みんなのシネマレビュー |
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ネタバレは禁止していませんので 未見の方は注意です! 【クチコミ・感想(8点検索)】
8.《ネタバレ》 妖星ゴラス。このなんとも不思議な題名が興味をそそります。 黒色矮星が地球を直撃して人類が絶滅の危機を迎える。これを官民一体となって大作戦で回避する。ただそれだけなんですが、この映画は今となっては知る人ぞ知るマニア映画になってます。後の日本や世界のSFやマニアに多大な影響を与えました。 宇宙から天体が地球を直撃する危機の映画は昔から有って、今なら、小惑星の「アルマゲドン」、ブラックホールの「さよならジュピター」当たりが代表作ですかね。また、官民一体となって対策する点は、ある意味「日本沈没」や「ゴジラ-1.0」のご先祖さまとも言えましょう。ただ、本作が異彩を放っているのは、危機天体を破壊するのではなく、地球を動かして逃げる、という1点です。地球を動かす、この考え自体は映画界にははるか昔からあったようで、膨大なエネルギーを必要とするから実際には無理という常識的な考えから単純に採られなかったんですが、この映画はそれをやっちゃった。コロンブスの卵、これこそ、センス・オブ・ワンダーです。その後、様々なSF作家が真似をしてます。「トップをねらえ2」なんて、地球ごと質量兵器にしてますものね。2024年には、アメリカの議員さんが、地球温暖化対策として地球を外側に動かそうなんて真面目な提案をしたそうです(阿呆だな~、というのが議会の反応で・・・アメリカって素晴らしい)。 地球移動は制作当時、できる限り計算して、可能と考えてやったというのですが、まあ素人目に考えても無茶な嘘です。動かすエネルギーをたった二年でどこからどう持ってくるのか。核爆発でさえ毎秒5個爆発させて数万年のオーダーがいるのです。これ、ちょっと無理。 映画的な嘘は一杯あります。黒色矮星なんて、現在の宇宙には一つもないと考えられてます。白色矮星が冷えると黒色矮星が理論上存在可能ですが、冷えるのに現在の宇宙が過ごした時間以上を必要とするし、よしんば実在したと言っても、一切の電磁波を発しないので、現在の科学でもほぼ観測不能です。技術的にも、隼号・鳳号は単段式ですから、地上から直接宇宙に出ることはできません。それに、地球が現在の軌道からほんの少し動けばそれだけで、別にゴラスが近づかなくとも地上は大災害。これらは黒色矮星を除いて製作当時にもわかってたことですが、映画の嘘だからと強行したらしい。 でも、いいですね、そんな大嘘ついても、科学を信じる、未来を信じる、国際社会を信じる、当時のイノセントな世相が良く出てます。いい時代だったんですねえ。私はこの映画の雰囲気が好きです。だって、製作1962年ですよ。戦後17年でこれをやった。人類の宇宙飛行が実現したのは、ガガーリンの1961年。その翌年にこれですよ。高度経済成長なんかまだ先の話、その時代にこれを作った、その心意気や良し、です。 ただ、その~、制作技術が追いついていない。この6年後にキューブリックが出してきたのが「2001年宇宙の旅」です。ええと・・・ あと、東宝の悪い癖も出てる。クランクアップ直前に、せっかく円谷が絡むのならと上層部がねじ込んできた怪獣マグマ。監督や脚本が最後まで大反対したのに、結局入れられちゃった。海外版では全カットされているそうだから、意味なし登場なのは普通にわかりますよね。ちなみにマグマの登場するシーンは本来の監督ではなく、円谷英二が演出したそうです。また、マグマの操演の一人に、ゴジラ俳優の中島さんがいるそうで、マニアは喜んでますが、蛇足は蛇足。はるか昔に見たときも、今見直してみてもやっぱり蛇足感は否めません。オトナの事情で金井役の役者を最終盤まで登場させる便法として記憶喪失にさせたのも意味はありませんね。 ただ、悪い映画ではありません。テンポはいいですし、役者もみんながみんな上手いわけではないですが、当時の人気俳優が特撮映画を真面目にやってます。しかも、妖星ゴラスは周辺を探っていくと、いくらでも面白いエピソードが出てくる不思議な映画です。ラスト水没シーンは、実際に川にセットを沈めて撮ったけど、未だにそれが荒川か利根川か論争があるとか。作中のジェットビートルはウルトラマンに流用されたのか、金型だけ流用されたのか、とか。いつまでも楽しめる不思議な映画としか言いようがないです。私は推しますよ、この映画。 【えんでばー】さん [映画館(邦画)] 8点(2025-01-08 20:43:15)(良:1票) 7.《ネタバレ》 ああなんだろう、この爽快感は!これほどまでに観終わって楽しかった映画は無いぞ!!