みんなのシネマレビュー |
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ネタバレは禁止していませんので 未見の方は注意です! 【クチコミ・感想】
99.全ての日本人が一度は見るべき歴史的な大傑作と思う。監督岡本喜八の手腕、脚本家橋本忍の豪腕、そして製作の決断をした当時の東宝幹部の志に感服し感動する。かなりの長編だし、わずか一日ちょっとの内閣、宮内省、陸軍まわりの模様を描いたドキュメンタリータッチのモノクロ映画ということで食わず嫌いで見ていない人も多いと思うが(かくいう自分もそうでした)、以下3つの理由でぜひ見るべき。1)誰もが知っている8.15の玉音放送。その裏にはどんなドラマがあったのかをわずか3時間弱で学べる。太平洋戦争を語る上でこの映画はいまだ最上のものと思われる。2)たんたんと進む前半から徐々に物語りはサスペンスドラマとして盛り上る。前半80分を乗り越えれば予想を上回る怒涛の後半の展開には絶対に眠気も吹っ飛ぶ。昨今はやりの軍隊暴発モノ(亡国のイージスetc)のどれと比べてもこちらの方が上。3)東宝オールスターを中心にした豪華キャストの芝居。名場面をあげていくときりがないが、三船阿南陸軍大臣と山村米内海軍大臣の激論の迫力、三舟と笠鈴木総理大臣の別れのシーンの情感、出番は少ないが飄々としながらも気骨あふれる侍従を演じる小林桂樹の名演技、ほんのちょっとだけだが印象に残る加山雄三のNHK職員、等等。ぜひ見てください。 【Sean】さん [CS・衛星(邦画)] 10点(2008-01-05 01:05:16)(良:4票) 98.2年後に大戦勝を扱った日本海大海戦で東郷と乃木という陸海の2大偉人を演じる三船と笠が、敗戦映画で阿南陸相と鈴木貫太郎首相を演じているのが皮肉に思えた。史実を扱った歴史物で高い構成力と迫真の映像で理解するだけではなく楽しめ、それもハリウッドにはないタイプのエンターテイメント大作と評価できるが、ただ唯一鼻につく点が、まるで反乱軍の連中を気が狂った狂乱者のように描いていることだ。彼らが罪を犯したのはもっと作戦行為に基づくものであったと思えるのだ。そもそも彼らは軍人であり、しかも洗脳的と言ってしまっていい教育を受けていたのだから、狂信と狂乱は違うことを区別しなければならない。まるで彼らが(気狂いかのような)異常なテンションで、逝ってしまっている目をしていたように描くのはやりすぎである。確かに陸軍の考えは今思えば完全な暴走であるが、彼らは本気で勝つつもりいたのだ。彼らを異常者だと非難するのは筋違いで、そもそもそのメンタリティが無ければ日清戦争にも日露戦争にも負けていただろう。 【Arufu】さん [DVD(邦画)] 7点(2009-07-03 18:33:05)(良:3票) 97.《ネタバレ》 日本首脳は戦争を止めようと考えた。理由は勝てる見込みが無く、戦争維持能力もなくなったから。無差別空襲と原爆とソ連参戦が大きい。だが陸軍の考えは違った。「補給戦や小さな局地戦で負けただけ。本格的な開戦はやっていない。本土決戦をすべき。敗戦は英霊に申し訳ない」「もうあと二千万の特攻を出せばかならず勝てる」いわば現実を直視できない妄想家のようなもの。海軍は連合艦隊がほぼ全滅しているので冷静だった。そこへ英断下って、終戦決定。陸軍大臣は受け入れたが、一部の軍人は反乱を企てた。名付けて天皇人質作戦。かなり無茶な作戦で、天皇激怒必死、成功確率1%未満。陸軍らしいといえば陸軍らしい。市ヶ谷台(陸軍省・陸軍参謀本部)の将校全員自決計画もあった。自決する自決すると言って自決しないのも陸軍の伝統。 ◆不思議なことに反乱将校は、逮捕されておらず、鎮圧後もビラを撒くなどしており、陸軍の身内への甘さがよく出ている。