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ライアンの娘

Ryan's Daughter
1970年【英】 上映時間:195分
ドラマラブストーリー
[ライアンノムスメ]
新規登録(不明)【シネマレビュー管理人】さん
タイトル情報更新(2024-10-27)【イニシャルK】さん
公開開始日(1971-04-24)


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監督デヴィッド・リーン
助監督ロイ・スティーヴンス〔助監督〕(第二班監督)
キャストロバート・ミッチャム(男優)チャールズ・ショーネシー
サラ・マイルズ〔1941年生〕(女優)ロージー(ローズ)・ライアン
トレヴァー・ハワード(男優)コリンズ神父
ジョン・ミルズ(男優)マイケル
レオ・マッカーン(男優)トーマス・ライアン
バリー・フォスター(男優)ティム・オライリー
クリストファー・ジョーンズ〔1941年生・男優〕(男優)ランドルフ・ドリアン少佐
ジェラルド・シム(男優)スミス大尉
マリー・キーン(女優)マッカードル夫人
宮川洋一チャールズ・ショーネシー(日本語吹き替え版【日本テレビ】)
小原乃梨子ロージー(ローズ)・ライアン(日本語吹き替え版【日本テレビ】)
北村和夫トーマス(日本語吹き替え版【日本テレビ】)
津嘉山正種ドリアン(日本語吹き替え版【日本テレビ】)
青野武ティム(日本語吹き替え版【日本テレビ】)
平林尚三マッカードル(日本語吹き替え版【日本テレビ】)
高村章子マッカードル夫人(日本語吹き替え版【日本テレビ】)
村越伊知郎(日本語吹き替え版【日本テレビ】)
佐々木優子(日本語吹き替え版【日本テレビ】)
小島敏彦(日本語吹き替え版【日本テレビ】)
秋元羊介(日本語吹き替え版【日本テレビ】)
笠原弘子(日本語吹き替え版【日本テレビ】)
脚本ロバート・ボルト
音楽モーリス・ジャール
作曲ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン交響曲第3番「英雄」/第5番「運命」
撮影フレディ・ヤング
アーネスト・デイ(カメラ・オペレーター)
製作ロイ・スティーヴンス〔助監督〕(製作補)
アンソニー・ハヴロック=アラン
配給MGM
特撮ロバート・マクドナルド〔特撮〕(特殊効果)
美術スティーヴン・B・グライムズ(プロダクション・デザイン)
ロイ・ウォーカー(美術監督)
ジョシー・マクアヴィン(セット装飾)
衣装ジョセリン・リカーズ
編集ノーマン・サヴェージ
トニー・ローソン〔編集〕(編集補)
録音ゴードン・K・マッカラム
日本語翻訳古田由紀子(日本語吹き替え版【日本テレビ】)
スタントヴィク・アームストロング(ノンクレジット)
その他モーリス・ジャール(指揮)
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【クチコミ・感想】

