みんなのシネマレビュー |
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ネタバレは禁止していませんので 未見の方は注意です! 【クチコミ・感想】
127.《ネタバレ》 最高のエンターテイメントにして最高の人間賛歌の映画。 時代考証がしっかりしていて、ボロボロの衣装から建物すべてにおいてこだわりぬいているのが分かります。 なにより登場人物の思考方法が完全に戦国の世なのがいいですね。 今の時代劇はここを中途半端に現代人に寄せてしまうから興ざめ。 あと農民二人のポジションの見せ方がうまい。 こういうキャラクターって今の小説、漫画、ドラマ、映画問わずウザキャラとして捉えられがち。 でも今作では生のままの人間として丁寧に描かれていて2人に感情移入してしまう。 この二人がこの最高のエンターテイメントと人間賛歌であるこの作品の重要な核になってますね。 【CBパークビュー】さん [DVD(邦画)] 9点(2016-07-03 07:23:07)(良:1票) 126.《ネタバレ》 黒澤明が凄い監督さんだという事は「七人の侍」や「用心棒」で充分に承知済みだったはずなのですが、こういうタイプの映画も撮れるんだなと、再び衝撃を受ける事になりましたね。 冒険活劇であり、全編に亘ってコメディ色が強く、作中で人が次々に死んでいるはずなのに、何処か呆気らかんとしている。 必要以上に緊迫感を与えたりしない為、観ている側としても、リラックスして楽しめる一品だったと思います。 やや冗長に感じる場面も、あるにはありますが、面白く観賞出来た時間の方が、ずっと長かったですね。 そんな本作独自の魅力として、特に目を惹くのは、ヒロインである雪姫の存在。 主人公であり、タイトルにもなっていると思われる六郎太、太平、又七に関しては、他の黒澤映画でも似たようなタイプの人物が見つかりやすいのに対して、彼女は非常に個性的だったと思います。 とにかく目力の凄い美人さんで、独特の甲高い声に関しても、最初は「うへぇ」と思っていたはずなのに、気が付けば「これはこれで……」と、それを個性として受け入れる心境になっていたのだから、不思議なもの。 彼女に命を助けられ、その恩に報いる為とばかりに尽くしてくれる名もなき娘さんの存在も、心を癒されるものがありました。 三船敏郎演じる六郎太に関しては、腕っぷしも強く、頭も良く、男気もあり、清濁併せ呑む度量もあってと、文句の付けどころのない人物なのですが、ちょっと主人公としては愛嬌に欠けるような印象も受けましたね。 その弱点を補うかのように、太平と又七とが愛嬌を振りまいてくれているのですが「結局、誰が主人公なんだ?」という疑念も頭に浮かんできて、観賞している間、集中力が削がれてしまったのが残念。 六郎太は作中に登場するのが遅すぎるし、太平と又七に関してはクライマックスに不在だったりするしで、どうも話の核が散漫に思えてしまいました。 特に後者の不在問題に関しては深刻で「えっ? 何で太平と又七は出て来ないの?」と、本気で戸惑う事になりましたね。 てっきり、敵方に密告しても褒美を貰えないと悟った二人が、それならばとばかりに姫様を救出し、ついでに金も取り戻す展開かと思っていただけに、大いに拍子抜け。 窮地の一行を助け出すオイシイ役は、途中から出てきた兵衛さんの担うところとなる訳ですが、六郎太に「百年の知己」と言われても、具体的にどんな過去があったかなどは語られないし、今一つ盛り上がれません。 結局、太平と又七は肝心な場面で六郎太達を見捨てて逃げ出したっきりな訳であり、いくら愛嬌があっても、主役として感情移入出来る範疇を逸脱しているように感じられました。 自分の好みとしては、もっと六郎太を中心に据えた作りの方が嬉しかったかも。 