みんなのシネマレビュー |
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ネタバレは禁止していませんので 未見の方は注意です! 【クチコミ・感想(8点検索)】
7.《ネタバレ》 聾唖の青年は"純真"だったが"無知"だった。 でなければ、こんな悲劇と報復の連鎖を招くことはなかったかもしれない。 病床の姉を想うが故の、たった一つのボタンの掛け違えが大量の死体を生む。 コーエン兄弟を思わせる底意地の悪いユーモアが、貧困を背景にした悲惨な物語を一層際立たせる。 (社長を刺し殺した男達は恐らく解雇された労働者だろう)。 次回作の『オールド・ボーイ』同様、パク・チャヌク監督の丁寧な撮影構図が光り、 幾重に折り重なった復讐劇を描いた本作の完成度は高い。 劇画タッチとは程遠いリアル志向の容赦ない暴力描写が復讐の虚しさに説得力を出しているよう。 それでもやってしまうのが人間の性だろうし、 キリストの如く全ての業を背負うように死んでいく社長は、果たした復讐に対して安らぎを得たかもしれない。 【Cinecdocke】さん [DVD(字幕)] 8点(2015-12-23 00:18:35) 6.《ネタバレ》 腎臓売買で騙されたリュウと、娘を失ったドンジンの復讐劇が交錯するストーリー。 暴力と血にまみれた救いのない映画なんだけど、なんだか切ない。 どちらも殺したくなる動機は十分に共感できる。 悪意はないのに事がどんどん悪い方向に転がって、こんなはずではなかったという嘆きが聞こえてきそう。 ドンジンはリュウに共感を覚えながらも、どうしても許せず報復せずにはいられなかったことが悲劇を招いた。 ヨンミ(ペ・ドゥナ)がリュウに警告した実態のない組織の報復が、ラストで腎臓売買の組織にすり替わって実行されたのがシニカルで面白い。 ヨンミのナレーション通りに組織が実在していたともとれるが、あの連中はどうみても革命家には見えない。 ヨンミの台詞の回想は、ドンジンが相手をヨンミの属する組織と思い込んだにすぎないのではないか。 つまりは、勘違いやすれ違いが生んだ悲劇の連鎖がラストまで続いたとも言える。 ペ・ドゥナは独特の存在感があって魅力的。 ベッドシーンも大胆で思い切りがいい。 【飛鳥】さん [DVD(吹替)] 8点(2013-01-11 19:53:42)(良:1票) 5.《ネタバレ》 小説を先に読んでいましたが、イメージしていたよりはバイオレンスが強烈でなかった印象があります。アキレス腱とか頚動脈とかは驚きましたが、あとは普通といったところ。 後半の落ちていく展開は「シンプルプラン」を思い浮かべました。女の人が元凶みたいなのも似てるし。 「オールドボーイ」がエンターテイメントなのに対し、こちらはリアリズムといった感じか。公開打ち切りが早い一方、批評家から高い支持というのもうなずける。 【θ】さん [DVD(字幕)] 8点(2006-12-19 08:56:38) 4.動かないカメラや長い間、人物の表情だけを見せて多くを語らない手法など北野武風のテイストに、音楽のプロモのような現代的でスタイリッシュなセンスの映像が加わったという印象(ちょっとやりすぎな感もあるけど)。 シンプルながらも骨太で、観終えた後もしばらくは尾を引くドラマだった。シン・ハギュンとソン・ガンホという二人の主人公双方に観客が肩入れできるような描写をしておきながら二人を対決させたのが良かったと思う。 二人は敵対しつつも、互いに深い共感を抱く。それでもなお、あまりに大きな喪失感のために相手を許すことはできない。理解することと許すことは近いけれども同じではない。復讐という行為の虚しさと、虚しいと知りながらも自分を止めることのできない人間の業の深さが印象に残る。 物語に練り込まれた情念の濃さに息苦しさすら覚えた。力作。 【no one】さん [DVD(字幕)] 8点(2006-06-29 15:40:11) 3.パク・チャヌク監督による「復讐3部作」の第1作。