誰も責任を取ろうとはしないのだ。戦争で多くの兵や民間人を死に至らしめても、最後には自決すれば申し訳が立つと考えている。だから一億玉砕(たとえ全滅したとしても、日本民族の美名は永遠に歴史に残るだろう)などと主張する。本土決戦で何百万人の人が犠牲になろうが、そんなことは眼中に無い。彼らにすれば臣民は隷属者でしかない。お国の為と言いながら、「体面、天皇、英霊」しか見えてない。厳しく言えば自己防衛。自決も天皇、英霊に対する責任感で国民に対してでは無い。戦争の生んだ化け物のようなもの。皮肉だが、ある意味戦争の犠牲者。戦争しか知らない子供達の哀れな末路だ。平和を知らず、国家神道、軍事教育一辺倒で育ったのだから。 ◆反乱将校がまるで狂犬のように描かれ、理性の無い駄々っ子のように見える。これは演出上の都合だろう。実際は陸軍大学出のエリートであり、もっと冷静に行動していた筈。彼らは終戦の後に平和がくるとは考えなかった。隷属されると考えていた。日本が満州にしたように。人生の総てだった陸軍が崩壊するのが怖かった。閣議で戦後のビジョンを誰も見いだせなかったのも悲劇の一因だ。 ◆8月14日日本軍は特攻隊を送り出し、米軍は熊谷、伊勢崎、秋田・土崎を空襲した。映画では特攻隊が美化され、空襲は無視。反乱はこれで終了したわけではなく、厚木基地では更に徹底交戦を主張、24日には反乱の生き残りが川口放送所占拠事件が起こす。 【よしのぶ】さん [ビデオ(邦画)] 9点(2010-12-28 05:57:08)(良:2票) 96.《ネタバレ》 登場人物の衣装に浮き出た汗ジミが印象的な映画でしたね、出てくる人が、みんな、必死。ただ、なんていうんでしょうか、一人として感情移入できる登場人物がいませんでしたね。戦争が終わってほっとした軍人、あるいは今後の身の振り方素早く計算した人間だっていたんじゃないですか。そういう人とのコントラストで、反乱軍を描けば、身勝手なヒロイズムで突っ走ったみなさん、という評価だけで終わらなかったンじゃないでしょうか。 【なたね】さん [DVD(邦画)] 5点(2010-01-01 23:58:45)(良:2票) 95.《ネタバレ》 戦争の悲惨を伝えるにも色々な表現方法があるが、この映画では一部の陸軍の青年将校が戦場で死ねなかった自分の死に場所を求めて、お国や天皇の為、ましては一般国民の為とは真逆の行為に走る狂気を描いています。 したがって私にとってこの映画の主演は三船敏郎や笠智衆など有名俳優=政府高官ではなく、クーデターを起こそうとする青年将校達です。 この映画で描かれる自分達の死に場所を与えられなかった青年将校たちはひたすら不快で正視に堪えません。 どの場面でも目をひんむいて、口から唾を飛ばし、ひたすら怒鳴りまくり、自分達の正当性を訴えかけます。 (この時点で広島、長崎の原爆は投下されているにもかかわらず。) この映画の転機は森近衛師団長を殺害するところです。 軍は命令が絶対などと言う将校が、上官を殺害してしまう。 さらに絶対的なトップである天皇が終戦を決断してのに、 これを天皇が周囲の人間に惑わされたからなどと妄想して決起するなど考えられるでしょうか? この映画では何人もの軍人が死ぬ。しかもオールスターキャスト映画の範疇を超えて非情にリアルにその死を描かれている。 皇居前のカメラに脳みそを吹き飛ばすシーンや、三船の切腹や森近衛師団長の殺害場面など椿三十郎なみの血吹雪である。これは監督の単なる娯楽作品に終わらせないぞという意思を感じる。 私はこの映画を見てからここのサイトのコメントに目を通してたが、 映画の質が高いだけあってコメントも熱のこもったものが多いと思います。 