みんなのシネマレビュー |
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ネタバレは禁止していませんので 未見の方は注意です! 【クチコミ・感想】
221.《ネタバレ》 数々の名シーンが含まれていますが、私がもっとも強烈な印象を受けたのは、ラズロとイルザの乗った飛行機がまさに飛び立たんとしたときのこと。駆けつけたナチスの少佐が離陸を阻止するために管制塔へ連絡しようとするや、リックは何の躊躇もなくナチスの少佐を撃ち殺しました。何の躊躇もなく、です。 あの情勢下のカサブランカでナチスの将校を殺害するなど自殺行為以外の何ものでもありません。自らの生命、自らのすべてをかけるといっても過言ではない一撃です。にもかかわらず、リックはほんのひとかけらのためらいも見せることなく、じつに素早く冷静にことを為しています。リックの女への愛の深さと堅固さがどれほどのものか、私はこの瞬間の出来事に圧倒されました。もし、自分がリックの立場なら、あのようにできるだろうか……。 また、本作でのバーグマンの美しさは比類ありません。私はどちらかというと、バーグマンよりオードリー・ヘプバーン派ですが、それでもこの映画のバーグマンには魅了されずにはいられません。こんな女性に泣きすがられたら、男(私?)はイチコロです。 どれほど愛し合っていても結ばれることのない愛という哀切、戦争というものの不条理性がじつにうまくハイブリッドされていて、大人の愛を描いた映画とも反戦的メッセージの映画ともいずれにも解釈することができます(どちらかと決めつける必要はないでしょう)。娯楽作品にして思想的作品、思想的作品にして娯楽作品というさじ加減が絶妙です。脚本の力に感嘆せざるを得ません。 映画では己の愛を封印し、夫のため、あるいは世の中のためにリックのもとを去ったイルザですが、現実のイングリッド・バーグマンはイルザとは正反対の道を歩みました。夫と子どものいる身でありながら、ロッセリーニへと走り、そのことが原因となってハリウッドから締め出されました。ちょっと皮肉な逸話ですね。 ところで、最近気づいたのですが、イルザの夫は「ラズロ」という名前で設定されていますが、「ラズロ」は「ラザロ」にとても近い名前ですよね。西洋社会で「ラザロ」といえば、キリスト教の物語に出てくる「復活のラザロ」が思い起こされます。ラザロは一度死んでしまったあと、イエスの奇跡によって蘇ります。本作のラズロもまた、一度は死んだと思われたのに(なのでイルザはパリでリックと恋に落ちた)、生きて再びイルザの前に現れているわけです。そうか、ラズロはラザロだったのか、と妙に納得しました。 【delft-Q】さん [CS・衛星(字幕)] 10点(2024-01-15 09:53:23)(良:1票) 220.《ネタバレ》 “Casablanca”邦題まま。モロッコの大都市。当時はフランス領で、戦時中は仏が独に占領されたため、ヴィシー政権下。 学生時代、ハンフリー・ボガート(ボギー)って名前だけは結構知られていて、映画観たこともないのに、渋くてかっこいい男の代表みたい扱いだったわ。 名台詞『そんな昔のこと覚えていない』『そんな先のことは分からない』、そして『君の瞳に乾杯』は、40年以上経った日本の高校生でも知ってました。もちろん映画から直接でなく、バラエティ番組や漫画からとかだけど、それでも凄い浸透具合。 初見は割と最近。バーグマンとボガードではかなり年齢差を感じてしまったけど、ボギー当時まだ42歳か、あの渋さで私より年下か… さて劇中4回も出てくる『君の瞳に乾杯』(※私が観たDVDでは1回めは『謎の美女に乾杯だ』だった)。“Here's looking at you, kid.”は「君のような可愛い子を見つめることが出来ることに(乾杯!)」みたいなセリフですね。つまり『君に逢えた(これから先の)俺は、なんて幸せなんだろう』って意味だと思いました。1度めは出会った時。2度めはパリを旅立ち結婚しようとした時。ともに回想シーンです。 3度めは現代のカサブランカで、ラズロとの間で揺れ動くイルザに言うセリフ。自分のもとに戻ってきたイルザに言うので、復縁の意味にとれますが、リックの表情を観ていると、前2回のように笑顔はありません。自分が今後どうするべきか、頭では解っていたんだと思います。 そして4度め、別れのシーン。パリの思い出を胸に生きていく事を決めたリック。イルザの居ないカサブランカで、ずっと時が止まっていたリックが、いよいよ、この狂った世界で自分がするべき事の為に立ち上がります。 “As Time Goes By”『時が経っても』イルザに逢えた幸せは失われない。という考えに至ったんでしょうね。 プロパガンダ映画として、自分の国土を守るためとか、直接的な利益が手に入らないながら、ヨーロッパでの戦争に参加するアメリカの立場として、正義という名の美学のための参戦というのが、イングリッドの次回作『誰がために鐘は鳴る』と被る部分だわ。 ドイツ軍人の合唱「ラインの守り」を打ち消すフランス人たちの「ラ・マルセイエーズ」の大合唱。シンプルながら自国を思う気持ちを高揚させる。 【K&K】さん [DVD(字幕)] 7点(2023-10-23 23:50:20) 219.《ネタバレ》 ん〜これが、メロドラマの傑作だって? 戦時中に作られたせいか、半ナチの政治色が強くて、いまいちロマンスに入り込めなかった。 ずっと建物屋内での会話シーンばかりで退屈な作品。 ラストのほうの展開は、よく練られていると思うけど、また観たいとは思わない。 「死ぬまでに観たい映画1,001本」に収録。 【mhiro】さん [CS・衛星(字幕)] 3点(2023-10-11 21:20:56) 218.《ネタバレ》 久々に鑑賞してみて、あれ?こんな感じだったんだね、という印象。超ビッグスターの共演でのメロドラマ、独り歩きし過ぎたいくつかの名セリフのせいで、本質を見失いやすい種類の作品です。ラブストーリーというよりは当時のような世界情勢下に置かれた人々、とりわけ若者たちが、その逆境の中でたくましく生きている、生きていかざるを得ない、そんな状況なのにそこで交わされる会話はさり気なくクールでおしゃれ。そこにしびれるわけなのです。当時のカサブランカという微妙な場所で、昔別れた男女が再開してまた別れる。人がただ通り過ぎるだけの土地。実は極めて叙事的な作品なのかもしれない。イングリットバーグマンはとにかく美しく品があり、目がキラキラしていて、誰もがメロメロになるでしょう。余談ですが同じようなストーリーの「脱出」の方が、会話はウィットがきいて面白みがあります。そして何と言っても特異な魅力を放つローレンバコールの存在感が物凄いです。当時の女優って日本の同世代の女子の目にはどう映っていたんでしょう。日本でも戦後間も無く公開されたと思うのですが、そりゃアメリカ人の美しさとカッコ良さに度肝を抜かれた事でしょう。戦後復興の子供世代の私なぞは、ジュリーのあの歌が頭の中で流れます。ボギー、ボギー、あんたの時代は良かった。 【ちゃか】さん [インターネット(字幕)] 7点(2023-02-06 14:19:27) 217.《ネタバレ》 有名な「カサブランカ」!やっと見ることができました!皆さん同様、まずリック(ハンフリー・ボガート)の渋さとイルザ(イングリッド・バーグマン)の超絶な可憐さに尽きます!! ラズロ(ポール・ヘンリード)もかなりカッコいいのですが、リックと比べてしまうとやはり霞みます。ストーリーもよく考えられていて、二転三転する流れもスマート。戦争を戦場ではない外野側から描いている点もよくて、戦争(という背景)によって引き裂かれた男女が結構美しく描かれています。イルザに関しては少々不貞があるもののギリセーフという形で描かれていますが、結婚していたことを隠してリックと付き合っている時点でアウトでしょう。でもイイんですよ綺麗な女はこういうものなのですよ。キリ 昨夜はどこへ? そんな昔のことは覚えていないな 今夜会える? そんな先のことは判らないよ 君の瞳に乾杯 ×4 古いが故ですがB&Wであるおかげで本当にクールすぎる映画に仕上がっています。ストーリーも役者も結末も全てにおいてほぼ文句なしでしょう。しかしながら2022年では既に古すぎてネタ映画と化していますので、現代的な視点で見ると個人的には5点程度。サム(ドリー・ウィルソン)の「As Time Goes By」のピアノ演奏と歌声に+2点献上といたしました。(皆さん「ラ・マルセイエーズ」のシーンが高評価ですが、私個人としては特に何とも思わない程度のシーンでした。。) 【アラジン2014】さん [インターネット(字幕)] 7点(2022-09-13 16:19:15) 216.すっごくオサレな映画。見てるこっちが恥ずいよね。でも、イングリッド・バーグマンを目の前にしたら言っちゃうかも。 【センブリーヌ】さん [インターネット(字幕)] 7点(2021-05-31 01:33:52) 215.ヴィシー政権だけでなく、汪兆銘政権や満州国等々敵国協力政権への評価というのは難しくて、最近では「グレーゾーン」という評価になりつつあるように思います。