みんなのシネマレビュー |
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ネタバレは禁止していませんので 未見の方は注意です! 【クチコミ・感想(8点検索)】
6.《ネタバレ》 ソフィア・コッポラはやっぱりセンスがいいし繊細だと思う。 隠れ家的なホテルの室内など、どこをとっても洗練されている。映像もどこか懐かしいような、ヨーロッパ映画のような雰囲気でフワっと優しい質感です。 そして彼女の作品の数々には表は華やかで恵まれていると見えても、実は孤独で空虚とか虚無感、喪失感を抱えた人物が描かれていることが多い。 本作の人気俳優ジョニー・マルコも「ロスト・イン・トランスレーション」でビル・マーレイが演じた俳優と似ている。 どこに行ってもVIP待遇でチヤホヤされるけど、特殊メイクのスタッフやカメラマンは仕事の対象でしかないという接し方で、特に型をとるシーンは秀逸です、3人がかりで「早いとこ終わらせよう」みたいに無表情で黙々と石膏を塗りたくり、乾くまでポツンとひとりで放置されるジョニー、それを徐々に近づいていくカメラ、孤独感がよく出ている。頻繁にスケジュールの連絡がくるマージは電話の話し声のみで、とうとう最後まで登場しない。 そしてここに前妻の元にいる娘のクレオがやってくるわけなんですが、演じるエル・ファニングがとにかくいいんです、ハイティーンになる前のまだ幼さが勝る少女。来年じゃダメ、今のこの時期しかないという具合で天使のような存在なのです。 パパのために朝ご飯のエッグベネディクトを作ってるシーンが好き。全体的にワンカットのシーンが多いので落ち着いてじっくり観られるし、自分なりにいろいろ想像したり感じたりができる。 何日か娘と過ごしプールサイドで寝そべる父と娘、特に何かしなくても話さなくても充実した時という感じで、この時のカメラはズームアウトしていく、素晴らしい。 サマーキャンプに送り届ける車の中で突然泣き出すクレオ、彼女も寂しさと不安と孤独を抱えていることがわかる。 娘に泣かれたのが相当きちゃったのかなあ、父親ジョニーも前妻に電話をかけて泣いちゃうのよ。でも大人と普通に会話ができる年齢に成長した娘と過ごしたことで何かが変わったんだろうな。ルームサービスの食事ばかりだったのに自分でパスタを茹でるんですが、ザルにあける時もぎこちなく、ザルで受けきれないほど大量なのがまたいいわね。上半身裸の女を見ても無関心になってるし。 そしてフェラーリをキーをさしたまま乗り捨ててどこまで歩いて行くのか。。。ホテルをチェックアウトする時に言ってた荷物の送り先っていうのが気になる。 エレベーターで突然登場したベニシオ・デル・トロがうれしかったです、実はデル・トロ本人として出演したのかな? 大スターと言われる人たち、結構ジョニーのような人が多いのかもしれない。 【envy】さん [CS・衛星(字幕)] 8点(2022-09-24 15:23:43) 5.おもしろかったです。スティーヴン・ドーフが自らを演じているのではないかと思わせるくらい、自然な演技です。ジョニーのような表向きはきらびやかな世界に生きていても、心の中は空虚なハリウッドスターは必ず存在しているんでしょうね。。。エンディングで、車を止めたジョニーはどこへ向かって歩き始めたのでしょうか。。。娘のエル・ファニングも好演しています。 【みるちゃん】さん [DVD(字幕なし「原語」)] 8点(2021-01-12 09:12:00) 4.《ネタバレ》 車がブーンと走ってぐるっと廻ってまた戻ってきて・・・という冒頭の長回し。この時のカメラ、片側が切れててフレームがオープンになっているので、車が走ってる途中で画面から消えてしまう訳です。この不安定さ、不確実さ。ぐるぐる回ってそのうちピョーンと外側に飛び出していなくなってしまうかもと、ちょっとドキドキしながら見守る数分間は、決して長くは感じられなかった。