但し(勿論私の個人的意見ですが)この映画の青年将校の迷走、陸軍大臣の切腹を 大和魂、武士道、サムライなどの旧来の日本の美しい伝統文化と同一視して美化して欲しくはありません。 日本人は平和ボケしていると言われて久しいです。平和であることが否定的に言われるほど平和なのでしょう。では我々は何処に行けばいいのか?この映画ではその行く先は描かれてはいませんが、決して戻ってはいけない時代を克明に記録していると思います。※この映画には原作があり、その内容に誤りがあるなど指摘もあるようですが、このでの評価はあくまでこの映画の内容によるものです。 【仏向】さん [CS・衛星(邦画)] 10点(2008-11-04 02:35:01)(良:2票) 94.毎年八月が来るたびに見よう見ようと思っていましたが今年ようやく視聴しました。まずいちばん最初に感じたのが、八月のあの局面になっても政府、軍の上層部がうだうだ小田原評定を続けていたことへの怒りです。そうこうしているうちに原爆を落とされ、それでもまだうだうだ閣議を続けて・・ようやくポツダム宣言受け入れが決まったと思ったら玉音放送の文章でまたうだうだと・・。その狭間の映像でうまそうに最後のぼた餅を食べて、なにか吹っ切れたような特攻隊員たちの顔とそれを無念の顔で見送る伊藤雄之助の顔。もっと迅速な決断あれば多くの人間が助かったのに。まったくやりきれない。さらに、この期に及んでクーデターを仕掛ける青年将校たちにいたってはなんともはや・・国民を大量死させてまで守りたい国体とは何なのか?戦争の狂気をとことん教えられたという点で一生忘れることのない映画でしょうね。それにしてもでてる役者さんはみんな迫真の演技。死神博士が怖すぎる・・。 【陽炎】さん [DVD(邦画)] 9点(2007-09-02 21:11:24)(良:2票) 93.《ネタバレ》 原作を読んでから見たが原作の内容をよく映像化していて改めて感動した。それぞれの俳優陣の熱の入った演技は勿論だが天皇に対する特別な感情はやはり日本映画、日本の監督でないと描ききれないのだろう。外国映画の描く日本軍は明らかにどこかおかしいのであるが、外国人がこの映画を見てもこの感情を理解することができないことと同根であると思われる。同じ敗戦を扱った映画でも「ヒトラー最後の12日」との違いが印象的である。さすがに内容のあるコメントをされる方が多いけれど、数が少ないことからやはり見る人が少ないのだろう。日本人は、特に高校大学生らの若い人たちは見てほしい映画だと思う。皆が真剣に生きていて、どの生き方をした人に対しても現代から笑える者はいないと思うが、戦後生まれの私はあそこで戦争を終わらせてくれて本当によかったと感謝している。 【rakitarou】さん [DVD(吹替)] 8点(2007-07-16 17:06:30)(良:2票) 92.日本人が戦争を語るということは、実はかなり難しい。この映画だけでも、いろんな考え方の人が出てくることからも明らかなように、何を大事に考えるかによって、行動に大きな差が出てくる。しかし、それぞれの相反する主張が、理屈としては、ちゃんと筋が通っている。そこがとても難しい。個人的には、この映画をみてはじめて知った事実もあり、とても勉強になった。また、笠智衆と三船敏郎という対照的な雰囲気の2人が心通じ合う場面は、映画的にすばらしい。武士道を感じさせる名シーンだと思う。生まれた時点で、戦後を生きねばならない日本人として、一度は見ておきたい作品である。 【wunderlich】さん [DVD(字幕)] 8点(2006-11-15 01:59:16)(良:2票) 91.序盤の広島への原爆投下映像、あれ戦後の核実験の映像の流用ですよね?