それでも、そんな臆病者の二人が殺されたり、罪人として囚われる終り方ではなく、目当ての金を僅かでも手に入れて、願いを叶えられたハッピーエンドだった事には、ホッとさせられましたね。 立派になった姫様に諭されて、すっかり仲良しになった二人。 だけど、ずっとそのままという訳ではなく、村まで帰る道中では、また喧嘩をしては、仲直りしたりもするんじゃないかな……と、微笑ましく思えました。 【ゆき】さん [DVD(邦画)] 7点(2016-06-08 07:50:23)(良:1票) 125.《ネタバレ》 いろいろ盛り込みました的エンターテインメント作品といった感じで面白い。三人の珍道中はとっても愉快・痛快な娯楽作で当時は観た人は盛り上がったでしょうね。姫様のお声はあまり気にはなりませんでしたよワタシ的には。でもちょいと娯楽性に振り過ぎてるかな~って気はしましたが、まぁ大いに楽しめたので7点 【Kaname】さん [CS・衛星(邦画)] 7点(2015-10-26 15:03:06)(良:1票) 124.《ネタバレ》 この映画はまず「戦国時代の姫君と三人の悪人が、黄金を背負って敵中を突破する」という筋を知っていないといけない。 何故なら、肝心の主役格の悪人と姫君が登場するまでに30分も時間がかかるからだ。 それまでは戦場で手柄を立てて出世しようと勇んで出てきた太平(何やってんの平八)と又七(万造、侍を目指す)たちの愉快なコンビによる波乱万丈な場面を追うことになる。 予備知識無しで見た人は「そうか又八たちのユニークな物語なのかー」と勘違いするだろう。 いや実際そうなんだけどさ。 最初から太平たちを主人公として見るか、宣伝通りに雪姫と真壁六郎太を主人公として見るかでかなり見方が違ってくる。 そしてようやくメインの六郎太と雪姫の御登場だ。 メインディッシュとデザートが次々出るように流れがガラッと変わる。 又八たちは脇を支える漫才コンビとして立ち位置を変えてくる。 宣伝を見てきた人は「待ってました!」と思い、予備知識無しの人は「悪そうなサブキャラが出てきたなー」と思う。 そしてようやくジャケットの人物が誰なのかが判明する。 別のDVDの雪姫と六郎太のツーショットのジャケットならともかく、又八たち4人が居並ぶジャケでは判断がしにくいだろう。むしろそれが狙いの一つなのかもしれない。 泥にまみれながら懸命かつ愉快に生きる又七たち、利用しつつも結構思いやりのある六郎太、そして泣きっ面が最高に怖いが、本当は心根が優しく芯の強い、寝顔が可愛い太股のエロゲフンッゲフンッ男前な雪姫。 個性豊かだ。 特に六郎太の馬上での迫力満点な追撃、無駄に長いが見応え充分の決闘(あまりに長かったので「椿三十郎」のような一瞬の決着が生まれたのかも)。 しかし、ラストはどうなのだろう。 前には処刑台、後ろには脱出口! 兵衛の槍の唸りで二人を解放。 「志あるならば続け!」 颯爽と駆け抜ける雪姫、雪姫の侍女をヒラリと乗せ駆ける六郎太。そして兵衛の「裏切り御免!」 普通こういう場面は最高にカッコイ筈ずなのだが、好敵手との決闘を咎められて顔を鞭打たれた兵衛。 元々気遣いがある男ではあるが、「おまえの上司はカスだ!あたしそんな事しねーし!あーあー、どうせ死ぬんだ、直前まで遊べて良かったー!」なんて言われて同情してしまう兵衛。それでいいのか兵衛。何故だろう、何処か釈然としないのだ。 【すかあふえいす】さん [DVD(邦画)] 9点(2014-12-13 18:44:00)(良:1票) 123.