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ネタバレは禁止していませんので 未見の方は注意です!
【クチコミ・感想】
3.《ネタバレ》 同じ年の大河ドラマも手掛けていた古沢良太が脚本を担当した「ドラえもん」の劇場版。ユートピアであるパラダピア(パラダイス+ユートピア)を舞台にしているが、敵が世界平和のために人間の心を無くそうと考えているマッドサイエンティストな博士というのが意外性があり、テーマ的にちょっと難解さも少々感じるのだが、そういうテーマを持っていながら、小難しく説教臭くならずに、それでいて個人個人が個性を持ち、それを大事にすることの大切さをちゃんと描いていて、メッセージ性もしっかりとある映画になっていて素直に良かったと思えた。パラダピアで数日過ごしたジャイアンとスネ夫、そしてしずかちゃんが心を失って操り人形のようになっていくという展開はトラウマものでけっこう怖く、秀逸。ドラえもんと同じネコ型ロボットであるソーニャとの対比も面白く、最初は子守ロボットとして作られたドラえもんがソーニャに自分たちが生まれた理由を語る言葉はまさに「ドラえもん」という作品を象徴するような言葉で、とても印象深かった。四次元ゴミ袋や天気雨(狐の嫁入り)、そしてのび太が見つけた不思議な虫といった前半に何気なく登場した物が後の伏線になっているのもうまい。クライマックスはドラえもん映画にしては珍しくのび太たちの住む町内が舞台となっているが、考えてみれば古沢良太は山崎貴監督の三丁目の夕日シリーズ(アニメ版が「ドラえもん」の裏番組だったらしい。)の脚本にも参加しており、それもあってか山崎監督の手掛けた「STANDBYME ドラえもん」を少し意識している部分もあったのかも知れない。ソーニャがパラダピアの爆発と共に消えるラストは「鉄人兵団」のリルルを思わせるものがあり、感動的。もう少し書かせてもらうとその直前にソーニャがドラえもんたちのタケコプターを撃っていくのだが、最後にドラえもんのタケコプターを撃つシーンの演出がまるでドラえもんが射殺されたかのような描写になっているのはビックリしてしまった。母に勉強会と偽ったり、最後の最後、0点の答案が落ちてきて母に怒られるのび太というのは「竜の騎士」を少し前に見ていたので、思わずニヤニヤ。のび太の両親が二人だけで食事をしているシーンがあるのだが、その怖いくらいの異様な静けさもすごく印象的だった。 【イニシャルK】さん [DVD(邦画)] 8点(2025-01-26 13:12:48)
2.《ネタバレ》 ドラちゃん長編を久々に見ましたが、安定のクオリティでしたね。
いろんな人がいるから世界は面白いんだというメッセージ。現代にはより響くものがあります。
ほろっとさせる展開もあり、それでもやっぱり0点の答案が降ってきてママに叱られ終える結末も、
いつもの日常に帰ってきた感があって好きです。 【あろえりーな】さん [インターネット(邦画)] 7点(2025-01-26 09:25:54)
1.《ネタバレ》 「世界平和」を目的とした人物と戦うドラ映画というのは、今回が初めてではないでしょうか。
非常に大人向けというか、難解とも言えるテーマであり、ともすれば観客の子供に「レイ博士は世界を平和にしようとしているのに、どうして悪い人なの?」という疑問を抱かせてしまいそうなのですが……
そこを、しっかり分かり易く、万人に伝わるよう作ってあったんだから、お見事でしたね。
「ユートピアとは、即ちディストピアである」という事を感じさせるパラダピアの描写も秀逸であり、空に浮かんだ理想郷としての魅力と、人の心が消されてしまう地獄としての恐ろしさ、その双方を描く事に成功しているんだから凄い。
特に、ジャイアンとスネ夫が「浄化」され「穏やかな善人」に変わっていく様は、何とも言えない不気味さが漂っていて、印象深いです。
メインゲストとなるソーニャが「もう一人の、ドラえもん」として描かれているのも、見逃せないポイント。