こういう細部でいい加減な仕事しちゃダメでしょう、原爆ならどれも同じだと思ってるんでしょうか。仁義なき戦いは静止画とはいえそんな間違いは犯しませんでしたよ。オールスターキャストゆえの名作っぽい雰囲気だけで評価されていないでしょうか。ドキュメンタリータッチといえば聞こえがいいですが事実を再現するだけで作品のテーマやメッセージがいまいち見えてきません。映画なんてのは所詮作り話なのですから何か特別な理由でもないならばそこをはっきりさせるべきです。戦争継続に固執する軍人批判にしては軍人がカッコよすぎますし、国民の犠牲と対比するならあまりにも国民側の描写が少なすぎます。三船敏郎なんか急に平和を願ういい人に変わってませんか?まさか軍人たちの苦悩に共感しろという話なんでしょうか?そんな義理は私たち一般市民にはありませんよ。やってることは見知った人間同士のほぼ馴れ合いに近い内ゲバですもの。そもそも肝心の事件の描写がしょぼすぎませんか?狭いセットの中でひたすら役者が喚いているだけで銃撃シーンは窓ガラス割るだけで終わりです。この作品が作られた時には既に日本映画黄金時代は過ぎ去っていたというのには納得です。結末がわかりきった話なのでどう展開するかハラハラしようもありません。それっぽいナレーションで締めて終わりというのもちょっと…。ただ佐藤勝のエンディングテーマは名曲です。 【Сакурай Тосио】さん [DVD(邦画)] 2点(2023-08-13 22:31:21)(良:1票) 90.《ネタバレ》 太平洋戦争終戦日の前日から玉音放送まで、ポツダム宣言を受諾すべきか否かで煮詰まる閣僚会議、その後の御前会議、ポツダム宣言受諾に反対する若い陸軍将校達による玉音放送阻止のクーデター未遂事件(宮城事件)などを描く歴史ドラマ。玉音放送に至るまでの裏側に、こんな濃密なドラマが渦巻いていようとは、想像もしていなかったです。まさに映画のようにドラマチックな史実。上層から下層まで、様々な人間が、各々の思惑で、同時並行的に動き、それが絡まる歴史のダイナミズムが感じられました。天本英世がハイテンションなわりに、何をやっていたのか、イマイチわからなかったですが。ゴタゴタ感があって良かったです。役者も熱演。特に、軍部の大物達のクセのある面構えと腰の据わりようが凄いです。若き日の黒沢年雄は、常時四白眼で、ちょっと力入り過ぎと思いました。(米国amazonのreviewを見たところ、唯一の弱点は、young army officersがover-playedなところだと指摘されてました) 【camuson】さん [DVD(字幕)] 9点(2023-03-03 19:57:23)(良:1票) 89.終戦記念日に放送されていて、皆さんの評価も高いので観ましたが、長いのに中だるみもなく一気に観れました。多数の有名な役者の迫真の演技に圧倒されました。終戦記念日に観るのにふさわしい作品です。 鑑賞後、ネットで宮城事件や国民神風隊について調べました。事件の詳細や登場人物の写真を見て、ますますこの作品について興味が深まりました。近いうちにもう一度鑑賞するつもりです。 【ぽじっこ】さん [CS・衛星(邦画)] 8点(2021-08-15 19:03:49)(良:1票) 88.最初図書館でDVDを借りて見た後でアナログ経由の劣化コピーで何度見たかわかりません。終戦前日正確に言うと玉音放送が放送されるまでの二十四時間に政府内部で起きた政変にも近いような天皇人質のに取った政争劇がそれほど強烈だったのです。対立の構図は戦争継続を絶対に望まない天皇と本土決戦を望む軍部、とりわけ陸軍の若手将校たち、そしてその間で立場決めかねた総理大臣以下の閣僚たちでした。