みんなのシネマレビュー |
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ネタバレは禁止していませんので 未見の方は注意です! 【クチコミ・感想】
★6.《ネタバレ》 「ママに会いたかった、パパに会いたかった、家に帰りたかった」という台詞だけでもう十分すぎるほどに心を撃ち抜かれた。そしてそれをガラス越しに見つめるアンジーが、まるでスクリーンを見つめる我々観客のようで、そのイーストウッドの客観性に追い打ちをかけられ震え上がった。 そして「希望」を口にするアンジーの赤く染まった口元の優しさ、これほどまでの愛情・・思い出すだけでも感慨深いものだ。 もちろん真のアメリカ映画は昔からアメリカや社会と戦ってきた、しかしこの映画はそれだけのアメリカ映画ではない。それはロス市警の不正を徹底的に追及する映画ではないし、ましてや殺人狂への遺恨を描いた映画でもないからだ。 息子と映画を見る約束を仕事の忙しさから果たすことが出来ず、家を後にするアンジー、そして家に取り残された息子。この時の描き方が、既にこの親子は二度と再会することはないという永遠の別れを物語っている。窓越しに母を哀しく見つめる息子をキャメラがトラックバックしていく、これがあまりにも決定的だ。 更には仕事が長引いてしまった彼女がようやく帰路に着こうとするのだが、赤い路面電車は彼女に車体を幾度となく叩かれるも、そんな彼女の左手など触れてもいないかのように知らぬふりを決め込み走り去ってしまうのだ。そして彼女が「なんてこと・・」というような表情を浮かべた時の少し望遠気味のショット、先ほどの路面電車を正面から捉えていたのが縦位置だとすれば、横位置に回ったショット、この瞬間こそが、彼女の表情から不安感を滲み出させ、後戻りなど出来ない道へと踏み出してしまったと告げているのだ。 この導入部を見れば、これこそが真の映画であると気付くのだし、登場人物の視線、キャメラの視線ということの重大さ、強さ、そしてその真意にはっとさせられるのだ。 アンジーの潤んだ視線や憤りを露にした視線の先には、不正や殺人狂などを越え、いつも必ず息子ウォルターがいるのだ。 「チェンジリング」は圧倒的な視線劇で、徹頭徹尾、愛情を描き貫いている。 【すぺるま】さん [映画館(字幕)] 10点(2009-02-24 23:08:57)(良:3票) 5.《ネタバレ》 とにもかくにも息子を強く強く想う母の姿が胸を打ちます。たとえ相手が敵意むき出しの高圧的態度で迫ってきても、この母親は温厚で保守的であり反撃に転じませんし、悲しくても辛くても嬉しくてもボロボロ涙して泣くのですが(化粧が濃いのが良い)、どんな目に会っても決して挫けずメチャメチャ強いのです。この強さの原動力がアメリカ人の好むような不正に対する正義感からくるのではなく、母の子を想う一途な愛からきているのが良いです。最後に母親と犯人が面会するシーンがあるのですが、薄暗い部屋でアンジーの顔に光が当りまるで聖母のようになります。ところが息子の話が聞けないと一転し、非暴力的な彼女が犯人に対してはじめて手を上げるのです。しかし彼女が怒るのは犯人に対する怒りからではなく息子の生存を信じ、確認したいからであり、この映画が素晴らしいのはまさにそこの所で、最後の瞬間まで一貫してどこまでも息子を想う母の愛を描ききっているから美しいのだと思います。その証拠に正義を代表し大勢を引き連れて闘う牧師ジョン・マルコヴィッチにしっかりと焦点があたるのは、闘う時ではなく母親に警察の悪徳ぶりを教授する時だけなのです。 【ミスター・グレイ】さん [映画館(字幕)] 9点(2009-02-24 18:23:21)(良:3票) 4.《ネタバレ》 所々に小さな希望を散りばめる演出が上手いなぁ・・・ 最後の最後まで、クリスティンと同じ気持ちで見てしまいました。 これでめでたしめでたしって事になれば、万人が楽しめる痛快な娯楽作品となっていたんでしょうけど、そうはならないところに、現実の残酷さを痛感させられてしまいました。 一つだけ救いなのは、クリスティンが映画を見ていた事。ほんの少しだけでも自分の為に時間を使い、人生の楽しみを見出せていたら良いな。 【目黒のさんま】さん [映画館(字幕)] 8点(2009-02-24 17:17:42)(良:1票) 3.《ネタバレ》 イーストウッド監督は、正直言ってそれほど好きではない。たんたんとストーリーが流れていき、初見では何を伝えたいのかが理解できないことが多い。世間一般では評価されているが、苦手としている監督の一人でもある。 イーストウッド監督に対して苦手意識を持っている自分であっても、本作は“素晴らしい”と認めざるを得ない作品に仕上がっている。今まで観てきた映画とは“次元が異なる”と言っていいほどの完璧なデキには驚きを隠すことはできない。 まず、全体に漂う“空気感”が他の映画とはまるで異なる。