《ネタバレ》 黒澤の代表作 スターウォーズがリスペクトしたとされる作品だが、見てみてなるほどと思った 冒頭二人の子悪人達が罵り合いながら珍道中を繰り返すくだりは、C3POとR2D2が喧嘩しながら歩くシーンにそっくりだ シーンが変わる時のワイプのしかたもそっくり 三船はやはり存在感があるが、今作は今ひとつ普通の芝居に思えた とにかくヒロインの存在感が抜群 立ち振る舞いが如何にも男勝りの姫だ 特に足を軽く開いて、すくっと立った姿が本当に素晴らしいと思った 砦の集団戦闘シーンも「ベンハー」並の迫力だ ストーリーも二転三転して楽しいがさすがに古くてカットが長いシーンが多く退屈する部分もあった ラストも大団円でエンターティメントに徹している 【にょろぞう】さん [ブルーレイ(邦画)] 7点(2013-12-20 23:20:35)(良:1票) 122.《ネタバレ》 戦に敗れた領主の世継ぎの姫と侍大将と奇縁の百姓がお家再興をめざし、軍資金を運びながら、敵国突破を試みる。次々と襲いかかる危機、困難をいかに乗り越えるかが見どころ。冒険あり、宝探しあり、痛快アクションあり、美女あり、ユーモアあり、娯楽性に富む内容で観客を飽きさせない。この作品は黒澤明の”インディ・ジョーンズ”だ。◆脚本上の問題は、相手武将の「裏切り御免」に尽きる。本人達が知恵と勇気と能力を駆使して危機を脱出するところに妙味があるのに、ここの部分だけが”他力”になって しまっている。物語の流れに逆らってしまっている。この場面がクライマックスなので尚更その印象が強い。また裏切りの理由が「家来の面前で、主君に面罵され、面相が変わるほど打擲されたため」では、重すぎる。ここだけ痛快時代劇の枠をはみ出している。鑑賞後、爽快感が薄いのはこのためだ。◆冗長な面もある。物語の発端となる2国間の合戦と落ち延びる姫の様子は描かれていない。その代わり二人の百姓が捕らわれ、強制労働させられ、暴動に乗じて脱出する様子が描かれる。どちらが重要かは論を待たない。後者はカット可能だ。百姓はあくまでサブ扱いすべき。百姓二人は黄金を持つと貪欲になり喧嘩をし、危機になると途端に仲直りする。そこに人間臭さがあり、ユーモアがあり、ラストのオチの伏線になっているが、何度も繰り返せばクドくなる。いくつかを削って尺を短縮すればより躍動感が出た。◆副物語は、姫の心の成長。これは良く描けていると思う。人身売買される娘を買って助ける場面は泣かせる。これは自分の身代わりになり打ち首になった娘の伏線があるからこそ効果が倍増するのだ。わがままから出た行為ではなく、他人を思いやる心が芽生えてきたからだ。娘を加えたことが敵の目をくらます原因に連なっており、このあたり絶妙である。又民と共に踊る火祭りのシーンは印象的。「人の命は 火と燃やせ 虫の命は 火に捨てよ思い思えば 闇の夜や浮世は夢よ ただ狂え」監督が観客に送るメッセージだ。◆山で大勢に囲まれ捕縛される場面。弾丸が倒木に当たり幹が跳ね、次の瞬間人物が飛び出てくる。これの繰り返しだが、フィルムが繋がっていないのが丸わかりというチープさ。明らかに手抜きである。上手の手から水が漏る。 【よしのぶ】さん [DVD(字幕)] 8点(2011-07-24 09:20:33)(良:1票) 121.《ネタバレ》 映像に迫力あり。白黒もすばらしいって思える。 シナリオがいい。次々と起きる絶体絶命。そして意表をつく解決策。 笑いもスリルもエロスもあって、バランスもいい。 お姫様、迫力ありすぎ。でもかわいい。 良質の娯楽作品。 半世紀前の作品なのに、生き生きしてる。 古典名作。 ちなみに、見ていた時の俺。「ええーどうするんだよ」「おお、それはいい考えかも」「ちょ、だめじゃん」「あーーやばい、どうすんのよ」「あーこうするのね、なるほどなるほど」これの繰り返しだった。 【ひであき】さん [DVD(邦画)] 7点(2011-07-23 23:51:04)(良:1票) 120.《ネタバレ》 最初の方の、捕虜となって働かされていた兵たちが反乱を起こして城の階段を駆け下りていくシーンの迫力がハンパない。