みんなのシネマレビュー |
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ネタバレは禁止していませんので 未見の方は注意です! 【クチコミ・感想】
55.《ネタバレ》 こういった論戦を扱う場合、どうしても「性的虐待の疑惑を受ける神父」が悪であり「真実を追及するシスター」が善であるという印象を与える事は避けられないと思うのですが、この映画は非常にバランス感覚が巧みでしたね。 前者は子供達に優しい人気者で、古臭い考えの教会を変えようとしている革新派。 後者は子供達に厳しい偏屈者で、古き良き教会を守ろうとしている保守派という対比なのですから、つい前者に肩入れしたくなってしまう。 けれど演じているのが、如何にも裏がありそうなフィリップ・シーモア・ホフマンと、とても悪い人には見えないメリル・ストリープだったりするものだから、観客としては「どちらが正しいのか?」と固唾を呑んで見守る事になる訳です。 特に「上手いなぁ……」と感心させられたのが、生徒から取り上げたトランジスタラジオを愛用していると、シスターが嬉しそうに語る場面。 正直言って、それは最低だよと呆れちゃいましたし、それによって「このシスターは他人に厳しいだけで自分に甘いという、信用してはならない人物だ」という印象に繋がり、最後まで「神父とシスター、どちらが正しいのか分からない」と観客に適度な「疑惑」を与える効果があったと思います。 そもそも彼女は「この教会に悪影響を及ぼす神父を追い出せれば、それで良い」と考えているフシがあり、本当に性的虐待があったとすれば真っ先に優先すべき「少年を神父から守らなければいけない」という意思が感じ取れない為、どうしても感情移入を拒むものがありましたね。 他の教会に転任させても、そこで別の少年が犠牲になる可能性もある以上、神父を追い出すだけでは意味が無いはずです。 彼女が善人であるとは、最後まで思えませんでした。 結論を言うと、この映画では結局「真実」は不明なままです。 勿論、神父は限りなく黒に近い反応を示しているのですが、確たる証拠は劇中で提示されていません。 劇中の「たとえ確信を持ったとしても、それは感情だ。事実じゃない」という台詞にも象徴されていると思います。 そもそも、そんな「疑惑」を抱かれた時点で迷惑だし、一度不名誉な噂に晒されれば、それが事実無根であっても取り返しがつかなくなるという事は、神父の説教の中でも語られています。 過去を探られるのを嫌がった事だって「過去にも同じような噂が立った事があるので、それを知られたらますます自分の立場が悪くなる」というだけかも知れません。 悪く考えるなら「過去には過ちを犯していても、今回は無罪だった」という可能性もありますし、良く考えるなら「少年が同性愛者である事は気付いていたので、彼を疑惑の渦から守る為に自分は立ち去った」という可能性だってあると思います。 だからこそ、ラストシーンにてシスターが「本当に自分は、自分の行動は、自分の過去は、自分の信仰は、正しかったのか?」という「疑惑」を抱く形で映画が完結したのでしょう。 上述の通り、映画だけで判断するなら「疑わしきは罰せず」「神父は無罪である」となる訳ですが、現実世界にて「神父に性的虐待を受けていた少年が無数に存在する」という悲しい証拠が、これまた観客の判断を狂わせるというか「もしかしたら?」という「疑惑」をかき立てる訳で、本当に上手くて、そして狡い作品ですよね。 こういった具合に、煙に巻くというか、あえて真相を明らかにしない映画も嫌いではないのですが、本作は論戦をクライマックスに据えておきながら「神父もシスターも、どちらも勝者とは思えない」「神父は心に傷を負ったまま栄転し、シスターは目的を達成するも罪の意識を抱いている」という、痛み分けのような形であった事が、どうもスッキリしない。 この映画のテーマを考えれば、観客にも「疑惑」を残したままで終わらせるのが正解だったと思いますが…… 自分としては明確な「真実」を示してもらいたかったなと、つい考えてしまいました。 【ゆき】さん [DVD(吹替)] 6点(2022-04-21 12:10:33)(良:1票) 54.主演二人の演技合戦のすごさに敬服。 小さな表情ひとつにも引き込まれる ホフマンの映画を観るたびに喪失感にさいなまれるけど、この作品は演技がすごいぶんなおさら。 