みんなのシネマレビュー |
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ネタバレは禁止していませんので 未見の方は注意です! 【クチコミ・感想(8点検索)】
8.毒殺モノで、タイトルが「ヘイトフル・エイト」。日本語に直すと、「八つ墓村」、ですかね。なんでやねん。 雪に閉ざされた一軒家に集うは、一癖も二癖も、いや何癖もありそうな連中。だけどそこに至るまでに、まず雪道を行く馬車に登場人物たちの一部が集まってくるところから描かれて、「リンカーンの手紙」なんていうギミックがここで提示されたりもするけれど、それより何より、登場人物たちのいかがわしさと荒々しさ、そして一帯の雪深さが、強く印象づけられます。 寒さ、ってのは、屋内シーンに入ってからも、吐く息の白さから伺うことができます。 一軒家で繰り広げられる不穏なやりとり。登場人物に当てられる照明も、何だかアヤしくって。 結局、見ていくと、これはやっぱり八つ墓村じゃないのか、という気もしてくるのだけど(どこが?というのは書かないことにしますが)、それはともかく、章立ての構成の利点も活かしてストーリーを不用意に複雑にすることを避けつつ、容赦ない殺し合いを展開させて、我々を唖然とさせつつ、最後のアッサリ感がなかなかシャレてるな、とも思わせて。さらに唖然ともしますけれども。 【鱗歌】さん [インターネット(字幕)] 8点(2021-04-25 15:37:26) 7.意外に評価が低いですね。パルプフィクションに次ぐタランティーノの名作のように思える。 【MARTEL1906】さん [DVD(字幕)] 8点(2017-06-02 23:21:58) 6.《ネタバレ》 なんで“エイト”なの?はっきり言っちゃうと、登場人物は全部で10人じゃないですか。御者のО.Bはあまりにも無関係なので“ヘイトフル”に含めてないのかもしれないけど、後の一人はねえ… まあそんなことはどうでも良くて、タランティーノ版の密室サスペンスを愛でてみようじゃないですか。前半のストーリーテリングは何というかタランティーノ版人狼ゲームという感じでちょっとゾクゾクさせてくれます。というよりも、これはサミュエル・L・ジャクソンの独壇場という感じでしょうね。あの目玉をギョロギョロさせてめぐらす推理の冴えは、黒いシャーロック・ホームズと呼びたいぐらいです。サミュエルと言えばこれ、と有名な決め台詞“マザー・ファッカー!”がまったく無かった(たぶん)のは珍事です。そしてサミュエルがタマをぶち抜かれてからの後半は血しぶき吹き上げる阿鼻叫喚、やっぱりタラは我慢しきれなかったって感じですかね。ちょっと不満だったのはチャニング・テイタムで、あれは普通に凍死しちゃってますよ。凄かったのはジェニファー・ジェイソン・リーの死にっぷりで、もうここまでくるとほとんどホラーです。そしてタラ映画にしては珍しく余韻を残す終わり方、きっとサミュエルとウォルトン・ゴギンズの二人は死んじゃうんだろうな、と思ってしまいます。そこで気が付きました、この映画は『遊星からの物体X』を西部劇に再構築してたんですね。カート・ラッセルも出てるし(笑)。 【S&S】さん [CS・衛星(字幕)] 8点(2017-02-22 23:12:24) 5.《ネタバレ》 見渡す限り雪が拡がる空間、鳥の群が雪原を飛び立ち、キリストをかたどった十字架が今にも崩れそう立ち、その向こうから駅馬車が駆けてくるまで長ーいことキャメラが捉え続ける。 ジョン・フォードを愛する種田陽平のドアにこだわりまくった美しい美術、外から密室の天井・床下まで滑らかに移動するロバート・リチャードソンのキャメラワーク。否応なしにワクワクするようなオープニング。 だが、タランティーノは6章に渡り2時間50分かけて描かれる恐ろしい世界に観客を叩き落すのである。 駅馬車を引っ張る馬を横移動で捉えるショットが幾つかあった。タランティーノは駅馬車版「デス・プルーフ」も撮ろうと思えば撮れただろう。だがそうしなかった。 確かに「デス・プルーフ」のように終盤大爆発型タイプの映画だが、あの映画ほどの密度と爽快・痛快なものはない。延々くっちゃべっている気さえしてくる。 「ジャンゴ」が冒頭からブチかますセルジオ・レオーネのマカロニウエスタンやハワード・ホークスといった痛快な西部劇へのオマージュだったのに対し、本作は中々撃たずにダラダラ展開されるタイプの西部劇を挑発するかのような内容だ。 死体の山に座り待っていた男、駅馬車からライフルを突き付け“検査”する男、それに手錠で繋がれた痣だらけの女、サングラスをした御者、雪原の向こうから声をかけ歩いてくる男。 人種差別と暴力が支配し延々と走り続け、観客を不快な気分に沈める閉鎖空間、唾を吐くならドアの外に叩き出し道連れだ。 雪原に打ち込むもの、馬小屋、板の間から入っては溶けて消えていく粉雪、ドアを板でイチイチ打ち付けなきゃならない理由。 床の溝に転がっていた赤いもの、首筋に突き立てられるナイフ、暖かい飲み物と食事を口にする時でさえ安らがない野郎どもの心。 得物を渡し侮辱と挑発を重ねた果てに浴びせる一撃、ポッドに入れられるもの、ぶちまけられる死、二挺拳銃で吹き飛ばし生き残りを黙らせる尋問。 