みんなのシネマレビュー |
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ネタバレは禁止していませんので 未見の方は注意です! 【クチコミ・感想(8点検索)】
12.《ネタバレ》 石原裕次郎の遺志で長いことソフト化されず、見ることが困難だった作品です。高度経済成長期に電源不足に陥った関西電力の社運と関西経済の命運を賭けた一大プロジェクト黒四ダム建設を描いた大作です。三船敏郎は関電のプロジェクトの現場責任者。石原裕次郎は熊谷組の下請けの手配師の息子で設計技師。危険で無謀なダム建設に疑問を持ち、下請け手配師の親父とは犬猿の仲の石原裕次郎が、足が動かなくなった親父の代わりに現場の陣頭指揮を執り奮闘するという話です。3時間超という大作ですが、中だるみすることなく見れました。というかむしろ、時間が足らず描き切れていない感が残ります。工事だけでなく、発注者受注者間の腹の探り合い、腹を割った話、主人公の恋愛やら、家族の病死やら、盛りだくさん過ぎて時間が足りません。素晴らしかったのは、臨場感あふれるトンネル工事撮影です。破砕帯に近づき、支保工が音を立てて軋む場面、破砕帯にあたり、トンネル内を爆流が押し寄せる場面は圧巻です。撮影自体も結構ムチャしてそうで、高度経済成長期の狂気のようなものを感じ取れる気がします。主人公たちは死者を一人も出さないのが目標とか言っているのですが、人命確保のための体制がなってないというか、技術的な裏付けがなく、管理が杜撰で技術が稚拙で、これがせいぜい半世紀前の話というのに驚いてしまいます。隙間だらけの木矢板で山止めしているのが泣けてきます。この人命の軽い扱いは、大戦が影響しているように思います。戦後復興期は、独特の時代の狂気みたいなものを感じずにはいられないんですよね。 【camuson】さん [DVD(字幕)] 8点(2023-07-10 19:12:21) 11.《ネタバレ》 ひたすら生真面目な作品。まったく笑えるシーンもないし、いろいろ利権絡みの話がありそうな土建業界が舞台なのに、悪人も陰謀もなし。企業の上層部から現場のドカタさんまで、とにかく必死な感じ。もちろん色気もないしテンポも悪い。だけど傑作。全員の真摯な姿勢に、つい感情移入してしまいました。 特に終盤、家族からの訃報電報を受け取りつつ全員の前で祝辞を述べる三船の姿は、涙なしには見られません。同じ「トンネルもの」の高倉健の『海峡』より、こちらのほうがずっと上です。 【眉山】さん [CS・衛星(邦画)] 8点(2016-03-18 23:37:19) 10.《ネタバレ》 昨年黒部峡谷に行ったのでこの作品が是非観よう!と思いました。 工事の計画段階から大変だったのですね。 経営者側と技術者と現場の採掘者とどれも描けているのが素晴らしい。 セットのトンネルが天井から水が溢れてくるのが凄かった。 もちろん三船さん、裕次郎さんの演技と存在感も感動しました。 【たんぽぽ】さん [CS・衛星(邦画)] 8点(2016-01-03 15:27:00) 9.《ネタバレ》 長い間封印されていて短縮版しか観れなかった伝説の映画だけに、こうやって完全版が鑑賞できるようになったことは素直に喜ばしいと思います。■観始めてまず感じたのは、現代の日本人の感覚からはかけ離れた(忘れられた?)価値観に満ち溢れているな、ということです。まず第一にあんな雄大な大自然を発破で吹き飛ばしトンネルを掘るなんてことには、いまのエコ重視の日本人には到底受け入れがたいことになるでしょうね。でも戦後間もなく貧しかったころには、電気のこない生活と言うのは個人にも企業にとっても死活問題だったことを無視してはいけないと思います。それは発展途上国では現代でも切実な問題で、“節電”に苦労するなんて昭和30年代に生きていた人々には想像もつかない贅沢だったんでしょうね。まさに「衣食足りて礼節を知る」と言うことです。■三時間超の映画ですが、こういうプロジェクトもの映画が陥りがちな説明映像で物語を進行させる愚は極力抑え、映像にストーリーを語らせる工夫を凝らしているところは大作映画らしくなく良かったです。ときには会話音や効果音をシャットアウトして三船敏郎や石原裕次郎の無言の芝居に映像を集中させるところなんかも良かったと思います。裕次郎の親父を演じた辰巳柳太郎がまた感情移入許させない様な激しいキャラで、この親子の葛藤はなかなかの迫力でした。