閣僚の中でも真珠湾攻撃の直前まで開戦反対していた海軍の長である米内海軍相は早い段階から本土決戦に反対し、陸軍相阿南は血気はやる若手将校らの意気を理解し、また陸軍内でのクーデターを恐れたのか内部的には懐柔策を取り、閣僚会議や御前会議では強硬論を唱えます。しかしやはり決定的だったのは昭和天皇の強いいしでした。 「四方の海 みなはらからと 思う世に など波風の たちさわぐらん」と開戦決定がなされた御前会議で天皇は明治天皇御製の短歌を朗詠して戦争に対して精一杯の抗議をなさいました。この時点で昭和天皇は明確に抗議しよう思えばできたはずでしたが、また明日に抗議すれば聞き入れられないことも十分に承知しておられたはずです。この時に天皇の頭をよぎったのは維新の元勲の山県有朋と仲違いして一説には暗殺されたとされる父の大正天皇のことだったかもしれません。昭和天皇はご自分が万能ではないことも議会制民主義の枠組みだけは成立している日本で自分がしゃしゃり出ることは適当ではないこともご存知でした。昭和天皇は開戦時に「とにかく生きよう。父大正天皇の轍は踏むまい。」と思われたのではなかったでしょうか? そして広島長崎の原爆投下ソ連の宣戦布告後の御前会議で全て状況が日本にとって不利であるとの閣僚からの報告の後で天皇の意志は強固でした。「日本国民を生かすためには無条件降伏やむなし。」と思われ、また「自分はそのために生きてきたのだ。」思われたかもしれません。そして宮殿の一室での玉音放送録音後、ご寝所に入られた後で天皇は皇居を占拠した陸軍将校たちの実質的な人質となるのですが、天皇はご寝所の周囲じ止まった忠実な侍従らに守られて熟睡されたのではないでしょうか。 終戦後、昭和天皇はマッカーサー元帥に対面されて自分は戦争責任を追求されて縛り首になってお構わないおっしゃったそうですがマッカーサーは天皇の紳士的な人柄に惚れ込んで天皇の戦争責任は追求しませんでした。昭和天皇の長い在位期間中に日本は復興を遂げ経済成長を果たして国民総生産世界2位の国家になりました。昭和天皇はご自分が終戦の時に果たした役割に満足し、さぞかし長生きをしてよかった思われたことでしょう。 【かわまり】さん [DVD(邦画)] 10点(2020-04-01 13:56:16)(良:1票) 87.扱う事案が事案なだけに、長いうえに全編に緊迫感と暑苦しさが横溢しています。 リメイク版も観ましたが、当時のオールスターでモノクロの渋い印象のこっちの方がいいですね。やはり戦時から時が浅く、実際に当時を知っている方々が制作・出演されていますから、役者さんたちの所作や体格含めこのリアリティは今ではだせないのでしょう。 映画そのものの感想ではありませんが、反乱将校も閣僚も当時までの経緯状況を踏まえて当事者なりに日本のためにと思って行動していたということ、西欧諸国がアジアアフリカのほとんどを植民地としていた時代であり、戦争をしない国はなくなっていたということ、ペリー来航以来日本もずっとそういう危機に置かれ、アジアで戦ったのは日本だけだったということ、そして敗戦となればどうなるかわからなかったということを考えれば、血を流しながら必死にこの国の歴史を築いてきた先人たちには感謝こそすれ、現在の結果論や常識、価値観でああすればよかった的なことはいえません。 【クリプトポネ】さん [DVD(邦画)] 10点(2017-07-23 20:52:09)(良:1票) 86.「畑中もうよせ それが未練というものだ」 「未練」という言葉を突きつけられ、絶句する黒沢年男演じる畑中少佐の表情が、愚かで、悲しい。 彼らが信じて譲らなかったものの“正体”は、一体何だったのだろうか。 いや、果たして、“正体”なんてものは、そもそも存在したのだろうか。今となっては、甚だ疑問である。 