銃を渡すのは信頼のため、後ろで弾込めをしながら続く緊張状態、犯人探し、床下から“判明”する真相。 弾け飛ぶもの、布で隠されるもの、隠された銃、立てかけてあったもので断ち切るもの、吊り上げられるもの、鎮魂の歌。 【すかあふえいす】さん [DVD(字幕)] 8点(2016-12-15 04:24:30) 4.いつものタランティーノ映画。 山小屋に集いし8人の荒くれ共。こいつらのキャラクター設定を聞いただけでこの後に待ち受ける展開が地獄しか思い浮かばない。 閉鎖された空間で、いつバイオレンスがおっ始まるのかというドキドキ感。貯めに貯めて、焦らして焦らして、ちょっと油断した所でドッカーンというお得意の演出にはわかっていても唸らされる。これぞタランティーノ映画の醍醐味だ。キャストも皆ハマりまっくているし、セットの美術も素晴らしい。 【ヴレア】さん [映画館(字幕)] 8点(2016-04-12 08:26:34) 3.まず、クエンティン・タランティーノの相変わらずの映画オタクぶりに、ある種の安堵感を覚えた。 もはや、キャリア的にも、名声的にも、業界を代表する“大御所”として立振舞っても然るべきはずだが、この人は相変わらず馬鹿だ。文字通りの映画馬鹿だ。 どうか、そのキャリアの終着点まで、変わらずこのスタイルを貫き通してほしいものだと思う。 バイオレントな作品群の中でも屈指とも言えるほど、今作も当然のように暴力的で、ブラックユーモアに溢れ、全編通して“血みどろ”である。 ただ、そんな血みどろの中においても、明確なメッセージ性が存在していたと思う。 この嘘つきの悪人ばかりが雁首突き合わせて殺し合う映画は、現代のアメリカ社会の縮図のように見えた。 前作「ジャンゴ 繋がれざる者」でタランティーノは、米国史における紛れも無い「闇」である奴隷制度の憎しみと苦しみを“怒り”というカタルシスで爆発させてみせた。 続く今作も、時代的背景を捉えれば、前作と同様のモチーフのようにも見える。 しかし、この最新作でタランティーノが描き出したかったことは、150年前の奴隷制度時代から今なお根続きで蔓延している差別意識だと思えた。 相変わらず胸クソ悪い事件や戦争ばかりが起こるこの胸クソ悪い社会に対して、特製の胸クソ悪い映画をお見舞いしてやろうという、クエンティン・タランティーノのあの悪戯な笑みが目に浮かぶ。 出張先の新宿での深夜にこの映画を観た。日中の徒労感による鑑賞前の眠気は、3時間超の長尺にも関わらず稀代の映画オタクによる強烈な一撃によって吹き飛ばされた‥‥いや、「八撃」か。 【鉄腕麗人】さん [映画館(字幕)] 8点(2016-03-19 13:54:46) 2.《ネタバレ》 面白かった。やはりこの人の作品は独特な時間の流れ方をする。最近見た映画の中では一番上映時間が長い作品だったが、長さを感じさせない。 上映開始後2時間くらい大した動きが無く、ほぼ会話のみで進んで行く。普通なら冗長になりそうだが、流石にこの辺りは監督お得意の手腕だろう。ひたすら伏線を張って行く会話の中、緊張感は保たれたままだ。 ドラマが大きく動き始めるのは映画が始まって2時間くらい経ってから。そこからは突発的なバイオレンスや時系列の倒錯など正にタランティーノ節全開となり、加速度的に面白くなって行った。前半で張った伏線も気持ちよく回収されて行く。 思えば、hateful eight というタイトルからして上手なミスディレクションになっている。 また、イングロリアス バスターズで出てきたあの台詞が飛び出したり、ゾーイ・ベルがニュージーランド出身...なんて会話するのもファンにとっては嬉しい所。 会話メイン、密室群像劇、という事で、やはり初期のレザボアドッグスを想起させる所もあるが、それだけでなく過去のタランティーノ作品の様々な要素を併せ持った集大成のような作品ではないか。 オスカーを受賞したエンニオ・モリコーネのスコアも素晴らしい。 【rain on me】さん [映画館(字幕)] 8点(2016-03-10 22:32:43)(良:1票) 1.《ネタバレ》 何となしに山の稜線か地平線がまず最初に来るだろうと予想すると、それ以上の画と音楽でもって魅せてくれる。 下半身を雪に隠したキリスト像を配した印象的なアバンタイトルは後々のドラマを早くも仄めかすものだろう。 主舞台となるロッジは勿論、種田陽平氏の映画美術が冒頭から光る。 ドアや窓にこだわる種田氏だけあって、馬車のドアから始まり、山小屋のドアも、地下扉もキャラクターと密接に関係する。 そのメインのドアを幾度も幾度も開けては打ちつけさせて映画にアクセントをつけるタランティーノも流石というべきだろう。 納屋の大きな扉の開閉を逆光でシルエット処理したショットは、ジョン・フォードへの目くばせとしか思えない。 雪が家屋の隙間からチラホラと舞い散っている。毒入りポットのブルーが不吉なカラーを創り出す。 ロバート・リチャードソンの刻印たる強いライトが屋内のテーブル上に注がれ、タランティーノの毒を表すかのように独特の風情を帯びている。 【ユーカラ】さん [映画館(字幕なし「原語」)] 8点(2016-02-28 21:30:23)
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