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27.《ネタバレ》 デヴィッド・リーンのオール・タイム・ベストを選ぶとしたら、私は『アラビアのロレンス』じゃなくて迷わず本作です。この映画の映像・ドラマツルギー・演技は神がかっています。■まるで『ボヴァリー夫人』を彷彿させる重厚な人妻不倫物語、これが小説の映画化ではなくてロバート・ボルトのオリジナル脚本だとは驚きです。上映時間は三時間余りと長尺ですが、一時間ごとにテーマが変わってゆく構成になっています。ローズとチャールズの結婚までが最初のパートで、まさにランタイムがジャスト一時間でドリアン少佐がバスで集落に到着します。そしてその後の一時間はローズと少佐の愛欲物語、ラスト一時間ではティム・オライリーが武器弾薬を密輸しようとして村人たちに協力させますがあえなく失敗、そして悲劇的な破局になだれ込んでゆくわけです。まさに「序・破・急」のメリハリがきいたストーリーテリングで、長尺を忘れさせる巧緻な脚本です。■特筆しておかなければならないのは、オスカー受賞したジョン・ミルズのもう神がかったとしか言いようがない演技です。唖者(なんとこの言葉はいつの間にか差別用語になっているそうで、今は“発話障害者”と言わなければいけないんだって、言葉狩りって怖い…)で知的障害のマイケル、まさに俗に言う“神の子”なんですが、あの表情は素顔のミルズとはまるで別人で、本来はトレヴァー・ハワードが演じた神父のような役柄がピッタリな重厚な英国名優です。このマイケルは狂言回しのような役柄ですが、この映画で進行する出来事すべてを目撃する唯一の人物で、実は神だったのかもしれません。■そしてやはりオスカー受賞したフレディー・ヤングの撮影で、アイルランドの荒々しい自然を見せる映像は、もう適切な言葉が浮かばないぐらい感服してしまいました。雲の動きをダイナミックにとらえ、尚且つ太陽光の照りと翳りを鮮明に映した映像は、風景が雄弁にストーリーを語っているように思えます。嵐の海岸でのシーンも、スタントマンは当然使っているんでしょうが下手したら死人が出そうな凄い撮影でした。■ローズの行動はもちろんのこと、チャールズにしても演じるのがロバート・ミッチャムだけに優しいというよりも単に無気力な中年男という印象すらあって感情移入しにくいですね。第一次大戦中で独立蜂起が起きていたアイルランドが舞台ですけど、あの村人たちの民度の低さからは彼らが貧しいのは英国の圧政のためじゃなく、自分たちの怠惰のせいじゃないかとすら感じてしまいます。神父ぐらいしか好感が持てそうなキャラはいないのですが、ほぼ全方位に凡人や卑怯者を配置した脚本は上手いなと思います。幕が閉じてみれば誰にも幸福がもたらされなかった物語ですが、耳にこびりついてしまうモーリス・ジャールのテーマが流れると、こんな愚かな人間の営みにもかすかな希望があるような気がします。 S&Sさん [映画館(字幕)] 10点(2021-02-24 23:04:05)(良:2票)

26.《ネタバレ》 文学作品のような映画を撮るとなれば、この人の右に出る者はいない、巨匠デイビッド・リーン監督作品。フローベールのボヴァリー夫人を下敷きにした人妻の不倫物語を、雄大なアイルランドの景色を背景にして、第一次大戦期間のアイルランドの政治状況も盛り込んで描いている。CGもない時代に、今からすると「どうやって撮った!?」と思わざるをえない、驚異的に美しく壮大な情景描写に圧倒されっぱなしだった(どうやって撮ったも何も、莫大な予算と期間をかけて、本物と見紛うような村を造り、嵐のシーンは実際に嵐を待って、キャストたちに嵐の中演技させたのだから、迫真の映像になるわけである。現在ではコンプライアンス的に絶対できないだろう笑)。 現代的な観点でいうと、ストーリーの骨格はボヴァリー夫人よろしく、”人妻不倫もの”であり、下手をすると観客の拒否感・嫌悪感を呼び起こしかねない作品であるが、そこは巨匠がさすがの手腕を見せている。高潔かつ厳格なコリンズ神父が要所要所で登場し、不倫の恋に燃えるロージーがやがては悲惨な破局を迎えることがわかりやすく提示されている。映画としてはロージーの無文別な恋を決して正当化していないため、観客は安心して観ることができるだけでなく、破局へ向かうカタルシスを味わえる。また、純真な唖者マイケルの存在と、彼へのロージーの心ない対応もまた、ロージーの未熟な人間性を提示していて、ヒロインを美化しない意図が透けて見える。人妻の不倫という俗っぽい内容を、絶妙な人物設定と美しい自然描写を配置して格調高い内容に仕上げているのは、まさにリーン監督の面目躍如だ。物語の構成、構図も見事であり、たとえば劇中2回あるラブシーンは対照を成すことで、夢想した結婚生活の躓きと、道ならぬ恋の高揚を表現している。序盤にマイケルへのキスを拒んだロージーが、最後には別れのキスをする。それによって、ロージーの人間的な成長ないし反省を表現している。夫婦を乗せたバスが長く曲がりくねった道をゆくラストシークエンス。これはまさしく人生の暗喩だ。このように本作は、すべてを台詞で説明せず、構図で語り、構図で魅せる映画になっている。 見どころがたくさんある映画だが、厳格なコリンズ神父と寛大なチャールズの人間性が忘れ難い。特にコリンズ神父の鉄拳制裁に、救われたような気持ちになった人も多かったのではないか(「これも神父の役目だ!」という台詞も最高)。おせっかいながらも、善悪を厳しく峻別し、ヒューマニズムを貫徹する姿に痺れた。 nakashiさん [DVD(字幕)] 10点(2020-05-07 10:43:02)(良:1票)

