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ネタバレは禁止していませんので 未見の方は注意です! 【クチコミ・感想(8点検索)】
4.《ネタバレ》 遅ればせながら、テレビ録画を視聴。物語の構造が『千と千尋』や『ハウル』とまったく同じであることに驚きました。なぜ宮崎父子は、このような図式にここまで執着するのでしょうか? これも、やはり魔法使いどうしの戦いの物語です。テーマには微妙なズレがある気もしますが、おおむね「銭婆と湯婆の対立」や「荒れ地の魔女とサリマン先生」の対立が、ここでは「ハイタカとクモの対立」として反復されています。「真の名」や「竜」といったモチーフにしろ、「荒れ地」や「老いと死への恐怖」や「永遠に生きる心臓」といったモチーフにしろ、やはり前2作にそれぞれ通じ合っています。ついでにいえば、不安、後悔、卑屈といった感情がヘドロのようなイメージで表現されるところも同じです。 前2作との違いがあるとすれば、それは作品のメッセージがかなりはっきり明示されている点です。『千と千尋』や『ハウル』の場合は、最終的な作品のメッセージがさほど明瞭ではなく、多くを観客の解釈に委ねているのですが、本作では≪人間は不死を望むべきでない≫というメッセージを確定しています。あまりにメッセージが明瞭すぎて、かえって広がりの乏しさも感じました。 実際のところ、『ナウシカ』から最新作に至るまでの宮崎作品のすべてを≪不死願望の否定≫という観点で読み解くことはできると思います。しかし、そこに帰着するだけなら、手塚治虫ともさほどの違いはないのだし、個人的にはちょっと面白みに欠ける。そもそも人間の不死願望はそう簡単に否定できるものではないのだし、そのことの葛藤を簡単に片づけすぎているのでは? なお、絵の美しさという点でも、他のジブリ作品よりやや劣る気がしました。ただ、世間で酷評されるほどの駄作かといえば、まったくそうは思いません。 【まいか】さん [地上波(邦画)] 8点(2021-04-15 18:08:19) 3.《ネタバレ》 作品を見る気になったのはNHKの「ふたり」という番組を観たから。 いまだにそうだがとにかく酷評が多い作品だ。 原作者も怒ったと漏れ聞く。 しかし「ふたり」で描かれた親子の確執を見てどうしても見たくなった。 考えてみれば原作者が納得しない映画作品というのは少なくない。 目立つ例ではスティーブンキング原作のシャイニング。 鑑賞は英語版と日本語オリジナルの両方。 英語版はディズニーだけあって声優が豪華。 ティモシーダルトン、ウィレムデフォーなど。 いきなり監督でこれだけの作品を作り上げたのはすごい。 父親が宮崎駿だし、ジブリ作品だし比較されるのは仕方がない。 でも明らかに宮崎吾郎作品に仕上がっている。 父親の過去の作品と見紛うようなシーンが多いのだがこれは父親の影を追い続けた息子の精一杯の父への思いなのではないか。 声が良い。 菅原文太の声を聞いていてあの顔が浮かんでこない。 田中裕子の声が良い。 実に雰囲気のある声。 特にクライマックスのぼそぼそとつぶやく声にはしびれた。 これが宮崎吾郎の演出によるのだとしたら大したものだ。 恐らく宮崎駿の映画だったら全然違う声質、演出になるだろう。 音楽も良い。 スコットランド民謡的雰囲気も入って映画の風景と合っていた。 話の展開は直球的演出だが無理になんでも説明しようとしていないところに好感が持てた。 テーマが単純明快なのも良い。 吾郎監督かなり勉強したのだろうと思う。 冒頭でいきなり父を殺す主人公アレン。 父宮崎駿がこれを見ていったい何を思ったろう。 なぜ父を殺したのかの具体的説明はない。 下手をすると単に説明不足、不完全燃焼という形で受け取られるのだが、この映画ではなんでも説明して解決ということではなく疑問を余韻として残すというように収まっているように感じた。 人物の動きにも優れたセンスを感じた。 とても自然な動きだし構図もよく考えられている。 剣の構え方も良かった。 少し持ち上げすぎなのかもしれない。 でもいきなり監督でこれだけの作品を彼は作り上げたのだ。 才能ある監督だと思う。 父親とは違う作品を作れる。 しかし宮崎駿の息子じゃなかったらそのチャンスは与えられなかったのは確かだし、ジブリだからできることなのかもしれない。 だからどうしても父親と比べられてしまうのは仕方がない。 これは宿命だ。 【称えよ鉄兜】さん [ビデオ(邦画)] 8点(2012-07-25 06:31:00) 2.スタジオジブリの作品の一部としていつもの優しい雰囲気は感じられないものの作品としてはなかなか好きです。アレンと歳が近いのもあるのかもしれないけどつい社会の悪い部分に目がむいてしまって暗くてやなこんな世界に出たくないと思いがちでした。この作品を見ると自分もアレンと同じなのかも知れないと思った。つい希望を、明るい部分をみてない。いやな世界から逃げることは世界をいやだと思ってしまっているので世界にもいいことがあると信じている、希望の自分から逃げる事にもなる。なんか胸が熱くなりました。期待しないでみてなかったので本当によかったです。 【ランニングハイ】さん [映画館(字幕)] 8点(2006-08-10 22:01:37)(良:2票) 1.《ネタバレ》 なるほど、皆さんのレビューを読んでみたら酷評されている理由がなんとなくわかりました。ストーリーのみを追って行くと、退屈で仕方ないかもしれないですね。映画は娯楽であるという観点から言えば、限りなく0点に近くてもおかしくないかもしれません。しかし、本作の良いところはもっと根本にあると思います。人間が第二の誕生を果たすと、必ず誰しもが「生きる意味」について考えますよね。「生」と「死」が自分の中で葛藤し、自分がしていることに虚無感さえ抱いてしまうこともあります。本作はこれがテーマだと見ます。これを見つけられなければ、終始退屈と感じることは必至でしょう。当然、出てくる答えはありません。それでもわかっていることは、これからも生き続け、やがて死を受け入れなければならないということ。そこに中途半端さを感じた方がいらっしゃるかもしれませんが、逆に結論が出てきてしまうと、それこそ説教臭くなってしまうのではないでしょうか。これは説明不足ではなく、必然的であるように思えます。先に書いたように、娯楽という観点からの評価は低いです。ジブリが「ブランド化」してしまっているので、世間が、万人が楽しめる作品を望むのは当然だと思います。本来、アニメーションの主人公であるはずの子供が無視されており、その点は僕も残念です。しかし、本作は昔のジブリ作品を観て育った大人へ向けて作られた作品であると理解します。劇中では問題提起のみで、後は自分で処理をしなければならないのです。ジブリであるからこそ作られた作品が、ジブリであるがために酷評されてしまうのは大変残念です。しかし、こうした内容を、初監督作品にして真っ向から描こうとした宮崎吾朗監督には拍手を贈りたいと思います。 【こばやん】さん [映画館(邦画)] 8点(2006-08-05 22:22:25)(良:3票)
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