それを体現しているのがルノー署長であり、他の男女3人の運命は全てこの署長が握っていたわけで、彼こそが本作の影の主役であると言えるでしょうし、実際にこういう人は居ただろうと思います(ただし、連合国側の作品なので多少美化されているようには思いますが)。できれば、ルノー署長への対抗として親独側の人物も登場させた方が作品としては盛り上がったとは思いますが、所詮は戦意高揚のプロパガンダ映画なので当時としては難しかったかもしれません。 【東京50km圏道路地図】さん [CS・衛星(字幕)] 6点(2021-02-23 12:24:26) 214.《ネタバレ》 何度か観たが1942年製作を意識し改めて評価。 戦時下に作られたメロドラマという印象だけでなく、ドイツに占領された自由の女神の故郷・フランスの人々への連帯を示すアメリカ人の心意気が強く感じられた。酒場での「ラ・マルセイエーズ」合唱は自由フランスの応援歌とも言え、彼らやアメリカ国民を鼓舞し勇気づけたことだろう。 苦虫噛み潰したような表情のリックと、陰影を含んだイルザの表情が、パリ時代との落差を引き立たせる。名曲「時の過ぎゆくままに」が運命的な再会を導き、ふたりの心を揺さぶる。 イルザへの愛情と自尊心の葛藤に、苦悩しながらも義侠心を見せるリック。男の美学が泣かせる。霧の空港で旅立つ者、残る者。仕事を口実にした強がり、通行証をもらうためイルザが愛したふり、リックが信じたふりという、心のせめぎあいが深い。 お世辞にも端正な顔立ちとは言い難いH・ボガートだが、名セリフ「君の瞳に乾杯」を4回も発すれば苦み走った二枚目になろうというもの。 【風小僧】さん [CS・衛星(字幕)] 9点(2021-01-31 14:58:40)(良:1票) 213.話は戦時下モノのベタな展開だが、すべてのキャラがカッコよくきまって見える役者にとっておいしい設定で、出演するだけで役者冥利に尽きる作品、しかもイングリッドバーグマンを堪能できる。見て損はない。 【ブッキングパパ】さん [インターネット(字幕)] 8点(2020-09-12 19:56:50) 212.《ネタバレ》 前半はそこまで話が進む訳でもなくつまらなかったが 被占領国という緊張感があったのでなんとか見続けられた。 後半になってようやく面白くなってきた。 ただ要所要所でえ?と思える展開があった。 やはりイルザの不倫関連でのエピソードはいまいちイルザに同情できない。 作品としては名作とまではいかないと感じる。 【Dry-man】さん [DVD(字幕)] 6点(2019-09-22 09:40:13) 211.《ネタバレ》 メロドラマの傑作。酒場で、フランス国歌を合唱するシーンが好き。そして、美しいバーグマン。ため息がでる。 【にけ】さん [映画館(字幕)] 8点(2019-01-04 20:51:50) 210.リックの店に現れたイルザのなんと美しいことか。 今更ながら、イングリッド・バーグマンの美しさに改めて感動。 そしてハンフリー・ボガートのダンディズムにしびれた。 純粋でナイーブだからこそのダンディズム。 問答無用でしびれるぜ、ボギー。 【roadster316】さん [DVD(字幕)] 9点(2018-10-01 23:49:56) 209.中盤、ブルガリアの若い夫婦を助けたシーンあたりから、ボガートのダンディズムに大興奮! これですよ、男はこうでないと!義理人情と痩せ我慢、超カッコいいじゃん! フランス国歌を歌うシーンもジンときた。それを強行するラズロも、演奏を認めるリックもカッコいい。 えっ、アメリカ贔屓?連合国のプロパガンダ?そういう野暮なことはあえて言わない、気にしない。 たとえプロパガンダだったとしても、良くできた映画ですよ、ええ。 【nakashi】さん [ブルーレイ(字幕)] 10点(2018-09-25 12:09:41) 208.久々に見た。ストリーも去ることながら歴史的価値の高い映画であると感じた。 移動の飛行機も、旅客機ではなくまるで軍用機… 【チェブ大王】さん [地上波(字幕)] 5点(2018-07-08 21:21:51) 207.これがまさに戦時中に作られた、ということの意義は大きい。 映画としてはまあ良く出来た普通の作品、と言えないでもないが、歴史の重みから高い評価を付けなければ、というプレッシャーも感じる。 ただ、ハンフリー・ボガートの渋さは渋すぎて賛否あると思う。 【simple】さん [CS・衛星(字幕)] 6点(2018-03-11 16:58:58) 206.