25.《ネタバレ》 初見。テレビの旅番組でも見た事のない絶景は鑑賞史上ナンバーワンであり特筆もの。浅はかな不倫話に観るの止めようかとしたものの、ロージーをその不貞も含めて愛しているチャールズ並びにロージーを只々慕う弱者マイケル並びに村人全員の教師たる神父の存在があって一気に完走できました。ロージーが初めて他人の痛みがわかる事となった身も心もズタズタにされるリンチシーンに於ける村人どもの下劣さは凄まじい。イギリス人監督の視線なのだろうか。神父はハサミを持ってるあの女にこそ鉄拳を食らわして欲しかった。それとあの父親にも天罰が下らん事を願って止みません。続いて行くそれぞれの人生を思わせるラストシーンに深い余韻が。 The Grey Heronさん [DVD(字幕)] 8点(2019-05-20 08:43:02)

24.《ネタバレ》 いやまったく、見ごたえのある作品でした。特に撮影が素晴らしく、美しい風景を堪能しました。モーリス・ジャールの音楽も美しい。あと、画面外の音を頻繁に使った演出がおみごとで、ここは特に感心しました。 物語としては、古いコミュニティである田舎町の偏狭さ、一つのことにとりつかれた集団の恐ろしさがよく出ています。これについては「ライアンの娘」という題名そのものが技ありというか、これだけをとっても奥深いものを感じさせます。マイケルはシェイクスピアなどの道化の影響があるのかもしれませんが、私もシェイクスピアに関しては詳しくないのでよくわかりません。しかし、そういう方面から考察してみると、また面白いかもしれません。ほかにも、チャールズがベートーヴェン好きで最後まで蓄音機は手放さないとか、なかなか用意周到な人物配置で、こういったところから重厚さが現れているのかもしれません。 以前から関心があって一度見てみたかったのですが、劇場で鑑賞できたのは幸いでした。こちらの予想を上回るみごとなできで、たいへん満足できました。 アングロファイルさん [映画館(字幕)] 9点(2015-07-07 21:41:06)(良:2票)

23.《ネタバレ》 うーん、名作と言われることも多い本作。確かに画はとてつもなく美しいと思ったが、しかしストーリーはわりと引っかかりが多い。 ■とりあえずタイトルの「ライアンの娘=ローズ」が、その雰囲気はかわいらしいが行動を冷静に見ているとただの身勝手で自己中心的な「子供のままの女の子」であり、しかもそれを反面教師的に描いているわけでもないので、なんだかなぁと思ってしまう。 ■妻に不倫されても妻を守るチャールズの姿勢は素晴らしいと思うが、それが主題なら(多分そうだろうが)その部分をめぐる苦悩のようなものをもっときちんと描いてよかったと思う。これではチャールズがいい人なのか、それともただのおめでたい人なのか、そういうところにきちんと線を引き切れていないように思った。 ■あと、マイケルの描き方も「なんだかなぁ」という感じだった。どういう人かも結局よく分からない描写で、恐らく「ローズの蔑みの対象→自らも蔑まれる経験をして理解をする」というプロセスにおいて必要だったのだろうが、そうだとしてもこの配置と人物設定では何が何だか状態である。 θさん [DVD(字幕)] 6点(2013-09-13 00:07:30)

22.最初見たときはアイルランド独立運動など歴史に疎く、前半の不倫ロマンスものからこういう展開になるとは予想だにしてなかった。さらにDVDで再度見直すと記憶のあやしかったところが鮮明になり、映画に理解が深まったと思う。特にマイケルに対しては昔はなぜこういう醜い男が出ているのかと偏見すら持っていたのだが、今ではこの映画の重要なキャラクターであり、物言えぬ障害者だからこそロージーとその周辺が見えていたのではと思うようになった。 ESPERANZAさん [映画館(字幕)] 7点(2013-06-22 22:45:29)

