] 8点(2005-11-04 21:54:01)(良:2票)
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