ともかく、愚かにも始められ、愚かさに愚かさを重ね続けて、取り返しのつかない事態に陥った「戦争」を、“国”という愚かさの中枢にいた人達が終わらせようとする。 それは、どれだけ恭しく宣おうとも、どれだけ高らかに宣言しようとも、決して「偉業」とは表すことのできないこの国の「始末」のつけ方だった。 ただし、だ。 いかにも知った風に、「愚かだ」と断罪めいた思いを抱けるのは、我々が戦後70年の現在に生きているからに過ぎない。 愚かしさも、虚しさも、それがあの時代に唯一許された価値観だったことを、こういう映画を通じて、思い知らなければならないと思う。 「愚かだ」というのは、あくまでも戦後の価値観であり、あの時代に生きた彼らに、その価値観に辿り着くための術はほぼ無かったのだろう。 辿るしか無い帝国崩壊の道筋。その真ん中を往く彼らは皆、終始“脂汗”を顔面に滲ませている。 暑く、重苦しい1945年の夏の日。 その一部始終を語る仲代達矢の渇いたナレーションが、虚無感を助長する。 暑い夏の日から70年。 日本は、日本人は、何が変わり、何が変われていないのか。 今一度、この国のすべての人が考えるべき時なのではないか。 【鉄腕麗人】さん [DVD(邦画)] 8点(2016-10-23 19:32:29)(良:1票) 85.名作として名高い本作..BSでやっと観ることに..う~ん、期待ハズレだった..青年将校達の熱~い演技はそれなりに良いのですが..なんせ演出が古い..(60年代の作品だから、仕方がないんだけど..) さらに、肝心のストーリーが、ただ史実をなぞっただけ..1人1人のバックボーンや背負っているものが、ほとんど見えてこない..「こんな事がありました..」 的な、内容に終始しています..細かいツッコミどころも、ちらほら..とても興味深い題材だっただけに..映画として、残念...(私的に、終戦前後と、鈴木首相に関する予備知識が入っていたせいか、全体を通して目新しさが感じられなかった..史実ものは予備知識があると、いつもこうなってしまう..) 【コナンが一番】さん [CS・衛星(邦画)] 5点(2015-08-19 23:21:54)(良:1票) 84.《ネタバレ》 結果が分かっている歴史物として、これほどスリリングな作品はなかなか無い。もっと早くポツダム宣言を受諾していれば被爆国にならずに済んだのにとか、逆に一部の徹底抗戦派の反乱が成功していたら果たして自分の存在はあったのだろうかなどと、とても身近な出来事ととしてとらえてしまう。御前会議の昭和天皇の心に響く言葉や暗殺・切腹シーンの生々しい映像が印象的だが、誰が見ても詰んでしまっている負け戦を前にして、「日本が消えてしまってもいいのか」と詭弁で上官に迫る反乱兵士に、「おまえらが日本を滅亡させようとしているのがなぜ分からないのか」と思わず叫びたくなる。しかし当時の社会環境と彼らの行動心理をちょっと考えればクーデターも予想できなくはない。早々と自らの覚悟を決めてしまっているかのような陸軍大臣に反乱の鎮圧を望むべくもなく、力を統制できない状態が国家の存亡の危機を招くのがよく分かる。戦後はシビリアン・コントロールといっても完璧なシステムなんかはあり得ない。後々「たら」・「れば」と悔やまないためにも、過去を振り返る映画としては最適ではないか。 【ProPace】さん [CS・衛星(邦画)] 9点(2015-08-18 18:13:16)(良:1票) 83.《ネタバレ》 …すごい、もう言葉が出てきませんね。2時間半越えの長い時間を全く意識させない構成は製作者の手腕が発揮されてます。出演している俳優の方々も観たことある人ばっかりでとても豪華+とっても熱演だしもぅホントすごい。