その後も、裏切り御免のシーンや、三船敏郎が馬上で刀を振りかざしながら駆け抜けていくシーンや、村人との火祭りのシーンなど名シーンが数々あり、黒澤作品の中でもとりわけ好きな作品。そして、あの上原美佐の気合が入った話し方が、時折、妙に恋しくなってまた見たくなる作品。 【ashigara】さん [DVD(邦画)] 9点(2011-07-06 23:03:18)(良:1票) 119.《ネタバレ》 本作は黒澤映画の中でも登場人物たちのキャラの切れ具合は随一、脚本執筆の語り継がれているエピソードも有名ですが、あえて注目したいのは黒澤初のシネスコ映画であることです。シネスコでスクリーンに映し出される情報量が増えましたが、それに対応した得意のパン・フォーカスが冴え渡ってダイナミックな映像を見せてくれます。観るたびに感嘆するのは真壁六郎太が登場するシーンで、太平と又七が河原で金を探している前景の遥か彼方の崖の隙間から三船敏郎が豆粒の如き小ささながらも鮮明に姿を現してくるのです。隠し砦がある山中の設定も、良くもこんなに石がごろごろしたロケ地を見つけてきたなと感心するぐらいの荒々しい風景で、そんな難所を登ったり降りたりさせられた千秋実と藤原釜足のご両名の苦労が偲ばれます。「裏切り御免!」の藤田進と上原美佐、演技力に難がある両名が劇中もっとも記憶に残ったというのも微笑ましいところです。 【S&S】さん [CS・衛星(邦画)] 8点(2010-11-15 23:46:50)(良:1票) 118.《ネタバレ》 黒澤さんの作品では最も「エンターテイメント」な作品ですね。分かりやすい面白さを徹底してる。そしてキャラが際立ってる。特に百姓の二人組は強烈なまでの個性と愛嬌を持ち合わせており、ルーカスが真似るのも無理はないなと感じさせます。そしてそのストーリー運びや設定も、後世に多大な影響を与えてるんだなということがよくわかる。ところで、隠し砦のある山の風景は、なんだかまるでグランド・キャニオンの様な様相を思い起こさせるし、森の中にある泉も、どことなく西洋的な風景に見えてきませんか?ラストの早川領を一望する抜ける様な風景も、あまり日本ぽくないように思えてくる。そこには、ある種の異国的な壮大さみたいなものが感じられる。音楽だって、旋律こそ日本風ではありますが、ライト・モチーフの使い方やそのダイナミズムさはまるで西部劇そのもの。そう、黒澤作品はたくさんの映画人に影響を与えたけれども、黒澤さん自身もまた西部劇に大きく影響を受けたんだなということが見て取れるわけです。それにしても、日本が舞台でありながらこういう壮大さ異国さを生み出すには、モノクロだからこそ出来る映画の「虚構の力」というのがある様に思います。よく、「黒澤映画はカラーになって駄目になった」という人がいるけど、それはつまるところ、カラーによって映像が現実により忠実になることによって、モノクロが持っていた「虚構の力」が失われたからではないか、という風に思うんです(勿論、カラー作品にはカラー作品の魅力があるわけですが)。その力をアイデアや創意工夫で存分に活かすことが出来たのが、黒澤明の非凡たる証だったんじゃないかなぁと。 【あろえりーな】さん [CS・衛星(邦画)] 9点(2008-09-26 23:19:37)(良:1票) 117.《ネタバレ》 いやーこれは面白いですよ!群集にCGを使っていない本物の迫力も感じましたし、早川領に辿り着くまでの苦難の連続を、ハラハラしながら楽しめる娯楽活劇です。でもこれ「スターウォーズ」に影響を与えたとされてますが、C-3POとR2D2はあの百姓二人のようには足引っ張ってないよと叫びたかったです(あまりにダメな人たちなんでええ加減にせよと突っ込んでしまいました)。女郎として囚われてた秋月方の女性を馬にすっと乗せる六郎太のサマ、山名方の侍二人を馬で追ってしとめる六郎太、というよりむしろ三船先生の姿にも惚れ惚れですwでも笑えたのは火祭りで踊る三船先生の姿!