それはのび太に対し「キミは私に似ている」と呟いたレイ博士にも通じるものがあり、彼は「もう一人の、のび太」として描かれている。
過去作でも「アリガトデスからの大脱走」(2012年)のマジメー(声もレイ博士と同じ)という前例がありましたが「一歩間違えば、のび太もこうなっていたかも知れないという悪役を倒す物語」の系譜として、本作は決定版と呼べるほどの、素晴らしい仕上がりになっていると思います。
「南極大冒険」(2017年)や「STAND BY ME ドラえもん 2」(2020年)の系譜である「時間軸を弄った脚本」としての質の高さも、特筆に値しますね。
「青い虫の正体」「晴れてるのに雨が降っていた理由」どちらの伏線も巧妙に張られており、その回収の仕方が、実に鮮やか。
思えば脚本担当の古沢良太は三丁目の夕日シリーズでも山崎貴監督とコンビを組んでいた人ですし、それゆえにスタドラ2を踏まえたような内容にしたのかも知れません。
ドラえもんに「ボク達は、皆の友達になる為に作られた」と言わせたのも印象的であり、正に現行アニメ版を象徴するような一言。
そもそもドラえもんとは原作初期において「セワシの子分」であり「のび太の見張り役」でしかなかったんです。
そこから徐々に「のび太の友達」へと変わっていった原作漫画を踏まえ「ドラえもんがのび太の友達になるまで」を描いたのが「STAND BY ME ドラえもん」(2014年)でしたが、本作は更に踏み込んで「ドラえもんが生まれた理由」まで断言させているんですよね。
そこに「自分が生まれてきた理由(作られた理由)は、誰かが決めるんじゃなく、自分で決めるものなんだ」という、強いメッセージ性を感じました。
レイ博士の過去が詳細に描かれていないのも、想像をかき立てるものがあり「パーフェクトな存在になる為には、心は不要」と言うレイ博士と「心は絶対に必要」と言うのび太との対比で(レイ博士はのび太と違い、誰かの優しさに触れる事無く、年老いてしまったんだな……)と感じて、切なくなったりもしましたね。
劇中における「ボクは、そのままの、のび太くんが……」というドラの台詞が、エンディング曲の「大好きなんだ、そのままで大好きさ」に繋がる構成も、本当にグッと来ちゃいました。
一応、不満点も述べておくなら「静香ちゃんは強情っぱりなのが欠点というのは、無理やり感ある」「0点の答案が降ってきて終わるよりは、ソーニャが生き返るという感動の余韻に浸らせたまま終わらせて欲しかった」とか、その辺りが該当しそうなんですが……
これも「エンディング絵にて、母が薦めるピアノではなくバイオリンに拘って演奏する静香ちゃんの姿に、否応無く納得させられる」「人間は駄目なまま変わらなくても良い、という誤った受け取り方をされない為、0点の答案で叱られるオチは必要だった」という具合に、不満に思えた箇所に関しても、すぐに答えが浮かんでくるし、本当に完成度が高かったですね。
「心を失うくらいなら、パーフェクトな存在になれなくても良い」というメッセージが込められてるのに、この映画自体がパーフェクトな出来栄えじゃないかって思えるのが、何とも皮肉。
でも、大前提である「心」を失っておらず、優しさに満ちた作りだったというんだから、本当にもう、参っちゃいます。
劇中にて、敵に狙われた故郷を守り切ったのび太が「この町の事を、もっと好きになった」と、満足気に呟くのですが……
観客の自分としても「ドラえもんという作品を、もっと好きになった」と、そう感じるような、素敵な映画でした。 【ゆき】さん [映画館(邦画)] 8点(2023-06-14 02:14:57)
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【点数情報】
Review人数 |
3人 |
平均点数 |
7.67点 |
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