■関電をはじめ参画した企業が全部実名で登場しているところも現在の日本映画界からは考えられない骨太さです。中でも滝澤修の関電社長は迫力がありました、熊谷組専務に手をついて頭を下げるシーンなんか、もう一筋縄ではいかない怪物財界人という感じでしたね。反面、史実では170人以上の殉職者を出したということには事実上映画では触れていないというのはどうかと思います、描かれた死者は三人(描写はないけど寺尾聡もその後死んでいるんじゃないでしょうか)だけですから。考えてみれば病死する三船敏郎の娘は、工事の成功のために山の神に差し出された人身御供だったと解釈することもできます。■全篇“土方”“労務者”といった放送禁止用語だらけのセリフなので地上波では放映は不可能でしょうね(笑)。でも、大手メジャーの手を借りずにこれだけの大作を撮りあげた石原裕次郎と三船敏郎の映画人としての功績は、伝説としてこれからも語り継がれてゆくことでしょう。 【S&S】さん [CS・衛星(邦画)] 8点(2014-12-24 21:45:03) 8.《ネタバレ》 195分という実に長丁場の作品でしたが、最後まで集中してみることが出来ました。石原裕次郎はまた彼なりにいい演技してるとは思うが、やっぱり三船敏郎の存在感と格好よさには本当に惚れ惚れしましたね。偉大な俳優だなぁとあらためて痛感。現代だと、穴掘るにはそれ専用の巨大掘削マシーンみたいなのがあると思うのだが、その当時は膨大な人力とローテクの組み合わせで穴を掘り進めていたのですね。当然、それだけ危険も多いし、大変な仕事であったろうと思う。一番の見せ場は、やはり水が吹き出るシーンでしょうか。不気味な音を出しながら、天井がバリバリとへこんだりするシーンなんかは、自然の猛威といいますか、人間のささやかな抵抗に対し自然の圧倒的な力が牙をむいてきたみたいな感じで、凄く恐ろしさが出てました。そして凄まじい勢いの水に飲み込まれんとするシーンはまさに圧巻のスペクタクル。記録性だけでなく劇場映画としての楽しさも発揮しています。娘さんが不治の病に侵されてしまう展開と、黒部ダム建設をシンクロさせるのも意義がより深まってよかったと思います。知恵と時間とお金があれば、人はなんだって出来るんだという意見と、癌のように人にはどうしようもないものがあるという意見の対立が印象深い。ダムが貫通したときに、他界の一報が届く。そしてダム自体も、最後の碑のショットで示されているように多くの犠牲の上に完成している。人はなにかを得るために、なにかを失う。でも失うことを恐れては、得ることも出来ない。そんな人間の生き様を、今日も太陽は変わらず見下ろしている。そんな雄大なラストもまた印象的。 【あろえりーな】さん [DVD(邦画)] 8点(2013-06-20 01:28:00) 7.《ネタバレ》 このダムの事は、小学校で教えられた記憶がある。日本が世界に誇るものの一つだった。本作はその前段階の工事である、トンネル掘りの話。何か話が『海峡』とダブる。 しかし、こちらのプロジェクトの原動力は「電力需要の増大」。いきなり発電所がダウンした経験を持つ今の我々には、図らずも説得力のある話になった。が、そのあたりはあまり描かれずに、現場のトンネルやたちの話が中心。 前時代的なトンネル掘りの爺さんの息子で、専門教育を受けているらしい裕次郎が、合理的な判断で工事を否定するのだが、いつの間にか工事責任者の一人になっているのが、ちょっと腑に落ちないと言える。 まあ、やることに決まったならまっしぐらに進む、というのが望ましい会社員なのかも知れないが、精神論的に物事を突き進めるというのは、日本人の悪い癖だ。 で、結局『海峡』と同様、水に悩まされる工事だが、こちらもシールドマシンでトラブル解決。なんか凄い新技術科かと思っていたが、調べてみると結構昔に開発されたものらしく、ちょっとガッカリした事は事実。 それでも、黒部の自然は美しく、難工事に挑む技術者の物語には熱くさせられる部分はあり、殊に出水シーンの迫力は凄い(ありゃ、これ前にも書いたな)ので映画としては面白い。 ところで原作ありきとは言え、この話がなぜ黒部の太陽というタイトルなのか、ちょっとわからなかったのだが、最後にトンネルが開通したシーンを見て、『黒部の風』でもよかったのではないかと思った。 【Tolbie】さん [DVD(邦画)] 8点(2013-04-24 16:05:33) 6.