いや、家族や友だちと一緒に観ながら、お腹を抱えて笑ったり、シーンひとつひとつにツッコミを入れることがどれほど楽しいことか。決してバカにしているわけでは無いけれど、SF映画としては先駆けのこの時代では、工事用ヘルメットをかぶって宇宙に行くのがイメージの限界だったのかな。この6年後に作られた「2001年宇宙の旅」や「猿の惑星」は、きっとこの映画が出発点だったに違いない、コンセプトが一緒の「メランコリア」はきっとこの映画を観て制作を決意したに違いない、そう思いたい私でした。 【ソフィーの洗濯物】さん [CS・衛星(邦画)] 8点(2012-11-02 19:37:12) 6.《ネタバレ》 本多猪四郎、円谷英二両監督によるSFパニック映画。長らくなかなか見る機会に恵まれなかった東宝特撮映画の一本だが、ようやく見ることができた。巨大隕石が地球に向かっていてこのままだと激突するかもしれないというのは「アルマゲドン」や「ディープ・インパクト」と全く同じなのだが、あれらのように隕石を破壊しにいくのではなく地球の軌道を変えてしまうという発想が素晴らしく、また荒唐無稽とも思えるその方法が説得力を持って描かれており、なかなか面白いし、その発想だけでハリウッド大作であるさっき挙げた二本にはじゅうぶん勝っていると思う。特撮のミニチュアワークもよく、今のCGでは出せないような魅力を感じることができ、まさにこれが円谷英二の特撮映画だ。脚本的には唐突な怪獣の登場(本当になんの前触れもなく登場し、あっけなく倒される。ちなみに当初は予定になかったらしい。)や、久保明がゴラスの影響で記憶喪失となる展開が中途半端に終わっている感があるなど難もなくはないが、まあ大目に見よう。出演者も東宝特撮映画常連の久保明や志村喬などに加え、主演が池部良だったり、小沢栄太郎や西村晃といった東宝特撮映画ではなじみの薄い名優も出演していて豪華である。さっき書いたように脚本的にはアレな部分も多いが、間違いなく「アルマゲドン」や「ディープ・インパクト」よりも面白かった。 【イニシャルK】さん [CS・衛星(邦画)] 8点(2012-10-18 16:26:53) 5.《ネタバレ》 この映画、35年くらい前にテレビで観ました。子供の頃の心象だけのレビューだけど記憶違いがあってもお許しください。 ゴラスに接近した宇宙船のパイロットがなぜか心神喪失状態になっていた。煮えたぎったようなゴラスの赤茶色の表面が視覚的に催眠効果を持っていたのか、あるいは怖いけど目を逸らすことが躊躇われるくらいゴラスが美しく、魅入られて心がアッチに行ってしまったのか。子供心には分からなかった。 南極の曇天の空をバックに画面右側から「ウルトラマン」のジェットビートルが凄いスピードで進入して来て、レーザー光線を発射する。標的は「ウルトラQ」に出ていたトドラだ。このジェットビートルが「ウルトラマン」のそれより格段に機動性が良く、しかもレーザー光線が強力で、簡単にトドラをやっつけたことに驚いた。その曇天の空と力強く白色の軌跡を描くレーザーのコントラストの鮮やかだったこと! 「ウルトラQ」「ウルトラマン」が後年の作品なので、この映画がオリジナル出演ですね。良いものは何度も使う円谷プロ。 ゴラスが地球に最接近する瞬間の主役は、南極の基地の壁に掛かった時計の秒針だった。最接近の時が近づく。時計を見上げるスタッフ。地球に接近するゴラス。人事を尽くして天命を待つ。秒針が12を指す直前から、2秒、3秒と過ぎるあたりまで体を硬くして見守った。数秒という時間にあれほどの緊迫感を詰め込んだ演出は秀逸。ラストの台詞は地球の軌道を元に戻すために「さあ、これからが大変だ」って感じだったと思う。 余談だけど、これを書いていて改めて気付いたのは、忘れている部分も多いけど、覚えているシーンやカットは自分でも驚くほど鮮明に記憶している(と思い込んでいる?)こと。それってある意味、財産だと思うのです。大人の視線で見直して記憶を上書きしたくない作品ってありますよね。 もうひとつ余談。小学校の高学年だった自分は、観終わった後に3歳年上の兄に「あんなことやっても、大気圏の中で空気が対流するだけじゃないか」と言った。兄も「あっ、そうか」って言ってた。ホントのところはどうなんだろう? 【アンドレ・タカシ】さん [地上波(邦画)] 8点(2009-03-18 03:49:47)(良:1票) 4.《ネタバレ》 「恐怖の大王」が降ってきた!!。■ そんな時、ハリウッドでは「大王」をコッパ微塵とすることに終始し、 我が東宝映画陣は巨大な噴射口をおったてて、地球を避難させてしまった!。 なんて東洋的な発想と西洋的な発想の衝突なんだろうか。 このギャップを東洋医学と西洋医学の違いに投影して考察するとおもしろいと思った。 