21.妻の不貞、夫の苦悩をテーマにした作品なれど、アイルランドの封建的な田舎町や 独立運動を背景に、格調高い文芸作に仕上がってます。ストーリーもなかなか面白いけど、 とにかく映像がきれいで、音楽や演出もA級レベル。心に残るシーンやカットが多い。 ただ195分はちょっと長いかな。序盤のシーンは削っても、お話だけなら十分通るかと。 夫婦役の主演二人はいいし、村の変わり者を演じた役者さんも印象的。 映画を観たなぁという満足感を、十分与えてくれる作品だった。 MAHITOさん [DVD(字幕)] 7点(2012-07-08 04:11:56)

20.《ネタバレ》 モハーの断崖から日傘が落ちて行くファーストシーンから惹き付けられます。 美しいアイルランドの風景をバックに織りなす映像が素晴らしい。特に荒れ狂う荒波の中で武器を回収するシーンは、CGなしの本物の迫力があります。 不倫がばれても続けてしまうロージーにはオイオイまだやるかって感じだが、登場人物の心理の変化はとてもよく理解できた。 小さな集落の集団心理は恐ろしいけど、いきすぎた村人の行動を戒める神父役のトレヴァー・ハワードが非常にいい味を出している。 この映画を見てからアイルランドを旅してみたくなった。 きーとんさん [DVD(字幕)] 9点(2010-07-18 00:15:55)

19.肉欲が原因か・・・。そら経験の無い神父には分からんやろな・・。 ケンジさん [DVD(字幕)] 9点(2010-07-16 19:49:27)

18.なるほど、これは名作。 荒れ狂う波に象徴されるアイルランドの厳しい大自然のなか、 人妻女の不倫ドラマが描かれるわけだけど、 そんじょそこいらの陳腐なメロドラマではなく、 中世を思わせる偏屈な住民がいる片田舎で、 生死を賭した恋愛と家族の運命が描かれるという、 とっても重厚な映画だった。 ふう。ちょっと長かった。 ビデオは前後2本もあって、あの「風とともに去りぬ」と似ているなあと何度も思った。 雰囲気が終始重苦しい中、マイケルの存在が目立っていた。 私なんぞの眼力ではとても演技しているとは思えなかった。 アイルランドの歴史や、教会の関わり、神父の役目などの知識があればもっと楽しめたに違いない。 mhiroさん [ビデオ(字幕)] 7点(2010-07-10 00:04:37)

17.「ライアンの娘」というタイトルを聞くと、私は違うもの、別のことを思い浮かべてしまう悪い癖がある。オークスの前日に借りてきて見た訳だがライアンの娘というとメジロドーベル、オークスでの勝ちぷり強かったなあ!その後も引退するまで毎年、G1勝ちと本当に強かった。まずは映画よりもライアンの娘は私にとってはドーベルなのであり、おっと、何言ってんだよ?て言われる前にここで映画についての感想を言わなくてはと思う。まずは何と言っても美しい映像美にストーリー以上に見ているだけでも何だか一つの芸術品をずっと眺めているような感覚に、これは美しい映像美を思い切り楽しむ映画なのだ!と納得するように、自分に言い聞かせながら観る映画だ!そして、映像の美しさと共にドラマ的なスケール感、テーマは不倫だけど、けして、嫌らしさや不倫ものに付きまとうドロドロしたものも感じられない。アイルランドの独立運動が背景として、浮かび上がる中での主人公、二人の心情というものがよく描かれている。人妻でありながら夫を裏切り、別の男の元へ走るロージーの視線、その視線の奥には女の怖さ、男以上にどうしようもなくなってしまった耐えられない気持ちが痛烈で、これは女の方が男よりも愛に対して、貪欲であるというものをこの映画を見た後に感じたのと、私にはこのロージーのようには絶対になれないと思いました。最後にどんな作品であれ、全てにおいて、全くの手抜きが感じられないデビッド・リーン監督の演出により、ここまでの作品に仕上がっているのは流石であると言うしかない。個人的には「アラビアのロレンス」や「旅情」の方が私は好きであるが、この監督の撮った大作映画は大きなスクリーンで観る方が絶対に良い。海の美しさ、音楽の美しさは映画館で観れば、更にその良さに酔いしれること間違いなしであろう!とにかく全てにおいて、美しい映画!それがこの監督の作品の共通点である。 青観さん [ビデオ(字幕)] 8点(2010-05-22 21:17:11)

