みんなのシネマレビュー |
|
| ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
|
|
ネタバレは禁止していませんので 未見の方は注意です! 【クチコミ・感想】
232.《ネタバレ》 「泣き女」という職業も、おくりびとです。葬儀の時に、遺族と一緒になって、おおげさに号泣する人たちのことです。中国や日本の一部でそういう仕事がありました。しかし今の世の中は、お金を出してまで、納棺士や、泣き女を呼ぶ人はいません。外国に誤解されないためにも私は言いたい。もう日本には、納棺士も、泣き女も、ちょんまげをした侍も、忍者もいません。わが国では、死後の遺体の処置は、病院の衛生を保つために、看護婦が行ないます。新米看護婦の最初の仕事は、遺体洗いだとさえ言われます。もちろん彼女たちは、死化粧も行なう。私の住む地域では、看護婦に特別手当(おくりびと手当)が支給されていましたが、いつしか廃止されました。なぜなら看護婦が行なうおくりびとの行為は、通常業務の1つだという認識がしだいに定着してきたからです。それなのに本作品では、イケメン納棺士を登場させ、チェロを弾かせている。一番びっくりしたのは日本人ではないでしょうか。納棺士?なんだそれは?カリスマ美容師みたいにカッコいいじゃん、と思った人が多いはずです。日本にはまだ忍者がいるぞと宣伝しているようなものです。この誠実とはいえないパフォーマンスがアメリカでは受けて成功しました。主役は元ジャニーズ。このイケメン納棺士が仕事を始めると、突然、幻想的な音楽が洪水のように流れてくる。あまりにも賑やかなので、笑ってしまいました。死の静謐さも死の匂いも、すべて音楽にかき消されていました。死の本質をこんなにも無視してまで、娯楽に仕上げる必要があったのでしょうか?それに遺族がイケメン納棺士をほめすぎる。亡くなった妻の顔をみた夫が、「今日のあいつの顔が、今まで一番きれいだ」なんて失礼すぎる。生前の妻はいったいどんなメイクをしていたんだ。厳粛な「死」を扱いながら、美しい宮崎アニメ系の音楽、美しいジャニーズ系の納棺士、美しいタレント系の妻、まさにイメージ先行の娯楽映画でした。 【花守湖】さん [DVD(字幕)] 3点(2009-05-15 21:35:55)(良:5票) (笑:1票) 231.《ネタバレ》 世間の評価と自分の感想があまりに乖離していた。印象の強い順に話すと、まず広末の演技があまりにも鼻についてだめだった、ということ。いつまでもアイドルの枠を抜け切れていない人だなぁと思う。どの物語でも自分をかわいく飄々とみせようとする芝居はいいかげんやめたほうがいいとおもう。すごくもったいない。次に内容のこと。主人公が、納棺師をなりゆきでやってしまいました、だけど意外とやりがいを感じて生涯の仕事にしたくなってしまいました、という流れと、その映画を見て「感動しました。所作が美しい」とか言っている人たちに対して、実際の納棺師の方はどう思うのだろう、と考えてしまったということ。実はここに、ものすごく差別的な視点がないだろうか。これは、愛は地球を救うと銘打たれた24時間テレビで、障害者の方が毎回出てきて何かに挑戦することと、それを観て「感動しました」と涙を流すタレントに対する違和感に似ている。否定するつもりはなく、もしかしたら私の心のほうがどこか汚れてしまっているのかもしれない、とも思う。でもどうにも最後まで納得できなかった。映画としてとてもうまいことやっているし、観客への配慮もある。才能のある人たちが作った映画だと思う。だからとても気付きにくいのだが、根本のところでやっぱり違和感のある映画だった。 【コダマ】さん [映画館(邦画)] 4点(2008-11-03 21:05:25)(良:4票) 230.期待はずれでした。本木雅弘や山崎努は良かったが、広末涼子はいただけません。あの夫婦はないと思う。結局は、安っぽいドラマで泣かせようとしてるだけ。死を食い物にしているこういう安っぽいドラマは大嫌いだ。 【kaneko】さん [映画館(邦画)] 3点(2009-01-02 13:40:00)(良:3票) 229.《ネタバレ》 知り合いに納棺師がいて、その実態を詳しく話し聞いているからだと思うのだけど、映し出される映像に新鮮味が全くなかった。というか、どうも実態とかけ離れすぎている。