それにもまして8月15日の玉音放送に関してこんなことがあったというのがビックリ(録音だったのもこれまたビックリ、知らなかった)。もう、ものすごく勉強になったなぁ~、これって日本人なら一度観た方がいいんじゃないだろうか、いやほんとまじめに。熱い男たちによる熱く・濃い作品でゴザイマシタ 【Kaname】さん [DVD(邦画)] 10点(2013-10-23 14:30:59)(良:1票) 82.《ネタバレ》 妻投稿■「目的が手段を正当化する」と言う言葉があるけれど、それよりももっと悲惨な事になる事が多いのが、「手段が目的を支配する」時。往々にして未来の事を考えるのが怖い人間はそういう状態になりやすい。■よく、戦争反対映画で「戦争の狂気」とか「戦争が人間を狂わせてしまった」という描き方で、「人間を免罪する」ような映画があるけど(私のなかではチャップリンの「独裁者」がその一例)、この岡本と言う監督は、そんな生易しいヒューマニズムは見せない。彼は映画のなかで徹底的に「手段が目的を支配している」状態の人間を描く事で、「悪いのは戦争ではなく人間」ときっぱり言い切ってしまっている。私はこの戦争を「大日本帝国が悪者で、連合国やアジアはイイモン」という風に単純にみる事は出来ないのだが、「悪いのは戦争ではなく人間」であるという事が本当ならば、改憲派も護憲派も右も左もとにかく日本国民なら共通する問題だと思う。■岡本監督アナドレン。ラストの皇居のシーンは本物の皇居を勝手に撮影したらしいが、どうしてそこに拘ったかと言うと、映画のなかの皇居と、1970年前後の当時の皇居と同じ映像にする事によって、それと同じ世界を生きている私たちに、映画のなかの狂気と言うものは私たち自身の心と隔絶されたものではない事を訴えているのだと思う。■映画とは関係ないけど、私は一度だけ国会図書館近くで(国会議事堂を見学しに東京に出ていたので)、半蔵門から出てきた天皇陛下の車に遭遇した事がある。見えたのは一瞬でお妃さまが手を振ってくれたのだけど、一体どうなったらここまで穏やか(すなわち意志が強い)人になれるんだろうというオーラがあった。この映画を見て何となくわかった気がした。 【はち-ご=】さん [レーザーディスク(邦画)] 9点(2010-09-28 00:23:06)(良:1票) 81.実に硬派な作品で、いわゆる「名作」のテイストで、「岡本監督」ということを考えなければ、かなりいい映画だとは思う。娯楽映画風の映像表現や役者の演技の誇張振り、馬鹿馬鹿しいことに一所懸命な姿を大げさにテンポ良く描いてみせるというスタイルは岡本テイストがプンプンするのだが、テーマが重くてストーリーに笑いどころがなく、なんとなく違和感が残ったというのが正直な印象。「血と砂」のように、重いテーマでもコミカルを織り交ぜて仕上げるのが持ち味なのに、原作物のしがらみか、世間への遠慮か、誇張を笑えるほど滑稽にまで持って行けなかったのが最近岡本監督のファンになった私にとっては残念。岡本監督作品という枠をはずして見たら、名作です、と断言できるかも。 【nobo7】さん [DVD(邦画)] 6点(2009-08-15 17:41:25)(良:1票) 80.天皇は、日本一のカリスマであった事がよく表わされた1日だったと思う。閣議でも、なかなか意見がまとまらない所を、天皇の一言で、終戦へと一気に決まり、それを国民へ発表するのも、当時の総理でも、現場の司令官でもなく、天皇がする。日本のいちばん長い日の主人公は間違いなく、天皇陛下その人である。 【Yoshi】さん [DVD(邦画)] 8点(2009-07-07 23:06:10)(良:1票)
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