まさに復讐が復讐を呼ぶ、復讐の連鎖によっておこるストーリーで、全編復讐だらけ。かなり衝撃的でなんともやりきれない気持ちにさせられた。特に、復讐の鬼と化したソン・ガンホの冷酷な復讐ぶりが凄い。ペ・ドゥナが拷問される場面は思わず目をそむけたくなるほどだった。自分もあんな状況に置かれたら復讐者と化すんだろうか?一般人の誰もが突如として復讐者になりえるであろう状況を描いた、非常に説得力のある映画だと思いました。 余談>DVDのメイキングが非常に濃い内容でとても良い。ソン・ガンホが冗談を言いながらペ・ドゥナの耳を舐める場面とか、本編を鑑賞後に見ると思わずホッとさせられる。 【ヴレア】さん [DVD(字幕)] 8点(2005-11-08 22:07:47) 2.《ネタバレ》 この映画、主人公が聴覚障害者のリュなのか、娘の復讐を誓うドンジンなのか、主人公の判別が難しいです(もしかしたら、それが狙いなのかもしれません)。探すのが大変なくらいBGMというものが流れません。ビシッ!とか、バキッ!とか、そういう効果音の編集もありません。徹底的に、ムダな”音”を排除しています。音が無いということは、観客を聴覚障害者の感覚へと巧みに誘導しています。上手い。それが、殴る、切るなどの渇いた、しかしリアルな生の音を効果的に活かしています。BGMがあると、テクノサウンドなら激しいアクション、コミカルポップならコメディ、クラシックなら重厚さなど、音楽の影響で観ているシーンについて勝手なイメージをもってしまうと思うからです。この映画を作った人、よく考えてます。しかもラスト、ドンジンへの復讐を果たしたのは、リュにもドンジンにもあった、憎しみや苦悩といった感情が全く無い集団。復讐の手引きをしたのはヨンミだったんですが、そこへ導いたのはリュだったのではないか? 謎は尽きません。復讐の螺旋は終わらないという恐怖と憐れみを感じてしまいました。 【どんぶり侍・剣道5級】さん [DVD(吹替)] 8点(2005-09-15 13:25:52) 1.工場から疲れきった労働者達がうつろな表情で休憩へと向かう。暗がりの中での作業だったため、突然の太陽光線に目がなかなか開かない。ここまでカメラは一度も切れずに労働者が歩くさまをずっと追う。そしてほんの一瞬くつろいだかと思うと、次の瞬間はもう働いているシーンになる。この数分でこの監督は只者じゃないと思った。いや、そんなことは「オールドボーイ」を見たときから分かっていたけど、こういうリアリティを表現できる人だとは思わなかった。この映画の世界観は音がほとんど構築している。乾いた機械的(川の流れですら)な音や音楽は、救いようのないこの映画の身体感覚と常に共鳴しあっていた。例えば、バッティングセンターで聴覚障害の主人公ががむしゃらにバットを振るシーンや、愛する娘の司法解剖に立ち会うソン・ガンホの表情、川の中での処刑シーン、そして手話しながらのセックス。これには驚いた。この緊張感の中でそんなユーモアはありなのかと。唐突な緩急であるが、ぶち切れてるユーモアはいつも狂気と繋がっているものだ。演じた役者達も凄い。ソン・ガンホが凄いのは知ってたけど、あの緑髪の役者も狂気と優しさの境界をうまく演じていた。優しい異常者ってのはパク・チャヌクの得意技なのか。そしてやっぱりペ・ドゥナでしょ。「子猫をお願い」で瑞々しい役を完璧にこなしていたけど、ここでは一人ぼっちの革命家を演じている。カワイ過ぎ。このミスマッチぶりが映画内の緩衝材になっていて心がなごむ。ビラ配りも手馴れたものだ(笑)そして彼女が最初にワープロで打っていた判決状がなんと恐ろしいラストへの引き金となる。「オールドボーイ」から復讐の美学だけ抜き取り洗練したら、業の深さでなく業そのものが見えたという感じか。万人ウケはしないけど、「オールドボーイ」が好きな人は死んでも見るべし。 【Qfwfq】さん [映画館(字幕)] 8点(2005-03-22 13:03:05)(良:1票)
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