みんなのシネマレビュー |
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ネタバレは禁止していませんので 未見の方は注意です! 【クチコミ・感想(8点検索)】
3.《ネタバレ》 寓話系ってあまり好きじゃないけれど、これは別だった。 まず、作画が素晴らしい。けっして昨今のCGのような迫力を持っているわけではないけれど、一枚一枚の絵が単純なようで工夫が凝らされていて、何度も目を見張らされた。城の造型はもちろん、巨大な機械兵の手の形など、諸処に独創的なセンスが表れている。キャラクターのちょこまかした動作はとてもナチュラルで、しかも愛嬌いっぱい。とくに王様の愛犬! あの可愛さはやばい。 宮崎駿作品との類似点の多さはちょっとびっくりするほどで、無条件に宮崎駿の才能を信じていたものとしてはショックだった。魔法と科学を融合したような不思議な世界観はジブリだけのものだと信じていたのに……。もっとも、似ているのは表層的な部分に留まっているし、ジブリはジブリで独自の境地に達しているから構わないと思うけれども。 この映画でいちばんコミカルなのが臣下たちが盲目的に王様を崇める下りで、次々とまぬけな銅像が製造されるシーンでは笑ってしまった。でもそこが同時にいちばん嫌なエピソードでもあって、笑う一方で薄ら寒い思いがした。実際、独裁者ってのは傍からみると明らかにバカでしかなかったりする。こんなにも滑稽な世界がある意味では「現実的」であるということに気づかされて、心底嫌な気分になった。 そしてこの結末は……尾を引く。普通なら煙突掃除と羊飼い娘が結びついて予定調和のハッピーエンドを迎えるところを、瓦礫の山を築いて放り出してしまう。機械兵が何かを考え込むかのようにたたずむ寂しげなラストシーンと、あの素朴だけどとても美しいピアノの音楽。愚かな独裁者を倒す正義もまた浅はかなものでしかなく、跡に残るのは廃墟に過ぎない。なんともまあシビアで、辛すぎる結末だ。 よくできた寓話だと思う。遠い時代の遠い世界の物語でありながら、まぎれもなく現代の、現実の物語でもある。 【no one】さん [DVD(字幕)] 8点(2007-08-05 00:48:54)(良:1票) 2.ビデオのパッケージ写真をパッと見た限りでは「ディズニーみたいなのかな?」と思っていたのですが、実際に観てみると全く違うタイプのものだということが分かりました。鳥を含めた登場人物のしなやかな動きに、フランス語の滑らかなアクセントが相まって極上のハーモニーを生み出しています。特にあのいやらしいまでの王様のキャラクターは悪役ながらも秀逸!他に類を見ないどこまでも聳え立つ城の立体表現(何となく『クレヨンしんちゃん/ヘンダーランドの大冒険』を思い出しましたが)、そして中盤から突如として登場する巨大ロボットの件もスペクタクルに満ち溢れています。一部ライオンのシーンが微妙にクオリティが低下しているような気もしますが、そんな些細なことなど気にならなくなるほどのフレンチ・アニメーションの傑作です。余談:現在『やぶにらみの暴君』をビデオやテレビなどで観られる機会はあるのでしょうか? 【かんたーた】さん [ビデオ(字幕)] 8点(2005-05-29 11:37:29) 1.《ネタバレ》 フランスアニメ界の金字塔を打ち立てた「やぶにらみの暴君(52)」の改作版。独裁主義の王様。ある日、絵から抜け出した羊飼いの少女を気に入った王様が、少女と煙突掃除の少年…そして二人を守ろうとする鳥をひたすら執拗に追い掛ける話。なんとなく、この王様を観ると“あの国のあのヒト”を思い出してしまいますが(笑)、そんな社会風刺にも似た“暴君”の描き方は実にユニークで且つ面白い。たっぷり皮肉が込められている所もポイント。細部に至る描写と独特な世界観、どこか未来系な乗り物、そして高く聳える城のディテールは実にに素晴らしい。背景の描き方もかなり丁寧に描かれていて、多分絵の具に若干の黒を交ぜて重厚感を出していると思いますが、そんな色使いが充分に活きてます。この作品を観て「未来少年コナン」や「カリオストロ」等を思い出してしまいましたが言われて納得、あちらはオマージュと言う事なのか…(別サイトでそんな事言われてた)。「雪の女王」もそうだが、日本のアニメ界に影響を与えた意味でも、本作のレーゾンデートルを高く評価したい所。 【_】さん 8点(2003-12-21 17:55:40)
【点数情報】
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