ほとんど腐乱死体やら自殺死体を扱い、あんなに綺麗な死体は稀。家族から感謝されることなど無いそうである。映画には写っていなかったと思うが、死体があった部屋の掃除もメイン業務。 などという前提があったためか、一見汚らしいと感じられるものから美しい部分を抽出して、適当に流れを創り、美しい物語を創りあげるために、このような素材を選んだ感が強く感じられてならない。 当然のことながら、そのようなために納棺師という職業があるのではない。美しい物語を創りたいのなら素材はいくらでも転がっているのに。 【小塚】さん [映画館(邦画)] 1点(2008-12-16 22:46:43)(良:3票) 228.《ネタバレ》 広末の「私の夫は納棺師です。」の言葉に鳥肌。 日本人独自の死生観と夫婦愛を、静謐な雪国の風景を背景に、優しく美しく描いた佳作です。 【つむじ風】さん [映画館(邦画)] 7点(2008-11-03 01:06:34)(良:3票) 227.《ネタバレ》 愛情故に、夫のすることにあれだけ寛容で理解のある妻(勿論、台詞にもある通り裏腹な内心を抱えてはいる)の人間性が納棺師という職業にあれだけの拒絶反応を示すのかが納得出来ず、つまりそれは後に夫の仕事を認めるという結果へと導くための原因作りでしかないだろうと誰もがその場で理解できるこのシーンはとても寒々しく、彼女のその強い母性的性格との一致はまるで無視されている。この認めないという態度は、納棺師という職業に対する世間の一部も示すであろう態度の表れだが、ではその態度を覆すためにはということになるだろう。 つまりこの映画の大きな山場とは、■納棺師は遺体を扱う職業であるが故に、反対する者もいるが、その仕事内容は余りにも知られてはいないため、百聞は一見に如かず、なシーンが必要である。■誰にでも死は訪れる。勿論極々身近な人にでも。ならば知人を納棺することもあるというシーン。というふたつがあればいいのだ。それをまとめて詰め込んだのが、あの吉行和子の納棺シーンだ。こんな下手糞な展開はなかなかないだろう。 「好きなのを持ってきな」の件も頂けない。本木雅弘がせっかく父親に会いに走り始めたにもかかわらず、わざわざ一度脚を止め、山崎努のオミトオシダヨという粋を見せた態度のシーンなど完璧にオミットするべきだ。あるいは、「好きなのを持ってきな」で走り始めなければならない。映画において人が何かに向かって走り始めたなら、挫折や妨害がない限りは、辿り着くまで走り続けなければならないのだ。 更に「うちの夫は納棺師なんです」と広末涼子が言い始め、忘れていたはずの父親の顔にフォーカスが合ってしまうというあの恥ずかしい件は果たして何なのだろうか。話は舞い戻り、妻が納棺師という仕事を認めること、それがこの映画の断固としての態度だ。だから、完全に認めること、その表象がこの台詞だったのだ。はっきりと聞こえた。しかも口の動きも凄くわかりやすいクロースアップでだ。そう、夫は納棺師なのだ。いくらなんでも安易過ぎるだろうと言いたい。その安易さが父親の顔をも思い出させる結果に繋がった。そして輪廻転生へ・・この映画はあほか。 【すぺるま】さん [映画館(邦画)] 3点(2008-09-22 14:42:52)(良:3票) 226.《ネタバレ》 大変申し訳ないが率直に書かせていただくと、基本的には登場人物が泣くのに合わせて観客を泣かす作りの映画と感じられる。序盤のコミカルな箇所は気に障るが、まあこういうのがないと娯楽映画として成り立たないのだろう。 ところで劇中では人間の生死に関する複数のエピソードが並列的に出ているが、そのうち映画の構成上は全編の最後、父親の遺体の場面が最重要なのだと考えられる。ここは単純な親子の情愛(和解)の表現にとどまらず、人間の“生の意味”を伝える場面、つまり子(主人公)が生きて、さらにその子(胎児)に生を受け継いでいくことが、父親(峰岸氏)の生きた意味にもつながることを主人公が悟る場面だろうと思われる。 しかし映像を見ていても“これをこうすればこう見えるはずだ”といった説明的な印象しかなく、意味はわかるという以上のものではない。鮭の遡上風景はこのラストにつながる布石ということだろうが、これも貧弱な造形物のため多少の脱力感なしには見られない場面だった。