みんなのシネマレビュー |
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ネタバレは禁止していませんので 未見の方は注意です! 【クチコミ・感想(8点検索)】
6.周囲から蔑まれて育ってきた主人公の青年を市川雷蔵が演じていて、前半はいかにも純朴、と言うよりは野暮ったい雰囲気を漂わせています。およそ雷蔵らしくない役、のようでいて、実はこの人、こういう役の方が似合ってたんじゃないか、という気もしてきますが、後半への彼の変化が見どころで、思いつめたような悲壮感が加わってくると、やっぱりこれが雷蔵だよなあ、と。 不幸な生まれのため、あいつは犬の子なんじゃないか、とか、酷い言われようをしながら育った主人公なのですが、そういう育ちが為せる業なのか、はたまた宿命というものなのか、独特の野生みたいなものが彼には備わっています。 それは例えば、花を愛する優しき心。なのですが、ただ「優しい」とだけは言うだけではなく、その心ゆえ、殿様に対しとんでもないこともやらかしてしまうし、またその事件が彼のその後の運命を左右したりもします。 はたまた、走る馬にも遅れずについていく異常な脚力。いや、雷蔵がそんなに速く走れる訳ないでしょ、これって早回しやんか、などと言ってはいけないのです。主人公の持って生まれた野生。 はたまた、居合の達人(内田朝雄)の技を、目で見て習得する眼力。いや、内田朝雄がこんなに速く刀を抜ける訳ないでしょ、これって早回しやんか、などと言ってはいけないのです。いずれにせよ、かつて野暮ったかった青年は、習得した達人の技、そして自らの修練と持って生まれた野生の勘により、暗殺を繰り返すヒットマンとなっていく。その過程で生まれる悲劇がまた、彼の宿命を感じさせたりもして。 で、片や花を愛するメルヘン、片や剣に生きる暗殺者としての心、その二つが、クライマックスにおいて邂逅する訳ですね。咲き乱れる花の中で繰り広げられる、襲いかかってくる刺客たちとの死闘。こういう場面で、やっぱり雷蔵の殺陣はイマイチだなあ、とは思いつつも、その悲壮感には魅せられてしまいます。こんな山間の小川に花が自然に咲いているはずもないので、きっと撮影のために植えたんでしょうけど、これだけの花、大変だったんじゃないでしょうか。しかし主人公が見る幻として、さらに花が一面を覆いつくすような映像なども出てきますが、さすがにこの量は植えられるとも思えず、これはどうやって撮影したんでしょうか??? 三隅研次&市川雷蔵の、いわゆる剣三部作の最終作で、ここでも、大映時代劇らしい陰影に富んだ映像、魅力的なロケ撮影、大胆な構図のカメラなどの魅力が堪能でき、残念ながらシリーズはこれで打ち止めとはなりましたが、掉尾を飾るにふさわしい作品と言えるのではないでしょうか。 【鱗歌】さん [CS・衛星(邦画)] 8点(2025-01-26 07:32:58) 5.同僚から生まれについて馬鹿にされようとも、花を育てる地味な生き方をしたかった侍。しかし、自分の特別な才能を発見してしまったことで血なまぐさい世界に取り込まれていく・・・というと、悲劇的に見えますが、主人公自身が悩みつつも、宿命ならやってやる!と自覚的に修羅の道を選んでいるので暗い雰囲気ではありません。見どころは俊足・・・ではなく、やはり居合術。抜刀→納刀の動きがとても華麗で、しかも戦闘シーンがたっぷりと用意されているので贅沢に感じました。市川雷蔵は私が生まれる前に亡くなっておられますが、本当の映画スターだったんだなと今さら納得した次第です。 【次郎丸三郎】さん [DVD(邦画)] 8点(2020-05-23 13:15:23)(良:1票) 4.《ネタバレ》 三隅、雷蔵コンビの剣3部作。 どれも傑作だった。本作も好きだ。 犬の子と馬鹿にされ、花を愛する青年。 しかし剣の天分があり、藩に逆らう剣士の刺客となる。 藩主が人望薄く、雷蔵演じる青年は藩命で、藩を変えようとする仲間すら斬っていく。 花を愛する青年、その裏の面が妖剣を扱う孤高の剣客。 実に面白い。 しかし藩主の突然の死に、事態は一変する。 仲間と壮絶な戦いの末、心許した女性が悲しむ中、身を消していく。 もうね、この3部作で市川雷蔵の魅力を絞り出してる。 これは是非、三隅監督の眠狂四郎も拝見せねばなるまいぞ。 【トント】さん [DVD(邦画)] 8点(2019-10-26 18:53:51) 3.《ネタバレ》 三隅研次監督、市川雷蔵主演による「剣」シリーズ三部作のラストを飾るに相応しく正に壮絶であり、まるで市川雷蔵自身が乗り移ったかのようなあの表情の鋭さと悲しみのようなものに、市川雷蔵自身の運命、宿命とでも言うべきか?40歳にも満たない若さで亡くなってしまった市川雷蔵の作品を見ていると現代劇にしても時代劇にしても男の色気、危うさ、怪しさとでも言うべきか?女性が女性に憧れ、好意を抱くように男が男に憧れ、好意を抱く。単なる二枚目でない魅力がこの俳優にはある。だからこそ市川雷蔵ファンの男は多く、私もそんなファンの一人として、この作品のあの表情からはまるで市川雷蔵自身が自分の死を予測していたか如く思えてならない。花造りの名人、剣の達人、おまけに足の速さは馬以上、女を守る。全てにおいて班平=市川雷蔵に思えてならない。ラストの大勢を相手にの戦い、花畑の中での壮絶なまでの戦いと死に様に人間の儚さの様なものを感じ、剣三部作全て見て改めて市川雷蔵の魅力ここにあり!そして、僅か38歳にしての若さでの死は日本映画界において大きな損出であるという事を思う次第であります。 【青観】さん [ビデオ(邦画)] 8点(2009-02-06 20:16:12) 2.《ネタバレ》 花造りの名人にして走れば脱兎の如しという漫画チックな主人公の物語は、いささか精密さや盛り上がりには欠けますが、なかなか良いシーンが多いです。まるでその場に居合わせているかのように肩ごしから撮られた噂話をしているシーンや登城途中の風説で状況を伝える巧さ。そしてラストの幻想的な花畑での怨念渦巻く壮絶な斬り合いは圧巻です。美しいロマンスの花畑が一変してバイオレンスに血塗られる凄さ。さらに、一見、幻のように現れる居合抜きの達人などの素晴らしい構図も随所に見られます。また哀しくも不気味な斑平を演じる市川雷蔵さんが良いです。飄々としていながらも心情をしっかり感じさせてくれます。 【ミスター・グレイ】さん [CS・衛星(邦画)] 8点(2007-04-11 18:39:04) 1.剣三部作の三作目。様式美溢れる格調高い時代劇。血塗られた運命を背負った男が、剣に出会うことによって孤独を深めていき、そして・・・。 殺陣のスピード、迫力も一級品。美しき風景と流れる血のコントラストも絶妙。そして虚しさの余韻が残る後味。うーん、傑作。 【紅蓮天国】さん 8点(2004-09-07 04:28:38)
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