【レイブンのかなづち】さん [地上波(字幕)] 9点(2021-12-31 13:26:35) 53.名優メリルとフィリップ・シーモアがぶつかり合う。見た目の派手さは無く美しい学校であり、庭も寒々しくて美しいですが、女校長がとにかく厳しく恐い。終わり方が劇的。面白い。オススメです。 【SUPISUTA】さん [DVD(字幕)] 8点(2019-09-16 01:34:00) 52.重厚堅実な演技の応酬を見ているだけで十分楽しめる作品。ただし、ストリープについては、設定上やむを得ないとはいえ、黒フードと黒コートで表情や所作の多くが隠れてしまっているのが惜しい。ホフマンは、善でも悪でもどっちでも成り立ちそうな微妙なラインを繊細に表現している。しかし、MVPはやはりエイミー・アダムスだろう、むしろストリープもホフマンもそれに刺激されて芝居が前進しているのが分かる。僅かな登場で役柄の存在意義を残しているヴィオラ・デイヴィスも忘れがたい。 【Olias】さん [ブルーレイ(字幕)] 7点(2018-11-11 00:47:44) 51.《ネタバレ》 メリル・ストリープ、フィリップ・シーモア・ホフマン、エイミー・アダムスの密室劇。地味だけど、名優たちのやり取りだけでも引き込まれる。 【ゆっきー】さん [DVD(字幕)] 6点(2018-05-09 09:04:03) 50.《ネタバレ》 ○クロと疑い、それを証明するために嘘までつくシスター。その疑惑が晴らされてクロになることで困る人々。その両者の状況を時折挟まれる神父の説教が非情に示唆的で面白い。○演者も豪華で、演技合戦も見もの。 【TOSHI】さん [DVD(字幕)] 7点(2018-02-12 00:24:56) 49.《ネタバレ》 カトリック教会に初めて黒人の少年が入学。 イジメられる少年を目にかけサポートする神父に、性的虐待疑惑が。 担任の女性教師から疑惑を知った女校長は、神父をクロと決め付け追放を図る。 神父がクロかシロかは明らかにされず、どちらともとれるのがミソ。 神父のリアクションから、状況的には限りなくクロに近いと思うんだけど、決定的な証拠はない。 柔和だが胡散臭さの漂う神父と厳格で独断的な女校長のバトルには息を飲む。 神父の心証がクロなので校長がんばれ!と肩入れしてしまうものの、万が一神父がシロなら校長の決め付けはとんでもない過ちということになる。 特効薬にも猛毒にもなりうる、年増女のアクを凝縮したような校長をメリル・ストリープが好演。 黒人少年の母親の複雑な思いも絡まって、サスペンスと人間ドラマに最後まで引き込まれる。 【飛鳥】さん [DVD(吹替)] 7点(2017-12-29 00:56:41) 48.《ネタバレ》 見終わったあと、一緒に観た友人と論争になった。神父擁護派のオレと校長擁護派のツレ。「あんないけずな奴(校長:メリルストリープ)はいない」というオレに「彼女は自分の職責を実直にまっとうしているだけ」という友人。「彼(神父:フィリップ・シーモア・ホフマン)の溢れるヒューマニズムを見れば多少の違反は目をつぶるべき」というオレに「彼は権力をバックに子供をおもちゃにする極悪人」という友人、といった具合。侃々諤々の議論の末、神父の説教が全く空疎な点、彼が聖書に挟んだ2片の押し花が挿入前と挿入後の肛門の暗喩に見える、という2点が決め手となって友人の見方が正解だろうということで納得した。実際町山智浩氏が“未公開映画を見るTV”で紹介していたドキュメンタリー「DELIVER US FROM EVIL」によると現実のカトリック教会では、この作品に描かれたようなよからぬことが横行しているらしいぞ。 【皮マン】さん [ブルーレイ(字幕)] 10点(2014-03-30 09:09:49) 47.これはなかなか。 【K】さん [DVD(字幕)] 6点(2014-02-24 22:09:47) 46.今現在の私が見事なまでに校長先生に感情移入してしまい身につまされる思いでした。そしてあのラスト、素晴らしかった。今日観られて本当に良かったです。こういう事があるから、宣伝であまり惹かれない映画も観なきゃ始まらないなと思う。 【movie海馬】さん [CS・衛星(字幕)] 8点(2014-01-19 20:55:59) 45.《ネタバレ》 最高でした。