16.映像の美しさは確かによかったと思いますが、ストーリーや人物の魅力がそれにかなっていない気がしました。 色鉛筆さん [DVD(字幕)] 5点(2010-04-25 15:17:37)

15.《ネタバレ》 ベタ褒めする程の魅力は感じなかったが、時間の流れがゆったりとしていて、リラックスしながら観ることができた。 いずれにしても、不倫というものは絶対的に間違っている。 まして、この女は自ら中年男を誘惑し、結婚までしておいて、若い優男とセックスまでしている。 こんな勝手な女は、髪を切られるだけでなく、絞首刑に処すべきだ。 厳しさの足らない甘ったるい作品だ。 にじばぶさん [CS・衛星(字幕)] 6点(2008-10-19 23:16:56)

14.美しい映像がたくさんありますが、中でも砂浜についた好きな人の足跡を踏みしめて歩くシーンが大好きです。その後「さよならミスワイコフ」や「マレーナ」など、民衆の白い目と立ち向かう女性映画がいろいろありましたが、この映画が私にとってもルーツでした。 omutさん [CS・衛星(字幕)] 7点(2006-01-02 01:34:31)

13.理屈や類型に当てはめて考えるべき作品ではないと思います。色々な意味で生涯忘れ得ない一本です。 Kさん 9点(2005-01-20 12:41:34)

12.映画全体がまるで絵画のような作品。アイルランドの美しくも厳しい自然を背景に、そこで暮らす人々の織り成すドラマが丹念に描き込まれた一枚の壮大な絵画。激動する社会情勢に、個人の情念を絡ませていく骨太な展開は、まさにデヴィッド・リーン・スタイル。そんな映画のストーリーとキャラクターを突き動かしていくテーマは、一人の若妻の「性愛」への夢想。もっとベタな言葉で言ってしまえば「欲求不満」。たったそれだけのことが、いや、それだからこそ、時代の大きなうねりと彼女の情念がシンクロして、多くの人を巻き込んだ事件へと発展していき、悲劇と和解を生み出すことになる。このテーマと物語の展開構造は、実は14年後に撮られることになるリーンの遺作「インドへの道」でも繰り返されることになる。現代日本を舞台にすれば、さしずめ「東電OL事件」とか「主婦と男子高校生のメル友」みたいな話になってしまうようなテーマだが、それを芸術的な一幅の絵画にしてしまうところが、デヴィッド・リーンの真骨頂と言えるだろう。 眠い悪魔さん 8点(2004-03-27 17:16:52)(良:1票)

11.D・リーンってこんなにテクニシャンだったかと驚かされました。迫力があるロケーション撮影の効果も十分出てるし、大自然を捉えたカメラも秀逸だし、3時間はあっという間(あ、いえ、正直に告白すると3日かけて観ました)。オスカーを獲ったJ・ミルズの演技も凄いが、クリストファー・ジョーンズがいいね。僕がロージーだったら....やっぱり...クラクラきちゃう。*一部不適切な発言があったことをお詫びいたします。 nizamさん 9点(2004-03-08 18:16:01)