作り手としては退屈やルーティンの隠喩だったかもしれず(たぶんそうでしょう)、となれば自分の観方が外れているんですが。でも、これが映画の面白さだと思う。そのものが持つ「意味」以上の「意味」を放ってしまうテクストの豊饒さこそが、自分にとって映画の魅力なのです。 そんな訳で、この作品は全篇にわたってそうした「多彩な語り」が散見され心地よかった。何気ないシーンの一つひとつが観る者に様々な感慨をもたらす、余韻と余白に満ちた画作り。こういうの作れちゃうってやっぱりソフィア・コッポラという人は才能あるのだなぁと思う。 まぁ、そうは言っても「セレブ男の孤独の行方」という題材を、どこまで上手いこと料理できてたのかは疑問。泣いて心情を吐露しても高級車を乗り捨てても、この主人公に実存の深み重みは見えない。 なんか、酒と女の日々っていう主人公の日常が、あんまり現実感がなくてキレイなんですよね。生臭くない。ポールダンスなんかぜんぜんエロくない(苦笑)。この感じはヨーロッパ映画みたいで、思えばこの人の作品ってみんなそうかもしれない。すごく冷めた目線。世界を対象化して眺めている感じがする。 娘が対象化されているのはトーゼンで(主人公は父親なので)、目の前に現れたり消えたり、氷上で妖精のようだったりドレス姿で大人の女のようだったり、主人公の日常生活とこれまで纏ってきた価値観を揺さぶる「外部」であるのは、物語の定石で新しくはないんだけど。エル・ファニングの個性がそれ以上の効果を出しているので、とてもスペシャルな時空間を創り上げていて、映画を観る喜びに浸れた。ところが、娘と一緒に過ごす男のほうも「外部」的な気がしたのです。なんかヨソヨソしいというか表層的というか。だいたいスティーブン・ドーフがあんなにカッコいいって驚きだし(苦笑)。そういうところが「物語」としてはどーなのかなぁと思ったりもしたのだけど、ま、最終的には「SOMEWHERE」はそーゆー作品なのだ、それでいーのだってバカボンのパパ風に納得しました。なんとも言えず風合いが良いので。 【ポッシュ】さん [DVD(字幕)] 8点(2017-07-26 00:42:33)(良:1票) 3.ソフィア・コッポラのベスト。「ヴァージン・スーサイズ」の頃の甘ったるい冗長さが洗練され、上品な甘みへと進化を遂げている。間の取り方や動きそのものを見せる画にこだわったシーンや、美しさには魅了される。この起伏のなさに、我々は劇的なドラマ(これは皮肉な同語反復だが)を普段望みすぎているのかもしれない、と気付かされる。本当にストーリーに起伏はなかったのだろうか? そんなはずはない。我々は劇的な劇を、二重のドラマを欲するあまり、何気ない感情の動きや機微に鈍感になっているだけではないか。映画は何を映し、我々は何を観るのか、を再考させられるような一本だった。 【Balrog】さん [DVD(字幕)] 8点(2013-01-10 21:27:50) 2.「マリー・アントワネット」冒頭シーンにaphex twinの楽曲が使われていたが、本作冒頭でもphoneixの楽曲が流れていてソフィア・コッポラらしいyouth cultureの匂いがぷんぷんしてよかった。シーンのひとつひとつが美しい。 【xnoranorax】さん [映画館(字幕)] 8点(2012-12-04 21:22:19) 1.《ネタバレ》 somewhereで、someoneと共に、日々somethingしている主人公ジョニー。その顔には虚無感が伺える。離別中の妻から預かった娘クレアと過ごした平凡なひととき、そして別れを通じ、感じつつも見ぬ振りをしていた、自分もまたsomeoneであるという事に苦悩する。 そしてある決断によって全てのsomeが取り払われた瞬間、主人公の顔にはなんとも言えない晴れ晴れしさが浮かんでいた。 【njld】さん [映画館(字幕)] 8点(2011-04-16 11:29:30)(良:1票)
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