晩年「全員集合」でヒゲダンスのジェスチャーをした彼の姿を思い出してしまいました(^^;あと突っ込まざるを得ないのは雪姫どの!あなた快活で健康的な太ももが何とも魅力的ですが、終始声張りすぎですから! 【まさかずきゅーぶりっく】さん [DVD(邦画)] 8点(2006-08-06 16:45:33)(良:1票) 116.《ネタバレ》 逃走型エンタメの分野を確立してしまっている。黒澤監督の才をこれまたひしひしと感じる一本。 配役が完成してるもん。命がけで逃げるはお姫様と有能な従者。トラブルを呼び寄せるマヌケな二名はお笑いも担当。それに外部からの協力者。 敵方が攻め寄る演出は音から迫り来るものだったり、突然ひらけた視界に大軍勢だったりとほれぼれするような垢抜けっぷり。和を感じる音楽も良かった。 腹の座った六郎太の戦術には唸らされ、思わぬなりゆきに手に汗握る。映像もほんとに戦国の世を観ているよう。 見事な作品であるのは間違いないけれど、上原美佐の棒台詞が浮いてしまうのは残念。でも彼女を弁護するならこの時代の若い女優サンたちってこんな感じの一本調子なお芝居台詞が多いなと常々感じてまして。女性の話し方が大きく変わったのは時代の方なのではないか、と思ったりしてます。 【tottoko】さん [CS・衛星(字幕)] 7点(2024-06-30 22:43:41) 115.《ネタバレ》 なんといっても男勝りの姫がいい。 妙な色気もあって魅力的に感じた。 三船敏郎は相変わらずかっこいい。 気に入らなかったのはオチかな。 黒澤映画にありがちだけどどこか説教臭いしそれが浅い気がする。 個人的にはもっとエンターテイメントに振り切って欲しい。 【Dry-man】さん [インターネット(邦画)] 5点(2024-04-28 16:38:51) 114.《ネタバレ》 恥ずかしながらようやく鑑賞となりました。 私に取って本作は「巨匠黒澤明の作品」と言うよりも「ジョージ・ルーカスがSWの元ネタにした作品」で有り、 その意味では『まんまSWじゃん!』と言う感想です。 それにしても三船敏郎の存在感は物凄く、他二人とのアンバランス感が半端ないですね。 【たくわん】さん [CS・衛星(邦画)] 7点(2024-02-12 11:33:41) 113.《ネタバレ》 “男勝りなお姫様”の元祖だろうか。そもそもの初登場が崖の上での仁王立ちである。 ただそっちの画より、湧き水のところで太平と又七が初めて雪姫に会うところ、こっちの画の方が黒沢監督が観せたかったんだと思う。太腿を観せてからの振り向きの構図。脚から胸、顎にかけての女性独特の美しい線とキリッとした顔。この構図一枚こそが“男勝りなお姫様”を表現する画なんだと思えた。宮崎駿監督の“男勝りなお姫様”でよく観た構図のモトは、この映画だったんだと思う。 一国のお姫様だから、その辺の女とは違い、高く綺麗な声質…なのに、男勝りなことを言う雪姫。彼女の独特な話し方は、恐らくそういう演出でしょう。上原美佐は経験不足ではあるけれど、決して実力不足ではないと思う。 一つ不思議に思ったのが、最後に本来の姫の姿の戻ったときの、画面一杯に寄った画が無いこと。落ち延びている最中のキリッとした眉の時とは違い、姫らしく眉や髪を整えた美しいお姫様の顔なのに、何故か寄って撮らない。ここは恐らく、太平と又七側から見た目線のためで、お姫様の顔を間近に観るなんて恐れ多い。という演出かもしれない。劇場の大画面で観ていたら、印象も違ったかもしれないけれど。 戦に間に合わなかった二人の百姓目線で進んでいく序盤はとてもわかり易く、展開も早い。秋月、山名、早川。聞いてるだけではこんがらがりそうだけど、砂に書いた丁寧な領地の説明。そこに放られる金塊。『七人の侍』の野武士の人数同様、解り易く胸躍る演出にグイグイ惹き付けられる。 