《ネタバレ》 かつて映画は映画館だけで観るために作られていた。 ビデオやDVDで既に知っている映画をリバイバルで観るとそれを実感できる。 自分の場合は例えば、「アラビアのロレンス」であったり、「七人の侍」であったり、「地獄の黙示録」といった作品だ。 これらをスクリーンで観たとき、自分はその映画の魅力の10分の一ぐらいしか体感していなかったことがよくわかった。 「黒部の太陽」はこれまでDVD等で目にすることはできなかったわけだが、この度、東劇のスクリーンで観られたことは幸運に思う。 ただ自分は、以前、実際に黒四ダムに足を運び、本作が観られない故に、原作や熊井啓監督の著書、脚本を読み、最近のテレビドラマも観たりと事前の情報を仕入れすぎていたので、すべてにおいて先が読めてしまったのが残念だ。 電気事業者のPR的映画でもあるので、今の社会状況を考えると複雑な気持ちでもあった。 個人的には衝撃や感動は薄れてしまったが、やはりこの映画、スクリーンを前提とした確固とした撮り方をしている。 会話に合わせてカメラが絶妙なタイミングで移動したり、テレビドラマ的な考えでは当然カットバックで見せるような会話のシーンで、三船や裕次郎のアップだけを執拗に長まわしで見せる撮り方は無駄がなく緊張感があり、風格を感じる。綿密な計算とリハーサルに基づいた「映画」の撮り方だ。 音の使い方も印象的だ。 雄大な風景もまさに「絵」がドラマを語っている。人夫が断崖絶壁を歩くシーンは怖すぎるし、大出水シーンでは役者は演技どころではない迫力だ。 東劇の観客は、当時を知っているであろう御高齢の方がほとんどであった。上映の宣伝が懐古的で、うまい宣伝ではないと思う。 年寄りの自慢話であっても今の若者が観る価値はあると思うのにもったいないことである。 かつて黒澤明監督が、日本映画に客が入らないなら昔のいい映画を流せばいいじゃないかという発言をしたことがある。 映画会社もそれで儲かるはずだと。 そうなのだ。名画座や懐古的な特集上映ばかりでなく、スクリーンで観る価値のある映画を、新鮮味のある切り口で宣伝して、定期的にリバイバルしてくれれば映画館はもっと楽しくなると思う。 今の若者にとっても新鮮であるに違いない。 裕次郎の遺志は、多くの映画人の遺志でもあると今回の上映を観て考えてしまいました。 【どっぐす】さん [映画館(邦画)] 8点(2013-01-31 22:10:46)(良:1票) 5.《ネタバレ》 BSで放送された「特別編」なる145分くらいのバージョンを観ました。オリジナルが観たかったです。子供の頃から、この工事のことはよく耳にしました。難工事の代名詞でした。何故、そんなダムを作る必要があったかというと、電力が必要だからです。エネルギー生産に対する電力会社の大義と、ゼネコンや現場の下請け企業の意見がぶつかります。劇中、労働者を犠牲にして工事を進める電力会社を裕次郎が責めるシーンがあります。十分な電力供給=国家の発展のため、と電力会社は言う。しかし、国の発展のために人が死ぬことを黙認する状況は戦争と同じではないのか。実際、Wikiによると171名もの方が殉職しています。まさに、戦争と同じだと思いました。仮に工事の受注見積もりに「171の人命」と書かれていたら、このダム建設は成立しただろうか? あくまで、21世紀的な疑問符です。エネルギー需要という意味において、わずか半世紀の間に状況は大きく変わりました。多くの命を犠牲にしてエネルギーを作った時代と、命を奪う危険を危惧してエネルギー生産を停める時代。この二つを並べると、とても極端です。「発展」に対するビジョンに「調和」が欠落していたことの証明だと思います。作品のレビューになっていないです。すみません。 【アンドレ・タカシ】さん [CS・衛星(邦画)] 8点(2012-05-13 19:49:34)(良:1票) 4.40年以上も前、学生時代に見ました。 その後、土木の世界(主に大口径隧道)に従事した者にとって、ぜひもう一度見たいと思っていました。 17日にBSで放映するみたいですが本当ですかね(番組表にはありますが、ちなみに16日には「栄光への5000k」も)裕次郎の意向で絶対に映画館も含めて再上映は無いと聞いていたのですが。 記憶があやふやなので点数は仮につけておきますが17日以降にもう一度投稿したいと思います。 