最後の校長の涙はこの映画の全てで、何度観ても泣いてしまいます。凛々しいメリル・ストリープの素晴らしい演技と、大人しい役柄であるのに主人公のようなエイミー・アダムスの存在感。司祭の考え方も楽しめ、全く飽きのない映画でした。 【新しい生物】さん [DVD(吹替)] 10点(2013-09-19 12:51:40) 44.《ネタバレ》 超実力派のメリル・ストリープと「くせもの」フィリップ・シーモア・ホフマンの強烈なぶつかり合いは見応え十分。そこに純真な瞳が美しいエイミー・アダムスが入ってくるという、シンプルながらとってもレベルの高い作品になっていますね。 もうぅ何かやらかしそうなホフマンが最高(笑)こういう役はこの人しかできないね。対して、の、メリル。一言でいえばさすが。あの意地悪な雰囲気はそうそうだせませんよ。ということで、高いレベルの演者がでればこうなるというお手本のような作品でゴザイマシタ 【Kaname】さん [CS・衛星(字幕)] 7点(2013-01-17 08:37:46) 43.《ネタバレ》 あるカトリック学校で一人の黒人生徒に関わる“疑い”を巡って、厳格な女校長(メリル・ストリープ)と寛大な神父(フィリップ・シーモア・ホフマンの西田敏行感は異常)が対立するというお話。昔、古畑任三郎で似た様な話があった(確か沢口靖子が犯人の回)のを思い出したが、結論から言うと非常に見応えのある素晴らしい映画である。演技派の2人による罵り合いや嫌がらせ合戦を観ているだけでも十分に面白いので、個人的にはこの泥仕合を延々3時間くらい続けてくれても飽きずに観ていられる自信がある。まず2人の確執を通して表立ったテーマとして語られるのは、信仰における美徳(規則や戒律)と寛容(博愛や慈悲)の間にある葛藤である訳だが、1964年(JFK暗殺の翌年)という時代設定も相俟ってここにイデオロギーや人種・ジェンダーといった、この時代に顕在化していった様々な対立軸も巧みに織り込まれているあたりも実に憎らしい。最終的にこの映画は色々と不明瞭なまま様々な含意と余韻とを残して終わるのだが、何としても神父の“疑い”を暴こうとする校長に対して黒人生徒の母親が、「理由はどうでもいい。息子を気にかけてくれるなら。」と涙ながらに訴えるシーンがとても印象的である。そもそもこの映画において神父と黒人生徒との“疑い”の真相や、神父と校長の論争の勝敗なんて大した問題ではないのだろう。むしろ、周囲の人間からの孤立を招いてまで“疑い”を確信へと変える必要はあるのか、あえて“疑い”を“疑い”のままにしておく方が人心を救う事にもつながり得るのではないか、という問いかけこそがこの映画の本当のテーマである様に思える。神父が学校を去った後の校庭のラストシーンで、校長は堰を切った様にシスターに告解を始める。“疑い”を持ってしまった事。そして、その“疑い”を確信に変えたいがために嘘までついてしまった事。おそらくここで彼女が吐露した“疑い”とは、自身の信仰や生き方に対して抱いてきた“疑い”でもあるのだろう。泣き崩れる彼女の胸中には冒頭における説教を締めくくった神父の言葉があったのではないだろうか。「“疑い”は、確信と同じくらい強力な絆になり得る。道に迷った時、あなたは独りではない。」 【オルタナ野郎】さん [CS・衛星(字幕)] 9点(2013-01-13 01:28:19)(良:1票) 42.1951年「欲望という名の電車」、1975年「カッコーの巣の上で」、1976年「ネットワーク」、2003年「ミスティック・リバー」と、主演にとどまらず助演級の俳優までもが全員神懸かり的な演技を披露している映画は希に存在するが、まだありました。 俳優陣の並々ならぬ演技に引き込まれているうちに、いつの間にか論じられている物語内容自体に引き込まれていた。特にエイミー・アダムスのあの真摯な瞳!引き込まれるかのよう。最後にある登場人物が呟くセリフと、その幕切れの素晴らしさには言うこともありません。 【j-hitch】さん [DVD(字幕)] 8点(2012-07-22 02:05:43) 41.《ネタバレ》 まるで実写版“ガラスの仮面”のごときもの凄い演技合戦が見られます。演技力No.1のオスカー女優M・ストリープ、対するは食わせ者P・シーモア・ホフマン。この二人が火花散るようなぶつかり試合、延長戦になったとしても追加料金を払うのが惜しくないくらい。