10.公開当時に見たきりだったが雄大な海岸風景やアイルランドの景色がとても印象的だった。特に断崖から傘の落ちていくファーストシーンは絵画のように焼きついた。細部は薄れていたのでとても見たかった作品だがようやく再見。いやもう素晴らしいです。長いのに全くダレません。どのシーンやカットも美しくそれぞれ意味があり、リーン監督らしい細心の心配りがされてます。たとえばロージーと中尉の森での逢引、彼女の着ている赤い服は中尉が村に入って最初に見た洗濯物。寄り添う2本のクモの糸やぜんまいの芽。逢引に来る中尉の方に駆け寄るロージーは純潔を意味するユリの花をかき分けて行く、などなどきりがない。さらに助演賞のJ・ミルズはもちろん、R・ミッチャム、T・ハワード、サラ・マイルズなど俳優全部が素晴らしい。神父が最初にロージーに「夢を育てるといつか身を滅ぼすぞ」と言うが、彼女は夫に飽き足らなくなり若い中尉との恋に身を焦がし、村人から私刑の辱めを受け石を持って追われることになる。本当のことを言えず、何より愛している娘に罪を着せることになってしまった父親の辛い気持ち。偏狭な村人たちにからかわれ、馬鹿にされていたマイケルを彼女も軽蔑していたのに、自分がその立場になって初めて彼を理解して頬にキスするラストの別れのシーンは涙がこぼれる。どんな時でも彼らを暖かく見守る神父は偏狭な村人の中では救い主のような存在。冷たい好奇の視線を浴びながら村を去る二人だが、チャールズは負けまいと堂々と胸を張って腕を組んで歩く。ロージーを心から愛する彼はなお深くてやさしい。戦闘で傷ついた中尉を演ずるクリストファー・ジョーンズは時にハッとするくらいJ・ディーンに似ている。役柄も繊細な人物で痛々しい。独立の運動家たちと村人が総出で嵐の海で武器回収をするシーンなど、アイルランド風景が素晴らしく雄大な迫力でロケーションされている。「アラビアのロレンス」は砂漠、「ドクトル・ジバゴ」では雪原、ここでは海とリーン監督のロケーション作品は完全にスクリーンで見るべき映画として作られている。 キリコさん 10点(2004-02-22 18:17:59)(良:4票)

9.《ネタバレ》 いい作品だと思う。人妻の恋。しかもナチの将校。夫はすごく年上の教師。たとえナチの将校だろうと夫がいようと、人は恋をしてしまうものなんだねぇ。止められない感情や情熱ってあるんだと思う。そして村の人々からの攻撃されて追われるけれども、それを許す夫がいて、また違った愛もあることを知る。 yukaoriさん 8点(2003-12-08 06:18:28)

8.初見は中学の時。TV放送されていたのですが、この作品を観るには幼なすぎた私。はっきりいってつまらなかった。それから20年後再見する機会に恵まれました。サラ・マイルズ演じる人妻の、わかっているのにおさえきれない気持ちが理解できました。誠実で真面目な夫に不満はないのだけれど満たされない想い。彼女はとても情熱的な女性なのね。生まれた場所、時代が彼女にとっては不幸だったといえるのかもしれません。アイルランドの寒村、荒く打ち寄せる波の風景が素晴らしい。彼女の想いと荒い波がシンクロしてしまいました。 envyさん 9点(2003-12-05 23:47:28)

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【点数情報】

Review人数 27人
平均点数 8.26点
000.00% line
100.00% line
200.00% line
300.00% line
400.00% line
513.70% line
627.41% line
7414.81% line
8622.22% line
91037.04% line
10414.81% line

【その他点数情報】

No名前平均Review数
1 邦題マッチング評価 9.00点 Review1人
2 ストーリー評価 8.00点 Review1人
3 鑑賞後の後味 8.50点 Review2人
4 音楽評価 10.00点 Review1人
5 感泣評価 Review0人

【アカデミー賞 情報】

1970年 43回
主演女優賞サラ・マイルズ〔1941年生〕候補(ノミネート) 
助演男優賞ジョン・ミルズ受賞 
撮影賞フレディ・ヤング受賞 
音響賞ゴードン・K・マッカラム候補(ノミネート) 

【ゴールデングローブ賞 情報】

1970年 28回
主演女優賞(ドラマ部門)サラ・マイルズ〔1941年生〕候補(ノミネート) 
助演男優賞ジョン・ミルズ受賞 
助演男優賞トレヴァー・ハワード候補(ノミネート) 

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