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ネタバレは禁止していませんので 未見の方は注意です!
【クチコミ・感想】
6.《ネタバレ》 誰もが知っている『忠臣蔵』を、溝口健二が撮った。
それが『元禄忠臣蔵(前篇・後篇)』だ。
前篇と後篇合わせて、怒濤の224分!
しかも私、恥ずかしながら『忠臣蔵』そのものが初体験。
そんな私に果たして本作の224分が耐えられるのか?!
まずはオープニングから。
溝口作品を観るに当たっての楽しみの一つに「オープニング」がある。
特に溝口作品の中でも、時代劇系の作品はオープニングがカッコイイことが多い。
本作は超大作ということもあり、予想通りのかっこよさ。
大体この時代のオープニング・ロールって短くてアッサリ気味のものが多いのだが、本作は違った。
長い長い。
しかも重厚でかっこよすぎ。
しょっぱなから大満足である。
そして本編のはじまりはじまり・・・
しかしいきなり問題発生。
『忠臣蔵』のストーリーを私はほとんど知らなかった。
しかも本作はフィルムの保存状態が悪くセリフが聞き取り不能な部分が多数あったのだから致命傷。
そしてかたぐるしい文語調の昔言葉。
さっぱり分からないのだ。
しかも冒頭から浅野内匠頭が吉良上野介を切りつけてしまうというシーンから始まり、『忠臣蔵』のストーリーを知っている人なら難なく理解できたであろう場面が、その時の私には全く理解できなかったのだ。
結局、前篇が終わるまでストーリーを把握しきれず終了。
このまま後半も終わってしまったらどうしよう・・・という不安に襲われつつ、後篇へ。 【にじばぶ】さん [DVD(邦画)] 7点(2021-06-03 21:34:47)(良:1票)
5.《ネタバレ》 溝口健二監督の「忠臣蔵」という事で、観るのを非常に楽しみにしていた本作品。
冒頭にて「刃傷松の廊下」が起きる構成となっているのですが、この時点で少し嫌な予感がして、それが的中してしまった事が残念でしたね。
これは「忠臣蔵」全般に言える難点だと思うのですが「どう考えても悪いのは斬り付けた浅野内匠頭の方であり、吉良上野介が哀れな被害者にしか見えなくなる」という現象が、本作においても起こってしまっているのです。
やはり事前に「吉良が如何に意地悪をしてきたか」を濃密に描いてくれないと、どうしても浅野側に共感出来ないのですよね。
この映画に関しては、特に「吉良側が可哀想に思えてくる」度合いが高いように思えて、前編と後編に亘り、やれ「侍としては風上に置けぬ人」だの「汚い白髪首」だのと言われてしまうものだから、何とも不憫。
映画冒頭で吉良が口にしていた「無知、不作法」などの悪口よりも、ずっと酷い言葉を善玉側が何度も口にするもので、どうにも肩入れ出来なくなってしまうのです。
全体のストーリーとしては、現代目線からするとオーソドックスな「忠臣蔵」であり、特に目新しく感じる要素が無かったのも、辛いところ。
いっそ割り切ってカメラワークやら演出やらのテクニック面を楽しもうかとも思ったのですが、それも溝口監督の後年の作となる「雨月物語」や「近松物語」などに比べると、まだ洗練されていないように思えたりもして、何だか袋小路に陥ったような息苦しさを覚えました。
勿論、才能のある監督さんが、普遍的な魅力のある題材を扱っているのだから「つまらない」「面白くない」という訳ではないのですが、期待値が高過ぎたせいか、どうしても落胆に近いものがありましたね。
そんな気持ちのままで前編を観終わるも
「吉良邸への討ち入りを、溝口監督は如何に描くのか?」
という好奇心は残っていたがゆえに、まだまだ弾む心を保ったままで、後編を再生させたのですが…… 【ゆき】さん [DVD(邦画)] 5点(2016-09-14 11:43:16)
4.Astoriaでの溝口映画祭、日曜なのに一本はもったいない…と思ったら前後編で240分超とわかり即納得。以前木下惠介監督作品「香華」を鑑賞した際に本来休憩をはさむ長編でありながらその休憩を端折った形で上映されたことがあり、その記憶からも体調をあらかじめ整えてスクリーンに臨む。
育った家は年末に忠臣蔵を観る家風ではなく、きちんとみたことはもしかすると一度もなかったのかもしれない。それがいきなり本作となることが功を奏するのか否かは本作以降も忠臣蔵を観続けて比較し続けていって初めて見えてくることなのであろう。ということで今回の評価は辛め。