題名にもなっている隠し砦が燃やされ、最後の抵抗をする秋月の老将らの最後はバッサリ割愛するのも、取捨選択が絶妙と言える。文句なしの前半。 ただ良くも悪くも百姓娘のその後なんかもバッサリ。というのは、少々味気なさを感じてしまった。太平と又七それぞれに金一枚づつあげれば良いのに。なんて思ったりも。いや、そういう予定調和にしない所もまた、黒澤映画の味わい深さなのかもしれない。 後半、三船の馬術の素晴らしさ、火祭りの躍動感に目を奪われつつも、『隠し砦の三悪人』という題名に少々違和感を感じてしまうのも事実。三悪人って誰のことだったんだろう? 普通に考えて太平と又七と真壁なんだろうけど、最後の雪姫・真壁・田所がズズイと寄ってくる場面を観ると、もっと別な解釈もあるような気がしてしまう。 【K&K】さん [DVD(邦画)] 7点(2023-11-12 23:39:55) 112.《ネタバレ》 三船敏郎と藤田進の長槍対決は迫力があった。 確かにキャラの配置がスター・ウォーズの下地になっているのが分かる。 三船がルーク、お姫様はお姫様、釜足と千秋はロボット。 最後、軍用金は地面に置いて逃げたはずなのに、いつの間に放れ駒に乗っていたのか納得いかず。 【にじばぶ】さん [インターネット(邦画)] 6点(2023-05-03 16:16:39) 111.黒澤監督が三船敏郎という俳優に、どれだけ惚れ込んでいたか‥‥ それが、はっきりと分かる作品ですね。 あれだけの存在感、威圧感、躍動感を出すことが出来る俳優は、100年を超える邦画史上、殆んど居ないのではないでしょうか。 上原美佐も、この時代の女性としては、長身でグラマラス とても魅力的です。 雪姫の、あの男勝りな性格は、遠い昔、はるかかなたの銀河に居たレイアという姫様そっくり 千秋実や藤原釜足といった名優が脇を固め、躍動感に満ちた名作だと思いました。 特に、村祭りのシーンでの唄と踊りは深く印象に残りました。 【TerenParen】さん [DVD(字幕)] 9点(2020-09-08 23:35:24) 110.《ネタバレ》 10点寄りの9点かなあ。あんまりケチつけるところが見当たらない。昔、爆笑問題の太田さんが「三船敏郎の刀を振りながら馬に乗って戦うシーンは絶対誰にも真似できない」と言ってましたが、本作を見て納得です。普通に危な過ぎるでしょこの演技。 上原美佐さんの演技は最初はきつかったけど終盤で慣れました。田所が味方になる伏線の張り方とかも良かったです。ルーカスが参考にしていたとは後から知りました。本作におけるR2D2とC3P0の掛け合いにも何度も笑わされました。 【なす】さん [インターネット(邦画)] 9点(2020-07-23 15:29:48) 109.《ネタバレ》 特に序盤に顕著なのですが、各シーンがいずれもつなぎ、つなぎ、つなぎ。なので、深みがありません。唯一の例外はお姫様の「この数日は本当に楽しかった」であり、ああそれなら、逆にお姫様視点ベースで(とはいわぬまでも、もう少し軸として絡ませた上で)構築していけばよかったんじゃないかと。その関係でも、途中で救出する百姓娘なんかは、物語に濁流を生じさせるほどのパワーを秘めていたはずなのに、そのあたりも計算を外れることを許されず封じられているのが、何とも惜しい。 【Olias】さん [CS・衛星(邦画)] 5点(2018-10-14 01:56:51) 108.《ネタバレ》 圧巻!天才の仕事ぶりを堪能できた。 絶体絶命の敵中突破。 特に素晴らしいのが火まつりの場面。 文句なしの10点。 【トント】さん [ビデオ(邦画)] 10点(2018-02-12 08:30:02)
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