みんなのシネマレビュー |
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ネタバレは禁止していませんので 未見の方は注意です! 【クチコミ・感想(8点検索)】
3.《ネタバレ》 長尺にも関わらず惹きつけれられて鑑賞できた。アメリカ史に詳しくないので新しく知ることばかりで、最後の方でこれはFBI誕生の話だったのか…と。ラストで劇中劇へと転換する演出も毒が効いていて好き。 ディカプリオ×デニーロの演技は最高に良かったし、ディカプリオはダメ男役がハマっていた。 終盤、妻に問いかけられたあのシーンは最後の赦しのチャンスだったのだが、主人公は妻に毒を盛り続けていたことに自覚的だったのか……議論が分かれそうなところだが、きっと妻を愛しているけどデニーロの言うことは聞かないといけないという袋小路状態で自覚しつつ盛り続けていたのかなと思う。 さて、アメリカの闇を描いた本作はオスカーにノミネートされるんでしょうかね。(同じスコセッシの「沈黙」やキャスリンビグローの「デトロイト」がアカデミー賞にノミネートされなかったのは残念だった) 【eureka】さん [映画館(字幕)] 8点(2023-11-30 14:46:56) 2.200分を超えた物語の終着点で、主人公のアーネスト・バークハートは、劇中最も情けなく、そして力ない表情で、傍らにいたFBI捜査官の方を振り向く。気丈な捜査官も、思わず目を背けてしまうくらいに、主人公のその様とそれに至った妻に対する「回答」は、愚かすぎて目も当てられない。 この映画は、米国史上における確固たる「闇」と、その中で蠢いた人間たちの悍ましさ、そして罪を犯し続けた一人の男のひたすらな愚かさを容赦なく描きつけている。 主演のレオナルド・ディカプリオが本作で演じたアーネスト・バークハートという男は、おそらく彼のフィルモグラフィーの中で最も愚かで救いのない人間だったに違いない。 それ故に、本作の製作に当たって当初は事件を究明するFBI捜査官の方を演じる予定だったところを、自らの判断でこの愚男に配役を変え、演じきったディカプリオは、すっかり骨太な映画人だなと思う。 マーティン・スコセッシ監督の最新作に、彼が長年に渡ってタッグを組み続けたロバート・デ・ニーロとレオナルド・ディカプリオが揃い踏みするという事実は、世界中の映画ファンにとってやはりスペシャルなことであり、むしろそれこそが「事件」と言えよう。 それが206分という異様な上映時間であったとしても映画館に足を運ばずにはいられなかった。 1920年代のオクラホマ州で起きた先住民族“オーセージ族”を対象にした連続殺人事件の真相と顛末を描いた実録犯罪映画。 206分という上映時間には流石に構えてしまったが、実際に鑑賞が始まると、そこはやはり大巨匠の独壇場、プロローグシーンから一気に映画世界に引き込まれる。 オクラホマの荒野に追いやられた先住民族が、油田の発掘により一転して莫大な富を得て、そのオイルマネーに群がる白人たちの操作と支配、陰謀によって運命を狂わされていく様が、努めて淡々と描き出される。 実話ベースのストーリーテリング故に、そこには大仰な映画的な派手さや、劇的な顛末は存在しない。ただだからこそ、一人ひとりの人間の本質が、丁寧に、生々しくあぶり出されていくようだった。 前述の愚男を演じたレオナルド・ディカプリオ、そして、人間の悪意をそのものを演じきるロバート・デ・ニーロの競演からは、人間が孕む闇と腐臭が匂い立ってくるようだった。終盤、それに群がるかのように飛び回る蝿の羽音が不快感を助長していた。 また、両者の間で身も心も侵食されるオーセージ族の一人であり、主人公の妻を演じたリリー・グラッドストーンの存在感も抜群だった。 只々、嵐が過ぎ去るのを耐え忍ぶように、沈黙を守り、最後の最後まで愚かな夫への“赦し”を与えようとするその姿は、とても美しく、神々しい。 劇中、白人は神の存在を都合よく語り、オーセージ族も自分たちの信仰を貫く、がしかし、本当の「神」とは、一人ひとりの人間の中にこそ生まれ存在するものなのではないか。というようなことを、主人公の妻モリーの生き様から感じた。 時代や場所、価値観や常識を超えて、迫害や侵害を念頭に置いた理不尽な暴力は、この世界のあちらこちらで今なお繰り広げられ続けている。 本作で綴られたことは、決して「物語」ではなく、無情で端的な事実であるということを、映画の最後、自ら登場したマーティン・スコセッシは、強く強く伝える。 【鉄腕麗人】さん [映画館(字幕)] 8点(2023-11-11 00:47:33) 1.《ネタバレ》 ディカプリオとデニーロ共演の超大作という触れれて鑑賞。『アイリッシュマン』を上回る上映時間にはなったが、同作で不満だった部分をおおかた改善した快作であった。 3時間半という長尺だが、要所要所で飽きのこない展開を盛り込んでおり、淡々と乾いた暴力描写に終始しがちなスコセッシ監督にしては珍しく、派手な爆発シーン、エピローグではラジオドラマ風の演出を入れ込んで捻りを効かせるなど、観客の注意を惹きつける工夫が全編に渡ってなされていたと言える。結果的には、『アイリッシュマン』で感じた、あまりにも淡々とした物語展開よりもずっと劇的な展開となっていた。これが本作に8点をつけた理由である。 とはいえ残念な部分がないわけではなく、映画の予告であったようなオセージコミュニティ内で起きた連続殺人の謎を追うマーダーミステリの要素は薄く、むしろその連続殺人事件の犯人側、しかも従犯側の視点で物語が進むので、次々と謎を解き明かしていくという快感は得られない。普通のミステリならば、どういう経緯で犯人たちが犯罪に突き進んだのかを解き明かしていくのだろうが、本作ではその点は最初から明示されている。その理由は金のため。犯人たちはあまりにも俗物的な理由で犯罪に手を染めていたのである。1920年代という時代のせいもあるだろうが、あまりにも行き当たりばったりな理由や手段で犯人たちは犯罪を行うため、現代の犯罪ドラマに慣れた観客からすると、犯人たちの犯行理由は浅はかである一方、警察側の捜査の描写も、かなり手ぬるく見えてしまう。 つまるところ、本作は実話に忠実であるがゆえに、かつ、本作では視点を常に事件における従犯的存在に過ぎない主人公にフォーカスした結果、ミステリとしては快感が少ない仕上がりになってしまっているのだ。この点は本作の構造的な弱点であるかもしれない。ディカプリオ、デニーロ、そしてヒロインのグラッドストーンの演技合戦が素晴らしかっただけに、この点は惜しいといわざるをえない。 【nakashi】さん [映画館(字幕)] 8点(2023-11-05 20:43:46)
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