“一度きりの人生だから個人の生を輝かせなければ”という、何か強迫的にも思われる観念が一般化している今日、もう一度根本に立ち返って生の意味を問い直すはずの場面が印象的に見えていないのは、個人的にも残念に思う。 それから主人公の妻の問題発言については多くの人が唐突と感じるだろうが、これはまあ当該個人の意識の問題と取れなくもない。しかし地元在住の旧友その他の一般住民までが蔑視を当然のものとし、かつその感情を当人に向けてまともに表出することをためらわないというのはいつの時代のどこの話なのかと思う。必ずしも詳しい事情がわかって書いているのではないが、単に田舎だからで済ませられる話でもなく、少なくとも個別地域の社会事情と無関係にストーリーの味付け程度の感覚で軽々に取り扱っていい問題のような気はしない。 以上のようなことで、自分としてはあまり高く評価する気にならない。今さら何点付けようが大勢に影響はないという前提で、思い切って低い点を付けておく。 【かっぱ堰】さん [DVD(邦画)] 2点(2013-10-15 22:52:49)(良:2票) 225.《ネタバレ》 たくし上げられたロングスリーブ。露になった腹部には、成熟した女の脂がごく薄く乗っている。ジーンズのフロントジッパーからは上品な色香漂う下着がのぞく。淡い水色に紫色の花刺繍だ。乳房を揉み拉かれ悦楽の笑みを湛える。乱れる髪。弾む息遣い。透き通るような白い肌が朱色に染まっていく。人妻は悩ましげに囁いた「こんなところで恥ずかしいよぉ…」こんな広末涼子。10点以外の点数が付けられようか(いや付けられるはずがない)反語 【目隠シスト】さん [DVD(邦画)] 6点(2009-05-21 18:54:38)(笑:2票) 224.《ネタバレ》 アカデミー賞を取らなかったほうが幸せだったかもしれない作品。取らなければ、それほど話題にもならなかったかもしれませんが、一方で風呂屋のおばちゃんや父親の死ぬタイミングがご都合主義過ぎる、特に風呂屋の場合は1日でも前か後ろにずれていたら夫婦再開も虚しく離別していたでしょうし、それにさらに父親の時と偶然が2回は都合よすぎだよね、という程度で許してもらえて、結構泣けるそれなりの映画だよって言われ続けて地味ながらも一定の評価が残ったかも。しかし、天下のアカデミー賞となると、外人には日本の儀式が珍しかっただけなんだろうね、この程度の話は昔の邦画にはいっぱいあるよってな感じのほか、妻の突然の「ケガワラシイ」発言はそれまでの妻の性格描写からするとボティスナッチャーにのっとられたのかというような性格変化でないと違和感ありとか、いきなり火葬場のおっちゃんかよという細かいところも許してもらえなくなり、お涙頂戴のための無理やりな設定と厳しくつっこまれてしまい、かえって一段低い評価となりそうです。 妊娠して帰ってきた広末の腹の出方は、数ヶ月前に家を出て行く前に受精したとするには目だたなすぎで、子供は別の男あるいは宇宙人のものかもしれないぞ、だまされるなよと本木くんに忠告したくなりました。 【ダルコダヒルコ】さん [映画館(邦画)] 4点(2009-05-10 18:24:09)(良:1票) (笑:1票) 223.《ネタバレ》 それほど時間のたつのを気にせずに最後まで見ることができたので、それなりに面白い映画でした。だけど、このテーマなら、演出の創意次第で、もっと味わい深いものになり得たのではないだろうか。・・・・例えば、本木は親父のために30万円の一番高価な棺を選んでいるのだけど、父親を拒絶していた本木がどうしてそれを直ぐに選ぶことになったのかわからない。・・・・一番気にかかるのは、干し柿、クリスマスの鳥、白子など、食べているものが美味しそうに見えないこと。これらの食べ物は、生きるもの、現世の象徴の意味も込めているのだろうから、もっと豊かで、美味しそうでなければならないと思う。・・・どうしてあの干し柿は、あんなにまずそうに食べるのだろう。・・・・それに笹野はどうして突然、火葬場の職員なのだろうか。伏線もなく、唐突で、必然性が感じられない。・・・・そう考えると、解散を告げられた団員の反応も不自然だし、父の引き取りを巡って事務員の懇願に本木が突然、激高するのもあまりにありきたりだし、、・・・。とはいえ、山崎努がいいですね。吉行和子の手のしわがリアルでした。それと峰岸徹の役者根性みたいなものにも、おおっ、とうならされます。