【ウルフィー】さん [映画館(邦画)] 8点(2012-03-11 07:30:38) 3.195分と言う長尺ながら飽きることなく観ることができた点は評価できるが、本筋に関係ないところとか、同じようなトンネル掘削シーン等は削ってシャープにした方が見やすいと思う。そう言う意味では、短縮版(130分程度)の方が良いのかもしれない(短縮版は未見なので断言はできないが)。 内容的には、NHKのプロジェクトXで見て知っているから格別の感動はないが、土木技術者として胸が熱くなるのは避けられない。ぶっちゃけ、「風の中のすばる♪」と中島みゆきの「地上の星」がいつ流れるのかと期待してしまった・・・ そう考えるとプロジェクトXも良し悪しだなぁ(本作の感想ではないが)。 ついでに言うと、石原裕次郎の演技と言うより、三船敏郎の渋い演技が光る。 --- 熊谷組社員研修の一環として行われた上映会に参加してきました(念のため書くけど、俺は熊谷組の社員ではない)。ノーカット版(195分)を観たのですが、本社ビルの会議室での上映会だったので、環境としては非常に悪い。石原プロとの申し合わせにより、社員研修とかでしか上映できないらしい。もったいない。 上映会に笹島信義氏(石原裕次郎が演じる岩岡のモデル)が来ていたが、「黒部ダムの現場は、嬉しいこと、悲しいこと、辛いことも沢山あったが生涯忘れられない現場だ」と言った主旨のことを仰っていた。 【あきぴー@武蔵国】さん [試写会(邦画)] 8点(2009-08-30 01:26:56) 2.石原裕次郎の17回忌特別シネマ上映会で遂に観ることが出来ました。本当に、この迫力はテレビやDVDでなく映画館で味わうべき作品だと思いました。 ただ、縮尺版だったのが残念でした。いつか完全版を映画館で見たいですね。という事でその日まで8点です。 【TM】さん [映画館(邦画)] 8点(2006-09-15 18:12:31) 1.《ネタバレ》 この映画は、戦後日本を代表するプロジェクトのひとつである通称:黒部第4ダムの建設に関わる男たちの苦難のドラマを映画化したものである。上映オリジナル版は、3時間を 超える長尺であるが、残念ながら私は、2時間ちょっとに編集した縮尺版しか観ていない。この映画は、石原プロと三船プロの共同制作作品であるが、故石原裕次郎の意向があるとかで、ビデオ化やDVD化の許可を石原プロが出さないといわれている。そのため、 まれにしか観る事ができない幻の作品となっている。ドラマの中心は、黒部第4ダム建設 プロジェクトのうち、特に難関とされた大町側扇沢-黒部までの関電トンネル工事現場 が舞台となっているが、施工主である関西電力を始め、実際に工事を請け負った 各ゼネコンの全面協力の下に、ひじょうにリアルな映像を作り出しており、 その臨場感あふれる舞台で三船敏郎と石原裕次郎という当時の2大スターが切迫した演技を競演している貴重な作品。映画館の巨大スクリーンでのみ上演してほしいという 気持ちはよくわかるが、できれば是非、オリジナルの長さでDVD化してほしい。 (追記) 今日(2012-9-1)オリジナル版を錦糸町で観てきた。東日本大震災の復興の一助という ことで全国縦断チャリティー上映会を行っていてその一環のようだ。 短縮版、オリジナル版比較すると一長一短という感じがした。オリジナルは、本筋と直接 関係のない部分が増え散漫な印象がある。そのわりには、破砕帯という最大の難敵を 突破するプロセスが練られていない。オリジナルの最大の長所は、オリジナルってこと だと思うが、付け加えるなら親子や白血病のエピソードの意義が短縮版よりはわかった気がした。破砕帯突破は、人の志、知恵や努力あるいは犠牲によって克服できたが 一方で人の力には限界もあるということでバランスをとるためと、人の志、知恵や努力、成果は世代を超えて受け継がれるという意味だと理解した。白血病にしても、当時は治療できないものでも今では治療可能かもしれない。当時難しかったトンネルでも現在の工法なら余裕かもしれない。しかし重要なことは、当時の人の志、知恵や努力、犠牲があるか ら現在があるということ。黒四ダムによる発電は現在も有効であるし、発電量の調節が 容易な水力発電の意義は、火力、原子力などの比率が高まっても なんら変わらない。 【サラウンダー】さん [映画館(邦画)] 8点(2005-10-31 22:03:55)
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