初心者ということも相まって手紙をせき切って朗読するシーンはあっけにとられてしまった。「えっ…」と思わず声を出しそうになりその後の絶句の間は映画館には適していた。
ほとんどの俳優が前進座所属ということであまり自分の脳内俳優データベースに該当する人はあまりいなかった。大石内蔵助を演じる四代目河原崎長十郎についてはもしや…と気になって調べてみるとドンピシャ!その息子には「神々の深き欲望」でお見かけした河原崎長一郎、「儀式」でお見かけした河原崎建三が。(次男氏はまだこれから…)
(後編へつづく) 【kei】さん [映画館(邦画)] 6点(2014-05-29 12:09:15)
3.2カット目で刃傷になる空前絶後の松の廊下。まずセットのすごさを見せて、ついで柱越しに捉えてゆるゆる移動するカメラ、吉良が浅野の悪口を言ってて、こちらに歩いてくるとその後ろのほうで座ってた内匠頭が立ち上がってこちらに走ってきて切り付ける。この緊迫感、文句ないですなあ。知らせを受ける浅野家での部屋を越えていく横移動、あるいは裁きへの不服を訴えるナントカのあとを追いかけていくカメラ、いずれも新鮮。構図美では屏風囲いの中での内匠頭を俯瞰で捉えたカット、障子ごとに座っている侍たちがアクセントになって実に美しい。切腹シーンは俯瞰で始まりゆるゆると下降していきながら、内匠頭が何かにハッとしてカメラが地上に降り立ったときに、家来が画面に入ってくる。内匠頭が中に入ると同時にまたカメラが上昇して、中の儀式と外の家来の嗚咽を同時に収める寸法。あるいは城受け渡しのときや、山科閑居の母と娘が去っていくときの駕篭を追うカメラ、など移動撮影の美の極致を見せてくれる。構図がどんどん変化していくことのサスペンス。俯瞰は権力志向だと言われるけど、クレーンで下降してくると、観客の視線が登場人物の高さに下りてくる、って感じもある。本作は溝口の映像テクニックを堪能するだけのためなら、一番ふさわしい映画。 【なんのかんの】さん [映画館(邦画)] 8点(2011-06-08 12:16:01)
2.「ことば」が難しい。私的な会話はともかく公の場での会話に使われる「ことば」が難しい。歌舞伎に慣れ親しんだ人なら問題ないのだろうが、私のようなその時代の「ことば」に慣れていない者には、長回しで語られるその難解な「ことば」は、それを追うことにかなりの集中を要してしまって疲れる。もちろんリアリズムに徹したからなのだろうし、徹した結果の世界観は、その時代の封建的社会や武士の忠義、幕府の絶対君主制を見事に再現していたのだろうが、もう少しセリフを少なくしてくれたほうが助かったような。それでも退屈させずに見せてしまうのは巧いということなんだろうなぁ。↓のお二人もご指摘されている冒頭の松の廊下のシーンで城内をじっくりゆっくりじわーっと見せる長回しと浅野内匠頭が切腹へと向かう、塀の外から塀の中へと見せてゆくシーンは圧巻。単純に「城内は広い」ということを思い知らされたのですが、そう思わせた時代劇はこの『元禄忠臣蔵 前篇・後篇』だけである。 【R&A】さん [映画館(邦画)] 7点(2007-04-18 11:25:42)
1.《ネタバレ》 ああ、この深みのある映像よ。音声の保存状態が悪く、とくに脇役の俳優さんたちが何をしゃべっているのかわからないような場面がいくつかあるのですが、それを補ってあまり余りある映像の説得力です。松の廊下や浅野内匠頭が切腹のワンショットの長回し撮影は、それはもうお見事と言うよりないですよ。構図、場面設計、空間設計、どれをとっても超一流。
原作は史実に忠実に再現したという真山青果の昭和歌舞伎。歌舞伎の空間性は活きているけど、ロングショットでもきちんと映像として処理してある。これは職人技です。 【いのうえ】さん [CS・衛星(邦画)] 8点(2007-02-13 23:30:39)
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【点数情報】
Review人数 |
6人 |
平均点数 |
6.83点 |
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【その他点数情報】
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