張り詰めた緊張感は切れることなく持続しており、映画内の世界に完全に引きずり込まされる。あらゆる意味において“現実”よりもリアルさを感じられる。 ストーリーについては、通常のイーストウッド監督作品同様に、たんたんと流れていく。ミスを認めようとしないLAPDを過度に非難するような感情は込められていない。犯人に対する憎悪のような感情も深くは込められていない。クリスティンに対しても、哀れみを誘うような過度な感情も込められていないと思う。 そのような感情は深くは込められてはいないが、被害者の子どもたち、加害者の子どもを含めて“子ども達に対する深い愛情”が注がれていることに気付かされる。 そしてLAPDを非難することよりも、子どもに会いたい、子どもを捜して欲しいという“母親の愛情の強さ”がしっかりとした基盤となり、彼女の強さや行動に対する原点になっていることに気付かされる。 アンジェリーナ・ジョリーの演技はまさにパーフェクトだ。セリフだけではなくて、表情が素晴らしい。表情だけで何もかも語っているほどのレベルになっている。 彼女に対してセリフを語っている者の表情よりも、セリフを聞いている彼女の表情に深く魅入られてしまったほどだ。彼女だけではなく、すべての演者がパーフェクトとしかいいようがないほどのキャスティングには脱帽だ。 ラストに関してもまさに秀逸だ。残酷なストーリーかもしれないが、本作にはきちんと“希望”が描かれている。クリスティンは永遠に“希望”を持ち続けることができたと感じられるものとなっている。救いのあるラストには、まさに“映画らしさ”を感じられる。そしてイーストウッドの映画に対する愛情もまた強く感じられる。 10点を付けられないのは、受け手である自分の未熟さの問題であり、映画自体は満点といっていい。 【六本木ソルジャー】さん [映画館(字幕)] 9点(2009-02-22 21:26:36)(良:3票) 2.《ネタバレ》 1928 年のロサンゼルス。電話交換士主任クリスティン・コリンズは、息子ウォルターと二人きりのシングルマザー。オフの日に息子と映画へ行く約束をしていたが、欠員で仕事に行くことになってしまい、帰ってくると息子の姿がない。すぐに警察に連絡するも対応遅く、5ヶ月後にイリノイ州で発見され連れてこられた少年は別人だった・・という話。 トーンも暗く、連れて帰ってきた少年も不気味調で、最初はミステリー?オカルト?SF?なんて思ってましたが、クリント・イーストウッドなのでそれはないですね。フライヤーでも実話と書いてあるし。 当時の記事写真では実際のクリスティン・コリンズはもっとか細い感じの女性。今回のアンジェリーナ・ジョリーは、今までのワイルド&セクシー系とは真逆な役。タラコ唇はそのままに白塗りパンダ目の厚化粧に眼光で表現する(ちょっとキモw)、本当にアンジーかい?ってゆー感じですw マルコヴィッチ演じるブリーグレブ牧師が教会の壇上で痛烈に警察批判を述べていて、彼女にも裏事情を明かしてくれる。そこから一気に社会派ドラマの流れに。警察が、官憲の如く威圧的にやり込めてくる。これって多くの冤罪事件を彷彿とさせますよね。戦時下、軍政下で国家反逆罪とかにでっち上げられて捕まったりとか、社会主義国なら今でもありそうな感じですし・・。 権力に対し勇気を持って毅然と立ち向かった女性像という形ですが、でも警察の意見を肯定するということは、二人きりの家庭なのに赤の他人の少年を生涯息子として育てなければならないわけで、普通「はい、分かりました」なんて簡単に受け入れる人はいないですよねぇ。でも自由主義・法治国家のアメリカが舞台とは^^; 強力な助っ人が出現してくれたから良かったものの、全くの単独では抵抗しきれないでしょう。 基本エピソードは実話なのかもしれませんが、確信的に結びついているわけでもなさそうで、偶然が重なった事件ということなんでしょうか。ニセの息子もあんな程度の動機で幼いながらふてぶてしくも赤の他人を生涯騙し通し一緒にいたい(実の母親出てくるしw)とするのは無理あるし、警察がどこまで関与していたのか知っていたのかは不鮮明でしたし・・。 ところで、あの職場にローラースケートは無用だろ!って突っ込みを入れたいところなんですけどw 【尻軽娘♪】さん [試写会(字幕)] 7点(2009-02-15 22:50:05)(良:2票) 1.《ネタバレ》 これが実話ってのが信じられないです。サスペンス映画というより腐敗した警察に立ち向かう社会派ドラマに仕上がっていましたね。色んなテーマが詰め込まれていて物語の焦点がブレてしまった印象はありますが。ジョーンズ警部を演じたジェフリー・ドノヴァンの演技が凄く印象に残りました。 【ギニュー】さん [試写会(字幕)] 7点(2009-02-05 19:57:47)
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