みんなのシネマレビュー |
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ネタバレは禁止していませんので 未見の方は注意です! 【クチコミ・感想(8点検索)】
4.「セリフ無し」ってのが、挑戦的なようでもあり、映画の宣伝用のギミックのようでもあり、では実際のところどうなのかというと、やっぱりこれは、セリフ無しでならではの世界、ですね。セリフが無いことによる距離感が、このファンタジー世界をむしろ支えていて、また何事も断定することなく「解釈のブレ」も許容している。セリフが無いからこそ受け止めやすく、これ、もしもセリフ入りだと逆にちょっとキツかったりして。 登場人物の顔は極端に簡略化されて(目はただの点で、白目もない)表情が奪われており、その分、全身の動きが精密なアニメーションによって描きこまれています。 物語は、ツルの恩返しならぬカメの恩返し、みたいなところがありますが、別に「恩返し」という訳でもないし、上述のように映画の中では何も断定していない分、色々な受け止め方ができると思います。私は、手塚治虫の「火の鳥」の世界観に似たものを、ここに感じました。 あのカニたちは、男が島に流れ着くずっとまえからそこにいて、この先も未来永劫、ここに住み続けるんですよね、きっと。 【鱗歌】さん [DVD(字幕なし「原語」)] 8点(2019-09-15 10:09:37)(良:2票) 3.《ネタバレ》 映画がかなり進んだところまで映画と格闘状態でした。カメはなんのメタファー? この世界って主人公の心象風景? 主人公には見えていない、主人公の息子の視点が登場した時点で、ああ、これは描かれた事象をそのまま受け止めりゃいいんだ、って気付く始末。つまり孤島に流れついた男がカメに惚れられ、人間となったカメと孤島で暮らし、一生を過ごす物語。それだけ。 情報量はそれほど多くありません。シンプルなデザインのキャラと、描き込み過ぎていない背景、静かな音楽。いちばん情報量が多そうなのはリアルな環境音。主人公の出自など語られません。大自然に翻弄されつつ、その世界を受け入れてゆく主人公に心を重ねてゆけば、世俗から離れて何物にも煩わされず(不作法な観客がいなければ、ですが)、映画と自分との対話ができるひとときを過ごせます。強いて言えば、色々と削ぎ落とした(描かれる事も映画の表現法も)後に見えるもの、そこに物事の真価を問うているのかな、と。でも、そこに意味を求める必要もないですね。 カニが可愛かった、感想はそれだけでも十分な気がしないでもないです。 【あにやん🌈】さん [映画館(字幕なし「原語」)] 8点(2016-09-29 22:54:28)(良:1票) 2.《ネタバレ》 裏返った亀の腹が、ばりっと割れた瞬間・・・・・・ 静まり返った映画館の中だというのに思わず、「勘弁してよ!」とつぶやいてしまった。 まさか、大好きなマイケル作品でこんなシーンに出くわすとは夢にも思わず(涙)。 でも、次の瞬間、大きな安堵のため息・・・・・・ 全編を見終わったあと、涙でしばし立ち上がれなかった。 『岸辺のふたり』以来、彼のカラーの長編が見られるというので、ずっと楽しみにしていた。 二次元でありながら、目の錯覚かと思えるほど水の中、自然光にあふれる大気、ありとあらゆる空間が、重力に縛られず変幻自在に表現されていた。 水に浮かんだ男の、海底で揺れる淡い影、女が翡翠の海に浮かべた巨大な甲羅、2頭のカメと並走して鳥のように泳ぐ息子、 これほど目にここちよい浮力を味わえるアニメは、そうはないと思う。 ああ・・・・・・やっと、自分の頭の中に念願の作品が収まった、という思いでいっぱいだった。 ただ、 宮崎氏だったら、「もののけ姫」のシシ神のように、カメを何かの象徴のように扱った気がする。 人間に恋をしたカメとなると、大自然の象徴が個人の人間に合わせてレベルを落とさなければならないので、どうしてもスケールが小さくなってしまう。 また、 いつ「紅の亀」が男を見初めたかがわからない。 人間界を暗示するボトルで巣立ってゆく息子の行く先は、カメとしての大海なのか、人間としての街なのかがわからない。 男と成長した息子があまりにもよく似ていて、まぎらわしい。 地震もなしに、いきなり大津波がやってきたことも引っかかる。 無理して言葉を飲み込んでいるような3人が、逆に不自然。 ・・・・・・と、つっこみたいところは多々あって、どうしても秀作『岸辺のふたり』と比べてしまう。 無理に長編にしたことで、マイケル作品の歯切れ良さが間延びされ、大味になった気がする。それが残念。 それでも、もう一度見直しても、多分、涙でぼろぼろになる予感・・・・・・ 【tony】さん [映画館(字幕なし「原語」)] 8点(2016-09-28 20:45:39) 1.《ネタバレ》 傾斜のある砂浜と空のラインの間に人物が全身のショットで配置される。引きのショットが中心となり、 地と海と空に囲まれた人間や動物は、その存在の小ささが際立つ。 そのロングショットによって顔の表情を省かれ、科白を省かれた分、身体全体のアニメーションで歩き・走り・泳ぎなどの基本動作を表現する 作画スタッフの力量が露わとなる。歩き方ひとつとっても、心情を反映した様々なパターンがあって描き分けは簡単ではないだろう。 シンプルなラインと動きだからこその、アニメーションの醍醐味がある。いかにもデジタル風な亀は残念ではあるが。 出会った男と女が水中で優雅なダンスのように舞い合う夢幻的なカットが、まるで『アマゾンの半魚人』の水中シーンのように美しい。 凪いだ海の繊細なタッチ、荒れ狂う海を表現する豪快なタッチも独特の味を出していていい。 砂浜に絵を描くシーンの筆跡の表現では、描いた絵を一旦消した上からさらに絵を描くといった凝った芸当も見せてくれる。 動画そのものの力で最後までドラマを牽引してみせてくれたのは立派だ。 【ユーカラ】さん [映画館(字幕なし「原語」)] 8点(2016-09-19 23:02:51)
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