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ネタバレは禁止していませんので 未見の方は注意です!
【クチコミ・感想(8点検索)】
3.《ネタバレ》 天知茂と三原葉子、この新東宝を代表する二大スター(?)を奇才石井輝男のイマジネーションの世界に投げ込んでトロットロッになるまで煮込んだという感じ、でもちゃんとハードボイルドしてます。前半の100円札を使った伝言ゲームの様なストーリー・テリングもなかなか面白く、テンポの良さもあって楽しめました。 そして何故か神戸にカスバがある!でもそこは本当のカスバを超越した異次元ワールドみたいなところだと思って間違いはない。路地を歩くまさに無国籍としか言いようのない怪しげな連中、雨に打たれて彷徨う吟遊詩人、なぜか着物を着ている墨を塗った様に黒い顔の白人女、うーんこんな日本なんて観たことがない、まるで『ブレードランナー』のLAみたいです。あの若杉嘉津子までもがダサい格好した怪しげなマダムになっちゃうんだから、恐ろしい。 天知茂の殺し屋も、蛇のようにクールなのかと思えば、卵の値段から己の不運な半生を嘆いたりする妙な屈折があるキャラです。対する三原葉子は、ライン・シリーズとしては唯一のカラー作品と言うこともあり、靴やドレスの鮮やかな赤が印象に残ります。彼女のちょっとずれたリアクション演技やひょうきんな表情がまた良くて、この役こそが彼女のフィルモグラフィ中のベストキャラだと思います。 【S&S】さん [CS・衛星(邦画)] 8点(2013-06-05 01:06:51)
2.予算も時間も無いので、余計な肉付けを削ぎ落し「ハードボイルド」のエッセンスそのものを映画にしました、みたいな感じの作品、たまらなくシビレちゃいます。殺し屋の男と人質の女。立場的には銃を女に突き付ける男の方が上のはず、しかも男は爬虫類のごとき冷酷な表情を顔に浮かべ、実に不気味な存在な訳ですが、しかし一方で、人質の女は、時に勝ち誇ったような、時にひたむきな表情を浮かべ、その女の前では、殺し屋の男なんてのは所詮「消耗品」に過ぎない訳ですね。殺し屋には「消耗品」としての意地があり、女には(人質の身でありながら)本質的な「勝者」としての意地がある。そして許婚である女の行方を追いながら事件の背景も追求し、一粒で二度おいしい立場である新聞記者の男の意地。彼らの意地は、カオス状態の神戸の街を走りぬけ互いに交差し合う“直線”であるかのように幾何学的に描かれて。なにせ、面白いように偶然に次ぐ偶然で事態は繋がり合い吸い寄せられ合い、その一方でこれまた面白いようにニアミスですれ違ってしまったりもするのです。靴屋のオヤジや、ヘンテコだけど気の毒なガイジン売春婦など、脇役のキャラも充実してます。ゴチャゴチャした舞台立ての中から、整然とした方程式が浮かび上がってくるような展開、まさにこれぞハードボイルドの真骨頂と言えるのではないでしょうか。 【鱗歌】さん [CS・衛星(邦画)] 8点(2012-12-11 18:11:37)(良:1票)
1.石井輝男カントクの映画に漂う、あの一種独特の“いかがわしさ”。犯罪活劇であろうが、エロ・グロものであろうが、この人が撮るとどこか怪しく(=妖しく)、うさん臭い、英語でいう“ビザール”という語がピッタリなものになるんである。 それは、どこか「見世物」小屋風の味わいと言ったらいいだろうか。おどろおどろしい看板と口上で見物客を呼び込み、たいていはコケオドシや安っぽい出し物にすぎないのだけど、何故か惹き付けられてしまう。あの奇妙に「官能的(!)」ですらある(今やノスタルジーの対象でしかない)縁日の見世物小屋こそ、石井ワールドに最も近しいものではあるまいか。
倒産寸前の頃の新東宝で脚本・監督した本作。アラン・ドロンの『サムライ』を先取りしたかのようなニヒルでストイックな殺し屋(天知茂)が、依頼主に裏切られ、その復讐のため偶然出会ったダンサーを人質に神戸へと向かう。セットで造られた、ほとんどカスバのような無国籍的「神戸」には、これまた日本人ばなれした怪人物やら、明らかに白人女性の顏を黒く塗った「黒人女」やら、「ババァじゃないよ、マダムと呼びなっ!」と凄む安ホテルの女主人やらがゾロゾロご登場。…この、どこまでもバタ臭く、戦前のフランス映画(中でも、デュヴィヴィエの『望郷』だろう)を気どった暗黒街ドラマは、あたかも味噌汁を「ブイヤベース」だと言われて飲まされたような(?)トホホ感に満ち満ちているのだ(きっと、少し意地の悪い観客なら「失笑」の連続でありましょう。確かに、滑稽ではあるし…)。 しかしこの、すべてにチープでキッチュ(まがい物)ないかがわしい「フランス犯罪映画もどき」には、天真爛漫なコケットリーを見事に体現したダンサー役の三原葉子の素晴らしさを筆頭に、不思議な「愛嬌」にあふれている。そして、作り手たちの「本気」が確かに伝わってくる。見世物小屋で「生きた本物の人魚」を見たら、ただの水着を着たオバサンだった(笑)…という風のインチキみたいな作品だけれど、その涙ぐましい「サ-ビス精神」だけは、どんなにエライ監督の映画やそこいらの「A級」大作なんぞより持ってるぜ! という心意気がほとばしっている。
そんな作品を前に、映画ファンなら誰が愛さずにいられようか。 【やましんの巻】さん 8点(2004-06-15 17:33:47)(良:1票)
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【点数情報】
Review人数 |
6人 |
平均点数 |
7.50点 |
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【その他点数情報】
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