《ネタバレ》 これぞダンディズム。カッコ良すぎ。キザなことこの上ないが、似合ってしまうんだから仕方ない。 現実に使えば頭をパチンとはたかれそうな言葉も、映画の空気感に馴染んで心に残る。 ストーリーとしては突っ込みたくなる不自然なところはある。 職権を利用して美しい花嫁を食い物にしようとするような俗物のルノー署長が、最後は救世主になってしまうのもできすぎ。 でも、ダンディでオシャレな展開に魅了されて面白いという気持ちが勝ってしまう。 ハンフリー・ボガードのリックが生粋の伊達男なら、イングリッド・バーグマンのイルザは究極のファム・ファタール。 しかも悪意のないファム・ファタールだからタチが悪い。男はこういう女に振り回される。 イルザの夫のラズロがリックも認めるほどの立派な人物でなかったら、リックも強引にイルザを奪いにいけたのだけれど。 有名な映画だけど何か惹かれるものがなくて見る気が起こらずずっとスルーしていたが、もっと早く見ればよかった。 【飛鳥】さん [インターネット(字幕)] 8点(2018-02-17 23:35:40) 205.《ネタバレ》 う~ん、しびれる。若いころに観たが、歳を重ねて観ると、また映画の良さが分かる。あぁあの映画もカサブランカの影響だったか、などと一人ニヤケてしまう。イングリッドバーグマンが本当に美しい。ボガードが本当に渋い。ラストのボガードのダンディズム。女性に言わせると、独りよがりかもしれないが、やはりあの場面は、あれしか考えられない。アズタイムゴーズバイ、君の瞳に乾杯。数々の伝説を生んだ映画を再見して、また歳をとったら、もう一回観ようと思った。 【トント】さん [ビデオ(字幕)] 9点(2017-06-30 14:54:57) 204.ラブロマンスっていうけど随分色濃い社会派映画ですね。 時代背景もあってアカデミー賞とったんでしょうけど映画の面白さとしては何が良いのか…リンフーだしキュンとも来ないし、さっぱりでした。 自分に合わなかったってことで。 【mighty guard】さん [CS・衛星(字幕)] 4点(2016-04-19 00:09:18) 203.ロマンスをこんな風に渋く戦意高揚に絡めるのは全体主義国家ではまず無理でしょう。久々でしたが相変わらずダンディな映画でした。 【ProPace】さん [CS・衛星(字幕)] 8点(2016-03-16 00:34:17) 202.《ネタバレ》 これも久しぶりに鑑賞。ロマンスだと思っていたら、反ナチ映画だったのですね。しかしラブストーリーもうまくからめてあり、そのコンビネーションがいいと思いました。また、主役2人だけでなく脇役も魅力的な人物がそろっており、それぞれ存在感があります。イヴォンヌなどちょい役ですが、「ラ・マルセイエーズ」の場面でフィーチャーするなど、うまい使い方だと思います。 で、結局イルザが本当に愛したのは、ラズロだけだったのでしょう。彼が死んだと思ってリックに“逃げた”わけですが、生きているとわかったらすぐに飛んでいったことでも、イルザの気持ちはわかります。インテリな思想家を愛するというのも、バーグマンによく合った役でしょう。リックはとばっちりを受けた形ですが、まあ理由も言わずに突然消えたら、それはヘコみますわなぁ。「人情家」という評判ですが、前半のリックにはそうしたところが見えません。イルザに去られて、人として大切なものをなくしてしまったのでしょう。彼女と再会し、当時の事情を知ったことで、その行動に納得がいった。このことによってリックは大切なものを取り戻す。つまりこれは、男の魂の復活を描いた作品だったのですね。最後に2人を逃がすのは、報われないながらも、あの時可能だった愛情表現なのでしょう。真に相手を愛している人間にしかできない行為であり、やはりこれには感動を覚えます。 「アメリカに乾杯」とかあからさまな箇所もありますが、十分普遍性のある、いい映画だと思います。 【2013年05月19日追記】「新・午前十時の映画祭」で見ました。セリフやちょっとした動作が人物の心理や関係を物語っており、細かいところまできちんと描かれた、繊細な作だという印象を受けました。特に最後の空港での場面は圧巻。よく「恋愛と結婚は別」と言いますが、イルザはそういう気持ちだったのかもしれません。今回1点プラスします。 【アングロファイル】さん [映画館(字幕)] 9点(2015-09-14 22:54:09)(良:1票)
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