彼は、この作品をみんなが見る頃には、自分はもうこの世にはいないと達観していたのかもしれません。 【王の七つの森】さん [DVD(邦画)] 5点(2009-03-24 00:31:56)(良:2票) 222.僕は実際に自分の父を見送る時、そこで色々な儀を目にしました。それまでは、僕は葬式とかそーゆうしきたりなんて単に形式的なもので、死んだら終わりなんだから、自分が死ぬときは別にどーでもいーやって考えでした。でも葬式を終えて、その考えはいっぺんに吹き飛びました。それは亡くなった方のためだけにあるものじゃなく、生きてる者がちゃんとお別れして、その後、生きていくのに悲しみを引きづらないためにもあるんだと。もちろん、悲しみや寂しさはその後も残ります、でもちゃんとお別れした事で、喪失感をだいぶ癒された気持ちになったのも本当です。そして、こーゆう葬祭の職業は人を癒す優しい仕事なんだとその時、認識しました。この映画を見て、僕はそのことを思い出しました。この映画では、納棺師の仕事をうまく物語におとしこんであって、ちゃんとお別れすることの大切さを、説明的な描写をあまりすることなく描いていて、なんだか癒された優しい気持ちになれました。 【なにわ君】さん [DVD(邦画)] 10点(2015-06-19 18:35:20)(良:1票) 221.《ネタバレ》 父が亡くなった時、私は一人実家で仏壇の掃除をしていて、若くして亡くなった父の弟の位牌の前に置いてある石を見つけた。その事を妻に話したら、この映画を観ることを勧められた。私の実家はこの作品の舞台と同じ山形だが、このような納棺の儀式はなく、また、石文の習慣も聞いたことが無かった。ただ、仏壇の石の意味が解ったような気がして、心が和んでいった。そして、行方不明だった主人公の父が発見され、その手のなかから石が出てきたときは、思わず、父や父の弟、そして祖父母の事が思い出され、涙が止まらなかった。どのような事情があるにせよ、子を思わない親はいない。すてられた子にとって、どんな親の言い訳も納得できるものではないが、それでも、後悔の日々を生きていく親の心情は、私には十分伝わってきた。死を扱っているが、どう生きるかを考えさせてくれた作品だ。 【パセリセージ】さん [DVD(邦画)] 9点(2012-04-12 22:39:07)(良:1票) 220.《ネタバレ》 遺体に丁寧な装いをして旅立ちの演出をする職人の技を、楽器を慈しんで音楽を奏でる人間の技に重ね合わせるというアイディアはなかなか洒落てるし、「白鳥」「鮭」「小石」といった最上川流域の素材をたんなる「風景」に終わらせず、テーマに結びつけて有機的に繋いでいく手腕といい、随分と器用な脚本だと思う。「遡上して産卵する鮭」「力尽きて死にゆく鮭」「塩焼きの白子(フグ)」といったメタファー、あるいは「飛来する白鳥」「旅立つ白鳥」「クリスマスのフライドチキン」といったメタファーを、産まれること、死ぬこと、食べて生きることに重ね合わせながら物語に厚みを与えていますね。石文のメッセージがお腹の赤ん坊に伝えられるラストシーンにまで、こうしたアイテムが抜かりなく行き届いていて、悪く言えば、ちょっと「小慣れた脚本」だとすらいえる。 ◇「汚らわしい!」と叫んだ妻の拒絶反応に対して賛否両論あるようですが、私には十分に理解できました。拒絶の理由のひとつは、音楽家から死体処理という職業への落差。その落差の大きさを主人公も感じていたがゆえに妻に真実を話せなかったわけですし、妻にとってもこの落差を知った衝撃は大きい。二つめは、真実を取繕った夫によって、夫婦の信頼が裏切られたこと、それ自体への拒絶です。そして三つめが、腐乱死体や自殺死体に触れることに対して一般的に抱く文字通りの「穢れ」の感覚であり、これも私は無理からぬことだと思う。それらが混然となった感情の中で「汚らわしい!」の叫びになったのだけれど、その中でももっとも重要なのは、あくまで「夫婦の信頼」の問題なのであって、それさえクリアできれば、職業の問題は夫婦間で十分に乗り越えられると考えたからこそ、妊娠した彼女は無条件で山形に戻ってきたのだと思います。 ◇もうひとつ重要なシーン。父のところへ行けと説得する同僚(余貴美子)や妻を振り切って、主人公がその場を走り去ろうとするシーン。あのまま走り続けても、彼に行く場所はありません。