ストリープが渾身の演技波をぶつけます、それをにやにやとかわすホフマン、隙を見せない見事な狸っぷり。純真そうな瞳をぱちくりさせて間に入るA・アダムスは二人の巻き起こす突風に完全に弾き飛ばされました。ラストシーンの、カメラがシスター二人を見下ろす冬の庭が寒々しくも美しいのが印象的でした。 【tottoko】さん [CS・衛星(字幕)] 7点(2012-07-09 17:39:53)(良:1票) 40.校長役のメリルストリーブが名演です。校長の気持ちは痛いほどよくわかる。校長もあの性格ゆえに孤独で辛いだろうな。 【ホットチョコレート】さん [地上波(吹替)] 7点(2012-04-30 21:37:15) 39.《ネタバレ》 シーモア・ホフマンや司祭たちの男の世界と、メリル・ストリープが君臨する修道院内の女の世界、対照的な食事シーンを交互に見せるところが面白い。シーモア・ホフマンも単純な熱血神父ではなさそうだし職場内では如才なく上司の受けは良いみたいで、追放されたと思いきやまさかの栄転人事には意表を突かれました。ラストのメリルの涙は、私には悔し涙の様に思えます。不思議とこの映画は生徒の視点からの描写が皆無に近いのですが、母親ヴィオラ・デイヴィスのメリルへの悲痛な告白でそこら辺のモヤモヤも吹っ飛んでしまいました。主役ふたりの演技合戦も確かに凄いのですが、ヴィオラ・デイヴィスの演技、オスカー・ノミネートも納得です。余談ですが、この映画がもし50年代に撮られたら、きっとモンゴメリー・クリフトとキャサリン・ヘップバーンのキャスティングだったんじゃないかとふと思いました。 【S&S】さん [CS・衛星(字幕)] 8点(2011-10-14 20:59:40)(良:1票) 38.《ネタバレ》 時代設定はケネディ暗殺の翌年ということになっています。 原作ものらしい。 メリル・ストリープとフィリップ・シーモア・ホフマンの両芸達者の激突が見どころです。 孤立無援でも、誰にも感謝されなくても、「善」を達成できるかどうか。 というようなテーマだと思います。 善はもちろんキリスト教の神さまの決めた「善」です。 少年愛がいけないのかどうかは、時と場所によって違います。 これはキリスト教の話なので、キリスト教の神さまがいけないと言っていればそれは(ここでは)いけないことなので、いいのかいけないのかについての「ダウト」というものはそもそもない。 校長は国が決めた法に対して忠誠を誓っているからここまでの行動に出たというわけではありません。 で、話のゆくえとしては、自分さえ目をつぶれば四方八方丸く収まるのであって、誰も協力してくれなくて、騒いでも誰にも感謝をされないという場合の「善」について、それをできるかどうかということが、シスターアロイシスに信仰上の試練として問われていて、彼女は見事にそれを成し遂げた、ということになります。 どこまでも宗教的な話で、まあ大した話ではないのにここまで仕上げたのは2大芸達者俳優をブッキングできたからかなあ。 ホフマンのいかにもな変態神父はいやらしすぎて見ていられません。 【パブロン中毒】さん [CS・衛星(字幕)] 7点(2011-09-14 23:06:34)(笑:1票) 37.私も一番思うことはこの年にメリルが主演したもう1本「マンマ・ミーア!」とのあまりの落差に、ただただ彼女が「怪優」としかやっぱり思えない、ってことです。あとは舞台は確かにカトリック学校で、そこそこのリアリティはあるので、自分がカトリックのミッションスクールの出身だからと言って「ありえなーい」とは思わないんですが、もっとざっくりと思想の対立ととらえるべき?と思いました。どんな集団にも起こりうる関係性だと思って見ると、案外分かりやすい、とはいえ実はすごく俗っぽい話だなという気がしたので、この点です。 【おばちゃん】さん [DVD(字幕)] 7点(2011-07-31 22:14:43) 36.吹き替えて見てしまったので、表情の演技でしかわかりませんでしたが、緊迫感がありました 今度は字幕で見たいと思います 【マーガレット81】さん [CS・衛星(吹替)] 6点(2011-06-11 20:33:04)
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