みんなのシネマレビュー |
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ネタバレは禁止していませんので 未見の方は注意です! 【クチコミ・感想(8点検索)】
9.《ネタバレ》 山中貞雄監督作品は何度も観てる。よくあの若さで、こんなに密度の濃い、気の利いたエスプリの混じった人情ものを創れたものだと感心してしまう。やはり天才だったのだろう。山田洋次監督が時代劇を創ったのは、山中さんのような人情ものを創りたかったからでは、などと山田ファンでもある自分には思えてしまう。それほど山中作品は、人情ものの創り手には、魅力的な作品群であると思えてしまう。時代劇の形をとっているが、戦後まもなく生まれの自分には、戦後の闇市のどん底時代の人情ものに通じるものを感じる。みかじめ料みたいなものを集金したり、江戸が舞台とはいえ、金は天下の回りものって感じで話が進むし・・。でも山中さんは、戦争で亡くなられてるわけなのだが。それにしても、いい気なもんだね、の弟のために苦労する清純なお姉さんのためには一肌も二肌も命さえも投げ出してしまう、二人の男の友情と心意気。それをさらりと描く、また創り手の心意気。 【トント】さん [DVD(邦画)] 8点(2014-05-22 06:43:32) 8.たまたま時代の設定が過去だったというだけで、会話だけ取り出せば昭和の現代劇の様相。かえって戦後の時代劇のほうが様式性が強くなってしまっているのかも知れない。直次郎はここではそこらにいるグレかけた気弱な少年だし、三千歳とはミッちゃんと呼びあっている。金子市の中村翫右衛門が傑作で、永年留年して大学に居着いてしまっているような雰囲気のある男、しかし実は死に場所を探していた余計もののニヒリズムも持っている、というあの時代の若者像をくっきりと代表している。“市井”という言葉がこんなにも似合うセットはそうそうなく、その中の住人としては雪の舞う世界などうっとりと見惚れていられるが、余計ものの目を通すと、唯一どぶだけが奥への逃げ路として続いている圧迫も感じられる、という素晴らしい造形。古女房のやきもちという、どちらかというと喜劇の要素を転換点に、ドラマが悲劇性を帯びていくのも、時代の影か。松江邸のニセ僧道海は、設定だけが歌舞伎と同じで、全然違うドラマに仕立てて読み換えの面白さになっている。見事な傑作だが、ただ音楽がうるさく、ラストの立ち回りで「ロミオとジュリエット」が流れ出すと、やはりのけぞる。 【なんのかんの】さん [映画館(邦画)] 8点(2009-10-14 12:00:58) 7. 河原崎長十郎と中村翫右衛門のコンビが絶妙ですね。男が憧れる男の生き様を描いている感じですね。また、女性の描写が非常に良かったです(甘酒屋の娘が原節子と知ってちょっと驚きました。)。 しかしまあ、山中貞雄の作品が3本しか残っていないというのが重ね重ね残念です。 【TM】さん [DVD(邦画)] 8点(2007-06-28 18:31:17) 6.『丹下左膳』を見た勢いで鑑賞。十数年前に録画して見ていないままだったものを引っ張り出してみた。ああ、これも眼福。軽さと勢い、心意気と意気と情の不思議な世界。山中貞雄の現存作品はあと一本。『人情紙風船』か。見たい! しかし、これが手元にない。近場のレンタルに…置いてないだろうなあ。ああ、勢いでDVD買うかどうしようか。幸せな悩み。 【いのうえ】さん [地上波(字幕)] 8点(2007-02-22 21:25:54) 5.すべての登場人物たちが物語を把握することなくすれ違ってゆく。我々観客だけが把握する。終盤にかけて大筋は把握してゆくのだが、細かいところは把握していない。よって娘を助けるという一致した終焉に向かってゆくクライマックスは、けして全てを理解した者同士ではなく、人間味を持ちにくい世の中にあって、汚れを知らぬ光を消し去りたくないという想いであったり、女の意地であったりというそれぞれの想いが交錯しながら進行していく。真相を知らなくても人間としての尊厳や情というものがたったひとつのエンディングへと誘う。人間らしく生きることを選択し散ってゆく者たちに涙せずにはいられない。悲劇でありながら、快活な演出と怒涛のクライマックスが娯楽に富んだ名作へと昇華させている。原節子が身売りを決心するシーンの画面に立ち込める重い空気を今でもはっきりと覚えています。 【R&A】さん [映画館(字幕)] 8点(2005-12-27 13:12:35)(良:2票) 4.《ネタバレ》 映画を見てて涙したことはなんべんもあるが、嗚咽が漏れたのは初めて。家で一人で見ててよかった。河内山が「お静は俺の女房だ、河内山の女房だ」と台詞を言い、次の瞬間板戸越しにその台詞を聞いたお静の顔がアップになるシーンです。 【伯抄】さん [DVD(字幕)] 8点(2005-05-06 22:34:34)(良:2票) 3.《ネタバレ》 男ってのはいつの時代も、可愛い乙女に弱いものです。さぁ喧嘩だ、といざ刀を抜いたらお浪さんが手を怪我して、慌てふためき仲直り。そして朝まで飲みつぶれ。って何て素敵な人間たちだろうか。美しい女性を咲かすため、自らはただ散っていく。そしてその血は静かに流れ・・・。あぁ切ねぇ、だけど少し憧れてしまう。 「あんたは幸せな時代に生まれた」って高齢の人にはよく言われたけど、これだけ凄い映画を見せられたら山中監督の映画をもっと見てみたかった、そう思わずにはいられない。それは叶わずとも日本人はもっと山中監督の映画を観るべき。 「最近の若者は山中貞雄と聞いてどれだけの人が分かるのだろうか」なんていう文章なんかを読んだりするが、大丈夫、俺がいる。 【紅蓮天国】さん 8点(2004-08-26 20:15:29)(良:3票) 2.そこまで尽くすってのが理解しにくいところだけど、それが原節子だったらありえるのかもと思った。10代の原節子はすごいかわいいし、俯いた感じがとても綺麗。お静に罵られて飛び出すシーンが凄いかわいくて。美しさの罪を感じた。 【バカ王子】さん 8点(2004-05-11 21:35:02)(良:1票) 1.『人情紙風船』はあまりに出来過ぎてるので、あえて『河内山宗俊』を。 あまり記憶が定かじゃないけど、いちばんシビれたところは、たしか、中村翫右衛門の最後のセリフと、残した爪楊枝だったと思う。あの「爪楊枝」みたいのの映像だけで、この映画は傑作だと思いました。物語としても、『人情紙風船』よりこっちのほうが面白くて好きかなあ・・。なんか『人情紙風船』て、あらゆる意味で完璧すぎるんだもん。面白いとか面白くないとかじゃないでしょ、あれは。 それから原節子のことですが、原節子って日本映画には大柄すぎて顔もバタくさいと思うけど、この映画のときの原節子は、まだ若くて可憐な感じでいいです。とくに原節子がはじめに横顔で映し出されるシーンは、たぶん歴史的なシーンなんでしょう。 ・・気持ちは9点以上なんだけど、個人的なバランスの問題で8点にしちゃうのを許して。(T_T) 【まいか】さん 8点(2004-04-24 04:29:19)(良:2票)
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