その彼をカメラは正面からとらえている。走れば走るほど、後方で妻の姿が遠ざかっていく。それを見れば、彼が引き返さざるを得ないことは理解できると思います。脚本の器用さが目立ってしまう本作品の中で、演出的にもっとも優れたシーンだと思いました。 【まいか】さん [DVD(邦画)] 7点(2011-07-14 02:11:09)(良:1票) 219.近親者を亡くして悲しい思いをしたことのある人なら(ない人はいないと思いますが)、身につまされる作品だと思います。その意味で、視点としてはすばらしい。が、いかにも日本映画らしいクサいセリフと、お涙頂戴の安っぽいストーリーは健在。特に後半、父親関連の話がひどすぎる。演じさせられている役者さんが気の毒に見えてきました。この手の作品なら、伊丹監督の『お葬式』のほうがはるかにクオリティが高いと思います。いろいろ賞を取ったそうですが、よっぽど巡り合わせが良かったんでしょうね。 【眉山】さん [地上波(邦画)] 5点(2011-02-03 19:47:19)(良:1票) 218.《ネタバレ》 純粋にいい映画だ、とは思う。わけあり女の余貴美子、実は「おくりびと」だった笹野高史、社長、吉行和子、役としては死人だったが峰岸徹、そしてなんといっても主演のモックン(所作の一つ一つが美しい)、みんな、実にいい。そんななか、完成度を下げたのは妻・広末涼子だ。いや、広末涼子のせいではないのかもしれない。素人の私には、彼女の演技が悪かったのか、それとも脚本がまずかったのか判断ができない。ただ、いずれにせよ、妻がこの映画において大きなマイナス要素なのは間違いない。この映画の流れで、妻の心境の変化がなぜ起こったのか、どのように変化したのか、よく分からないのだ、あまりに唐突で。なんとなくは理解できる。だが、筋書きをなぞったうえの理解でしかない。物分りのいい貞淑な妻のはずなのに夫の仕事を知るやいなや豹変し、夫を「汚らわしい」とまで口走った彼女が、夫の仕事ぶりに感動してすぐに見直しました、ってあまりにも簡単すぎるではないか。広末演じる妻はこの映画において、「死」というものを異常に忌避する点で、多くの観客に一番近い(ある意味ではごく普通の)、存在のはずである。その妻を適当に心変わりさせてお茶を濁して、客から共感を得るというのは無理な話だろう。実際、私もそうぐっとは来なかった。妻との物語をそこまで見せる気がないのなら、もっと描くべきことはあっただろうし、見せたかったのなら全然足りなかった(尺の問題ではなく)。とはいえ、様々な人の死に様々な思いが交錯する、日本的な「死の風景」が美しく描かれていたこと、冒頭にも挙げた俳優陣の演技など、個人的に好きな部分も多い作品である。だからこそ、自分のなかのマイナス箇所がとても勿体無く感じる。 【よーちー】さん [DVD(邦画)] 6点(2010-07-16 21:03:46)(良:1票) 217.《ネタバレ》 最近の邦画にありがちなこと、①何でもセリフで説明し、表現の工夫を怠ってしまう、②結末ありきで物語が進行し、現実的にありえない極端な展開へのフォローもない、③とりあえず泣きに走れば何とかなると思っている。。。うれしいことに、本作はこのような邦画病に陥ることなく、映画らしい映画になっていました。「死」という重いテーマを丁寧に扱っているし、かと言って重苦しくなりすぎないよう笑いの要素も適度なバランスで入れてきており、監督や脚本家が映画人としての仕事をきっちりやってるなぁと感心しました。話の落とし所は予想通りでしたが、極端な泣きに走ることなく、説明過多でもなく、客を信用して作っていることが心地よかったです。象徴的なのが大悟と父親のエピソードで、普通の映画であれば、ラストのあのシーンでは父親の手紙か何かを登場させるでしょ。そして私を含め、観客は涙を絞り取られるわけです。しかし本作は、峰岸徹という役者と石ころという小道具のみで、それをやってしまった。安易に言葉には頼らなかったのです。こうした作り手の姿勢は大いに評価できます。さらに、アイドル演技の抜けない広末涼子を除いて役者も全員良かったし、本作は間違いなく「良作」の部類に入る作品だと思います。。。ここで、私の評価はあくまで「良作」止まりであり、「傑作」と呼ぶにはちょっと足りないかなという感じです。私達の死生観にも影響を与えるような鋭い視点がなかったし、結末も予定調和で、観客が思う以上のものがありませんでした。