「恐怖の大王」という病巣が体内に巣食った時、西洋医学は摘出手術や薬物療法という 形で治癒を目指す。その行為は病巣への攻撃となる。 一方、東宝陣が施こした東洋医学的処置は鍼灸や漢方など患者の自己免疫力を高めて 病巣というマイナス要素からの悪影響を減少することにある。それは自己変革による解決を意味する。 「自己」と「敵」という存在がある場合、西洋は「敵への一方的な攻撃」をしかけ、東洋は「自己変革による敵との共存」をめざしているように思える。この問題解決コンセプトの違いこそが「アルマゲドン」「ディープインパクト」のハリウッド的思考と我が「妖星ゴラス」による東宝・東洋的思考の違いであるのだ。 そこには敗戦を経験し、東京裁判を経験し、アメリカからの日本国憲法を遵守し、民主 主義、資本主義の洗礼の中、自己変革をなしてナンバー2までのし上がった日本の歴史 があり、一方、目の上のたんこぶをことごとく攻撃し、自国の権力を増大させていった 国の歴史感がでーんと横たわっているのです。ハリウッドは敵から逃げることをけっし て良しとしない。共産主義からも、テロ国家からも、勿論、異星人からの攻撃にも、大 統領が戦闘機に乗って攻撃を仕掛けるぐらいなのですから。 自分らが内的変貌を遂げて局面をヤリ過ごすという屈辱的な危機管理は到底受け入れられないのです。でも僕ら日本人という歴史を持った者(少なくともワタクシ)は、南極に巨大な噴火口を作って「大王」をヤリ過ごす地道で途方もない努力に、どうしょうもなくロマンを感じてしまうのです。神道を基本とし、大陸からの仏教を受け入れ、キリスト的文化も受け入れ、民主主義・資本主義を取り入れ、その折々での自己の最適化を柔軟になしえてきた血がどうしようもなく騒ぐのです。 ストレートな差障り要因への攻撃という陽なエネルギーよりも、南極に大規模土木工事をやり遂げる忍耐力をワタクシは断固支持致します! 【マーク・レスター】さん [DVD(字幕)] 8点(2005-06-09 22:38:35)(良:3票) (笑:1票) 3.今の洗練されたCGではけして出せないプリミティブな迫力と、理屈を無視した地球をどけちゃえ計画。 このチープさがわがSF! じいちゃんの「地球も動いたしいい正月だな」を、壮大なる名せりふとして残したい。 【あにさきすR】さん 8点(2005-01-18 01:32:11) 2.《ネタバレ》 「もし、地球に小惑星がぶつかりそうになったどうしますかあ?」 「はーい、核爆弾仕掛けて木っ端微塵にしまあす」がアメリカくん。「僕はぁ、地球にでっかいロケット付けて小惑星から逃げちゃいます」が日本くん。ともに、性格がよく表れたお答えですね~。 南極の大氷原を埋め尽くす無数のロケットエンジン。そこからいっせいにそそり立つ炎の柱・・・おいおいそんなことしちゃ南極の氷が溶けてエラいことに、などと突っ込んではいけません。これは、科学の進歩がそのまま人類の幸福な未来につながることを信じることができた時代を物語る、貴重な映像モニュメントなのです。科学技術を平和のために使うことで、人類は一つになれる・・・当時、多くの人々が胸に抱いたであろう「希望」を、澄み切った南極の青空のように、ここまで一点の曇りもなく映像化できた円谷英二は、やはり黒澤・小津らと並び立つ、日本映画が世界に誇る「宝」だったとしか言いようがありません。 それと、惑星攻略に向かう宇宙飛行士が、出発前夜に乱痴気騒ぎをするのは、ディープでもアルマゲでもお約束でしたが、そのルーツもこの映画にあります(と、思う)。あの、音頭だかドドンパだかよくわからんあの歌。いいな~あれ。氷川きよしあたりがリメイクで歌ってくれんかしらん。 【東京サンダ】さん 8点(2004-01-22 17:00:52) 1.《ネタバレ》 凄過ぎます! “ジェット噴射で地球の軌道を外して、彗星をよける”って発想の時点であっぱれです。勿論、SFXは幼稚ですが、これが子供の頃に夢中になった作品なんだと思うと感慨深いです。円谷作品らしく、南極に怪獣を登場させるところは凄い。しかしどう見ても首が上向いて折れてる気が・・・・・?「くびが!くびがちゃんと頭まで入ってへんでぇ!」でも凄いです。あとびっくりしたのは、無重力の中で急ぎ足で歩く宇宙服の乗組員たち。当時としては、無重力を表現するのに苦労したんでしょう。そのぎこちなさに感動。でも最後はあっさりよけて博士の一言。「元の軌道上に戻さなくちゃ大変なことになる。ははは!」だって。何でも北極に同じジェット噴射を付けてまたやるんだとか。凄過ぎ! 【イマジン】さん 8点(2003-08-11 12:11:24)
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