本作は映画として精巧に作られているためマイナス要素をほとんど持っていませんが、かと言って目立った加点要素も少ないかなぁという印象です。世界的な評価の高さはちょっと身の丈に合っていないような気がするのですが、外人さんにとっては、彼らが見たい美しい日本の風景が山ほど出てきたし、宗教色の薄い日本人独特の死生観を垣間見たことが面白かったのではないでしょうか。 【ザ・チャンバラ】さん [地上波(邦画)] 6点(2010-06-05 17:35:53)(良:1票) 216.おはなしは7点、本木雅弘、山崎努両氏がとても良かったので+1点で8点としておきます。佳作といった感じですかね。でも「汚らわしい」だけはやめてほしかった。 【リーム555】さん [CS・衛星(邦画)] 8点(2010-03-25 22:10:19)(良:1票) 215.《ネタバレ》 やっと観ることができました。黒澤映画以外の邦画はいまひとつ重量感がなくて軽い気持ちでしか付き合えないんですが、自然に笑えたり泣けたのは良かったです。「アカデミー賞穫れて良かったね!」の気持ちとともに「これで穫れるんだ・・・」との思いもなくはないですが良作だと思います。家族友人知人も自分自身も、いつかは必ず死んで誰かのお世話にならなきゃいけないことは分かり切ったことなのに、あんな差別的な態度を取る人が実際にいるとは信じられません。この映画を一緒に観た妻が「旦那の職業にいちいち不満言うよりも、黙ってチェロに大金はたいたことを騒げよ」と言ってましたが、その通りだ。 【だみお】さん [DVD(邦画)] 5点(2009-11-02 19:15:58)(笑:1票) 214.《ネタバレ》 この作品では「死」というものをとても丁寧に扱っていると思いました。 「死とはこういうものだ」ではなく、それについて考えさせられるところが良いです。 それは、哀しくて暗い部分ばかりではなく、美しくて僅かに希望を持たせる(といったら変ですが)、そういうものを感じました。 「死」とちゃんと向き合って描いたときに、はじめて「生」をちゃんと描けるのかと思いました。 人が死ぬとはどういうことなのか?人は死んだらどこへ行くのか?ということを考えさせてくれる作品の一つです。 主人公もっくんが、死後2週間のおばさんの遺体を見たときにはじめて強烈な「死」というものに直面したのだと思います。 その恐怖からか、奥さんの広末涼子にすがり、彼女の生肌の匂いをかぎ、「生」にしがみついた場面は印象的でした。 このときに思ったのが「エロ」こそが「生」の絶大なエネルギーだということです(愛といったほうが良いのでしょうか?)。 しかし、広末涼子が奥さんとは良いですね。羨ましいかぎりです。 雪景色に白い肌でセーターを着ている姿というのは、僕の理想とするところであります。 本当にファンの頃には、彼女の下着が見れるなんて夢にも思わなかったのですが、、、時間の流れってのは何が起こるか分かりませんね。 ただ、彼女の笑い方は作り笑いっぽいところが僅かに気になりました。 この作品がアカデミー賞をとったのも、何となく分かるような気もします。 どっかの野蛮大国の映画では「死」というものが非常に使い捨てで粗雑に描かれています。自分たちのヒロイックさを象徴するためにです。 それを、ここまで丁寧に「死」を美しく儚く繊細に描いている映画を観て、考えさせられる部分もあったのかもしれません。 それに「葬式」という儀式に、日本の美しさというものが非常に良く表れていたのではないでしょうか? 《追加》あと、どなたかが書かれているとおりですが、モックンが丘の上でチェロ弾きですが、そりゃ「千の風になって」か~っ!、、、とも思いました。 【ゴシックヘッド】さん [地上波(邦画)] 8点(2009-09-22 23:58:01)(良:1票) 213.重いテーマの作品だがコミカルなシーンも取り入れて観やすくしあがっている。なんといっても山崎努がいい。良い役者というのは空気を作り出す。本木や他の役者も良かっただけに広末が異分子に見えてしょうがなかった。 【ふじりんご】さん [地上波(邦画)] 7点(2009-09-22 10:43:19)(良:1票)
【点数情報】
【その他点数情報】
|
Copyright(C) 1997-2024 JTNEWS